21 (特別管理事項-落とすな-3)ワイヤー吊り工法の設計・施工上の注意

(特別管理事項-落とすな-3)ワイヤー吊り工法の設計・施工上の注意
ワイヤー吊りによる展示物やサインの落下クレームが度々発生している。
その原因の殆どは、ワイヤー強度(荷重負担)の間違った解釈(※1)と吊り元及び本体へのワイ
ヤーの不充分な緊結(※2)である。
※1:静止物をワイヤー3 本以上で吊ったとしても、各ワイヤーへ均等に荷重を負担させる
ことは至難の技であり、負担の大きい順に破断する。従って、3 本吊りだから 1 本当
りの荷重負担は 1/3 と考えるのは間違いである。
※2:クリップ止めは、締め付けが悪い場合(ナットのトルク不足の場合)は、耐荷重が激減
し、正常な締め付けでも、定期的な増し締めを必要とする。
以下に当社の[ 細ワイヤー吊りの技術基準 ]を示すので、ワイヤー吊り施工に際しては、基
準に則した充分な管理を行うこと。
[ 細ワイヤー吊りの技術基準 ]
(1) 吊り物の全荷重(全重量)を計算する。
(2) ワイヤーは、JIS 規格(JIS G 3252,JIS B1801)に適応したものを使用する。
(3) 静止物を吊るワイヤーは安全率を破断力の6倍以上とする。
〔懸垂物安全指針・同解説/日本建築センター〕(参考資料参照)
(4) 照明用昇降バトン等の駆動物に使用するワイヤーは、安全率を破断力の10倍以上
とする。(参考資料参照)
(5) 複数のワイヤーで吊る場合でも、其々の1本に全荷重が掛かるものとして計算する。
(※1 の理由による。)
(6) ワイヤー端部の緊結方法は、オーバルスリーブを用いた、かしめ工法を基本とし、更
にシンブル加工を施す。(図 1 参照)
(7) ※2 の理由により、クリップ止めは使用を禁止する。(図 2 参照)
図1
正しいワイヤ端部の留め方
オーバルスリーブのメーカー名・商品名を以下に記載する。
商品名
アームオーバルスリーブ
アームスエジャー(専用工具)
会社名
株式会社
アーム産業 新潟県南蒲原郡下田村笹岡 1458 番地 7
TEL 0256―46―2278 /FAX 0256―46―4780
ホームページ http://www.armsangyo.co.jp
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図2
使用禁止
(参考資料)7×7
(ワイヤークリップ止め)
ステンレスワイヤーロープ の許容荷重めやす表
サイズ(直径) 破断力(kg)
静止物の場合
めやすの許容荷重(kg)
駆動物の場合
めやすの許容荷重(kg)
2m/m
260kg
40kg
25kg
2.5m/m
410kg
65kg
40kg
3m/m
590kg
95kg
55kg
4m/m
1,020kg
185kg
100kg
5m/m
1,610kg
295kg
160kg
6m/m
2,300kg
430kg
230kg
8m/m
4,050kg
745kg
400kg
注意※メーカーや種類により破断力が異なります
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