米国利上げでアジアの中央銀行・通貨は?

2016年6月2日
アジア
米国利上げでアジアの中央銀行・通貨は?
アジア各国・地域の中央銀行制度は先進国とは異なりますが、インフレターゲ
ットの採用などもあり、金融政策の透明性は高まっています。米国の利上げ後
も通貨は比較的落ち着いた動きを見せると思われます。
■現在、アジア各国・地域の景気動向は総じてしっ
かりしており、原油価格が低位にとどまっていること
などから、インフレ率も低水準で推移し、アジア通
貨も安定しています。多くの国でインフレターゲット
が設定されるなど、金融政策変更の透明性が高
まっていることなども、為替の変動幅抑制に役立っ
ていると見られます。
■市場では、米国の利上げ観測が強まってきていま
す。米国の利上げは、米ドル高、自国通貨安の
方向に作用しますが、アジア全般的に景気やイン
フレが落ち着いていることに加え、金融政策の透
明性が高まっているため、投機的な資金流出のリ
スクは低下していると見られます。
【アジア各国・地域の中央銀行制度と実態】
中国
Ⅰ.中銀の目的
通貨価値の安定、成長支援
インド
韓国
成長目標を考慮しつつ物価の安定を 物価と金融環境の安定による健全な
維持
経済成長
台湾
金融の安定、健全な銀行業務、
内外通貨価値、経済発展
Ⅱ.中銀の独立性
政府からの独立性
実際の運営
Ⅲ.インフレターゲット
備考
Ⅰ.中銀の目的
×
最終決定権は共産党の指導を
受けた政府
×
○
×
中銀総裁による
中銀以外メンバーの影響力強い
政府との関係は総裁に依存
○
○
×
・人民銀行は政府の一機関
・経済政策に関する最高決定機
関は共産党
・窓口指導はよく行なわれる
・16/5の改正前は金融政策決定は ・政府に配慮する傾向ある
総裁の専権事項
・改正によりMPC制を導入。政策の
透明性が高くなる
×
・政府との関係は中銀総裁に左右さ
れやすい
・IMF未加盟のため台湾ドル買い介
入には慎重
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
通貨価値の安定
金融および金融システムの安定
決済システムの安定
持続的な成長のための金融安定
物価安定
金融安定とペソ交換性の促進維持
Ⅱ.中銀の独立性
政府からの独立性
実際の運営
Ⅲ.インフレターゲット
備考
○
×
×
×
政府と協調して動く傾向あり
政府の意向を強く受ける
政府の意向を踏まえて動くことが多い
政府との意見調整を重視する傾向
○
○
×
○
・法律上の独立性は非常に強い ・中銀法の運営責任は財務省
・通貨安は景気対策として認識
・通貨高への警戒感ある
・財務相が中銀総裁の解任権を握る ・大統領による解任権がある
・成長率・インフレ見通しは政府と共通 ・内需主導経済のためか為替に対し
・通貨安に対し警戒感ある
他のASEAN諸国ほど敏感ではない
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