労働基準行政の重点施策 - 大阪労働基準連合会

労働基準行政の重点施策
大阪労働局 労働基準部 監督課
行政運営方針について(基本方針)
地域における総合労働行政機関としての機能を発揮し、地域や府民からの期待に真に応えるため、局各部、労働基準
監督署及び公共職業安定所が一体となって機動的かつ的確な行政運営を行います。
なお、地域の実情や行政ニーズを的確に把握するため、地方自治体、労使団体及び地域の関係者との意見交換の場を
設けるなど、連携を一層強化しながら地域に密着した行政運営を展開します。
また、行政運営の進捗状況を定期的に分析・検証し、「大阪地方労働審議会」等において、公労使の意見を把握し、行
政運営に的確に反映するよう努め、計画的な行政運営を行います。
おって、府民の労働行政に対する理解と信頼を高めるため、積極的な広報も行います。
健康が確保され安全で安心な職場の実現
❶働き過ぎ防止に向けた取組の推進
○過重労働撲滅のための取組を実施します 依然として多くの過労死等が発生しており、過重労働による健康障害の防止を図ることが重要な課題となっている
ため、以下の取組を推進します。
長時間労働が行われているおそれがあると考えられる事業場に対する監督指導を強化します。
重大・悪質な事案については「過重労働撲滅特別対策班」による捜査を行うなど、厳正に対処します。
過労死等防止対策推進法を踏まえた周知・啓発等の活動を行います。
■脳・心臓疾患に係る労災支給決定状況
■精神障害に係る労災支給決定状況
(人)
400
(人)
600
338
310
300
500
306
285
277
200
133
123
121
113
121
100
27
0
7
31
36
10
9
31
24
16
436
支給決定
【全国】
400
うち死亡
【全国】
300
支給決定
【大阪】
200
0
うち自殺
【全国】
93
66
65
21
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
支給決定
【全国】
325
308
100
うち死亡
【大阪】
8
497
475
21
4
支給決定
【大阪】
99
63
36
4
44
3
うち自殺
【大阪】
40
6
7
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
❷労働条件の確保・改善対策の推進
○法定労働条件の確保等に努めます
申告・相談件数ともに減少傾向にあるものの、依然と
して多くの労働者から労働条件の向上・労働環境の改善
を求める声があるため、以下の対策を推進します。
大阪労働局及び管下の労働基準監督署では、労働者の
労働条件の確保・改善を推進するために事業場等に対
する監督指導を実施し、労働基準関係法令等の違反に
ついて是正するよう指導します。
重大・悪質な事案には、厳正に対処し同種事案の発生
防止のため、刑事事件として送検した事案等を積極的
に公表します。
■平成27年定期監督等実施事業場数(大阪)
定期監督等実施事業場数
6,258事業場
労働基準法
違反条項と内容
(主要な違反のみ)
■申告・相談件数の推移(大阪)
(件)
6,000
120,076
119,369
111,370
80
4,000
50
3,864
3,598
2,000
3,111
平成23年
平成24年
申告処理件数
平成25年
1,050
16.8%
労働時間
1,851
29.6%
割増賃金
1,182
18.9%
就業規則
753
12.0%
平成26年
平成27年
90
86
79
37
56
47
40
2,945
30
20
0
75.0%
労働条件明示
70
60
50,000
4,693
(件)
100
90
114,187
100,000
4,185
違反率
違反事業場数
■法違反被疑事件の送検状況の推移(大阪)
(件)
150,000
116,929
事業場数
0
49
32
34
平成25年
平成26年
10
0
相談受理件数
申告処理:労働基準関係法令違反が認められるとの労働者からの通告に基づき事業場の
指導等を行うもの
労働基準法等違反
平成27年
労働安全衛生法違反
○特定の分野における労働条件確保を推進します
介護労働者、自動車運転者、障害者、技能実習生等の労働条件確保のため関係行政機関と連携し、労働基準関係法
令の遵守の徹底を図ります。
4
❸労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり
○大阪労働局労働災害防止推進計画を推進します
究極的な目標である「労働災害ゼロ」の実現に向け、以下の目標達成を目指します。
① 死傷災害 目 標:平成24年と比較して、平成29年までに14%以上減少
重点業種:小売業・社会福祉施設・飲食店・陸上貨物運送事業
② 死亡災害 目 標:平成24年と比較して、平成29年までに12%以上減少
重点業種:建設業・製造業
■労働災害による死傷者数と業種別の割合の推移(大阪)
(%)
50
44.7
40
30
20
8,459
45.5
8,350
46.0
47.2
18.4
25.5
24.8
0
10.3
10.5
10.5
(人)
35
58
30
58
60
8,500
23.7
14.6
10.2
25
7,851
23.1
14.0
10.3
15.2
全産業
製造業
陸上貨物運送事業
21
8,000
20
15
7,500
10
7,000
18
12
20
19
16
14
14
0
6,500
建設業
平成28年2月末現在
21
17
14
14
8
13
13
12
30
7
10
10
6
平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
全産業
製造業
第三次産業
陸上貨物運送事業
50
40
10
8
10
48
22
16
5
9.0
平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
第三次産業
53
8,138
23.5
(人)
70
68
63
48.7
18.0
14.6
10
48.1
8,364
8,014
26.1
■労働災害による死亡者数の推移(大阪)
(人)
9,000
20
0
建設業
平成28年2月末現在
○業種横断的な労働災害防止対策を推進します
労働災害の長期的な減少傾向を確実なものとするため、ゼロ災・大阪「安全見える化運動」を展開します。 最も多い転倒災害が増加しているため、「STOP !転倒災害プロジェクト」を展開し、転倒災害防止対策を周知する
とともに、事業場の自主的な取組を促進します。
○労働災害増加等業種の対策を推進します
全産業に占める第三次産業(小売業・社会福祉施設・飲食店等)の労働災害の割合が増加しているため、安全担当
者の配置や職場の安全活動の活性化などの促進を重点に労働災害防止対策を推進します。
陸上貨物運送事業(道路貨物運送業・陸上貨物取扱業)では労働災害が増加しているため、荷役作業時の災害防止
を重点に労働災害防止対策を推進します。
○重篤災害発生懸念業種の対策を推進します
建設業では墜落・転落による死亡災害が約6割を占めているため、命綱(安全帯)の使用徹底を図る活動を展開す
る等墜落・転落災害の防止を重点に労働災害防止対策を推進します。
製造業では死亡災害が増加しているため、死亡や障害の残る災害につながりやすい、はさまれ・巻き込まれ災害の
防止を重点に労働災害防止対策を推進します。
○メンタルヘルス対策を推進します
ストレスチェック制度の実施の徹底
昨年12月1日から施行された「ストレスチェック制度」について、施行前の3か月間に集中的に説明会を開催し、
約3,500人の方に参加いただきました。府内にある約1万社の対象事業場(労働者数50人以上)に対し、周知・徹
底になお努める必要があるため、複数回の説明会を開催するほか、種々の機会をとらえてストレスチェックの確実
な実施を図ります。
メンタルヘルス対策
精神障害による労災認定件数が高止まり状態であることから、事業場におけるメンタルヘルス対策の取組を確実
なものとするため、精神障害労災認定事業場、取組に改善を要する事業場等に対し、効果的な取り組み方などを指
導します。
○化学物質による健康障害防止対策を推進します
化学物質のリスクアセスメント
6月1日から化学物質(640種類)のリスクアセスメントの実施が義務化されます。既に説明会を開催し、多くの
方に参加をいただきましたが、化学物質を取り扱う事業場は相当数に及ぶため、施行後においても逐次説明会を開
催するなど、リスクアセスメントの確実な実施に努めます。
また、化学物質の製造者等に対しては、リスクアセスメントの実施に必要不可欠な事項である容器へのラベルの
表示やSDS(安全データシート)の確実な交付を指導します。
石綿(アスベスト)による健康障害予防対策
石綿が使用された建築物の解体作業は今後も増加が予想されることから、吹き付け石綿や石綿を含む保温材など
から石綿粉じんが発散しないよう、工事業者や建築物所有者に対し必要な指導を徹底します。
○熱中症予防対策を推進します
夏になると、テレビなどマスコミで連日「熱中症に注意しましょう」と大量報道されているにも関わらず、毎年、
多くの方が熱中症を発症し、死亡に至ることもあります。
「自分は大丈夫」という思い込みを取り除くとともに、「体調が悪いです」と上司に伝えやすい職場・現場環境の実
現を図ります。
5
■熱中症の発生件数と真夏日の日数(大阪市)
■平成27年 業種別熱中症の発生件数(速報値)大阪
50
100
製造業
88
82
3
76
73
40
65
7
9
商業
58
日数
運輸業
20
3
33
29
2
接客娯楽業
25
27
24
10
16
8
3
その他
0
30
50
発生件数
建設業
75
0
2
4
6
8
10
平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
発生件数(休業4日以上)
0
真夏日(30℃以上)
○腰痛予防対策を推進します
腰痛は長期的には減少傾向にありますが、業務上疾病全体に占める割合は全国では約6割、大阪では約7割と、依
然として高い割合で発生しています。
特に、社会福祉施設を含む保健衛生業や小売業で多発していることから、これらの業種を中心に「職場における腰
痛予防対策指針」の一層の徹底を図ります。
■業務上疾病に占める腰痛の推移(大阪)
■平成27年 業種別腰痛の発生件数(速報値)大阪
平成27年は速報値
700
600
【休業4日以上208件】
595
602
120
156
500
腰痛以外
腰痛
332
貨物取扱業
124
商業・金融・広告業
446
316
208
100
平成24年
40
50
60
37
31
7
39
55
保健衛生業
365
平成23年
30
運輸交通業
134
300
0
20
5
建設業
450
156
200
10
製造業
521
400
475
0
平成25年
平成26年
接客・娯楽業
12
清掃・と畜業
12
その他の事業
平成27年
10
❹最低賃金制度の適切な運営
○最低賃金制度の適切な運営を行います
大阪地方最低賃金審議会の円滑な運営に努めます。
最低賃金の改定等について周知・広報を行うとともに、監督指導等により履行確保を図ります。
最低賃金引上げにより影響を受ける中小企業等への支援事業としてワン・ストップ無料相談窓口の活用促進を図り
ます。
❺労災補償対策の推進
○迅速・適正な労災補償を実施します 脳・心臓疾患及び精神障害の請求件数は依然高止まりの傾向にあります。
脳・心臓疾患事案及び精神障害事案をはじめとする労災補償給付の請求について、認定基準等に基づき迅速・適正
な処理を行います。
労災保険の窓口業務について、相談者等に対して丁寧な説明を行います。
■脳・心臓疾患に係る労災請求・決定件数の推移(大阪)
■精神障害に係る労災請求・決定件数の推移(大阪)
200
200
150
150
148
153
138
146
137
140
109
100
95
50
0
92
36
平成24年度
請求件数
84
83
31
平成25年度
決定件数
100
72
50
0
平成26年度
支給件数(決定件数の内数)
44
36
24
平成24年度
請求件数
平成25年度
決定件数
40
平成26年度
支給件数(決定件数の内数)
○石綿関連疾患に係る補償(救済)制度の更なる周知の徹底を行います
毎年、石綿ばく露作業による労災認定等事業場を公表しています。(全国)
※平成17年7月の第1回公表以来、平成26年度分で、述べ10,510事業場を公表しています。
石綿関連請求件数は年間100件程度の高水準で推移しており、労災補償及び石綿健康被害救済法に基づく特別遺族
給付金の周知・広報に努め、石綿による疾病についての労災請求等の一層の促進を図ります。
4
誰もが活躍できる労働環境の整備・推進
❶働き方改革の推進
○働き方改革を促進します
一般労働者の労働時間が高止まりしたり、年次有給休暇の取得率が5割以下で推移するなど依然として「働き方の
改革」は必要です。
長時間労働を前提とした働き方等は、少子化の要因の一つになっているとも言われており、我が国の持続的繁栄の
ためにもこれを改める必要があります。
このため、
① セミナーの開催等により「働き方改革」の必要性とその意義が府内で広く理解されるよう啓発活動を行います。
② 労働局幹部が大阪府内の企業を訪問し、企業トップに直接「働き方改革」の取組を要請します。
❷適正な労働条件の整備促進
○ワーク・ライフ・バランスを推進します
政府目標として掲げられている「年次有給休暇取得率70%以上」及び「労働時間週60時間以上の雇用者の割合を5
%以下」を2020年までに達成するために、以下の内容に取り組みます。
働き方・休み方の見直しをすすめるため、「労働時間等見直しガイドライン」の周知・啓発を行います。
「働き方・休み方改善コンサルタント」による労働時間等の設定改善のための助言・指導、ワークショップを実施します。
働き方・休み方の現状を労使が自主的に評価できる「働き方・休み方改善指標」の普及、中小企業に対する助成金
の活用等を推進します。
「朝型」の働き方等の普及にむけた周知・啓発を行います。
■年間労働時間の推移(全国・大阪)
■年次有給休暇取得率の推移(全国・大阪)
2,000
1,900
1,800
1,700
70
1,904
1,875
1,772
1,744
1,842
1,824
1,709
1,708
1,843
1,768
1,764
1,765
1,700
1,637
1,634
1,638
平成6年
平成11年
平成16年
年間総実労働時間 全国
年間所定内労働時間 全国
59.0
1,788
1,691
1,600
1,500
60
1,840
50
53.9
51.8
47.4
49.8
46.4
49.7
47.1
47.4
48.8
40
1,614
30
平成21年
平成26年
年間総実労働時間 大阪
年間所定内労働時間 大阪
平成6年
平成11年
平成16年
平成21年
全国 年次有給休暇の取得率(%)
大阪 年次有給休暇の取得率(%)
○医療従事者の勤務環境の改善に向けた取組を推進します
医療機関が行う労務管理改善のための自主的な取組への支援を推進します。
5
平成26年