Page 1 新たな実験手技・ラット頸部髄腔内投与法の有用性の評価 ー

3
1
新たな実験手技 .ラッ ト頚部髄腔内投与法の有用性の評価
一府酔増強作用 による行動薬理学的bt
験での検討 一
村
中
清
志 】
)・佐
加
良
英
治
2
)
・倉
林
譲
3
)
1
)
株式会社アニマル ケア ・ 2)九州歯科大学 動物実験施 設 ・
3)岡山大学医学部附属動物実験施設
要約 :ラ ッ トの硬 ・クモ膜 下腔 内へ の投 与方 法
としては、従来か らカテーテル設置 による大槽内
投与法が汎用 されている。 しか し、 これ らの大槽
内投与法 は、投与前に手術な どの事前処置や 回復
の時 間が必要な ことな どの制約があるため,速や
かに投与 を開始することや短時間に多数 のラッ ト
へ授与す る ことな どが困難である。そ こで、我 々
はラッ トの後頭部か ら桂皮的に頭部髄腔 内へ穿針
す る投与法である頭部髄腔 内投与法 を開発 した。
今回は、その有用性 を麻酔薬や催眠導入剤 のスク
リーニ ングに用 い られ る麻酔増強作用 によ り検討
を行 った。麻酔増強作用は塩酸 ケタミンな らび に
ペン トバル ビタールナ トリウムを用 いて、チオペ
ンタールナ トリウム麻酔増強作用によ り行 った。
その結果 、頚部髄腔内投与法は大槽内投与法 に比
べ、ス トレス無 く投与できること。すで に汎用 さ
れている大槽 内投与法投 と同様の薬理学的評価が
得 られた事な どか ら、費部髄腔 内投与法は大槽内
投与法 に代わ るラッ トの硬 ・クモ膜下腔 内への投
与方法 としての可能性が示唆 された。
緒
言
ラッ ト硬 ・クモ膜下腔 内投与法 として大槽 内投
与法が汎用 されている。 この投与法は水頭症、髄
膜炎な どの疾患モデルの作製 1)、薬理試験な らび
に毒性試験 2ト6
) な どに用 い られ、後頭骨付近の
皮膚な らび に筋肉の剥離後 に後頭結節 と第一頚椎
l
)
の間膜 か ら穿針 7
)
またはカテーテルの設置 8)Il
による投与 を一般的に行 っている。 しか し、 これ
らの大槽 内投与法は 「
投与前に手術な どの事前処
置が必要な こと。処置 には脳定位固定装置な どが
必要な こと。処置後 に回復 の時間が必要な こと。」
な どといった制約があるため、速やか に投与 を開
始す る ことや短時間に多数のラッ トへ授与す るこ
とな どが困難である。 このため大槽 内投与法 は短
時間で多数 の動物への投与を必要 とする薬効 スク
リーニ ングな どの試験 には適 していないとされて
お り 12),よ り効 率的で速や か に投 与が実施で き
る硬 ・クモ膜 下腔内投与法の開発が望 まれて いる。
また、動物福祉の観点か らも、できるだけ動物へ
負担 を与えない投与方法が必要である。
我 々は、後頭部よ り後頭結節 と第一頚椎の間膜
か ら桂皮的 に頚部髄腔 内 に穿針する投与法 (
以下、
頚部髄腔 内投与法 と省略す る) を考案 し、その有
用性 について検討 を行 って いる 12) 14)。 これ まで
の検討 にお いて、大槽 内投与法 と頭部髄腔内投与
法 によ り色素をクモ膜 下腔 内に投与 し、中枢への
色素拡散 に投 与法 によ る違 いが見 られ な いこと
1
2
)
、5 日間程度であれ ば連続投与がス トレス無 く
行 えること 13)、な らび に 1
0
0〝1以下 の リンゲル
液投与において、チオペ ンタールナ トリウム (
以
下、チオペ ンタール と省略す る)での麻酔時間に
投与法 による差がな い こと 14) を確認 している。
今 回は、その有用性 を麻酔薬や催眠導入剤のス
ク リーニ ングに用 い られ る麻酔増強作用 を塩酸ケ
タミン (
以下、ケタ ミンと省略する)な らびにペ
ン トバル ビタールナ トリウム (
以下 、ペ ン トバル
ビタール と省略す る) を用 いて、チオペ ンタール
麻酔増強作用 によ り評価 を行 った。その結果、頚
部髄腔 内投与法が大槽 内投 与法 に比べ、ス トレス
無 く行動薬理学的評価 が行 え、動物福祉 の観点か
らも有用性が示唆 された ので報告する。
材料および方法
1.供試動物
日本ク レアよ り購入 した 7週齢の雄性 S
Dラッ
ト3
6匹を 1週間の予備飼育後、実験 に供 した。
飼育環境は、温度 2
4±2
℃,湿度 5
0±1
0
%
,明暗
サイクル 1
2時間 (明期 8:
0
0
-2
0:
0
0
)
,換気回数
1
5回/時間に設定 され た飼 育室 にお いて、ステ ン
レス製ブラケ ッ トケー ジ (日本ケージ:
2
0
0
WX3
2
0
D
X2
0
0
Hmm) に、 lケー ジ当た り 1匹を収容 して
飼 育を行 った。餌 は C
E
2(日本 ク レア) を自由
に摂取 させ,飲水 は水道水 を自動給水 ノズルか ら
自由に摂取 させた。
2.投 与法
1
)大槽 内投 与
ニ
L
)
ペ ン トバル ビター ル (ソム ノペ ンチル ,共立 商
4.倫理審査
本研 究 は九州歯科 大学動物実 験委員会での審査
25
mg
/k
gI
.
p.
投 与) にお いて、
事)全身麻酔 下 (
ト0
63
) を得 て行
な らび に承認 (
実験許 可 No.:D
背側頚 部の剃 毛 をバ リカ ンによ り行 い、剃 毛部 を
?たo
70%エチル アル コール で消毒 した. 次 に後 頭 骨付
近の皮膚お よび筋 肉 を鈍性剥離 し、後 頭結節 と第
一頚椎 との間膜 を眼科 用努刀 によ り小孔 を開 け、
カテーテル (
ポ リエチ レンチ ュー ブ,外径 0
.96
5
mm、
日本 ベ ク トン ・デ ィ ッキ ンソン)を 3
mm挿入 した。
そ の後 、カテーテル は外科用 ア ロンアル フ ァ (
東
亜合成化 学)で後頭骨 に固定 し、筋 肉な らび に皮
膚 を縫合 した。
実験 は術後 2
4 時 間 に行 い、投 与はマイ ク ロシ
H
A
MI
L
T
O
N
)に接続 した注射針 を用 い、無
リンジ (
麻酔下で あ らか じめ埋 め込 んで あるカテー テル を
0L
Ll
/5se
cの速度で大槽 内 に授 与 した (
写
介 して 3
真 1
)。
2
)頚部髄腔 内投与
写真 1 カテーテル設置による大槽内投与法
ジエチルエーテル (
和光純薬 工業 :以下 、エー
テル と省略す る)麻酔下 にお いて 、背側頚 部 の剃
毛 をバ リカ ンによ り行 い、剃 毛部 を 70%エチル ア
ル コ-ルで哨毒 した。次 に 頭 部 は 体躯 に対 し 9
0
度 になるよ う保定 し、触診 で後頭結節 と第一頚椎
との間膜 を確認後 、マ イ クロシ リンジ (
HA
MI
L
T
O
N
)
に接続 した 2
7
C3
/4イ ンチ の注射針 を用 いて 、後
0
頭 頚 部 表 皮 よ り後頭頚椎 間 の間膜 に穿針 して 3
〝1
/5s
ecの速度 で投 与 を行 った (
写真 2
)。
3.実験方法
実験 の前 日に体 重 を基 に大槽 内投与法 によ りリ
0、
ンゲ ル液 (
大塚 製薬)、ケタ ミン (ケタ ラ- ル 5
三共 )な らび にペ ン トバル ビタール の投与 を行 う
3群 、顕部髄腔 内投与法 によ りリンゲル液 、ケタ
ミンな らび にペ ン トバ ル ビタール の投 与 を行 う 3
群 の計 6群 (
∩-6) を編成 した。群 編成後 に大槽
内投 与を行 う群 のカテーテルの設 置手術 を行 った.
各群 の体 重測定後 、大槽 内投 与、頚部髄腔 内投
与それぞれ の投 与法 によ り、 各試験物質 を授 与 し
0J
LJ
、
たO各試験物質 の投 与量は、 リンゲル液 3
00〝g
/3
0〝1、ペ ン トバル ビタール 1
00
ケ タミン 1
L
Lg
/3
0L
l)と した。 各試験物質投 与後 5分 にチオ
ペ ンタール 3
0mg
/kgを尾静脈 か ら授与 し、側 臥姿
勢か ら自発 的 に復位 に戻 るまで の麻酔時 間 を正向
反射 の消 失時 間 3) 5)I6)と して測定 を行 ったQ
得 られたデー タは平均値 ±標 準偏 差で表 し、臨
s
her (中山書 店) を用 い、
床統 計解 析 ソ フ ト F)
群編 成時 と実験 時 の体 重 との比較 を トー
estにて、
正向反射 の消失時 間は リンゲル液投与群 と各群 と
の比較 、 投 与 法 の違 い によ る 各群 の 比較 を
DL
l
n
nett
■
sl
estによ り有意差検定 を行 った。
写真 2 頚部髄腔内投与法
結
果
1.群編成時 と実験時 の体 重 (
図 1
)
大槽 内投与各群 では群編成時 に比 べ、
実験時 (
辛
術処置 ・投与 前) の体重 に抑 制 がみ られ たが 、有
意な差 は認め られ なか った。顕部髄腔 内投与群 で
は群編成時 に比べ実験 時 (
投与 前) に有意な体重
の増加が認 め られ た。
2.正 向反射 の消失時 間 (図 2)
I
) リンゲル液 との比較
大槽 内投与群で は リンゲル液 投 与群 との比較 に
お い て ペ ン トバ ル ビ タ ー ル 投 与 群 に 有 意
(
pく0
.
05
) な麻酔時間 (
正 向反 射 の消失時間) の
延長が認 め られ 、顕部髄腔 内投 与群 で も リンゲル
液投 与群 との比較 にお いて ペ ン トバル ビタール投
3
3
与群 に有意 (
pく0
.
01)な麻酔時間の延長が認め ら
れた。なお、各投与群 ともにケタミン投与群 に有
意な麻酔時間 の延長は認め られなか った。
2
)投与法での比較
麻酔時 間 は リンゲル液 , ケ タ ミンな らび にペ ン
トバル ビタール の何れの群 において も有意差 は認
め られなかったが,大槽 内投与の方が麻酔時間が
長 くなる傾向が見 られた。
与部位の切開 ・縫 合 といった手術が必要 7
)
である
ことか らカテーテル設 置手術 と同様 のス トレスが
ある と推察 され る。従 って,手術 を要 しない漠部
髄腔 内投与法 は大槽 内投与法 に比べ、ス トレスな
く実験 を行 える有用 な投与手技である と考え られ
た。大槽 内投与法 と頚 部髄腔 内投与法 の比較 を表
1にまとめた。
表 1 投与方法の比較
事前処置
特殊装置の必要性
回復時間の必要性
処置によるス トレス
単固投与
連続 投与
棟数の動物への投与
投与後短時間での評価
投与の難 易度
手術の難 易度
群嶋成時
処覆故 ・投与前
投与前
群編成時
大槽内投与
頚部髄腔内投与
榊P
(
0
_
0
1
図 1 群編 成時な らび に投与前の体重 の推移
大槽内投与
頚 部髄腔 内投与
大槽内穿針 カテーテル
有り
有り
ほ とん ど無 し
有り
有り
無し
有り
有り
ほとん ど無 し
有り
有り
ほ とん ど無 し
可能
国難
困難
困難
や さ しい
や さ しい
可能
可能
可能
可能
や さしい
やや難 しい
可能
可能
可能
可能
やや難 しい
無し
2.体重 の違 いにつ いて
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0
0
6
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0
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ノー i
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時
間
麻酔
0 4
0
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pL
u
分
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頭部髄腔 内投与各群 にお いては実験時 に有意な
体重 の増加 を認めた (図 1
)。 これ は成 長 に伴 う
体重 の増加 による もの と考 え られる。他方、大槽
内投 与各群 は体重 の抑 制が認め られたが 、 これは
カテーテル設置手術 の影響が現れた と思 われる。
設置手術 の影響 として は、手術その もののス トレ
ス,手術時の麻酔薬 ,手術後の摂餌状態等が考慮
され るが、術後 の観察 な どか ら、おそ らく、手術
その もののス トレスが大 きいと思われた。
このよ うに大槽 内投 与法では、投与前処置での
侵襲が大 きいので、動物福祉 の観点か らも、同等
の評価 が得 られるので あれ ば、よ りス トレスの軽
い投 与法 を用 いるべ きで ある。
3.麻酔増強作用 につ いて
マ ウス, ラッ ト等 の小動物 に被検薬物 を投与 し
その行動 に及ぼす影 響 を観察す る一般一次スク リ
ーニ ング法 において、全身麻酔薬や睡眠薬等のよ
図 2 正向反射 の消失時間
うに意識 レベル に影響 を及ぼす薬物で あるか否か
を検討す る場合には、そ の指標 として正 向反射の
消失 を用 いる。 この正 向反射 の消失 を指標 とす る
薬物 ス ク リーニ ング法 は、薬物単独投与時のはか
考 察
に、他 の睡眠薬や麻酔薬 との協力作用 を検討す る
1.投与法 の違 いについて
際 にも用 い られる。例 えば、ベ ンゾジアゼ ピン誘
大槽 内投与法 は後頭骨付近の皮膚な らび に筋肉
導体 はエーテル、麻酔薬 、バル ビツ レー ト等の中
を剥離 して大 槽 内 にカ テー テル を設 置す る方 法
枢神経系抑制作用 を増強す る。 このよ うに麻酔増
8) 1
1
) と直接 穿針 す る方法 7
)
が ある。本実験で は
強作用 は麻酔薬や睡眠薬 の一次 スク リー ニ ングに
カテーテル設置 による大槽 内投与に手術 の影響 と
良 く用 い られ る 3
)
。麻酔増強作用はベ ンゾジアゼ
思われ る麻酔時間の延長や体重の抑制がみ られた。 ピン系睡眠薬 のス ク リーニ ングに用 い られるクロ
また、大槽 内に直接穿針す る投与において も、投
ル プ ロチ キセ ン睡眠増 強作用 3)I 5)一 6) とエーテル
リンゲル液
ケタミン
ペン トバルビタール
*P<0
.
0
5
*
*
P<0
.
01
3
4
や バ ル ビツ レー ト等 の麻酔薬 に対す る麻酔時 間延
長作 用 の検 討 に用 い られ るチオペ ンタール麻 酔増
強 作用 3),4)I6)が ある。
今 回は試験 物質 と してバル ビツ レー トを用 いた
ので 、チ オペ ンター ル麻酔 増強作用 を選択 した。
4.麻酔 増強 作用 の差 につ いて
今 回 の実験 で は大槽 内投 与法 、頭部髄腔 内投 与
法 の両投 与群 にお いて 、 リンゲル液 投 与群 との比
較 にお いて ペ ン トバル ビタール投与群 に有意 な麻
酔時間 (
正 向反射 の消失 時 間) の延 長が認 め られ
たが 、各 投 与群 ともにケタ ミ ン投与群 に有 意 な麻
酔 時 間 の 延 長 は認 め られ な か った (図 2)。 ケ タ
ミ ンはバ ル ビツ レー トとは異な り、主 と して脳幹
網様 体賦 活 系 に作 用す るのではな く、む しろ皮質
お よび辺 縁 系 に存 在 す る受 容体 に作用す る 15) 解
離性 麻酔 薬 16) で あ り、おそ らくこれが ケ タ ミ ン
とペ ン トバル ビタール間 の麻酔増強作用 の差 にな
った もので あ る と推察 され る。
頚 部髄 腔 内投与で は投与時 のエー テル麻酔 が麻
酔 増強作 用 に影 響す る と思 われたが 、今 回の実験
で は 、一 過性 の超 短時 間 のエーテル麻酔 で あ った
ため 、そ の影 響 を確 認す る ことはで きなか った。
槽 内投 与法 に比べ 、投 与 前の手術処 置 による侵襲
が ほ とん ど無 く、特殊 な装 置 を必要 とせ ず 、短 時
間 に多数 の動物へ の様 々な投与方法 が可能で ある
(
表 1)。 た だ 、投 与 に関 して は トレー ニ ング と
習熟 を必要 と して い る事 、投 与時 に全 身麻酔下 に
おかね ばな らな い ことな どが短所 と して考 え られ
る。 よ って、手術侵 襲 が 問題 とな る よ うな投与や
多数 の動物へ の短 時 間 で行 う連続投与等 で は大槽
内投与法 よ り頚 部髄 腔 内投 与法 の方 が適 して いる
と思 われ る。 また、投 与時 に全身麻酔 下 にお くこ
とが 問題 な けれ ば、頚 部髄 腔 内投与法 は大槽 内投
与法 と同様 に薬 理学 的評価 に利用可能で ある と推
察 され る。
動物福祉 の観点か ら、動物実験者 は代替法や よ
り苦痛 の少な い実験 方 法 を検 討す る義務 を負 って
いる。頚 部髄腔 内投 与 法 は この点 に関 して も、大
槽 内投 与法よ り有効 な投 与方法であ る と思われ る。
今後 、実験 を重ね 、投 与技術 ・投与時 の全身麻
酔 の必 要性 を解 決 し、投 与 ス トレス の少な いラッ
トの硬 ・クモ膜 下腔 内へ の投与方法 と して、頚部
髄腔 内投与法 が大槽 内投 与 の代替法 とな るよ うデ
ー ター を揃 えて いきた い。
謝
辞
5.投与 法 の違 い と麻酔 時間 につ いて
麻酔 時 間 は リンゲル液 、 ケタ ミンな らび にペ ン
トバ ル ビター ル の何れ の群 にお いて も有意差 は認
め られ な か ったが 、大槽 内投与の方 が麻酔 時 間が
長 くな る傾 向 が見 られ た (図 2)。 おそ ら く、 カ
テー テル 設置 手術 の侵 襲 によ りエネル ギー が奪 わ
れ (
体 重 の減 少 に現れ て い る)、肝 臓 で のチ オ ペ
ンタール の代 謝 1
7
)が遅 れ 、麻酔時 間が延 長 した
もの と推 察 され る。カ テーテル設置 手術 時 のペ ン
トバ ル ビター ル麻酔 の直接 の影 響 は、実験 が チ オ
ペ ンター ル の排 壮半減期 9時間 17
)を超 え る術後
2
4時 間後 に行 わ れて い る ことな どか ら、 ほ とん
ど無 い もの と思われ る。
6.頚部髄腔 内投 与法 の評価
大槽 内投 与法 な らび に頚 部髄腔 内投与 法 いず れ
の投 与方 法 にお いて もペ ン トバル ビタール投与群
で は麻酔 時 間 の有意 な延 長が認 め られたが、 ケタ
ミ ン投与 群 で は有 意な麻酔 時間の延長 は認 め られ
な い とい う結果 が得 られた。麻酔時 間は リンゲル
液 、 ケタ ミンな らび にペ ン トバル ビタール の何れ
の群 にお いて も大槽 内投 与 の方が麻酔時 間が長 く
な る傾 向が見 られ たが 、有意差 は認 め られ なか っ
た (図 2)。 よ って 、チ オ ペ ンタール麻 酔 増 強 作
用 の評価 にお いて は頚部髄腔 内投与法 は大槽 内投
与法 とほ ぼ同様 の評価 が 可能である と考 え られ た。
また 、 これ までの考察 か ら頭部髄腔 内投 与法 は大
本研究 は、 アニ マル ケ ア (
九州歯科 大学所属)
の原 田留美,松下祐 二 ,永 島 博 各氏 の協 力の も
とに行 われた。 ここに感 謝 の意 を表す る。
文 献
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)亀 井 千晃 ,杉 本 幸 雄 ,竹 内智 子 , 阿 部智 之 ,
出雲 貴幸 ,安 倉寿 子 : ‡線造影 剤 の 開発 にお
け る安 全性 学 的検 討 - ラ ッ ト大槽 内投 与 によ
る急 性毒性 と赤血球 に及 ぼす影 響 につ いて -.
基礎 と臨床 2
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4.
3)塩 見 活 人 , 中村 明 弘 . 中枢 神経 系 作 用 薬 の探
索 :医薬 品の開発 ,第 9巻 .医薬 品 の探索 Ⅰ,
斎藤 洋,野村 靖 幸 編集 .東京 ,鹿 川 書店 .
31
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,1
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4
)酒井 豊 :Mi
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下行 性作 用 の分離性 につ いて 一意 義 と薬剤評
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価 の めやす 一
薬 理 と治 療 6:3
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)村 中清志 ,永 島
博 ,原 田留美 ,松 下裕 二 ,
佐加 良 英治 :ラ ッ ト頚部髄腔 内投 与 に関す る
実験 1-中枢 へ の色素分布 によ る有 用性 の確
4回 日本実験動物技術者 協会総会 ,
認 -.第 3
抄録集 6
9
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)村 中清志 ,永 島
博 ,原 田留美 ,松 下裕 二 ,
佐加 良 英治 :ラ ッ ト頭部髄腔 内投 与 に関す る
実 験 2- リンゲ ル液 連続 投与 によ る実用性 の
4回 日本実験動物技術者協会総
検 討 -. 第 3
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会,抄録集 6
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)村 中清志 ,永 島
博 ,原 田留 美 ,松 下裕 二 ,
佐加 良 英治 :ラ ッ ト頭部髄腔 内投 与 に関す る
実験 3-チ オ ペ ンタール麻酔 増 強作 用 によ る
0回 日本実
行動薬理学 的評価 への影響 -.第 2
験 動 物技 術者 協 会 九州 支 部研 究 発 表 会 ,抄録
集 1
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槽 内投与 によって小脳 に出現す る d
果 . 日医大誌
実験動物技術者 協会編 .東京, ア ドス リー
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森 秀麿 編 :麻酔科学 第 1
0版 .京都,金芳
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)藤原元始他 監訳 :グッ ドマ ン ・ギル マ ン薬理
書 (
上)薬物治療 の基礎 と臨床第 8版 .東京 ,
康 川書店 . 3
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