VOL.68 平成28年 5月号 (年6回発行) 一般社団法人 三重中小企業経営者協会 〒510-0001 三重県四日市市八田1丁目13-17 TEL : 059-334-7807 FAX : 059-334-7808 ホームページ : http://www.mie-keikyo.jp/ E-MAIL : [email protected] 「最近の社会保険の手続き」に関して Ⅰ.今回の内容 平成28年4月から、協会けんぽの「傷病手当金・出産手当金の計算方法」が変わりま したので、その内容を解説します。 また、出産後の会社復職に際し、育児・介護休業法 で短時間勤務制度の義務化が定められており、その制度を利用した際に利用できる「養育 期間の従前標準報酬月額のみなし措置制度」に関しての解説も併せて行います。 Ⅱ.協会けんぽの「傷病手当金・出産手当金の計算方法」の変更 平成28年4月から傷病手当金・出産手当金の給付金額の計算方法が変更になり、支給 開始される前1年間の標準報酬月額を基に計算された金額で支給されることとなりまし た。 改正により、従来の傷病手当金や出産手当金の金額より少なくなる場合が増加すると思 われます。 1)傷病手当金・出産手当金とは 傷病手当金とは、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた 制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられ ない場合に申請により支給を受けることができる制度です。また、出産手当金とは被保 険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産前後 の一定期間の範囲内で、会社を休んだ期間で、給与を受けられないときに申請により支 給を受けることができる制度です。 2)新計算方法 (従来の1日当たりの支給金額) 【休んだ日の標準報酬月額】 ÷30日 ×2/3 (今後の1日当たりの支給金額) 【支給開始日(*)以前の継続した12ヶ月間 の各月の標準報酬月額を平均した額】 *支給開始日とは、一番最初に給付が支給された日です。 ÷30日×2/3 3)具体的な計算例 ①支給開始日以前に12ヶ月の標準報酬月額がある場合 支給開始日以前の 12 ヶ月(H27年7月からH28年6月)の各月の標準報酬月額を合 算して平均額を算出する。 (28万円×2ヶ月+30万円×10ヶ月)÷12ヶ月÷30日(*1)×2/3 =6,520円/日 (*2) となります。 ( *1 1 の位を四捨五入 *2 小数点 1 位を四捨五入) ちなみに、以前の計算では6,667円/日でした。 ②支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たないとき 以下のイ)、ロ)を比較して祝内包の金額を使用して計算します。 イ)支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額 (30万円×7ヶ月+32万円×2ヶ月) ÷ 9月 = 304,444円/月 ロ)28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月 額の平均した額) イ)、ロ)を比べて少ないほうの金額を使用して計算するので、28万円を使用し、 28万円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,220円/日 となります。 ③支給開始日以前12ヶ月以内に転職している場合 転職する前にも協会けんぽに加入しており、離職していた期間が原則1か月以内であれ ば、転職前後の標準報酬月額を通算して計算します。 ④すでに傷病手当金や出産手当金を受給している場合 平成28年4月から新しい計算方法で支給されます。 Ⅲ.養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置 次世代育成支援の拡充を目的とし、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受 けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬 月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みが設けられたものです。 被保険者の申出に基づき、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額と みなして年金額を計算します。養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないよ うにするための措置です。 3歳未満の子を養育する被保険者または被保険者であった者で、養育期間中の各月の標 準報酬月額が、養育開始月の前月の標準報酬月額を下回る場合、被保険者が「厚生年金 保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を事業主を経由して提出します。 なお、申出日よりも前の期間については、申出日の前月までの2年間についてみなし 措置が認められます。 Ⅵ.平成28年4月1日以降の雇用保険料率 「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が平成28年3月29日に国会で成立しま した。このため、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率は、 以下の様に引き下がります。 以上
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