体制整備支援サービス - 安全保障貿易情報センター

新サービスご活用事例ご紹介
―体制整備支援サービス―
新サービス「体制整備支援サービス」ご利用第1号
クオリカプス㈱様に伺う
-「業態にフィットした体制・規程等の提案に大満足」-
これまでCISTECでは、企業や大学における「輸出者等遵守基準」の遵守体制を支援するために、該非判定
支援サービス(該非判定の支援)、Webセミナーの提供(輸出管理教育の支援)及び講師派遣サービス(オン
デマンド型集合教育)等のサービスの拡充を図り、2015年からは監査支援サービス1を開始いたしました。新
しく開始した監査支援サービスにはこれまで多くの企業から申込みいただき、2015年CISTECジャーナル7月
号にはご利用第1号の西華産業(株)様のインタビュー記事2を掲載させていただきました。
その後、監査支援サービスの事務局に対して、「監査支援サービスではなく、輸出管理の体制の整備、内部
規程・細則の策定等を支援するサービスはありませんか」との問合せをいただきました。「輸出者等遵守基準」
を遵守するために体制を整備したいが、今まで経験がないため、自社の業態・規模及びリスト規制品目の輸出
の有無等を考慮した適切な体制、内部規程・細則及び運用等をどのようにすべきかの判断に苦慮しているとの
ことでした。この様な要望に対応するために、2015年9月から輸出管理体制整備支援サービスを開始しました。
「体制整備支援サービス」ご利用第1号 クオリカプス㈱様へのインタビュー
この様なニーズにお応えするために、新たに導入した「体制整備支援サービス」ですが、早速9月初めにク
オリカプス(株)
(以下、クオリカプスと表記する)様にお申し込みいただきました。2015年9月初めから
2016年3月中まで、体制の提案、内部規程の策定支援、実施細則の策定支援及び
トライアル運用時の課題の解決等を実施し、体制整備支援実施報告書をクオリカ
プス様に受領いただきました。クオリカプス様では4月初めから運用を開始され
ましたので、CISTECでは、新規サービスの効果、有用性等について広くご理解
いただく一助になればと思い、クオリカプスで輸出管理事務局を担当されている
総務人事部の川内様に体制整備支援サービスを受けたご感想を伺えないかご相談
したところ、幸いご快諾いただきました。
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クオリカプス様は、1965年に設立され、医薬品・健康食品用ハードカプセル事
業及び製剤関連機械事業において、高品質・高機能のハードカプセルを提供する
と共に、カプセル製造技術のノウハウを活用した製剤関連機械の設計・開発、製
作・据付、技術サービスを提供されています。
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1 輸出管理監査・体制整備支援サービス(http://www.cistec.or.jp/service/kansa/index.html)
CISTECジャーナル 2015年7月号 西華産業様に伺う―「費用対効果は非常に良かった」
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CISTEC Journal 2016.5 No.163
CISTEC この度は、CISTECの体制整備支援サービスをご利用いただきありがとうございました。早速です
が、御社が体制整備支援サービスを利用された動機又は背景をお聞かせ下さい。
クオリカプス 体制整備の必要性は感じていましたが、弊社に経験者がいないためどの様に進めたら良いか
迷っていました。そこで、インターネットで「安全保障貿易 体制整備」とキーワードを入力し検索したら、
CISTECの「体制整備支援サービス」がヒットしました。
CISTEC やはりネット社会では検索でヒットすることが重要で、それも検索結果のトップに表示されること
が重要ですね。
クオリカプス そうですね。困った場合には、まずインターネットで検索します。CISTECがトップだったの
は競合相手が少ないと言うことではないでしょうか。
CISTEC 安全保障輸出管理の体制整備を支援している機関はほとんどないと思いますので、CISTECがトッ
プに表示されたのだと思います。
クオリカプス CISTECがどの様な組織か全く知識がなかったので、少し心配だったのですが、CISTECホー
ムページの「賛助会員のご案内」の「会員名簿」で、弊社の属する三菱ケミカルホールディングス傘下の複数
の会社が会員となっていることが確認できましたので、安心して申し込むことができました。その後、その他
の広範囲なサービスも活用したいと考えて、CISTECの賛助会員になりました。
CISTEC 体制整備のプロジェクトで、推進担当者に任命された時はどの様なお気持ちでしたか?
クオリカプス 最初に体制整備のプロジェクトを任された時には、それほど負担に感じませんでした。今まで
も通常業務以外の新規のプロジェクトを任されて、関係部門と調整しながらプロジェクトを完遂することは何
度か経験していたからです。戸惑いを覚えたのは、今までのプロジェクトではある程度勉強すれば道筋や最終
ゴールが見え初めたのが、今回はそうではなかったことです。時間が経つにつれて不安が増してきました。
CISTEC 輸出管理の体制整備はやはり通常のプロジェクトと異なり、少し難しいものなのでしょうね。
クオリカプス 弊社での体制は、手順や手続きについて、弊社における重要性に基づいて濃淡のついたもので
ないとうまく機能しないと予想していました。そのためには、関連法令の各規定の趣旨や要件効果を理解した
上で、どの規定が弊社に重要なのかを濃淡をつけて把握することが求められます。しかし、そのような理解・
判断は、本制度の初心者、特に短期間で制度整備を任された担当者に
は現実的には無理だと思います。
CISTEC スタート時点で濃淡が必要であると考えられたと言うこと
は、川内様はプロジェクト推進に関して慣れておられるということで
すね。
クオリカプス 弊社の人的資源を考えると、そうならざるを得ないと
いうことです。輸出管理については、弊社にとってどれが重要であ
り、どれが重要でないのかが、スタート時に判断できずとても困惑し
今回のプロジェクトを
推進された川内様
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ました。その為、先ほど述べたように最終ゴールが見えませんでした。
CISTEC 確かに最終ゴールが見えていないと正しい方向に走っているのかどうか不安になりますね。それで
CISTECの体制整備支援サービスを活用されることになったわけですね。
クオリカプス そのとおりです。ただし、当初は、「企業は多種多様なので、CISTECからは平均的な体制や
規程が提案されて、その後に弊社の業態や規模にあったものに自分で改良する必要があるのでは」と考えてい
ました。しかし、最初の面談時に「クオリカプスの業態や規模にフィットした体制や規程でない限り上手く運
用できませんよ」と言われたので、弊社の業態に特化した体制や規程を提案いただけると安心しました。
CISTEC CISTECの体制整備支援サービスでは、支援対象となっている企業又は機関の業態やリスト規制貨
物の輸出の有無等をしっかりと聞き取り調査し、適切な体制、規程や運用を提案することにしています。
クオリカプス 平均的な体制や規程で運用すると余分な手間やコストがかかると考えていたので、本当に助か
りました。
CISTEC 実際に運用される営業部門や技術部門の方々の負荷まで考えて体制を整備されようとされた発想が
素晴らしいと思います。その様な方が輸出管理を推進されれば、営業部門や技術部門の方々はいろいろと相談
に来たり、前向きに取り組んだりしてくれると思います。
クオリカプス 但し、濃淡をつけた管理方法にはメリットとともにデメリットもあります。「淡」に該当する
部分で問題がないことを判断できる能力が必要となり、特に事務局に大きな負荷がかかります。
CISTEC 9月以降CISTECの体制整備支援サービスを利用されました。体制整備支援サービスでは、輸出管
理体制の提案⇒内部規程の策定支援⇒内部規程に基づく輸出管理に関する輸出管理委員会への説明⇒実施細則
の策定支援⇒試運用時に明らかとなった課題への解決策の提示⇒実運用の手順で実施しましたが、これらの手
続やCISTEC担当者とのやりとりはいかがでしたか?
クオリカプス 体制整備支援サービスの手順は適切であり、又体制整備支援サービス担当者の知識が極めて広
く、レスポンスも非常に良好でした。大部分の質問事項には当日中に回答があり、少し時間がかかる場合には
何時までに回答するとのレスポンスがありました。通常業務をこなしながら体制整備を進める者としては、そ
の間に安心して通常業務に取り組むことができました。
CISTEC CISTECからの質問にも直ぐにご回答がありましたので、体制整備に真剣に取り組んでおられると
言うことがよく伝わってきました。
CISTEC 今回の体制整備は、御社の計画どおりに進みましたか?
クオリカプス 当初は数ヶ月長くても4ヶ月程度で体制整備が終了すると考えていました。しかし、この予測
は私が社内の作業手順を細かく把握していなかったためであり、作業手順が分かってくるとかなり無謀な計画
だと気づきました。実際にはいろいろと解決すべき課題がありました。当初の予測より長くかかりましたが、
おそらく半年で体制整備が完了したというのはかなり速いペースだと感じています。
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CISTEC 適切な組織体制を決定され、内部規程及び実施細則を制定され、試運用を経て半年で実運用という
のは、本当に素晴らしいスピードで推進されたと感心しています。
CISTEC 読者にとっても参考になると思いますので、体制整備において苦労された点があれば、教えてくだ
さい。
クオリカプス 弊社の場合には、GMP(Good Manufacturing Practice)3が厳格に運用されているため、後か
ら来た輸出管理によりGMP運用が乱されることのないように体制整備することが求められました。その上で、
実施細則に落とし込むことに大変苦労しました。実施細則の策定過程で、輸出管理の観点から手続を提案する
と各部門からGMP運用に整合しないとの指摘を受け、たびたび手順や管理帳票類の修正が必要になりました。
CISTEC 多くの企業では輸出管理を立ち上げる場合に、社内の説得で苦労されると聞いたことがありますが、
その点ではいかがでしたか?
クオリカプス 輸出管理体制の整備に関するメリット及びデメリットをありのままに伝えました。細部ではい
ろいろな意見が出ましたが、意外と皆さん納得して協力してくれました。
CISTEC 幹部や社員の皆様の輸出管理に関する意識が高いと言うことですね。素晴らしいですね。試運用時
のトラブル等についてはいかがでしたでしょうか?
クオリカプス 問題点を洗い出すために試運用をしました。試運用時に顕在化した暫定の手順や体制の問題点
については、CISTECから助言をいただき解決することができました。しかしながら、その時点で、各担当者
の輸出管理手続に関する理解に誤解が多々あることに気づきました。このまま本運用を開始しても上手く行か
ないと考えましたので、CISTECの講師派遣サービス4を利用することにしました。「リスト規制」と「キャッ
チオール規制」に関する弊社に特化した、即ち弊社の管理帳票及び輸出管理手続に基づいた研修をお願いしま
した。2回の研修会を通して各担当者の理解度は飛躍的に向上し、実運用に向けた準備が整ったと感じまし
た。
CISTEC 御社の体制、内部規程、管理帳票を含む実施細則の策定を支援していたため、御社に特化した上記
2回の研修会を上手くこなすことができました。又、営業部門や技術部門の方々といろいろと議論できたこと
もとても良い経験になりました。ところで、9月の時点で考えていた輸出管理手続と、実際に構築された輸出
管理手続に差異はありましたか?
クオリカプス 先に述べましたが、9月の時点では平均的な体制及び規程が構築されて、それを更に自ら弊社
向けに改良する必要があると考えていました。しかし、「弊社の業態や規模にフィットした体制や規程」を前
提としたご支援により、運用しやすい仕組みができました。9月の時点のイメージと今回構築した仕組みに
は、雲泥の差があります。
CISTEC 体制整備支援サービスを開始して直ぐに賛助会員となられたため、価格は賛助会員価格(税込21
万6千円)でしたが、予算の確保や経営幹部の説得等でご苦労された点はありますか?
3 4 医薬品医療機器等法に基づいて厚生労働大臣が定めた、医薬品等の品質管理基準のこと。
講師派遣サービス(http://www.cistec.or.jp/service/kousihaken/koshiannai.html)
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クオリカプス 経営陣からは全面的にバックアップされていましたので、その点についての苦労はありません
でした。経営陣のコミットメントがキーである点は、どのプロジェクトでも同じだと思います。
CISTEC 今回の体制整備支援サービスの費用対効果についてお聞かせ下さい。
クオリカプス 弊社からのすべての質問に対応していただき、かなりの作業量だったと思います。費用対効果
が極めて高いのは間違いありません。
CISTEC ありがとうございます。3月中で体制整備支援サービスを完了し、4月初めから運用に入られまし
たが、体制整備について所期の目的を達成できたとお考えですか?
クオリカプス 途中までは苦労もたくさんありましたが、「2回の研修会」の後は非常にスムーズに進み、所
期の目的を達成できました。驚いている、というのが正直な感想です。
CISTEC CISTECの体制整備支援サービスを受けたことで、今後の内部規程・実施細則の改訂について自信
を持って対応できるようになったと感じておられますか?
クオリカプス 自社内で対応できることと、CISTECに再度依頼すべきことが明確に区別できるようになった
ことが自信になりました。
CISTEC 運用を開始されるといろいろと課題が見えてくると思います。それら課題への対応につきましては、
当面体制整備支援サービスのフォローアップとして引き続き支援させて頂きますが、このサービスについては
どの様にお考えですか?
クオリカプス 理解が不足している点はまだまだ多くあるため、フォローアップという仕組みは安心感が高
く、心強い素晴らしいサービスだと思います。運用開始後も体制の質を向上させるべくこのようなサービスを
提供されることは、支援を提供される側の姿勢として素晴らしいことだと思います。
CISTEC 体制整備で悩んでいらっしゃる他企業・機関へのアドバイスがあれば、お願いします。
クオリカプス 多分、我々と同じ悩みを持つ企業は多いと思います。体制整備の最終ゴールの姿が見えないと
悩んでおられる企業等は、体制整備支援サービスで解決すると思います。また、弊社では、このサービスを利
用することにより、体制整備のためのコストも運用コストも低く抑えることができたと考えています。また、
このことは、他の企業様にも当てはまると思います。CISTECは、体制整備支援サービスについて、もう少し
宣伝した方が良いのではないでしょうか。
CISTEC ありがとうございます。その一環として今回のインタビューを計画しました。CISTECジャーナル
の購読者は限られているため、CISTECのホームページにこのインタビュー記事を個別に掲載する等により、
更に体制整備支援サービスをPRして行きたいと思います。
CISTEC 今回は体制整備支援サービスをご活用いただき、誠にありがとうございました。CISTECでは監査
支援サービスも実施しておりますが、監査支援サービスのご活用を検討されていますか?
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クオリカプス 第三者による監査は非常に有意義であると考えており、是非活用したいと思っています。
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いかがでしたでしょうか? 現在、体制整備支援サービスのご利用をご検討の企業や大学の皆様、ご関心が
多少なりともおありの皆様のご参考になれば幸いです。
2009年の外為法改正により経済産業省によって「輸出者等遵守基準」が定められ、その遵守がすべての輸出
者に求められているため、輸出管理の体制を整備し、内部規程等を策定したいと考えている企業・機関・大学
等は多いのではないかと考えています。しかし、輸出者としての業態・規模及びリスト規制品目の輸出の有無
等を考慮した適切な体制、内部規程・細則及び運用等をどのようにすべきかの判断に苦慮されているのではな
いでしょうか。CISTECではこの様な企業・機関・大学等における体制整備を支援するサービスを提供してお
ります。是非、CISTECの体制整備支援サービスのご活用をご検討いただければ幸いです。
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