JTB広報室 〒140-8602 東京都品川区東品川 2-3-11 TEL.03-5796-5833 FAX.03-5796-5848 http://jtb.jp/ 2016 年第 82 号 (2016.5.27) 2015 年度 連結決算発表 国内個人旅行、法人営業、訪日旅行が 牽引し増収増益 ◆ 売上高 1 兆 3,437 億円 ◆ 営業利益 161 億円 ◆ 経常利益 224 億円 (前期比 1.5%増) ( 同 45.1%増) ( 同 19.6%増) ●連結決算概況 旅行事業を取り巻く市場環境は、北陸新幹線の開業、6 年ぶりの 9 月のシルバーウィーク効果な どにより国内個人旅行が順調に、また法人需要も活発に推移しました。一方、海外旅行は、前期か ら続く円安基調、国際情勢不安などにより低調となりました。訪日旅行は、2015 年の年間訪日外国 人旅行者数が 1,973.7 万人(※1)となり、政府の 2020 年目標も 4,000 万人に設定されるなど、引 き続き人流が活発化した一年となりました。また、グローバル事業は、これまでの M&A 等の投資 効果により、売上拡大に寄与しました。 このような環境のもと、当社グループは、アジア市場における圧倒的 No.1 ポジションを確立し、 長期的・安定的なグループの成長を目指す「2020 年ビジョン」の達成に向け、中期経営計画「“Perfect moments, always” Road to Global Vision 2020」において、訪日インバウンドなどを重要課題と位 置づけ事業を推進し、具体的には以下を中心に取り組みました。 ・国内事業: ①仕入・商品力強化、及び付加価値の高い商品の造成 ②お客様の利便性、及び満足度の向上を目的とした販売チャネルの連携 ③法人営業での地域を超えた営業連携による法人需要の取り込み ・訪日インバウンド事業: 出発地である海外拠点の強化のみならず、日本到着から出国までの各シーンにおい て多種多様な商品・情報・サービスを提供できる基盤の構築 ・グローバル事業:「世界発、世界着。」の実現に向けたグローバルインバウンド、アウトバウンド ネットワーク強化のための積極的な投資、ブランド訴求、事業基盤の整備 ・地域交流事業:地域経済の活性化に貢献する DMC(※2)戦略を推進しつつ、政府の地方創生や 観光立国の動きとも連動し、地域資源を活用した商品の開発・販売 ・スポーツビジネス: ①スポーツ市場での強化を目的とした専門部署の設置 ②新ブランド「JTB スポーツ」の設立 ③東京 2020 大会オフィシャル旅行サービスパートナーとして契約を締結 これらの結果、2015 年度の当社グループの売上高は 1 兆 3,437 億円(前期比 1.5%増)となり、 過去最高となりました。営業利益は 161 億円(同 45.1%増)、経常利益 224 億円(同 19.6%増)、当 期純利益 126 億円(同 14.7%減:前期サンルート関連の売却益の影響)となりました。 ●当社グループの状況 ・連結対象会社数:国内 69 社、海外 85 社、持分法適用会社 17 社 (2015 年 3 月末より 3 社減) ・従業員数:26,646 名 (2015 年 3 月末より 452 名増) 1 計 171 社 ●旅行事業について <国内旅行>売上高:6,047 億円(前期比 5.0%増) 個人・グループ旅行は、国内パッケージツアー「エース JTB」の 2015 年度取扱額が過去最高と なりました。早期申込み促進や宿泊施設の価値明示を強化した商品、 「旅の過ごし方提案」等の着地 コンテンツを組み込んだ商品の販売により好調に推移しました。方面別では、新幹線の開業に伴い 北陸方面が好調に推移し、下期より展開した「日本の旬 北陸」キャンペーンでは国内外からの誘 客に努め、特に首都圏マーケットにて冬の味覚「かに」を露出強化したことで、冬場の北陸方面で の新たな需要発掘につながりました。その他にも、前期より実施しているユニバーサル・スタジオ・ ジャパンで開園 15 分前に入場できる「アーリー・パークイン」や「エリア入場確約」、沖縄の主要 ホテルに設置した当社グループのお客様専用「エース JTB ラウンジ」等の展開も定着したことで、 個人旅行を牽引しました。 法人営業は、企業の好業績によりインセンティブツアーや MICE 需要に加え、職場旅行などの観 光性需要が旺盛で、好調に推移しました。また、旅行需要に留まらず、当社グループ会社の専門性 の発揮と効果的な連携により受託した国際的な首脳級会議の運営業務を成功裡に収めることができ ました。 地域交流事業は、観光立国、地方創生の国策と連動して着実に成長しており、ふるさと旅行券や プレミアム商品券などの地域活性に資する事業を多くの自治体から受注しました。また、着地型商 品を拡充し、拡大する旅行中の需要と多様化するお客様のニーズに応えるべく、アソビュー(株)と 資本・業務提携をしました。 Web 販売は、JTB ホームページでの募集型企画旅行の販売開始期間の前倒し、「スペシャルプラ イスプラン」の好調な販売、国内宿泊予約サイト「るるぶトラベル」の宣伝強化、 「るるぶトラベル ツアー」の組み合わせ選択肢の拡充などに取組みました。 また、2015 年 4 月にトラベルポイント(店頭会員)と JTB INFO CREW(Web 会員)を統合し、 「JTB トラベルメンバー」を開始しました。2016 年 3 月末現在で会員数は 746 万人となります。 さらに、2016 年 3 月 11 日より東北 6 県を舞台に「東北 絆キャンペーン」を展開しています。 東日本大震災発生後、JTB グループは東北の魅力を伝えるための様々な活動を行ってきましたが、 このキャンペーン展開により当社グループの総合力を活かし、東北の魅力を国内外に発信し、訪日 外国人旅行者、国内の個人・団体旅行者への東北の魅力紹介・誘客を通じ、東北の未来に少しでも 貢献ができるように取組んでいます。 <海外旅行>売上高:4,804 億円(前期比 9.0%減) 円安や国際情勢不安の影響により、個人・グループ旅行は低調となりました。一方で、その中で も比較的需要が堅調な FIT マーケットにおいて、ルック JTB 品質でフライトやホテルを自由に組 み合わせることができるパッケージツアー「エアホ」の設定数を大幅に増やし、お客様の選択の幅 を拡大しました。法人営業は、ラグビーワールドカップ 2015 イングランド大会やミラノ万博関連 等の需要はあったものの、個人と同様に前期を下回りました。 Web 販売は、ダイナミックパッケージの販売開始による新たなお客様層の開拓や、スマートフォ ンやタブレット端末での画面表示の最適化など、お客様の利便性向上に努めました。 <訪日旅行>売上高:668 億円(前期比 25.4%増 ※実質 39.6%増(※3)) 円安の定着や、東南アジアにおける訪日査証の発給要件緩和、中国人旅行者の増加などを背景と して、2015 年の年間訪日外国人旅行者数が 1,973.7 万人となりました。今後、訪日旅行は個人化が 進み、オンラインによる予約が加速度的に増加していくことが想定されるため、商品ラインアップ やシステムの利便性向上への取組みを強化するとともに、グループ内リソースを最大限に活用し、 訪日後のお客様への多種多様な商品・情報・サービスの提供を行うべくタッチポイント(※4)で の接点拡大に取組んでいます。具体的には以下のとおりです。 2 ◆仕入・商品・オンライン販売の強化 訪日外国人旅行者向けツアー・宿泊予約サイト「JAPANiCAN.com」での予約は、好調であった前 期を更に上回って推移しました。 JAPANiCAN.com:前期比 91.6%増(人員ベース) また、「JAPANiCAN.com」を活用し、スマホアプリ(マンガアプリ「Ms.Green(ミスグリーン)」) と連動した地域の観光情報等の発信強化も行っています。着地型商品では、JTB グローバルマーケ ティング&トラベルの地域営業拠点、JTB グループの各地域事業会社、JTB 国内旅行企画が連携し、 日本各地の魅力・特色を生かしたツアー拡充に取組んだことで、 「エクスペリエンスジャパン」が前 期を大きく上回る伸びとなりました。 「エクスペリエンスジャパン」:前期比 192.0%増(人員ベース) ◆着後販売・旅行周辺コンテンツ強化 前期に続き、全国 7 カ所に「ツーリストインフォメーションセンター(※5)」を開設し、各種旅 行商品の予約や販売はもとより、手荷物配送、観光情報案内等、利用価値の高いサービスを提供す ることで、着後の新たなビジネスモデルの整備に取組みました。 また、Wi-Fi・翻訳サービスの取組み、 「るるぶ」多言語版、外貨両替機の設置拡充などの旅行周 辺領域においても取組みを強化しました。 <グローバル事業> 「世界発、世界着。」のビジネスモデルの実現に向け、積極的な投資を実施してきた効果が、売上 高の伸びにつながりました。 アウトバウンド分野(※6)は、海外における MICE 営業の強化によりインセンティブツアーや セールスミーティングの獲得につながり、教育旅行営業の強化が訪日教育旅行の獲得につながりま した。個人旅行についても、訪日インバウンドを中心に好調に推移しました。成長市場では、フィ リピンでの新会社の営業開始や、ジャカルタやクアラルンプールでの新規出店、北京での初の訪日 プロモーションスペースのオープンを通じて、顧客拡大に努めました。 インバウンド分野(※7)は、世界各地域の旅行会社に対し、JTB グループが持つグローバル DMC ネットワーク、対応エリア、高いクオリティとホスピタリティ、幅広い要望に応える商品や課題解 決力という強みの浸透を図るための取組みを強化しました。「Global DMC Network by JTB Group」というブランドを世界共通で立ち上げ、その認知度を高めるため、東南アジア・中国の旅 行展へ出展するとともに、重慶や成都など旅行需要の高まりが想定される中国内陸部の大都市にて、 現地旅行会社に対するビジネスプレゼンテーションや個別商談会を実施しました。 なお、海外の拠点数は、37 カ国、101 都市、520 拠点(2016 年 3 月 31 日現在)となります。 また、海外事業会社全体の売上高は、2,321 億円(前期比 3.4%増)となりました。 ●シナジー創出事業・サポート事業 シナジー創出事業では、旅行前、旅行中、旅行後の消費行動を一連のつながりとして捉える「ト ラベルサイクルマネジメント」の考え方に基づき、スマートフォン専用おでかけ電子チケットサー ビス「PassMe!」の運用を開始しました。 商事事業は、宿泊施設の高稼働率を背景として、内装工事を中心とした工事案件の獲得等により、 好調に推移しました。 出版・情報事業は、前期を下回りましたが、増加する訪日市場をターゲットに 2015 年 3 月より 発売を開始した多言語版るるぶ「OMOTENASHI Travel Guide」の拡充(現在、5 言語にて日本の 5 地域を紹介)や、レストランオンライン予約「るるぶダイニング」の開始、電子書籍「たびのた ね」サービスの全国展開など新たな取組みにも注力しました。 3 ●スポーツ関連、その他 1.スポーツビジネス 当社グループ本社に設置した専任組織を中心に、 「 旅×スポーツ」を通じて人々の交流を創造し、 メガスポーツイベントの観戦ツアーのみならず、各地域における交流促進や地域活性化を目的と した市民参加型スポーツイベントの企画・実施など、スポーツビジネスへの取組みを推進してい ます。 具体的には、以下の取組みを実施しました。 (1)「ラグビーワールドカップ 2015 イングランド大会」観戦ツアー 日本における唯一の公式チケット付きパッケージツアーの企画・実施が可能な旅行会社と してツアーを催行し、ラグビー人気の盛り上がりをサポート (2)第 31 回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ) 観戦チケット日本国内指定旅行会社として 2015 年 8 月より観戦ツアーの販売を順次開始 (3)東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(会長:森 喜朗)と 「東京 2020 スポンサーシッププログラム」において東京 2020 大会オフィシャル旅行サー ビスパートナーとして契約を締結 (4)その他協賛事業 ①2014 年より「野球日本代表『侍ジャパン』」のオフィシャルパートナーとなり、2015 年も 代表チームの試合等に係わる旅行業務の面から「侍ジャパン」の活動をサポート ②2015 年 6 月より、ソフトボール日本代表のダイヤモンドパートナーとして協賛 2.第一回「ジャパン・ツーリズム・アワード」の各部門において、以下の賞を受賞しました。 (1)国連世界観光機関(UNWTO)部門賞(※8) JTB グループのこれまでの長年にわたる観光産業や地域社会発展への取組みが評価され 受賞しました。 (2)国内・訪日領域ツーリズム事業部門 部門優秀賞 JTB オリジナルイベント「杜の賑い」が受賞しました。 (3)海外領域 ツーリズム事業部門 部門賞 JTB ワールドバケーションズの海外パッケージツアー ルック JTB「世界の絶景」 「絶景ハ イキング」が受賞しました。 3.「KAIKA 大賞」を受賞 一般社団法人日本能率協会(JMA)が主催する「KAIKA Awards2015(※9)」において、表 彰制度の創設後、初選出となる大賞を受賞しました。これは、「JTB 地球いきいきプロジェク ト」を通じた人づくりと社会価値の創造が評価されました。 ●2016 年度の取組みと通期の見通し 旅行事業を取り巻く市場環境は、引き続きの円高・株安、新興国の経済減速、国際情勢不安など 懸念材料はあるものの、観光立国、地方創生、グローバル人流の拡大、訪日インバウンドの続伸、 メガスポーツイベントの開催など、ツーリズム産業に追い風となる要素が存在します。 当社グループは、長期的・安定的な成長を可能とする基盤を完成させ、アジア市場における圧倒 的 No.1 ポジションを確立し、2020 年度末に取扱額 2 兆円、営業利益 400 億円の企業グループへの 躍進を目指すため、2016 年度に新たな中期経営計画をスタートさせました。人々の交流を創造し 促進する当社グループの事業ドメイン「交流文化事業」をグローバルに展開し、社会的有用性の高 い企業グループを目指してまいります。 そのために、以下を中心に取組みます。 4 ・2020 年 訪日外国人旅行者数 4000 万人時代へ向け、当社グループでの訪日インバウンド事業 の更なる拡大を目指す ・地方創生へと結びつく地域交流ビジネスでは、DMC として交流人口の拡大し、地域活性化に 貢献する ・グローバル事業は、世界 NO.1 グローバル DMC への進化を目指し、「世界発、世界着。」のビ ジネスモデルを確立する ・スポーツビジネスは、 「みる」スポーツのみならず、 「する」スポーツ・ 「支える」スポーツにも 正対し、スポーツビジネス領域を確立する 上記の実現に向けては、仕入の強化、投資、M&A、業務提携、新規事業開発等についても、積極的に 取組んでまいります。 2016 年度の業績見通しは次のとおりです。 2016 年度 : 売上高 1 兆 3,800 億円 営業利益 200 億円 経常利益 220 億円 当期純利益 108 億円 前期比 2.7%増 前期比 23.9%増 前期比 1.6%減 前期比 14.1%減 同時に、ツーリズム業界のリーディングカンパニーとして、 「The JTB Way」 (※10)に定めた当 社グループ経営理念「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。」 に基づく行動を実践し、ツーリズム産業の発展を牽引する企業グループを目指します。 2015 年度決算概要の詳細については、以下の URL からご参照ください。 URL : http://www.jtbcorp.jp/jp/company/accounts/ (※1)日本政府観光局発表の数値。2015 年 4 月から 2016 年 3 月の場合の訪日外国人旅行者数は 2,136 万人。 (※2)DMC:デスティネーションマネジメントカンパニーのこと。豊富な地域の知恵、専門性、資源を所有し、 イベント、ツアー、地域交流や地域活性化を企画提案する会社を指す。 (※3)一部の単品商品の計上方法を今期から変更したため。今期のスタイルに変更した場合を実質として表記。 (※4)タッチポイント:ブランドと顧客との全ての接点で、ブランドについて顧客に何らかの印象が残るあらゆ る接点のこと。 (※5)2014 年度開設/14 年 12 月:心斎橋 2015 年度開設/15 年 4 月:関西空港、6 月:京都、10 月:中部国際空港、12 月:大丸心斎橋、 16 年 1 月:有楽町、2 月:札幌狸小路(※プレオープン、グランドオープンは 16 年度 4 月)、 3 月:豊洲 2016 年度開設/14 年 4 月:福岡天神、名古屋大須、新宿 計 11 カ所(※2016 年 4 月末現在) (※6)アウトバウンド分野:海外における、現地発のお客様の取扱いのこと。 (※7)インバウンド分野:海外において、主に日本以外からのお客様を現地で受入れること。 (※8)2014 年 9 月に日本の主要な観光産業の企業・団体が、UNWTO の世界観光倫理憲章に署名したことを受け て、観光倫理憲章の理解と推進を目的とした世界で初めての顕彰制度。 (※9)社会価値を生み出す持続的な経営・組織・人づくりを行っている取り組みを称え、紹介する表彰制度 。 (※10)交流文化事業を事業ドメインとして、「グループ経営理念」「私たちがお客様に約束すること」「私たちが 大切にすること」「行動規範」からなるグループのあり方と行動を規定したもの。 <本件のお問い合わせ先> JTB 広報室 TEL:03-5796-5833 5
© Copyright 2025 ExpyDoc