配布資料

平成28年度第1回金属資源セミナー
リサイクル優先レアメタル回収技術開発
金属資源技術部 生産技術課
神谷 太郎
リサイクル優先レアメタル回収技術開発 目的
 リサイクル優先鉱種(Ta,Co,W,Nd,Dy)のうち、使用済小型家電製品等に含まれるレアメタル(Ta,Co)のリサ
イクルを行うことを目的とした技術開発(H24~H27の4年計画)
 H25年に成立した「小型家電リサイクル法」を受け、廃小型家電の回収方法の整備が進むことで、上記リ
サイクル技術の早期実用化が望まれる。
タンタル(Ta)
コバルト(Co)
★鉱石主要生産国は、モザンビーク、ブラジル、コンゴ民
主共和国(DRC)、ルワンダであり、4カ国で世界の生産量
の約8割を占める。
★供給リスクが存在(主要生産国であるDRCの政情が不安定)
世界の鉱石生産の55%をコンゴ民主共和国が占めており、他
に中国、カナダ、ロシア等の国が生産。
★紛争鉱物に指定されている。(2010年)
★日本は、アメリカ、タイ、ドイツからタンタルコンデンサ
等の原料(タンタルフッ化物)を輸入。
★国内需要
国内におけるタンタルの需要量(720ト
ン/年)の内、タンタルコンデンサ用が
40%程度を占めると推計される。
★技術開発目標
廃小型家電の電子基板(プリント基板)に含まれるタン
タルのうち、75%を回収するプロセスを開発する。
★日本は、フィンランド、豪州、カナダ、ザンビア、ノルウェー
等から原料(中間製品)を輸入。
★国内需要
国内におけるコバルトの需要量( 11,000~
12,000トン/年(推計値) )の内、リチウムイオ
ンバッテリー(LIB)用が70%程度を占めると
推計される。
★技術開発目標
廃小型家電のリチウムイオンバッテリー(LIB)に含まれる
コバルトのうち、72%を回収するプロセスを開発する。
1
リサイクル優先レアメタル回収技術開発 事業実施体制
予算規模:
H24年度(1.0億円)
H25年度(1.8億円)
H26年度(1.4億円)
H27年度(0.8億円)
経済産業省 鉱物資源課
委託
JOGMEC
有識者による委員会
金属資源技術部 生産技術課
委託
(Ta回収)
(Co回収)
三井金属鉱業㈱
再委託
早稲田大学
JX金属㈱
再委託
早稲田大学
東北大学
産業技術総合研究所
2
使用済小型家電製品からのタンタル回収 技術開発のポイント
従来のリサイクルフロー
使用済
製品
本事業で開発を目指す新規フロー
使用済製品
①分離(分解)プロセス・装置の開発
【実施者:早稲田大学】
基板を壊すことなく分離・回収する。
○目標回収率:90%
装置開発
人の手で解体
基板分離・回収
①本体破砕基板分離・回収
②分離(剥離)プロセス・装置の開発
【実施者:早稲田大学】
部品を壊すことなく分離・回収する。
○目標回収率:93%
②部品剥離
粉々に粉砕
③Taコンデンサの選別(濃縮)
リサイクル製錬所で銅・金回収
物理選別(磁選・気流選別、等)
④TaコンデンサからのTa回収
焙焼、湿式処理、等
銅・金原料
Ta原料
③選別プロセス・
装置の開発
【実施者:産業技
術総合研究所】
○目標回収率:90
%
装置
開発
④Ta回収プロセス開発
【実施者:東北大学】
低コストでTaを回収するプロセス
を開発する。
○目標回収率:99.5%
全体目標回収率:75%
3
研究分担及び研究目標値
三井金属鉱業㈱
早稲田大学大和田研究室・所研究室
技術開発項目
目標総合回収率:75%
基板脱離
=
目標回収率:90%
Taコンデンサ濃縮
部品剥離
×
目標回収率:93%
東北大柴田研究室
産総研大木研究室
×
目標回収率:90%
有用金属回収
×
目標回収率:99.5%
追加検証試験
通信系ルータ
ルータ1台から回収
実証プラント追加検証試験実施
5cm
実証設備試験
各工程における分別素材の評価額と各工程のコスト比較を行い、
本開発技術の経済性評価を行う
4
三井金属鉱業㈱
早稲田大学大和田研究室・所研究室
技術開発項目
目標総合回収率:75%
基板脱離
=
目標回収率:90%
Taコンデンサ濃縮
部品剥離
×
東北大柴田研究室
産総研大木研究室
目標回収率:93%
×
目標回収率:90%
有用金属回収
×
目標回収率:99.5%
1.小型家電
筐体からの基板脱離はなるべく
類からの基板
部品剥離なく行う
脱離
2.基板からの 基板からTaコンデンサを含む実装
実装部品類の
部品をなるべく非破壊で剥離する
剥離
3.実装部品か
らのTaコンデン
サ濃縮
各種Taコンデンサを気流選別と物
理選別プロセスの選別条件最適
化により効率的に分離回収する
4.Taコンデンサ
からの有用金属
回収
乾留・焼成や湿式処理により構
成物である五酸化タンタルをは
じめとする有価金属を効率的
に回収する
5
◯実証試験設備(部品剥離工程)
本体破砕、基板分離、部品剥離を一括して行うことができる。
破砕部
(シミュレーション画像)
実証試験設備全体
二段目破砕
プリント基板
一段目破砕
廃小型家電(PCサーバ)
プリント基板
部品
6
プラスチック筐体ルータ粉砕実験 試料・粉砕機
実験装置
保温カバー
ベルトコンベヤ
(加熱室)
粉砕機
CFS S-1250 R1 (機構図)
CFS S-1250 R1 (外観)
粉砕機
試料B: シスコシステムズ製
プラ筐体 1台当たり0.9kg
20台(統一試料)
回転速度
(rpm)
排出までの
時間(s)
温度(℃)
一段目粉砕 二段目粉砕
CFS1250 CFS1250
R1
R1
321
321
15
5
15(室温)
200
7
三井金属鉱業㈱
早稲田大学大和田研究室・所研究室
技術開発項目
目標総合回収率:75%
基板脱離
=
目標回収率:90%
部品剥離
×
目標回収率:93%
×
産総研大木研究室
東北大柴田研究室
Taコンデンサ濃縮
有用金属回収
目標回収率:90%
×
目標回収率:99.5%
1.小型家電
筐体からの基板脱離はなるべく
類からの基板
部品剥離なく行う
脱離
2.基板からの 基板からTaコンデンサを含む実装
実装部品類の
部品をなるべく非破壊で剥離する
剥離
3.実装部品か
らのTaコンデン
サ濃縮
各種Taコンデンサを気流選別と物
理選別プロセスの選別条件最適
化により効率的に分離回収する
4.Taコンデンサ
からの有用金属
回収
乾留・焼成や湿式処理により構
成物である五酸化タンタルをは
じめとする有価金属を効率的
に回収する
8
タンタルコンデンサの濃縮実証試験 実証選別プロセス
クロスフローシュレッダ2段目破砕
早大提供試料
トロンメル
粗粒物の除去
トロンメル
振動スクリーン
振動スクリーン
Taコン濃縮粒群のみ回収
傾斜弱磁力磁選機
強磁性素子(水晶振動子など)、
円筒形素子(アルミ電解コンデンサなど)
の除去
四管式気流選別機
傾斜弱磁力磁選機
比重選別によるTaコン濃縮
Taコン濃縮物
四管式気流選別機
実機(商用機)
9
タンタルコンデンサの濃縮 実証試験 気流選別
2.8~3.35mm、3.35~4.75mmそれぞれの傾斜弱磁力磁選機 非磁着物を
別々に四管式気流選別機 実機(商用機)を用いて気流選別を行った。
2.8~3.35mm…Taコンを回収対象とした3成分分離
3.35~4.75mm…TaコンおよびIC(メモリ類)を回収対象とした5成分分離
サイズ
重産物
2.8~
3.35mm
3.35~
4.75mm
中間産物
軽産物※
合計
全体重量比(%)
3.4
32.1
64.5
100.0
Taコン品位(%)
0.0
72.1
0.0
23.2
Taコン分配率(%)
0.0
100.0
0.0
100.0
全体重量比(%)
0.8
47.6
51.5
100.0
Taコン品位(%)
0.0
93.1
1.4
45.1
Taコン分配率(%)
0.0
98.4
1.6
100.0
※5成分分離を行った3.35~4.75mmについて、軽産物は5分割された産物のうち軽産物側3成分の合計
選別成績 (2.8~3.35mm、3.35~4.75mmの2粒群の合計)
品位
91.6
(%)
回収率
98.5
分離効率
(%)
91.7
(%)
重産物
2.8~3.35mm
3.35~4.75mm
<運転条件>
2.8~3.35mm
Taコン選別風速:11.0~15.0m/s
3.35~4.75mm
Taコン選別風速:13.0~18.0m/s
タンタルコンデンサ濃縮物
中間産物
2.8~3.35mm
3.35~4.75mm
2.8~3.35mm
軽産物
3.35~4.75mm
10
10
タンタルコンデンサの濃縮 実証試験 選別結果まとめ
タンタルコンデンサ濃縮物
2.8~3.35mm
3.35~4.75mm
粉砕状態が概ね良好であり、Taコンの破
損および他素子の破損が少なかった。
特に他素子の破損が少なく、他素子の破片
がTaコン濃縮物に混入しなかったために
、高品位の産物が得られたと考えられる。
回収物重量:41.24g
(うちTaコン:37.76g)
このタンタルコンデンサ濃縮物を東北大に送付(
2015/9/3発送)
フィード試料
プラ筐体
ルータ
10台分
CFS
2段目破砕物
品位(%)
4.6
工程1
工程2
工程3
工程4
トロンメル選別
振動スクリーン選別
傾斜弱磁力磁選機選別
気流選別
篩目:-15mm
篩目:
2.8~3.35mm
3.35~4.75mm
滞留時間:150秒
ベルト傾斜:14°
磁束密度:18mT
(2.8~3.35mm、
3.35~4.75mmとも
同一条件)
<2.8~3.35mm>
選別風速:
11.0~15.0m/s
<3.35~4.75mm>
選別風速:
13.0~18.0m/s
回収率
(%)
回収率
(%)
品位(%)
11.7 100.0
分離効率
品位(%)
(%)
65.0
38.2
98.3
分離効率
品位(%)
(%)
77.2
回収率
(%)
42.8 100.0
分離効率
品位(%)
(%)
17.1
91.6
回収率
(%)
98.5
粉砕:概ね良好 → 良好な選別結果
工程1~工程4の合計
分離効率
品位(%)
(%)
回収率
(%)
分離効率
(%)
91.7 91.6 96.8 96.4
11
三井金属鉱業㈱
早稲田大学大和田研究室・所研究室
技術開発項目
目標総合回収率:75%
基板脱離
=
目標回収率:90%
Taコンデンサ濃縮
部品剥離
×
東北大柴田研究室
産総研大木研究室
目標回収率:93%
×
目標回収率:90%
有用金属回収
×
目標回収率:99.5%
1.小型家電
筐体からの基板脱離はなるべく
類からの基板
部品剥離なく行う
脱離
2.基板からの 基板からTaコンデンサを含む実装
実装部品類の
部品をなるべく非破壊で剥離する
剥離
3.実装部品か
らのTaコンデン
サ濃縮
各種Taコンデンサを気流選別と物
理選別プロセスの選別条件最適
化により効率的に分離回収する
4.Taコンデンサ
からの有用金属
回収
乾留・焼成や湿式処理により構
成物である五酸化タンタルをは
じめとする有価金属を効率的
に回収する
12
タンタル回収 処理フローの概略
タンタルコンデンサの酸化焙焼
・アルミナボール充填層内での酸化焙焼
図
タンタルコンデンサの構造
NECトーキン(株)http://www.nectokin.com/product/cap/chiptan/pic.html
流動層分離によるタンタル焼結体の回収
・アルミナボール充填層の流動
(熱分解樹脂ダストの分離回収)
銀含有ダスト(熱分解樹脂ダスト)の回収
・銀原料化
タンタル焼結体の表面清浄
・銀と二酸化マンガンの除去
硝酸溶液のろ過
硝酸溶液からの銀回収
・二酸化マンガンの回収
・塩化銀の回収
(硝酸溶液+超音波処理)
タンタル焼結体の粉砕
・カッターミル+乳鉢
二酸化マンガンの除去
・金属タンタルによる還元浸出
(ガルバニック反応)
溶液のろ過
高純度五酸化タンタルの回収
・一酸化タンタルの回収
・一酸化タンタルの酸化処理
13
小型焙焼炉の概略
排ガス+ダスト
充填層(流動層)
アルミナボール(φ2mm)17g + タンタルコンデンサ30個
26.0
25.0
60°
34.0
10.7
50.0
52.0
φ12.7
φ10.7
350.0
図 内部流動管の概略図
最適化条件は、初期焙焼
温度400℃で30min、つづい
て460℃で180min処理とした
。その結果、間欠的な空気
の吹込みを行わなくても状態
の異なるタンタルコンデンサ
を同一条件下で焙焼とタンタ
ル焼結体の分離が可能なこ
とが明らかとなった。
焙焼時:空気 1L/min
流動層分離時:空気 200L/min
図 小型焙焼炉の外観写真
14
試験結果
タンタルコンデンサ
簡易焙焼炉(10kg/h)
99.0%
五酸化二タンタル
その他有用金属類
図 タンタルコンデンサ中のタンタル回収工程フロー(数字はタンタル成分の回収率)
四管式気流選別機で得られたタンタルコンデンサを対象原料として、焙
焼工程、精製工程を経て得られた五酸化二タンタル(Ta2O5)の回収率は
99.0%であった。また、タンタルコンデンサより得られたTa2O5粉末の純度
は99.845mass%である。
15
本事業のまとめ
(1)基板脱離・部品剥離工程
CFS(2段目は加熱搬送機使用)におけるタンタルコンデンサ剥離率・破壊率・回収率
プラスチックルータ
1段目粉砕: 剥離率:39.5%、破壊率:0.0%
2段目粉砕: 剥離率:100.0%、破壊率:0.0%
Total:剥離率:100.0%、破壊率:0.0%、回収率:100.0%( 1段目粉砕剥離物も回収可能)
金属ルータ
1段目手解体:全て非破壊で基板実装状態で回収
2段目粉砕: 剥離率:100.0%、破壊率:0.0%、回収率:100.0% (プラスチックルータと同様)
Total:剥離率:100.0%、破壊率:0.0%
PCサーバ
1段目粉砕: 剥離率:64.2%、破壊率:5.4%
2段目粉砕: 剥離率:100.0%、破壊率:0.0%
Total:剥離率:100.0%、破壊率:3.5%、回収率:96.5%( 1段目粉砕剥離物も回収可能)
(2)タンタルコンデンサ濃縮工程
実証プラント(四管式気流選別機)にてタンタルコンデンサの良好な濃縮を確認
タンタルコンデンサ:回収率:96.8%、分離効率:96.4%、品位:91.6%
タンタルコンデンサ以外の残存素子からセラミックコンデンサやICメモリ等の濃縮回収も可能
セラミックコンデンサ:回収率:84.0%、分離効率:89.9%、品位:89.6%
ICメモリ:回収率:96.3%、分離効率:84.0%、品位:79.4%
(3)タンタル(Ta2O5)濃縮工程
使用済みタンタルコンデンサの濃縮回収も可能
タンタル(Ta2O5):回収率:98.99%、品位:99.845%
タンタル総合回収率:100.0%×96.8%×99.0%=95.8%
16
タンタル成分の回収率(分配率ベース)
PCサーバ
金属ルータ
プラルータ
9,000g(10台分)
1段目粉砕
手解体
1段目粉砕
100.0%
100.0%
100.0%
粉砕産物
粉砕産物
篩分け・選別
手選別
64.2%
35.8%
基板
2段目粉砕
96.5%
その他
(60.7%分)
2mmup非破壊
部品
基板
篩分け・選別
100.0%
60.5%
基板
その他
2段目粉砕
39.5%
基板
その他
(39.5%分)
2mmup非破壊
2段目粉砕
100.0%
部品
基板
部品
基板
部品屑:871.0g
気流選別
気流選別
96.8%
Taコンデンサ
気流選別
96.8%
その他部品
Taコンデンサ
96.8%
その他部品
Taコンデンサ
その他部品
Taコンデンサ:37.7g
焙焼・精製
焙焼・精製
99.0%
Ta2O5:99.9%
焙焼・精製
99.0%
その他素材
総合回収率:92.5%
Ta2O5:99.9%
99.0%
その他素材
総合回収率:95.8%
Ta2O5:99.9%
その他素材
総合回収率:95.8%
17
使用済小型家電製品からのコバルト(Co)回収 技術開発のポイント
JXがこれまでに実施していた
Co回収フロー
使用済製品
本事業で開発を目指す新規フロー
1.物理選別によるコバルト濃縮プロセス開発
【実施者:早稲田大学】
最適な前処理(物理選別)プロセスを確立し、
後段の湿式処理でのコストを削減する。
使用済製品
リチウムイオン電池(LIB)
リチウムイオン電池(LIB)
新規開発したプロセスのポイント
•
焙焼によりコバルトを磁性化
•
磁選・浮選等の組み合わせによる
高いCo分離効率
○目標回収率:80%
粉砕
コバルト濃縮
焙焼・物理選
別(磁選・浮選、
等)
焙焼・粉砕
2.Co濃縮物からのCo回収プロセス開
発
【実施者:JX金属】
低コスト&高回収率を達成するプロセスを
コバルト回収
低回収率
高回収率
コバルト濃縮からのコバルト回収
湿式処理
高コスト
低コスト
湿式処理
Co原料
開発する
○目標回収率:90%
Co原料
全体目標回収率:72%
18
開発する処理フロー
廃小型家電製品
使用済Liイオン電池
解体・破砕
③一体型小型家電
からの電池回収技術
Co濃縮物
に適した
処理条件
②コバルト
回収技術
コバルト製品
浸出・溶解
溶媒抽出
電解 など
①物理選別による
コバルト濃縮技術
コバルト
焙焼・粉砕・物理選別
コバルト
コバルト濃縮物
AlAl箔箔
Li イオン電池
正極剤 (コバルト化合物)
19
開発項目
1.物理選別によるコバルト濃縮技術の開発 (早大委託)
物理選別による携帯電話用廃LIBからのCo濃縮
【破砕篩別】【湿式高勾配磁選および浮選】【浮選】
【湿式テーブル選別および浮選】
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
・LIB焙焼条件とCo濃縮物の回収率、品位および硫酸浸出挙動
・Co硫酸浸出液の酸化・中和による脱Fe,脱Al
・Co硫酸浸出液のキレート樹脂による脱Ni
・Co電解採取
・中規模試験
3.物理選別工程と湿式処理工程の連携
実証試験設備(コバルト回収(湿式処理)工程)
4.まとめ
20
1.物理選別によるコバルト濃縮技術の開発
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【破砕篩別】
焙焼後LIB破砕物の篩別カットサイズの選定
定置炉焙焼
500~600℃
30,40,80分保持
Co濃縮物(篩下)のCo回収率、Al品位より
カットサイズ1mmを選定
21
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【湿式高勾配磁選】
磁束密度の影響
空芯時の磁束密度とCo-Al分離効率
大格子マトリックス7枚使用
Co-Al分離効率 (青:篩別、赤:磁選、 緑:
篩別+磁選)
焙焼保持時間40分
空芯時磁束密度500Gで、Co-Al分離効率が最大と
なった。
Co回収率76%、Co-Al分離効率66%を得た。
湿式高勾配磁選機
(Eriz Magnetics製, HIW-L4)
22
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【2段焙焼】
2段焙焼の狙い
・1段目焙焼:低温・短時間の焙焼でAl酸化・脆化を抑制し、
破砕・篩別によりAl品位の低い篩下を得る。
・2段目焙焼:1段目で得たCo濃縮物(篩下)を不活性ガスを通ガス
しながら高温(600℃)で加熱しCoメタル化を促進する。
→Coを磁選に有利な形態とする。
定置炉外観((株)JX金属敦賀リサイクル)
23
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【2段焙焼】
1段目焙焼の結果
Al筐体未破裂試料(正極シート) XRD
正極シート中のLiAlO2品位
(XRD内部標準法:半定量値)
焙焼時間を短時間とすることで、Alの酸化・脆化を抑制
24
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【2段焙焼】
2段目焙焼の結果
2段目焙焼前後のXRD
2段目焙焼前後の
Coメタル重量割合
2段焙焼によりCoメタル化促進
⇒湿式高勾配磁選におけるCo回収率増が期待できる。
25
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【浮選+湿式高勾配磁選】
焙焼条件+浮選+湿式高勾配磁選の検討
フロー1:単段焙焼→湿式高勾配磁選→浮選
フロー2:単段焙焼→浮選→湿式高勾配磁選
フロー3: 2段焙焼→湿式高勾配磁選→浮選
フロー4: 2段焙焼→浮選→湿式高勾配磁選
の4フローについて試験を実施。 フロー4で最も良好な成績を得た。
Co回収率85.0%
Co品位 59.4%
Al品位
5.5%
Co-Al分離効率66.7%
フロー4: 2段焙焼→浮選→湿式高勾配磁選
26
物理選別による廃LIBからのCo濃縮 【浮選+湿式テーブル】
最適な処理フロー
単段焙焼→
Co回収率85.2%
Co品位 47.7%
Al品位
5.4%
Co-Al分離効率64.1%
単段焙焼で
「2段焙焼+浮選+
湿式磁選」と同等
の成績達成した。
27
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
LIB焙焼条件とCo濃縮物の回収率、品位および硫酸浸出挙動
破砕・篩別試験結果
ビーカー試験
Co濃縮物(-1mm)の品位と回収率
Co
Co品位(%)
30
6
Ni
Al
20
4
Cu
Fe
10
2
0
0
400
500
600
700
焙焼温度(℃) ×1h保持
800
Co濃縮物の回収率
100
8
Al, Cu,Fe, Ni品位(%)
40
Co
80
回収率(%)
Co濃縮物の品位
Ni
Al
60
Cu
40
Fe
20
0
400
500
600
700
焙焼温度(℃) ×1h保持
800
焙焼 450~650℃, 1h(るつぼ炉、大気)
⇒Co濃縮物(-1mm)の Al品位 3~5%
Co回収率 ≧83%
28
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
LIB焙焼条件とCo濃縮物の回収率、品位および硫酸浸出挙動
破砕・篩別試験結果
Co濃縮物(-1mm)の硫酸浸出挙動
硫酸浸出率
100
Co
浸出率(%)
80
Ni
Al
60
Cu
40
Fe
Li
20
0
ビーカー試験
400
500
600
700
焙焼温度(℃) ×1h保持
800
パルプ濃度100g/L, 硫酸1当量(対全メタル)
80℃×2h浸出
⇒Co浸出率 95~99%(焙焼温度450~650℃)
29
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
Co硫酸浸出液の酸化・中和による脱Fe,脱Al
Co濃縮物
60℃、硫酸0.8eq、pH4
H2SO4→
硫酸浸出/粗Al分離/ろ過
NaOH
浸出後液
60℃、pH4
NaNO2→
NaOH
還元状態でAl
のみ沈殿
Al 1g/L
Fe 1g/L
350~400mV
Fe酸化・中和
60℃、pH5.0
NaNO2→
NaOH
(Al 5~10g/L)
350~400mV
Al中和/ろ過
Al 0.05g/L
Fe <0.001g/L
脱Fe,脱Al後液
酸化条件でFe
および残った
Alが沈殿。残
渣量少ない。
Co回収率92%
30
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
Co電解採取
電解条件
電解前液(脱Ni吸着後液)
Co 55g/L, Ni 0.04g/L
pH 1.6 , 液温度50℃(45~47℃)
電流密度200A/m2
結果
電解前液として、脱Ni後吸着
後液(実液)を使って、中規模試験
を実施した。
形状のきれいなCo電着物を得た。
しかし、電流効率は47%であった。
電気Coの品位
Co
Ni
Mn
Cu
Fe
Al
Li
S
Na
P
%
ppm
ppm
ppm
ppm
ppm
ppm
ppm
ppm
ppm
-
61
<1
56
330
<1
<1
46
10
<10
Co品位>99.9%に相当
31
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
中規模試験
Co濃縮物(篩下-1mm)
硫酸浸出
浄液(Fe,Al,Ni除去)
92%
Co電解採取
電気Co
92%
中和後液
Na, SO 4 2-
脱Fe,脱Al中和後液
Co濃縮物品位
電解後液
繰返し
ブリードオフ
Co中和
Fe
Al
Na
Co
Fe
Al
Na
%
%
%
%
g/L
g/L
g/L
g/L
37
0.0
4.6
0.1
69
<00.1 <00.1 4 5 .0
電解液を繰り返すと、中和後液中Na濃度が
上昇する。(Na≦45g/Lで管理)
⇒Na増分見合いでブリードOFFが必要
⇒Coは水酸化物として回収。
NaおよびSO42-は中和後液として廃棄。
電気Co
ブリードオフ
Co水酸化物 27%
Co
回収率92%
分配率27%
繰返し
32
3.物理選別工程と湿式処理工程の連携
回収率
廃LIB
物理選別工程
焙焼・破砕・篩別
-125μm
125~500μm
500~4000μm
+4000μm
篩下産物
中間産物
中間産物
篩上産物
85%
湿式テーブル選別
浮選
テール
選別方法
2段焙焼+浮選
+湿式高勾配磁選
単段焙焼+浮選
+湿式テーブル選別
Co回収率(%)
85
85
Co-Al分離効率(%)
67
64
濃縮物 Co品位(%)
59
48
Al品位(%)
5.5
5.4
小重産物
湿式処理工程
Co濃縮物 A
硫酸浸出
浄液(Fe,Al,Ni除去)
電解前液
Co 81g/L
電流効率
見込み71%
Co電解採取
92%
電気Co
電解後液
繰返し
ブリードオフ
Co中和
中和後液
Na, SO 4
2-
Co水酸化物 30%
繰返し
Co回収率78%
不純物品位の低いCo濃縮物を使用し、
電解前液Co濃度を高くすることで、
電流効率改善が見込める。
33
まとめ
1.物理選別によるコバルト濃縮技術の開発
物理選別による携帯電話用廃LIBからのCo濃縮
・廃LIBを焙焼→破砕→篩別した後に、
①2段焙焼→浮選→湿式高勾配磁選 または
②浮選+湿式テーブル選別
により、Co回収率85%、Co-Al分離効率64%でCoを濃縮分離する技術を
確立した。
2.コバルト濃縮物からのコバルト回収技術の開発
・Co濃縮物を硫酸浸出→脱Fe,脱Al→脱Ni吸着除去→
Co電解採取により、回収率92%でCoを回収するプロセス
を開発した。
3.物理選別工程と湿式処理工程の連携
・開発した物理選別工程と湿式処理工程の連携により
Co回収率78%でCoを回収するプロセスを開発した。
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ご清聴ありがとうございました。
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