発見したきまりを活用するとスッキリ! ~九の段のきまりを活用した教材~ 三重大学教育学部附属小学校 服部 真一 1.計算機を使う遊びから 計算機で規則的な数を入力し, かけ算を行うと, 規則的な答えが得られることがある。例えば, (ⅰ)九の段の答えを,図 1 の様に与え(意図的 に 9×1 は省く)九の段の答えの並びから,次の 5 つのきまりを発見させる。 98765432×9=888888888 ① 一の位の数は 8 から 1 ずつ減っている 97531×9=877779 , 8642×9=77778 ② 十の位の数は 1 から 1 ずつ増えている である。子どもたちは,計算機を手にして自由に ③ 一の位の数と十の位の数をたすと 9 使うと, このような発見をたくさんする。 しかし, ④ 斜めに見て,一の位の数と十の位の数をた なぜ規則的な数のかけ算が規則的な数の答えにな るのかという理由を追究する子どもは少ない。そ こで,このようなかけ算を使って,答えが規則的 に並ぶ理由を考えさせる教材を用意した。今回用 意した教材は,九の段の答えのきまりを活用させ すと 10 ⑤ 斜めに見て,十の位の数と一の位の数をた すと 8 (ⅱ)かける数が一位数の場合,次の図 2 の様な 筆算ができることを説明する。 ることで,答えが規則的に並ぶ理由が理解できる ものである。なお本教材は,算数的活動を数学的 9×2=18 活動に発展させていくことも意図している。 9×3=27 2.教材と授業の展開 9×4=36 次のように授業を展開する。 9×5=45 (1)次の計算を行わせる。 9×6=54 (ⅰ)99×2=198 (ⅱ)999×2=1998 9×7=63 99×3=297 999×3=2997 9×8=72 99×4=396 999×4=3996 9×9=81 99×5=495 999×5=4995 図1 99×6=594 999×6=5994 (4)図 2 の筆算で, (1)の計算をし直し,発見し 99×7=693 999×7=6993 たきまりの①②③を活用させれば,答えが規則 99×8=792 999×8=7992 的に並ぶ理由が理解できることに気付かせる。 99×9=891 999×9=8991 (5)最後に振り返りとして,これまでと同じよう (2) (1)のかけ算の答えの規則性を発見させる。 図2 に考えると 12×9,23×9,34×9,45×9,56 答えの規則性とは,以下の 3 つである。 ×9,67×9,78×9,89×9 の答えは④のきまり ① 一番大きい位の数が 1 から順に 1 ずつ増え を,98765432×9 の答えは⑤のきまりを活用す ていること ② 一番小さい位の数が 8 から順に 1 ずつ減っ ていること ③ 間の位の数が全て 9 であること ると答えが規則的に並ぶ理由が理解できること に気付かせる。 3.授業について 本授業は,2016 年 8 月 27(土)の第 12 回,関 (3)なぜ,このような規則性が出てくるのか考え 西算数授業研究会にて,大阪教育大学附属池田小 させる。説明できる子が出てこなければ,次の 学校 4 年生の子どもたちを対象に実践する予定で 順で,2 つのヒントを与える。 ある。なお,本授業は関西算数授業研究会 4 年生 部において検討を重ねた後の実践であるため,本 稿と変更される場合があることを申し添えておく。
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