Title 2-および3-ケトステロイド類の空気酸化における置換基 の影響

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2-および3-ケトステロイド類の空気酸化における置換基
の影響に関する研究( Abstract_要旨 )
中島, 重勝
Kyoto University (京都大学)
1967-03-23
http://hdl.handle.net/2433/212209
Right
Type
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Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
[
6 ]
学 位 の 種 類
中
なか
薬
学 位 記 番 号
論
学位授与の 日付
昭 和 42 年 3 月 23 日
学位授与の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位論文題 目
2
-および3
- ケ トステ ロイ ド類 の空気酸化 における置換基 の
氏
重
しげ
博
22
島
しま
学
薬
博
勝)
かつ
士
第 4
9号
影響 に関す る研究
論 文 調 査 委員
教(㌔ 竜
論
田 真 雄
文
内
教 授 上 尾庄 次郎
容
の
要
教 授 藤 田 栄 一
旨
ステロイ ドホルモ ンの中間体 の合成 において, Cl
l 位 に置換基を有す る A2の e
po
xyda
t
i
o
n 及び a
d-
t
o
s
yl
a
t
eの ac
e
t
ol
ys
i
s に就 いては興味 ある結果が
di
t
i
o
n 反応 , また A環 に置換基を有す る Cll 位 の α報告 されてい る。
著者 は Cl1 位 に置換基を有 LA環 にカルボニル基を もつケ トステ ロイ ドの空気酸化反応での置換基導入
,
C環 に二重結合 を導入 した場合 にまで進展 させ ,ES
Rの観点 よ り併せて解析を試
の影響を探索 , 更 に B
みた。
(1) 2
o
X0
5
αs
t
e
r
o
i
d の酸化反応
酸素 はエ ノ- ル化 の方 向即 ち C3 位 のみを攻撃 し, 3
o
x05
αs
t
e
r
o
i
d よ り得 られ る 2
,
3
di
ket
o
ne と
同一物を与え る。 C11 位 のカルボニル基の導入 による影響 はみ られない。
(2) Cll 位 に置換基を有す る 3
o
X05
αs
t
e
r
o
i
d の酸化反応
,
3
di
ket
o
ne のほかに 3
,
4
di
ke
t
o
neが副生す
カルボニル基 , メチ レン基 , メチル基が導入 され ると 2
る。α- 及び β一水酸基の影響 は見 られないO
(3) B,C 環 に二重結合 を有す る 3
o
Xo
T
5
′
ユ
S
t
e
r
O
i
d の酸化反応
』6の場合 は 2
,
3
di
ke
t
o
neのほかに更 に酸化が C4 位 にお こった と考 え られ る t
r
i
e
no
ne 型 の酸化成
績体 が得 られ , 接触還元 によ り 5
α 及び 5
βの 2
a
c
e
t
o
xy3
ket
o
ne 体 が得 られ ることよ り構造 を確認
した。 A7の場合 は 2
,
3
di
ke
t
o
ne よ りむ しろ 3
,
4
di
ke
t
o
ne の生成 が多い。 A9の場合 は 2
,
3
di
ket
o
ne
のほかに 3
,
4
di
ke
t
o
ne が副生す るが, 』1
1 及び 1
2
- メチ レンの場合 は不飽和結合 の導入 の影響 はみ られ
な い。
(4) 2
-及び 3
o
X05
βs
t
er
o
i
d の酸化反応
3
o
X0
5
βs
t
e
r
o
i
d は Ca
me
r
i
no等 の報告 のよ うに C4 位 のみ酸素 の攻撃 がな され 3
,
4
di
ke
t
one を生
l 椋- のカルボニル基の導入 の影響 はみ られない02
o
x05
βs
t
e
r
o
i
d は Cl1 位及び C3 位 の両
成す るo Cl
5
5
0-
方 に酸化の攻撃がな され 1
,
2
di
ke
t
o
ne と 2,
3
di
ke
t
o
neが生成す る。 Cl1 位へのカルボニル基の導入 の
,
3
,1
1
Jr
i
ke
t
o
ne が少量単離 され るだ けで王威積体 は t
r
a
ns
a
nnul
a
r
影智 は (化合物 ( Ⅰ) の場合 には) 2
r
o
xi
de (
Ⅰ
Ⅰ
) である。
t
ypeの pe
H
(
II)
(5) Pe
r
o
xi
de (
Ⅰ
Ⅰ
) の構造
R,NMR スペ ク トル よ り水酸基 (三級) , カ
元素分析値 よ り ( Ⅰ)よ り酸素が 2個多い ものに相 当 L I
xi
al置換基
ルボニル基が, ORD よ り C2 位の カルボニル基が消失 し且つ Cl1 位の カル ボニルの α位 に a
の存在 が予想 されたO (Ⅱ) は容易 にアセチル化 され, またアセタ- トは鹸化す ると (Ⅱ) に もどる。 一方
(Ⅱ) は亜鉛 , 酢酸で処理す ると閉環す ることが出来 , これよ り更 に C2 位の カルボニル基を部分還元 アセ
クー トに誘導 し,チオニル クロライ ドと反応 させ ると共役ケ ン トが生成す ることよ り C9 位の置換基 (水酸
義)の存在 が明かにされた O(
Ⅱ) はさ らにA環の置換基を除去 し,9
ahydr
o
xy5
㌢s
pi
r
o
s
t
a
n-1
トo
ne(
Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ
)
に誘導 した。
(6) 9
αHydr
o
xy5
βs
pi
r
os
t
a
n-l
l
o
neの合成
pe
r
o
xi
de (
Ⅰ
Ⅰ
) の構造確認のため 2
5
Ds
pi
r
o
s
t
a
A,
9(
l
l
)
di
e
n3
o
neを出発原料 と し,9
α,1
1
βdi
hyⅡ) よ り誘導 したⅡ と同定 した 。
dr
o
xy2
5
Ds
pi
r
o
s
t
4e
n3
o
ne9mo
no
ac
e
t
a
t
eを経て (Ⅱ) を合成 し (
(7) 0ⅩOs
t
e
r
o
i
d の酸化成績体 の ESR
o
xo
s
t
e
r
o
i
d の酸化反応時の ESR に関す る Rus
s
e
l
l の研究 によ り可成 り安定 な a
l
i
c
yc
l
i
cs
e
mi
qui
no
ne
型の r
a
di
c
ala
ni
o
n が検 出され, A環 内の カルボニル基の位置の区別並 びに A/
B結合 の性質が容易 に解
o
X05
as
t
e
r
o
i
d
析 で きることが明かにされた。 著者 は この点を更 に検討 の結果 , 特 に置換 基 を 有 す る 3
においては各化合物 によ り生成す る 2つの r
a
di
c
alani
o
n (』2 及び 』3) の生成 , 減衰速度は夫 々異 な り,
且つ生成濃度に も差のあることを明かに した。 定性的には Cll 位 に メチル基 , メチ レン基 , カルボニル
某 , さらに不飽和結合が C7 位及び C9 位 に導入 され ると 2つの r
a
di
c
alani
o
n の最高濃度比 は他 に比較
して差異のあることを見 出 し,pr
o
duc
ta
nal
ys
i
sの結果 に一致 した。
ESR スペ ク トル よ り得 られ る hype
r
f
i
nes
pl
i
t
t
i
ngc
o
ns
t
a
nt及 び Mc
Co
nne
lの式 よ り算 出され る隣
C 軌道 との di
he
dr
ala
ngl
eは置換基導入 によ り若干異 った値 を示 し, A環 の C
O
nf
o
r
mat
i
o
nの
接水素 と 7
異 な ることを示唆す る。
未 置:襖の 3
o
x05
αs
t
e
r
o
i
d は一般 に磁気的に no
ne
qui
val
e
ntな 4つの水素の か ノブ リングによ り1
4
本 のパ ター ンを示すが ,Cll 位 に置換基を有す るもの は パ ター ンが 異 な り 2つの a
xi
al水素 が磁気的 に
e
qui
va
l
e
nt であることを示 した。r
a
di
c
a
lani
o
nの C
Onf
or
ma
t
i
o
n を もとに して 5
α,5
β 系夫 々の 』1,
A2
, A3の C
O
nf
or
mat
i
o
nale
ner
gy を算 出 した結果 ,5
α 系では A2>A3>Al,5
β系では A3>Al>A2の
順 に安定度が減少す ることを明かに し, 酸化反応の酸素の攻撃す る優位な位置は律速段階 と考え られ るエ
ノールの熱刀学的な相対 的安定性 に支配 され ることを 明 かに した。
(8 ) ′酸化反応考察
3
o
X0
5
αs
t
er
oi
d の空気酸化 における置換基導入 の影 響は主 と して不飽和結合導入 によ り生ず る c
o
n-及び 』3
-エ ノールの相
f
or
mat
i
o
naldi
s
t
o
r
t
i
on によ りA環 を幾分変形 させ , 酸化反応の律速段階の 』2
対 的安定性 の割合 に変化を起 させ るためにあると考察 した。
5
β 系の 2
,l
l
di
ket
o
ne (Ⅰ
) よ りの a
bnor
malな per
o
xi
de (
Ⅰ
Ⅰ
) の生成 は C2 位の カル ボニルのエ ノ
7C
,7「7
C の e
l
e
c
t
r
o
ni
ci
nt
e
r
ac
t
i
o
n が ORD よ り予測 さ
ール化生成時に Cll 位の カルボニル との間 に n-
dr
ope
r
o
xi
de が
れ, このため Cll 位の α位の C。 位が活性化 され酸素 の攻撃 が起 り, 続 いて生成す る hy
nuc
l
e
o
phl
i
ca
ddi
t
i
o
n で C2 種の カルボニル と he
mi
ket
al類似の環形成 をす る もの と考察 した。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
木論文の内容は Cl 1 位 に置換基を有 しステロイ ドの A環 に カルボニル基を有す るケ トステロイ ドの空気
による酸化反応での置換基導入の影響を検討 し, これをさ らに B,C 環 に二重結合 を導入 した場合 にまで
進屈 させて ,ES
R の見地 よ り併せて解析を試 みた ものである。
Cll 位にカルボニル基 あるいは他の置換基を有す る種 々の ステ ロイ ド類すなわ ち 2
-および 3
o
笈o
5
αo
x05
βs
t
e
r
o
i
d,B,C 環 に二重結合 を有す る 3
o
X05
αst
e
r
o
i
d類 多数 について カ
s
t
er
o
i
d,2
-および 3
リウムトブ トキサイ ドの存在の下酸素 による酸化反応 を行ない ,その生成物 について精細な吟味を加えた。
これ らの一連の酸化反応 において 2
5
D5
βs
pi
r
os
t
a
n2
,1
Ldi
o
neの場合 には pe
r
o
xi
de型 の化合物の生
成す ることを知 り, 本化合物 について研究の結果 その構造 を化学的に明 らか に したO また これ らの o
xo-
s
t
e
r
o
i
d 類 の酸化成績体 の ESR を測定 し論義を加え, この酸化反応の反応機構 を考察 した。
本論文は薬学博士 の学位論文 と して価値 ある もの と認定す る。
一
一
-.
r
j
r
l
l.