(特別管理事項-落とすな-3)ワイヤー吊り工法の設計・施工上の注意 ワイヤー吊りによる展示物やサインの落下クレームが度々発生している。 その原因の殆どは、ワイヤー強度(荷重負担)の間違った解釈(※1)と吊り元及び本体へのワイ ヤーの不充分な緊結(※2)である。 ※1:静止物をワイヤー3 本以上で吊ったとしても、各ワイヤーへ均等に荷重を負担させる ことは至難の技であり、負担の大きい順に破断する。従って、3 本吊りだから 1 本当 りの荷重負担は 1/3 と考えるのは間違いである。 ※2:クリップ止めは、締め付けが悪い場合(ナットのトルク不足の場合)は、耐荷重が激減 し、正常な締め付けでも、定期的な増し締めを必要とする。 以下に当社の[ 細ワイヤー吊りの技術基準 ]を示すので、ワイヤー吊り施工に際しては、基 準に則した充分な管理を行うこと。 [ 細ワイヤー吊りの技術基準 ] (1) 吊り物の全荷重(全重量)を計算する。 (2) ワイヤーは、JIS 規格(JIS G 3252,JIS B1801)に適応したものを使用する。 (3) 静止物を吊るワイヤーは安全率を破断力の6倍以上とする。 〔懸垂物安全指針・同解説/日本建築センター〕(参考資料参照) (4) 照明用昇降バトン等の駆動物に使用するワイヤーは、安全率を破断力の10倍以上 とする。(参考資料参照) (5) 複数のワイヤーで吊る場合でも、其々の1本に全荷重が掛かるものとして計算する。 (※1 の理由による。) (6) ワイヤー端部の緊結方法は、オーバルスリーブを用いた、かしめ工法を基本とし、更 にシンブル加工を施す。(図 1 参照) (7) ※2 の理由により、クリップ止めは使用を禁止する。(図 2 参照) 図1 正しいワイヤ端部の留め方 オーバルスリーブのメーカー名・商品名を以下に記載する。 商品名 アームオーバルスリーブ アームスエジャー(専用工具) 会社名 株式会社 アーム産業 新潟県南蒲原郡下田村笹岡 1458 番地 7 TEL 0256―46―2278 /FAX 0256―46―4780 ホームページ http://www.armsangyo.co.jp 21 図2 使用禁止 (参考資料)7×7 (ワイヤークリップ止め) ステンレスワイヤーロープ の許容荷重めやす表 サイズ(直径) 破断力(kg) 静止物の場合 めやすの許容荷重(kg) 駆動物の場合 めやすの許容荷重(kg) 2m/m 260kg 40kg 25kg 2.5m/m 410kg 65kg 40kg 3m/m 590kg 95kg 55kg 4m/m 1,020kg 185kg 100kg 5m/m 1,610kg 295kg 160kg 6m/m 2,300kg 430kg 230kg 8m/m 4,050kg 745kg 400kg 注意※メーカーや種類により破断力が異なります 22
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