2.石油

産業アウトルック
2016年4~6月期
2.石油
梶田
英里
原油価格(ドバイ)は、2016年1月には20ドル/バレル台前半まで下落した後に反
転、2016年3月には35ドル/バレルまで上昇しました。サウジアラビア、ロシア、
ベネズエラ、カタールの4ヶ国が増産の凍結で合意したことを背景にOPECと非
OPEC産油国による生産調整への期待が高まったこと等が要因ですが、イランや
イラクでの増産観測の強まりや米国での原油在庫の高止まり等により上値の重
い状況が続いています。
トピック:
原油価格は2016年1月
に20ドル/バレル台前
半まで下落した後、反
転上昇
2015年度第3四半期の国内石油製品販売量は、気温が比較的高く推移したこと
等から前年同期比で▲5.3%減少しました。油種別にみれば、主力4品(ガソリン、
灯油、軽油、A重油)が減少した他、電力用需要の減少等によりB・C重油が同
▲28.2%の減少となりました。今後も燃費向上や燃料転換に伴って石油製品販
売量は減少が続くとみられています。
需要:
4品とB・C重油が減少、
全体でも▲5.3%の減少
2015年度第3四半期前半において原油価格が横這いで推移したため、タイムラ
グ影響(注)が解消されるとともに、元売各社が製品の値上げを実施し、ガソリ
ン精製マージンは平均16.4円/ℓと前四半期比+1.0円/ℓ拡大しました。ガソリン
販売マージンも、平均12.6円/ℓと前四半期比+0.3円/ℓと拡大しています。
マージン:
精製マージン・販売
マージンともに拡大
(注)原油の輸送期間中(主に中東から日本、約1ヶ月)に製品価格が下落しマージンが低下。
大手元売5社合算の2015年度第3四半期の営業利益(在庫評価影響を除くベース、
以下同様)は、原油価格下落による自家燃費の低下や石化事業の増益等により
1,379億円と前年同期比+787億円の増益となりました。2015年度通期について
も、営業利益4,172億円と前期比+778億円の増益予想となっています。
石油元売大手業績:
2015年度第3四半期は
増益、2015年度通期で
も増益見込
ドバイ原油価格の推移
石油製品需要(前年同期比)の推移
(ドル/バレル)
120
20%
100
10%
80
中間留分(注)
ナフサ
ガソリン
B・C重油
0%
60
-10%
40
-20%
20
0
14/5
14/8
14/11
15/2
15/5
15/8
16/2 (年/月)
15/11
-30%
13/3Q
14/1Q
14/3Q
(出所)石油連盟より弊行作成
(出所)Bloombergより弊行作成
マージン推移
15/3Q (年度/期)
15/1Q
(注)ジェット燃料、灯油、軽油、A重油
石油元売大手5社(注)の合算連結業績推移
(円/l)
25
6,000
在庫影響 額を除く営業 利益
(億円)
当期利益
4,000
20
2,000
15
0
10
-2,000
5
0
09/3Q
精製マー ジン
10/3Q
11/3Q
12/3Q
販売マー ジン
13/3Q
14/3Q
15/3Q (年度/期)
(出所)石油情報センター、日本エネルギー経済研究所より弊行作成
-4,000
-6,000
07
08
09
10
11
12
13
14年
15年
14 15(予)10‐12月10‐12月
(年度)
(出所)各社有価証券報告書、決算短信及び補足資料より弊行作成
(注)①JXHD、②出光興産、③コスモ石油、④昭和シェル石油、⑤東燃ゼネ
ラル石油の5社。①~③は3月決算、④・⑤は12月決算
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