北海道における外国人観光客の動向と特性(PDF 1003KB)

第2章
北海道におけるインバウンド観光の現状と課題
第2章 北海道におけるインバウンド観光の現状と課題
1.北海道における外国人観光客の動向と特性
1-1 北海道における外国人観光客の入込み状況
(1)総数
平成26年度に北海道を訪れた外国人観光客数は 1,541,300 人で、前年比 134%と大きな伸びを示
した。平成26年度においては、特に中国からの観光客が大きく伸び、台湾の 40 万台に迫る勢いであっ
た。その他の国も前年度を上回り、その傾向は今後も続くものと思われる。
北海道における外国人観光客は、東日本大震災の影響が顕著に現れた平成 23 年度以降は毎年着実に増
加しており、その勢いは少なくとも東京オリンピックの開催の 2020 年までは続くものと予想されてい
る。これからの北海道観光を考えるにあたって、外国人観光客の動向は無視できない大きな要素になって
いる。
図 0.1 来道外国人観光客数の推移
国・地域:人
合計:人
合計
500,000
1,800,000
中国
韓国
450,000
1,600,000
台湾
香港
400,000
1,400,000
シンガポール
豪州
350,000
1,200,000
マレーシア
タイ
300,000
1,000,000
その他
250,000
800,000
200,000
600,000
150,000
400,000
100,000
200,000
50,000
0
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
合計
741,700
569,700
790,400
1,153,100
1,541,300
中国
135,500
101,400
102,200
158,300
340,000
韓国
148,900
89,700
123,600
141,600
201,100
台湾
183,700
191,200
280,800
415,600
472,700
香港
87,100
56,200
72,600
107,300
120,200
シンガポール
28,800
17,700
23,500
35,600
40,900
豪州
25,600
20,500
29,400
35,400
38,700
マレーシア
21,700
12,400
22,000
36,400
49,300
タイ
18,400
9,700
37,000
98,800
128,300
その他
92,000
70,900
99,300
124,100
150,100
2-1
0
第2章
北海道における外国⼈観光客の動向と特性
(2)国別特性
外国人の来道数は年々増えているなかで、台湾、中国、シンガポールの増加は震災以後から急速な伸
びになっている。これからのトレンドとしては、台湾、中国、シンガポールは道内観光をけん引する可
能性が高いことが予測され、その急成長の理由を解明することが必要である。
他方、豪州やその他の国からの来道者数は横這いの状態である。新たなターゲット市場の開発や既
存市場の発展を考える場合、その原因究明も必要である。特に、冬のアクティブな観光をよく行う豪州
人については、欧州からの来道者をけん引し、他の国・地域の来道者に影響を与える可能性が大きいの
で、その動向を注視することが必要である。
(3)季節別特性
平成 26 年度の外国人宿泊者数から季節的な利用動向を考察すると、夏季と冬季の来訪者が最も多く
なっている。また、10 月の紅葉時期の来訪者数も比較的多いことから、下記のような特徴を推測でき
る。
② 夏季や冬季に休暇を取りやすい外国人が来訪している。
②北海道の魅力の一つは、夏、秋、冬といった、季節の特徴が明白である。
③オホーツク、十勝と釧路・根室圏といったひがし北海道圏の入込数が少ない。
③ ひがし北海道の人気シーズンは冬季の 2 月ごろに集中している。
図 0.2 訪日外国人宿泊客数(平成26年度)
4月
万
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月 1月
2月
3月
60
50
40
30
20
10
0
道央圏
道南圏
道北圏
オホーツク圏
2-2
十勝圏
釧路・根室圏
第2章
北海道における外国⼈観光客の動向と特性
(4)平均宿泊数
図 2.3 から図 2.7 までは、宿泊来道者1人あたりの平均宿泊数を分析した図である。平均宿泊数か
ら 1 泊と連泊の宿泊の割合を見ることができる。1 泊が多い場合は、周遊型と考えることができる。
他方、連泊が多い場合では、一か所にとどまり、滞在型が多いと推測できる。
まず、図 2.3 と図 2.4 は、北海道来訪外国人の1人当たりの平均宿泊数と道央圏における1人当た
りの平均宿泊数である。両図が類似しているのは、道央の宿泊外国人の数が多く、全道の平均数に影響
を与えているためである
次に、ひがし北海道地域はオホーツク圏、十勝圏と釧路・根室圏の3地域に分けて、それぞれの一人
当たりの平均宿泊数をまとめた。共通点としては、ひがし北海道地域は 1 泊の周遊型が主流と考えら
れる。他方、十勝圏では、12 月から 3 月の平均宿泊数の増加が卓越している。連泊した滞在型が多い
ことと推測できる。滞在平均数が多い国は①マレーシア、②シンガポール、③韓国、④タイの順とな
る。中国も連泊する宿泊者が若干増加傾向であるが、台湾は 1 泊のみの宿泊には変化はない。
オホーツク圏については、1泊の宿泊は大半を占めているが、韓国の平均宿泊数が増加しているこ
とが分かる。
図 0.3 宿泊者1人あたりの平均宿泊数(全道)(平成 26 年度)
2.50
2.00
中国
韓国
1.50
台湾
1.00
香港
シンガポール
0.50
マレーシア
0.00
タイ
2-3
第2章
北海道における外国⼈観光客の動向と特性
図 0.4 宿泊者1人あたりの平均宿泊数(道央圏)
(平成 26 年度)
2.50
中国
2.00
韓国
1.50
台湾
1.00
香港
0.50
シンガポール
0.00
マレーシア
タイ
図 0.5 宿泊者1人あたりの平均宿泊数(オホーツク圏)
(平成 26 年度)
2.00
中国
1.50
韓国
台湾
1.00
香港
0.50
シンガポール
マレーシア
0.00
タイ
図 0.6 宿泊者1人あたりの平均宿泊数(十勝圏)
(平成 26 年度)
5.00
4.00
中国
韓国
3.00
台湾
2.00
香港
シンガポール
1.00
マレーシア
0.00
タイ
2-4
第2章
北海道における外国⼈観光客の動向と特性
図 0.7 宿泊者1人あたりの平均宿泊数(釧路・根室圏)
(平成 26 年度)
2.00
中国
1.50
韓国
台湾
1.00
香港
0.50
シンガポール
マレーシア
0.00
1-2
タイ
北海道を訪問する外国人観光客の特徴
主な特徴
道内旅行の目的・内容では、
「四季・自然の魅力」が旅行理由のトップで、美しい
中国
自然景観が人気であるとともに、観光関連消費を見ると、土産品購入の割合が最も
大きく、ショッピングにも大きな関心を寄せる旅行者が多くなっている。
リピーターは増加傾向にある。旅行形態は、団体旅行から個人旅行にシフトしてい
台湾
る。道内旅行の目的・内容として、
「四季、自然の魅力」
、
「食べ歩き・グルメ」
、シ
ョッピング」
、
「温泉・保養」がそれぞれ高い割合になっており、道内旅行の興味は
多方面に及んでいる
道内旅行の目的・内容として、
「温泉・保養」
、
「四季・自然の魅力」が上位にあり、
特に韓国には少ない温泉への人気が高まっている。
韓国
旅行の形態では、個人旅行が旅行者の三分の二を占め、団体旅行から個人旅行への
形態が変化している。北海道は観光目的地としての評価と知名度が高い。自然やロ
マンチックなイメージ。
雪のある冬の日本に対する良好なイメージが浸透しており、札幌雪まつりを取り
タイ
込んだ北海道ツアーの人気が高かったほか、企業・団体のインセンティブ旅行が多
く催行された。
マレーシア
香港
シンガポール
マレーシアからの旅行者は劇的な勢いで増加している。海外旅行は高額商品であ
り、訪日客は主に都市部の富裕層・中間層である。大阪、東京の人気は高い。
北海道は身近な観光地となっている。
個人客が多い、夫婦や家族旅行の割合が高くなっている。北海道ブーム、レンタカ
ーのツアーが人気。
2-5