青と緑の物語 - 多治見市

たじみのたからもの 77
高田・小名田の陶磁器
文化財保護センター 三浦 ☎(25)8633
よ ざ え もんかげなお
げん な
今年は、高田の陶祖加藤与左衛門景直が元和2年
産み出していきます。
(1616)
に当地で窯を開いて400年目にあたります。
19世紀になると、
その記念すべき年に併せ、高田陶磁器工業協同組合
美濃窯のほとんど
と連携して、展覧会を開催することとなりました。
の地域が磁器生産
高田・小名田地域は、陶祖が窯を開く以前から歴
に転換する中、
高田・
史があり、中世には山茶碗という庶民向けのやきも
小名田地域は土も
のが大量に焼かれていました。茶陶文化が花開く安
の製品を作り続ける
土・桃山時代になると、白天目茶碗や瀬戸黒茶碗な
独自の歴史を歩ん
どが小名田の地で生産され、
やきもの文化を発信す
できました。開窯
る中心地のひとつでした。
400年を契機に、青
また高田の白粉地域からは、非常に優れた性質の
土と向き合って製品
青土(白粉土)
という陶土が産出します。そのため、
作りを行ってきた陶
江戸時代中頃から高田焼の代名詞となる徳利が、江
工の真摯な姿勢を
戸での飲酒文化を背景に流通しました。明治時代に
再確認しながら、
は、鉄絵具や呉須によって酒屋の店名や屋号が筆書
高田焼の歩みをご覧ください。
しろてん もく
しろ こ
あお と
しん し
ご す
きされた、現在に見る高田徳利が次々と生産され、
文化財保護センターで企画展
昭和に入り徳利の需要がなくなった後も、
この青土
「高田陶祖400年記念∼高田焼の歩み∼」を
開催中です。
(∼8月26日(金))
の特性を生かした製品を、時代のニーズに合わせて
青と緑の物語
土岐川観察館 ☎(21)2151
湿 地 の 姿 をとどめるた めに
市の天然記念物指定の「虎渓山シデコブシ群生
地」
は、市を代表する湿地の一つです。春、
サクラの
咲くころ、世界中でこのあたりしかないというシデコ
ブシの花が咲き、根本にはハルリンドウが咲いてい
ます。夏にはサギソウ、秋にはウメバチソウ、湿地独
特の植物が見られる貴重な場所です。
湿地は、
ジメジメといつも水が流れています。その
ために植物の成長に必要な栄養も一緒に流してしま
い貧しい栄養状態(ミネラル不足)
になります。草木
が住みにくい環境の
中で、
モウセンゴケの
ようにネバネバの葉
で昆虫を捕らえてそ
の養分を吸収する食
虫植物などが見られ
▲シデコブシの花
29
平成28年6月
るわけです。
▲展示の様子
シデコブシは、他の
樹木との競争が苦手の
ようで、湿地周辺によく
見られます。
でも長い年月がたつ
と周りから少しずつサ
サなどが侵入をして、
▲ササ刈り作業
湿地の乾燥化が進んできます。周りの樹木も大きく
なってシデコブシに覆い被さるようになってきます。
虎渓山の湿地もそういう状況になってきました。
天然記念物指定をしたころ
(昭和49年)の湿地の
姿をとどめるために、試験地を定めてササ刈りを
行っています。光が届くようになった地面にハルリン
ドウやギボウシが花を咲かせるようになりました。
シ
デコブシ群生地としての湿地の保護に向けてできる
ことを早急に始める時期が来ているようです。
ふか や しげひろ
(多治見植物の会 深谷滋浩)
防災行政無線の内容はフリーダイヤル(0120 -311-714)でもお知らせしています