Ⅱ設備(8.音) ①過去問の分析 過去問20年(H7~H26)の選択肢問題(出題確率含む)およびその出題問題のポイントは以下の通り。 (1)過去問20年の選択肢問題 H7 NO.5 H8 NO.5 H9 NO.6 H10 NO.6 H11 NO.6 1 二重壁の透過損失 1 計算式:空気中の音速 1 C特性とA特性の大小 1 距離減衰:大小計算 1 板振動型吸音:空気層 2 二重壁の透過損失 2 計算式:音圧レベル 2 多孔質材料:吸音率 2 距離減衰:大小計算 2 板振動型吸音:グラスウール 3 二重壁の透過損失 3 計算式:室内音源音圧レベル 3 残響時間:吸音率 3 距離減衰:大小計算 3 単層壁遮音:垂直・斜め入射 4 二重壁の透過損失 4 計算式:残響時間 4 距離減衰:大小計算 4 距離減衰:点・線 5 二重壁の透過損失 5 計算式:2室間の音圧レベル差 5 空気遮断性能:D値 5 距離減衰:大小計算 5 ガラスの共鳴透過 H12 NO.6 4 床衝撃音レベル:L値 H13 NO.6 H14 NO.6 H15 NO.6 1 残響時間:室容積 1 周波数別音 1 多孔質吸音材 1 壁の吸音率 1 床衝撃音遮断性能 2 単層壁遮音性能:質量則 2 コインシデンス効果 2 距離減衰 2 壁の吸音率 2 残響時間:コンサートホール 3 透過騒音レベル 3 重量床衝撃音:測定タイヤ 3 音の3要素 3 壁の吸音率 3 室内騒音許容値:ラジオスタジオ 4 3dB:音源2つ 4 音楽ホール:エコー 4 ガラスの共鳴透過 4 壁の透過損失 4 騒音環境基準 5 壁の透過損失 5 残響時間:室容積 5 残響時間:吸音率 5 壁の透過損失 5 空気遮断性能 H16 NO.6 H18 NO.6 H19 NO.6 H20 NO.6 H17 NO.2 H21 NO.8 1 残響時間:大小計算 1 人の音感:対数比例 1 残響時間:大小計算 1 20dB下げ 1 天井吸音材:残響時間 2 残響時間:大小計算 2 カクテルパーティ 2 残響時間:大小計算 2 人の音感:高低 2 天井吸音材:明瞭度 3 残響時間:大小計算 3 サウンドスケープ 3 残響時間:大小計算 3 孔あき板 3 天井吸音材:平均音圧レベル 4 残響時間:大小計算 4 コンサートホール 4 残響時間:大小計算 4 吸音率:高低 4 天井吸音材:2室遮音性能 5 残響時間:大小計算 5 フラッターエコー 5 残響時間:大小計算 5 二重壁の共鳴透過 H22 NO.8 H23 NO.8 H24 NO.7 H25 NO.8 H26 NO.8 1 人の音感:周波数 1 多孔質材料 1 石膏ボード直張り 1 残響時間:天井高さ変更 1 音の3要素 2 吸音率 2 吸音率 2 ガラスの共鳴透過 2 距離減衰:空気吸音 2 人の音感:高低 3 質量則の透過損失 3 透過率&透過損失 3 孔あき板 3 騒音環境基準 3 音半分:3dB減 4 残響時間 4 透過損失:垂直入射 4 多孔質吸音板 4 マスキング 4 残響時間:室容積 H24 NO.8 H25 NO.9 H26 NO.9 1 音合成:4倍で6dB増 1 透過損失:壁の厚さ 1 壁の吸音率 2 吸音率:2倍で3dB減 2 壁の吸音率 2 壁の透過率 3 距離減衰:高所 3 ガラス厚さの遮音 3 二重壁の共鳴透過 4 距離減衰:距離2倍で6dB減 4 軽量床衝撃音:カーペット 4 石膏ボードの空気層の吸音率 (2)色分け選択肢の出題確率 全ての選択肢の問題数 ⇒ 106 問 黄色の選択肢の問題数 ⇒ 20 問 青色の選択肢の問題数 ⇒ 14 問 橙色の選択肢の問題数 ⇒ 10 問 黄・青・橙色の出題確率 42 19 13 9 % % % % ※類似の選択肢問題で最も出題確率の多いものを黄色、次を青色、その次を橙色としている。 (3)出題問題の傾向分析(ポイントのみ) ・残響時間=0.161×室容積/室内の吸音力 ⇒残響時間は左記「セービンの式」で求める ⇒室容積と吸音力から残響時間を求めて大小関係を解答(最大出題数) 注)室内の吸音力=室内の平均吸音率×室全表面積 ⇒吸音力か、吸音率かの確認必要(H16吸音率と表面積、H19吸音力と表面積のヒッカケ問題あり=吸音力なら表面積不要) ・吸音率が同じで、天井高さを1/2にしても残響時間は1/2にならない(部屋容積を2倍にしても残響時間は2倍にならない) ⇒セービンの式からも判断できる ・コンサートホールは、室容積の増大に伴い最適残響時間も大きくなる ⇒コンサートホールの残響時間は、室容積にかかわらず2秒以上とするは間違い ・室内の残響時間は、室内に多数の人がいる方が短くなる ⇒人体による吸音力が高くなるため ・壁体の透過損失TLは、TL=10log10(入射音/透過音) ⇒この値が大きいほど遮音性能が優れている ⇒透過率は透過損失の逆数 ・壁の透過損失は、壁の質量(面密度)が大きいほど、入射する音の周波数が高いほど大きくなる ⇒周波数が低いほど大きくなるは間違い ・二重壁の音の透過損失の特徴は、①両側の板の振動共鳴で低音域が低下、②中空層を厚くすると低温側が低下、③間柱を密に入れると一重壁のような透過損失となる、 ④発泡樹脂を心材とすると中高音域で共鳴透過する、⑤グラスウールを入れると全周波数で低下する ・音の波長に比べて壁が薄い場合、壁の単位面積当たりの質量が大きいほど、壁の透過損失は大きくなる ⇒垂直入射は、壁の質量と入射音の周波数の積により決まる ・質量則では、単層壁の厚さが2倍になると透過損失は約6dB増加する ⇒面密度が2倍、あるいは入射音の周波数が2倍でも透過損失は約6dB増加する ・音の距離減衰は、距離が2倍になれば音の強さは1/4倍となり、発生音が2倍になれば音の強さは2倍になる ⇒距離減衰は距離の2乗に反比例(分母2倍で1/4) ⇒1音響パワーの2m先の音は、4音響パワーの4m先の音と同じである ⇒1音響パワーが4音響パワーになると4倍、2mが4mになると距離2倍で1/4倍 ⇒4×1/4=1 ・点音源では距離が2倍になるごとに6dBづつ減衰、線音源(道路など)では距離が2倍になるごとに3dBづつ減衰 ⇒道路などの線音源の方が遠方まで音が聞こえる ⇒点音源からの距離が1mの点と4mの点では約12dB差となる ⇒距離減衰2倍で6dB減衰から、1mの2倍2mで6dB減衰、更に2mの2倍4mで6dB減衰 ⇒6+6=12dB減衰 ⇒高層マンションの上階は、音の距離減衰があまり期待できない ⇒高層マンション上階は多方面から音が集まるので減衰し難い(面音減衰<線音減衰<点音減衰) ・屋外で遠方から伝わる音は、周波数が高い音ほど空気吸収による音の減衰は大きい ⇒空気の音響吸収は低音域ほど減衰するは間違い ・空気中の音速C=331.5+0.6×気温 -5 ・音圧レベルL=20log10(受音点の音圧/2×10 ) ・室内に音源がある場合の室内音圧レベルLp=室内音源の音響パワーレベル-10log(室内の吸音力)+6 ・壁で仕切られた2室間の音圧レベル差Δ Lp=2室間の壁の透過損失+10log10(受音室側の吸音力/2室間の壁の面積) ・250Hzの音の場合、C特性音圧レベルのほうがA特性音圧レベルより大きい ⇒A特性音圧レベルは人間の聞こえ方に近い音に補正したもの ・多孔質材料を剛壁に設置する場合、多孔質材料の背後空気層の厚さを増すと、低周波数域の吸音率が大きくなる ・床衝撃音レベルの遮音等級L-50は、L-40に比べて音の遮断性能が低い ⇒L値は数値が小さい方が性能が良い ・空間平均音圧レベル差の遮音等級D-50は、D-40に比べて音の遮断性能が高い ⇒D値は数値が大きい方が性能が良い ・背後空気層をもつ板振動型吸音機構では、空気層を厚くすると吸音効果は低音域が良くなる ⇒ここにグラスウールを入れても高周波数域の吸音効果はあまり期待できない ・単層壁では、垂直入射する場合が遮音性能は高い ⇒入射角が斜めの方が遮音性能は低い ・複層ガラスは、同一の面密度の単板ガラスに比べて、全般的な遮音性能の向上は見られるが、ある特定の周波数域では遮音性能が低下する ⇒複層ガラス(3mm×2枚)は、単層ガラス6mmに比べて、500Hz付近の中音域において遮音性能が低下する ・単層壁の遮音性能で、質量則を用いて予測する場合、実測値に比べて高めの値となる傾向がある ・等価騒音レベルは、指示騒音計により測定した数値を、一定時間内で平均し、それをレベルにより表示したもの ・室内に騒音源が1つから2つになると3dB増加する ⇒1つから4つになると6dB増加(1つの2倍で3dB、更に2つの2倍で3dB、従って1つから4つでは3+3=6dB) ・音圧レベルを一定で周波数を変化させた場合、音の大きさは変化する ・単層壁の遮音で、同一材料で厚さを増すと、コインシデンス効果による遮音性能低下は、より低い周波数へ拡大する ⇒コンシデンス効果とは、入射音波の振動と材料の振動が共振して遮音低下する現象 ・子供の飛び跳ねで生じる床衝撃音の測定は、タイヤの落下を模擬的な加振源として使用する ⇒重量床衝撃音 ・音楽ホールは、天井や壁はエコー防止も含め吸音性の高い面とする ・多孔質吸音材料は、表面を通気性の低い材料で被覆すると、高音域の吸音率が低下する ・壁の吸音率α =(透過音+吸収音)/入射音 ⇒吸音率は音の周波数によって異なる ⇒入射音が一定であれば吸音率が小さいほど反射音は大きくなる ・ウェーバー・フェヒナーの法則によれば、人の音に対する感覚量は、音圧の対数に比例する ・カクテルパーティー効果は、特定の音を抽出して聞くことができる現象 ・サウンドスケープは、音を取り去るだけでなく、音を生み出したり、音に意識を向けることにより、良好な音環境の形成を目的としたものである ・フラッターエコーは、平行な二つの反射面で、音が何度も繰り返して聞こえる現象 ・コンサートホールのシューボックス型とは、奥行きの深い長方形の平面に高い天井を有するもの ・音の強さのレベルを20dB下げるためには、音の強さを1/100にする ・音圧レベルが等しいを音を聴くと、1,000Hzの音よりも100Hzの音の方が小さく感じる ⇒低い周波数の音の方が小さく感じる ・等しい音源を等しい部屋に置いた場合、室内の音圧レベルは、吸音率の低い室より高い室の方が小さい ⇒良く吸音されるので音が小さくなる ・2室の内、1室の天井に吸音材を新たに設置した場合、2室の室間音圧レベル差は大きくなる ⇒吸音材を新たに設置すると吸音効果が高まり音声の明瞭度が高くなる ・人の可聴周波数の範囲は20Hz~20kHz程度であり、対応する波長はの範囲は十数mmから十数mである ・内壁の音響性能について、吸音率が高くても遮音性能が高いとは限らない ⇒吸音率が高い材料は透過率も高い傾向があり遮音性能が高いとは限らない ・石膏ボード直張り工法は、遮音等級D値は低下する ⇒250Hz付近の低音域で共鳴透過が起こり、更に4kHz付近の中高音域でコインシデンス効果により遮音性能が低下する ・孔あき板は、共鳴での吸音なので、音楽室等の吸音面とする場合は、特定の周波数の吸音過多に注意する必要がある ・拡散性の高い室において、室の平均吸音率が2倍になると、室内平均音圧レベルの値は約3dB減少する ・聴覚のマスキングは、目的音(マスクされる音)の周波数に対して妨害音(マスクする音)の周波数が低い場合に生じやすい ⇒マスクする音が大きいほどマスキング効果は高い ・床の軽量床衝撃音は、カーペット等の柔らかい床仕上げ材を用いると遮断性能が向上する ・音源の音響パワーを50%に下げると、受音点の音圧レベルは約3dB下がる ⇒音響パワーを2倍にすると3dB上がることの反対の意味 ・音の大きさの感覚量は、音圧レベルが一定の場合、低音域で小さく、3~4kHz付近で最大となる ・石膏ボードを剛壁に取り付ける場合、背後に空気層を設けると、一般に低音域の共振周波数付近の吸音率が高くなり、中高音域は低くなる ・住居の騒音の環境基準値は、昼間55dB(A)以下、夜間45dB(A)以下 ⇒夜間は昼間より10dB(A)低い値 ・ラジオスタジオの室内騒音の許容値は、一般にNC-20である ⇒NC値は値が小さいほど静かである(一般事務室NC-35) ・音の聴感上の特性は、音の大きさ、音の高さ、音色の3要素によって表される
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