ビジネスへの活用 ■将来予測、異常検知 ■自動翻訳、同時通訳 ■質問応答 ■音声認識に基づくコールセンター業務の 回答精度・速度の向上 など P9 参照 拡大する人工知能の利活用場面 ゴリズムの高度化という つの変化が起こったことを背景 ︶ は、 年 代 に 研 究 開 発 が 始 ま っ た 人 工 知 能︵ データの多様化・増加、コンピューティングの高度化、アル A I 度目のブームを迎えている。ブームを牽引してい 3 。自律的な学 参照︶ P 4 などクラウドサービス大手は、 う。マイクロソフト、 Google ﹂サービスとし 人 工 知 能 を 手 軽 に 利 用 で き る﹁ ク ラ ウ ド 生も期待され、より多様な分野での利用可能性が高まるだろ 習が可能となれば、複雑な問題にも対処できる人工知能の誕 層学習︶﹂と呼ばれる学習技術である ︵ させる﹁機械学習技術﹂ 、中でも﹁ディープラーニング︵深 るのは、人工知能に大量のデータを与えて識別ルールを学習 に、現在 3 1 9 5 0 て、 機 械 学 習 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム の 提 供 も 開 始 し て い る。 ま A I た、 Google 年 月にディープラーニング機能を は、 提供する新サービスを発表した。 3 備管理者の知見を学習することで、設備の管理負荷低減と快 を、クラウドAI を活用して構築した。機械学習によって設 してサービスレベルの向上を図る次世代建物管理システム を統合的に分析し、空調や照明など建物の設備運用を最適化 不動産管理業でも活用が始まっている。竹中工務店では、 建物内のさまざまな設備や環境センサーから収集したデータ いる。 析し、精度の高い予兆保全を行うソリューションを開発して は、 工 場 内・ 装 置 内 ネ ッ ト ワ ー ク の デ ー タ を 人 工 知 能 で 解 性 が あ る。 半 導 体 製 造 大 手 の ル ネ サ ス エ レ ク ト ロ ニ ク ス で や生産工程の標準化による生産性の向上が実現される可能 つ な が る 動 作 を 学 習 す る 機 械 な ど の 登 場 に よ り、 品 質 管 理 る 故 障 な ど の 異 常 を 自 動 検 知 す る 機 械 や、 生 産 性 の 改 善 に 産 業 用 ロ ボ ッ ト の 開 発 が 進 め ら れ て お り、 磨 耗 や 劣 化 に よ 大 し つ つ あ る。 た と え ば 製 造 業 で は、 人 工 知 能 を 搭 載 し た 工知能の利活用が、幅広い産業分野や製品・サービスへと拡 A I の 登 場 に よ り、 イ ン こうした技術の進化やクラウド ターネットの検索エンジンなど特定の分野で先行していた人 2 0 1 6 2 ■生産ラインへの投入量調整 ■設備の予兆監視 ■スマートファクトリー(完全自動化工場) ■不良品検査 ■熟練技術者のスキル形式知化による ロボットへの技術伝承 など 共 通 小売・流通 P8 参照 ■需要予測、在庫最適化 ■インターネットの閲覧履歴解析による レコメンデーション ■店舗内の商品配置などの最適化 など 製 造 P6 参照 ■融資審査・与信管理の自動化 ■トレーディング ■不正送金等、詐欺取引の検知 ■市場動向等の分析による投資支援 ■行動解析による信用判断の高度化 ■保険金支払い審査事務の自動化 など 金 融 ■自動運転 ■車間通信による隊列走行 ■配送ルートの最適化 ■予測出荷 ■業務効率化 ■ドローン等による配送自動化 など 交通/物流・ 運輸 P7 参照 適性の向上を実現し、エネルギー効率や運用管理コストの最 適化につなげることができるという。 また小売業では、人工知能によるビッグデータ解析を通じ た需要予測の精度向上や、販売促進策の最適化などが期待さ れている。三越伊勢丹ホールディングスでは、さまざまな実 験的取り組みを展開。顧客の好みにフィットしたアイテムや コーディネートを提案する人工知能アプリの開発や、店舗内 での顧客行動などのデータを人工知能で解析し店舗内レイア ウト改善に役立てるなどの試みを行っている。 教育分野では、人工知能を活用した教材の開発が進んでい が開発したタブレット用 る。 ベ ン チ ャ ー 企 業 の COMPASS 教材は、生徒それぞれの解答や解答プロセス、スピード、理 解度などの情報を収集・蓄積して、間違い方の原因や得意不 得意分野などを解析することで、一人ひとりに最適な問題を 出題し続け、効率的に学習を進めていくシステムだ。 このように、人工知能はさまざまな分野や業務に活用され 始めており、将来的には、生活や仕事の場面において、人に よる認識や判断行為を一部代行する存在となる可能性があ る。2045 年には、人工知能が全人類の知能を超えてしま う﹁シンギュラリティ︵技術的特異点︶ ﹂に到達すると予測 されており、人類の地位がコンピュータに奪われるのではな いかと懸念する見方もある。みずほ情報総研 経営・IT コ ンサルティング部 次長の河野浩二は、﹁人間はこれまでも技 術 的 イ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 社 会 変 革 を 経 験 し て お り、 イ ノ ベーションを受容しながら社会の発展を図ってきた。社会的 受容性との調和を図りつつも、経済や社会の発展に人工知能 を積極的に活かしていく方策を考えるべきだ﹂と述べる。 企業経営においては、人と人工知能のコラボレーションの 実 現 を 図 り、 自 社 の 発 展 に 活 か す 方 法 を 模 索 す る べ き だ ろ う。たとえば、創造性は要求されないが時間はかかるタスク を人工知能に任せることができれば、社員の長時間労働を改 善できる可能性がある。また、社員が本来の業務に集中でき るようになれば、サービスレベルや製品の付加価値の向上を 図ることができる。さらには、人工知能の支援を受けること で、従来にないサービスや製品が生まれる可能性もある。 N av i s 0 3 0 – M a y 2 0 1 6 3 人工知能の可能性とビジ 特集 ディープラーニングや関連技術の発展により人工知能の実用化の可能性が広がっている。 自律的に学習する人工知能技術の登場によって精度の高い認識が可能となり、さまざまな産業分野への応用や 新規事業の創出が期待されている。ビジネスの現場で人工知能の活用が進む日がいよいよ近づいてきた。 技術レベル・機能によるAIの分類 何を「人工知能」と呼ぶか 年代には簡略な問題に対処する対話システム では、そもそも﹁人工知能﹂とは何だろうか。人工知能 に関する技術にはさまざまなものがあり、その目的も幅広 い。 ︵イライザ︶﹂が、 年代には専門的な知識を体系 ﹁ ELIZA 的に蓄積し、専門家のような判断を下す﹁エキスパートシ ステム﹂が開発され、それぞれ人工知能と呼ばれた。第 とい イクロソフトや Google が人間を上回る精度を記録。また、 スマートフォン向けの音声認識機能や音声検索システムに もディープラーニング技術が導入され始めている。 人工知能に関わる多様なプレーヤー 一方で、人工知能の開発に関わるプレーヤーが多様なこ とも、人工知能技術の全体像をわかりづらくしている。 やマイク 最も活発に研究開発を行っているのは、 、 Google 、 Yahoo! 、 Facebook など大手 ロ ソ フ ト、 Apple などが 企業である。日本でも、富士通、日立、 だ。今後、Io T ︵モノのインターネット︶が拡大すれば ピュータの処理能力が向上したことにより、実用化が進ん データを容易に収集・蓄積できるようになったこと、コン データが増大していること、またインターネットを通じて ネットの発達や情報通信機器の普及などにより多種多様な あ る。 学 習 に は 大 量 の デ ー タ が 必 要 と な る が、 イ ン タ ー 複雑で精度の高いルールを抽出することができる可能性が に考えるため、人間が検知することができなかった特徴や 出を行いながら学習し、認識や状況判断のルールを自動的 は、与えられたデータからコンピュータが自律的に特徴抽 用 範 囲 が 限 定 的 で あ っ た。 し か し、 デ ィ ー プ ラ ー ニ ン グ 環境変化や例外に柔軟に対応することができないため、応 工知能は人があらかじめ決めたルールの中でしか動かず、 ルをコンピュータに教え込む必要があった。そのため、人 機械学習技術は、人間がデータの特徴を抽出し、学習ルー うブレークスルーが起こったことによって生じた。従来の 術面において、機械学習の手法にディープラーニングとい 産業界における現在の人工知能は、技術レベル・機能に よって4 段階に分類される︵上図︶。現在のブームは、技 う言葉が多用されている。 こうした状況の中で、人工知能をビジネスや業務に活用 したいと考える企業に求められるのは、人工知能技術を活 もうとしている企業もある。 進めることによって、人工知能を自社のビジネスに取り込 で、技術を持つ外部企業との連携やクラウドAI の導入を ただ、ユーザー企業が人工知能技術の開発に乗り出すに は、多額の研究開発資金や高度な人材が必要となる。そこ 収も盛んになっている。 など人工知能に応用できる技術を持つベンチャー企業の買 ディープラーニングの専門家の争奪戦、あるいは音声認識 る。 こ の よ う に プ レ ー ヤ ー が 乱 立 す る 中 で、 人 工 知 能 や も人工知能の研究開発を行う部門や研究所を立ち上げてい 乗り出すユーザー企業も多様で、大日本印刷やリクルート はさまざまな用途への応用が想定されるため、研究開発に を掲げて人工知能研究に取り組んでいくという。人工知能 を 設 立 し た。 自 発 を 行 う 新 会 社 Toyota Research Institute 動車の安全性向上や屋内用ロボットの開発など つの目標 発表し、 マサチューセッツ工科大学と人工知能の共同研究を行うと タ自動車は、 開発に取り組んでいる。また、ユーザー企業側でも、人工 ﹂と称されるなど、人工知能や 次ブームの現在では、家電製品に搭載された従来型の制御 膨大なデータが生成され、それに伴って人工知能も加速度 年 年 月に米国スタンフォード大学や 9 月に、米国に人工知能技術の研究開 1 用する用途・目的を整理することだ。前述したように、人 4 2 0 1 6 2 0 1 5 知能の研究開発に乗り出す動きが見られる。たとえばトヨ 的に進化すると予想されている。 システムも﹁ I B M N E C 3 80 工知能にはさまざまな用途が期待されているが、汎用型の I T 1 9 6 0 ディープラーニングを取り入れた製品やサービスはまだ 年にマ 少ないと見られるが、画像認識技術では、 A I 2 0 1 5 音声入力な な した ルールを しな て に ルールを し に してア ト ト 人 を A I な の の画 スの ム システム システム システム ト の 化 の ム ー ー 入れたAI トの イ ター ル な ータを に ルール 知 を し たな イ ト ータ に いて に してア ト ト を 入れたAI ル3 に 画 音声 ル4 デ ー ー ン 機械学習技術の一種である ディープラーニングの発展により、 精度の向上や用途の拡大が見込まれる 問 答システム キス ートシステム トされた ータ れたルール なア ト ト イ たAI 能に を 知 ル2 され AI なルール なア ト ト システム に の 工 に システム ル1 *松尾豊『人工知能は人間を超えるか』、 「みずほ産業調査 vol.54」を基に作成 4 特集 ◆ 人工知能の可能性とビジネスへの活用 人工知能の活用プロセス デ ー IT ー ー ー ー ー ー ー システム 音声 画 ータ イ etc ー ー ルス ア ータ ター ア 知 ル ー etc ー ス データソース 音声 ー の を 画 人工知能 音声 を な 画に の 化 に で に さ な されてい な に 化 れて な 人 に 切 を の の して されて の に い で ータの 能 工知能の知能 人 の知能を の れ した い い 5 能 化して人 を 示 し で のリス に に してい を の知能を に されてい ので N av i s 0 3 0 – M a y 2 0 1 6 シ の され ので な 人工知能に の で人工知能をい い 合い に な 人 の知 てい て人 に されて リテ 声 た 人 合 の で な て を な で に に ータに わ い た 人工知能に 工知能 な 能 人 の の に 合 2045 を の の い な 工知能 の われ の で しな 人工知能に ーシ 人工知能 い な に に のイ 能 人工知能を ー の 入れ の に した 人工知能の スの に に し 人工知能を イト に の を て た な の 化 さ に 人 ーシ に の を いた ー イ 河野 浩二 IT ルテ 人 問 さらに幅広くビジネスや業務に活かされていくという、成 ー し しな 長のスパイラルが生み出されることを期待したい。 てい 人工知能はまだ開発されていないため、﹁予測・検知﹂﹁言 の に 語処理﹂﹁画像認識﹂など、具体的な応用例を絞り込む必 能 ースを 今回の特集では、さまざまなビジネス領域で進みつつあ る人工知能の活用例を俯瞰し、人工知能は企業に何をもた 人工知能の を 要がある。自社製品やサービスへの実装だけでなく、業務 プロセスへの活用は、さまざまな業種の企業にとって有用 拡大する人工知能の可能性と シンギュラリティ らすのか、それによって人の働き方はどのように変わるの ー ー となる可能性がある。多様なプレーヤーがさまざまな業務 etc ト シ ータ etc かを探る。 e ー 入 ト ーム への応用を試みることで人工知能の進化がより一層進み、 画 画 ー ス
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