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 高機能素材ワールド2016 成長産業を支える高機能素材 機能性フィルムのコーティング膜の膜厚測定
フィルメトリクス株式会社 山下 真佐美
1. はじめに
近年プラスチックフィルムや金属箔の表面に様々な
処理を施すことにより、必要な機能を持たせる技術が
数多くあり、またそれは多くの分野で応用され使用さ
れている。基材となるフィルムに薄膜をコーティング
することも多く、膜材料も様々であるが、膜に粒子が
入っているものや、多孔質膜であることもある。膜厚
もその機能によって異なり、コーティングの仕方もさ
まざまである。それらの膜厚を管理することは、正に
その機能を管理することと同じであり、膜厚測定の需
要は、数ナノレベルから数百ミクロンまで広がってい
る。従って、その測定対象により最適な測定装置を選
定しなければならない。
2. フィルメトリクス社の膜厚測定システム 図1 F20 膜厚測定装置
おり、光源から出た光はファイバーを通り、サンプル
ステージの光学系を通じて測定サンプルに照射され、
その膜の表面と膜の中を通って戻ってきた光はファイ
バーを通じて分光器に入射し分光スペクトルとなる。
そのデータは USB で接続されたコンピュータに取り
2-1. フィルメトリクス社について
フィルメトリクス社は 1995 年、米国カリフォルニ
ア州サンディエゴに光学式膜厚測定専業メーカーとし
込まれ、ソフトウエアにより膜厚、屈折率、消衰係数
を求めることができる。
て設立された。当時の他社の光学式膜厚測定システム
2-3. 新製品 Profilm3D プロフィルム3D 非接触光学
式段差計
は、顕微鏡を用いたタイプや、光学系が複雑なエリプ
光を通さない膜の測定には、触針式段差計、もしく
ソメータが主流で、低価格帯の商品でも 1,000 万円
以上はする装置しかなかった。
フィルメトリクス社は、
いち早くファイバー式の小型膜厚測定システム F20
を開発し、高性能ながら簡便で数百万円台の価格帯の
商品をリリース。現在までに全世界で 4000 台以上の
販売実績があり、名実ともに膜厚測定装置のリーディ
ングカンパニとなった。
2-2. 膜厚測定システム F20 の特徴
F20 は非接触光学式の測定装置であり、基本原理は
反射分光式である(図1)
。透明もしくは半透明の膜
の厚さを測定する。コンパクトな膜厚測定装置を実現
するため、その構造は極めてシンプルでかつ無駄がな
い。A4 サイズ程度の本体には光源と分光器が入って
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は SEM 等で断面をみるなどの破壊検査を行うか、非
接触で測定するにはX線測定装置か光学式表面形状測
定装置を使用する必要がある。いずれの装置も高額で、
特に X 線の装置は安全面等で導入には高いハードル
がある。非接触で安価で測定したいという長年のニー
ズにお応えし、フィルメトリクス社は、非接触光学式
段差計オプティカルステップハイト―プロフィルム3
Dをリリースした(図2)。低価格でありながら高性能、
光干渉の原理で膜のあるところとないところの段差を
捉え、光を透過しない膜の測定を可能にした。
光学系と PC で構成されたシステムは、フィルメト
リクスのコンセプトである “ コンパクト ” なフットプ
リントであり、その接続は USB のみとシンプル。
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の薄膜から数十ミクロンの厚さまで、接着層や、防湿、
絶縁、耐熱、埃や汚れ防止、保護膜などさまざまな目
的のためにコーティングが施される。樹脂系の材料や
アクリルやポリイミドなど目的に合わせて膜材料も構
造も多岐に渡る。フィルメトリクス社は、1000 以上の
マテリアルライブラリーから簡単に材料を選択し、粗
さのある基材にも対応できるロバストモードを使うこ
とで容易に測定することを可能にした。F20 での測定
事例を示す。(図4)
図2 新製品プロフィルム3D
図4 PET上コーティング膜測定事例
3-2.白濁フィルムの測定事例
ディスプレイや光源に使用されるビーズや粒子の
入った光拡散フィルムや、バッテリーに使用されるセ
パレータ、コンデンサーやフィルターに使用されるグ
リーンシートなど、見た感じが白っぽく不透明に近い
フィルムでも、分光範囲が近赤外までと広い F20-EXR
図3 段差サンプルイメージ図
膜厚測定システムや顕微鏡式膜厚測定システムの F40
マウスをクリックするだけで簡単に、50nm から 10㎜
系や近赤外波長を駆使して膜厚に依存する干渉波形を
の段差が測定できる。10 倍のレンズで視野は 2mm、
取り出して測定する。光が散乱する・反射が得られに
デジタルズームを併用することにより、様々なアプリ
くいサンプルについても、弊社で積み上げた独自のノ
ケーションで使用できる。しかも既知段差サンプルが
ウハウを用いてその膜厚を簡単に高速で測定すること
付属しているのですぐに測定が始められる。(図3)
ができる。
で測定することが可能である(図5)
。小スポット光学
フィルメトリクス社の膜厚測定システムは、半導体
ウエハーやガラス基板への成膜、電子基板の保護膜、
医療や自動車の部品等のコーティングなど様々な測定
対象に広く対応しており、インラインでも使用されて
いる。今回は、機能性フィルム膜の測定事例について
ご紹介する。
3. 機能性フィルム膜の測定例
3-1.フィルム上の樹脂膜コーティング
PET 等のフィルム上にアクリル等の樹脂膜がコー
ティングされるアプリケーションは多い。数 10 ナノ
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図5 光拡散フィルム測定事例
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3-3. ITO膜の測定事例
ITO は、タッチパネルに必要不可欠な透明導電材料
である。380-1700nm の広い分光波長範囲の透過率及
び反射率を同時測定し、その反射率と透過率データを
基にフィルメトリクス社独自の ITO 分散モデルにより、
ITO 膜の厚さ、屈折率、及び消衰係数を容易に測定で
きる(図6)
。測定データは F10-RT-EXR 反射透過分光
測定システムによるものである(図7)
。
図8 金属薄膜測定事例
薄
図6 ITO 膜測定事例
図9 8ミクロン段差測定事例
フ
捉え、光を透過しない膜でも瞬時で測定可能である。
す
クロム膜段差の測定事例を示す(図9)。
て
厚
おわりに
オ
高機能フィルムに対する需要は年々高まっており、
応用される分野は今後さらに拡大していくであろう。
図7 F10-RT-EXR 反射透過分光システム
それらの製品開発・製造に、膜厚管理は必要不可欠な
膜
技術であるため、膜厚測定のニーズもますます増えて
測
いくと考えられる。多品種な製品に対応できる測定装
置や、高精度なのに低価格なシステムが、さらに求め
3-4. 薄い金属膜厚の測定事例
られていくことになるだろう。
プ
フィルム上に金属の薄膜を形成するアプリケーショ
弊 社 の ホ ー ム ペ ー ジ(www.filmetrics.co.jp) で は、
は
ンも、電子部品やバリア膜など数多くある。その金属
その他の製品や事例も数多く紹介している。詳しい情
設
膜が非常に薄く光が透過する場合は、ITO と同様に反
報を掲載しているので、閲覧して頂ければ幸甚である。
射と透過を同時に取り込み解析することで膜厚測定が
可能である。アルミ金属薄膜の測定事例を示す(図8)。
3-5. 光を通さない膜の膜厚測定事例
金属膜は膜厚が厚くなるに従って光を通さなくなり、
また塗装膜や印刷など薄くても光が通りにくい膜も数
多くある。フィルメトリクス社の新製品プロフィルム
3Dは、光学式であるため非接触で膜の有無の段差を
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に
【お問合せ先】 フィルメトリクス株式会社 山下真佐美
〒 222-0033 横浜市港北区新横浜 2-5-9 新横浜フジカビル TEL:045-473-7109 Email: info@filmetrics.co.jp URL: www.filmetrics.co.jp
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詳
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非接触光学式段差計が
NEW
薄膜測定のフィルメトリクスからついに登場 !!!
光を透過しない膜の厚さが測定可能
フィルメトリクス社は 20 年以上に渡り、反射率分光法を原理と
する非接触光学式膜厚測定システムを 4000 台以上販売し
て参りましたが、長年ご要望頂いていた光を透過しない膜の膜
厚測定のため、この度、非接触光学式の段差測定装置である
オプティカルステップハイト、プロフィルム3D を開発致しました。
50nm から 10mm の段差を測定
膜のあるところとないところの段差を、光干渉の原理で捉えます。
測定もマウスをクリックするだけで簡単に行えます。
高性能 コンパクト 低価格
プロフィルム3D は光学系本体と PC の組合せ。 PC との接続
は USB1本とシンプルで、かつフットプリントも小さくコンパクトな
設計です。
視野は 10 倍レンズで 2mm、デジタルズームを併用すること
により、様々なアプリケーションに対応します。
詳しくは下記までお問い合わせ下さい
フィルメトリクス株式会社
〒222-0033 神奈川県横浜市港北区 2-5-9
新横浜フジカビル
TEL:045-473-7109 FAX:045-473-7209
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E-mail:[email protected]
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