ウェブテクノロジーとビジネス1

2016/5/22
消費者行動分析モデル
• 消費者が商品やサービスを購入するまでに、
どのような心理が働き、どのような行動が伴う
かを知っておくことは効果的なマーケティング
を行う上で重要である。
ウェブマーケティング
• 消費者行動分析の代表的なモデルにAIDM
A(アイドマ)モデルとAISAS(アイサス)モデ
ルがある。
ウェブテクノロジーとビジネス
AIDMAモデル
購買決定
プロセス
注意
(Attention)
心理段階
認知段階
消費者の
心理状態
知らない
コミュニケー 認知向上
ション目標
活動・媒体
興味
(Interest)
欲求
(Desire)
記憶
(Memory)
感情段階
AIDMAからAISASへ
行動
(Action)
行動段階
知っている
が興味はな
い
興味はある 欲しいと思う 動機はある
が、欲しいと が動機がな が買う機会
がない
は思ってい い
ない
評価育成
ニーズ喚起
動機の提供
購入機会の
提供
広告、パン
フレット、店
舗促進、口
コミなど
店舗促進、
口コミなど
店舗、通販、
ネットなど
TVCM、広告、 広告、パン
DMなど
フレット、口
コミなど
興味
(Interest)
検索
(Search)
行動
(Action)
(Sympathize)
SNSで目に
する
ヒューマン
グラフなど
で自分との
近さにより
共感
検索エンジ
ン、評価サ
イト、SNSで
共感した情
報を検索
信頼ある人
から薦めら
れる
衝動買い
確認
(Identify)
URLをチェッ ウェブサイト 内容を確認
ク
を見る
購買に至った自分の評価
が他者に受け入れられる
か情報発信して確認
参加
(Participate)
備忘録代
わりに記録
(facebook
のイイねな
ど)
企業アカウントやコミュニ
ティに、企業の評価を発信
する。
共有・拡散
(Share,Spread)
AISASは電通の登録商標
評価サイト
にコメントす
る。SNSコ
ミュニティや
企画に参加
• 現在ではある商品を欲しいと感じたら、「記憶
」するまでもなく、すぐに「行動(ネットショッピ
ングで注文)」するということも可能となった。
• 売り手はAISASモデルをどのように活用するか?
注意喚起
(Attention)
サイト内の
ソーシャル
ボタンを押
す。シェアす
る。イイね。
• インターネット時代の消費者行動を読み解く
ために考え出されたのがAISASモデルであ
る。
利用方法
AISASモデル
共感
• AIDMAモデルは消費者行動や心理状況を
分析するための有用なツールであるが、今か
ら100年以上も前に考えられたモデルである。
共有
(Share)
• 商品サービスの広告を従来のTV媒体だけでなくウェブ
を利用する。次に自社の商品サービスに関心を持って
くれた消費者が「検索」したとき、検索結果の上位に表
示されるように検索エンジン対策(SEO)を実施する。
• 最も難しいのが口コミ情報のコントロールである。悪い
噂がネットで蔓延していると、それに気づいた消費者は
購入を止める可能性が高い。
• 消費者は時に衝動買いなどを行うなど、常に理性的に
行動するわけではないので理性的でない多くの消費者
に対して効果的なプロモーションを行うことも必要であ
る。
ウェブ広告、SEO、口コミ、SNS、消費者誘導。。。。
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2016/5/22
Web2.0
• Web 2.0とは、2000年代中頃以降における、ウェブ
の新しい利用法を総称する用語である。ティム・オラ
イリーらによって提唱された概念で2004年11月には
初めての「Web 2.0 Conference」がサンフランシスコ
で開催された。
• ティム・オライリーによる定義を超えて新しいビジネ
スモデルであれば何でも、Web 2.0の用語が用いら
れることがあり、バズワード(一見専門用語のように
見えるがそうではなく、明確な合意や定義のない用
語のことである)の様相を呈してきている。
従来のウェブとWeb2.0
従来のWebでは、情報の受信と
受信
それを支える検索という機能だけ
が進化してきたのに対してWeb2.0
情報
情報
は発信と共有という新しい要素の
進化が見えてきた。
ウェブ上の情報は、「受信」「発信」
共有
「検索」「共有」の4つの要素を行き
来しながら回転し、竜巻のように
検索
ユーザー
膨張し始めている。
情報
情報
発信
特徴
• 実体となるサービスやシステムはない。
• 情報を新たにウェブ上に発信するということはリア
ルの世界からインターネット上の世界に情報がシフ
トすること。
• ウェブ上にない情報がどんどんウェブ上に流れ込み
ウェブ自体が大きく変わりつつあるという事実が
Web2.0の本質である。
• 非ウェブ的(人間の思考などを含むあらゆるリアルな
情報)な情報がどんどんウェブ化しており、その速度
は徐々に加速している状態こそがWeb2.0の特徴で
ある。
ティム・オライリー
• 米国の出版社オライリーメディア社のCEO で、次世
代のウェブという意味でWeb2.0を用いた。
• 同様に特徴をまとめて定義づけを試みた人は、多く
存在し、リードライトウェブ、ライブウェブ、ダイナミッ
クウェブなどがある。ただし、これらは、新しいウェブ
の性格を象徴的に表しているため、今後の進化に
ついては想像できない。
• Web2.0は新しいウェブの性格については全く伝えて
いないが、それ以前やそれ以後の流れがわかりや
すい(今まではWeb1.0でこれからはWeb3.0のように)。
つまり進化をしているという方向性だけは明確に伝
えることができる。
Web1.0とWeb2.0
受信
共有
Web2.0
Web1.0
高機能ブラウザ
(ネットスケープ・
員他ネットエクスプ
ローラ)によって受
信機能が進化。
ブラウザ(またはOS)
がプラットホーム
検索
ブログやSNSの登場で発信
と共有が一般化する。
グーグルの登場で検索・受
信・発信・共有の4つの循
環がよりスムーズになって
きた。
ウェブがプラットホーム。
発信
O'Reilly Mediaの「FOO Camp」カンファレンスで行われたブレインストーミングセッ
ションで作成されたWeb 2.0の「ミームマップ」である。
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Web2.0のビジネスモデル
• Web1.0のビジネスモデルはマイクロソフト(もしくは
ネットスケープ)。OSやブラウザ、アプリケーションソ
フトで世界を席巻した。ネットスケープはマイクロソフ
トに戦いを挑みシェア争いに敗れ市場から抹殺され
た。同時期に創業したヤフーやアマゾンはウェブ上
のサービスを武器にしたためマイクロソフトとの直接
対決は避けられた。
• Web2.0のビジネスモデルといえば、グーグルとなる。
パッケージではなく、提供するのはウェブ上の様々
なサービスである。
• Web 2.0の代表的なサービスとして、ロボット型の検
索エンジン、SNS、ウィキによる文書作成システムな
どが挙げられる。
SaaS
• Software as a Service(サーズ)とはソフトウェアを
サービスとして提供するソフトウェア販売の新しい形
である。具体的には、従来の「ライセンス」という形で
パッケージソフトを販売し収入を得るのではなく、ソ
フトウェア機能をインターネットを通じて「サービス」と
して提供し、月額使用料というような形で収入を得る
事業モデルである。
• ASP(Application Service Provider) とほぼ同義語で
ある。ASPが事業の形態を示しているのに対して
SaaSはウェブこそがプラットホームであり、ソフトウェ
アもデータもすべてウェブに置くという思想そのもの
を示しているという違いがある。
Web2.0を代表する企業
Web2.0を代表する企業
• 37signals.com:オンラインプロジェクト管理
ツールの「ベースキャンプ」など小規模ながら
特徴あるサービスを開発。
• Zvents.com :オンラインカレンダーサービス。
• Zimbra.com :情報共有サービス。
• Writely.com :ワープロサービス。現在はグー
グル傘下にある。
• iTuneミュージックストア:音楽配信。
Google グーグル
ウェブを巨大データベースへ
• 2006年現在、ウェブサイトは100億サイト以上あると
試算されるが、その正確な数はわからない。
• 創立当時、ウェブ上のデータをすべて検索可能にす
るためにウェブ上のありとあらゆるデータをインデッ
クスサーバにダウンロードしようとした。それが成功
すると、今度はウェブにない情報(例えば書籍、音楽、
地図、人間の行動履歴)をウェブ上にアップロードし
ようとしている。
• 実現するとウェブで探せない情報はなくなる。
• グーグルはウェブをますます巨大なデータベースに
変えようとしており、その利用方法をますます簡単
にするためのツールを次から次へと開発している。
• そのウェブの大きさと量を具体的に算出し把握して
いる企業がグーグルである。グーグルはウェブの持
つデータ量を把握して、しかもそれを自社サーバの
中にほぼすべて収めている。
• 1998年の創業以来、わずか10年でいまや、時価総
額15兆円(2006/4‐6月期)という巨大企業となってい
る。史上、最大級の成長企業である。
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グーグル
提供の
サービス
サービス名
内容
Gメール
無料ながら、2Gバイト以上の大容量メールボッ
クスが利用できるウェブメール。
グーグルアース
グーグルマップの宇宙版。世界の衛星写真が表
示でき、月面写真も見ることができる。
グーグルマップ
地図を無償で外部利用できるAPIを公開しており、
これにより、企業等が地図データを借用したサー
ビスを提供可能となる。マッシュアップ。
グーグルベース
簡単な操作でファイル形式を問わずに、さまざま
なデータをウェブ上にアップロードしグーグルで
容易に検索できるようにするサービス。
グーグルカレンダー
オンラインのスケジュール共有ソフト。Gメールと
も連携している。グループウェアキラー。
グーグルスプレッドシート オンライン用表計算ソフト。エクセルのデータを
利用できる。※ワープロサービスもある。
グーグルトーク
インスタントメッセンジャー。音声通話も可能。G
メールと連携してボイスメールの送受信も可能。
グーグルマップ
マッシュアップ(Mashup)
• 通常、ウェブ上では、ユーザがリンクをクリックする
たびにブラウザがサーバ側にあるウェブアプリケー
ションと通信し、ページがリフレッシュされるという処
理が必要になる。
• Ajax(Asynchronous;非同期+ JavaScript + XML の略
で)を用いることにより、ページ遷移をすることなく、
カーソルで地図を掴んで動かせることを可能にした。
• 地図だけでなく衛星画像による精緻な上空写真の
表示に切り替えることが可能。
• このデータを他の会社のウェブサイトで流用できる
(外部API)。
• API機能を活用して他のサービスを作ることをマッシュアップ
という。複数のWebサービスのAPIを組み合わせ、あたかも一
つのWebサービスのようにする機能のことを指す。
• 音楽用語のマッシュアップ(複数の音源を組み合わせるとい
う意味)を、音源をWebサービスに置き換えてITの世界でも使
用するようになった。
• 既存のWebサービスを組み合わせて、短期間で、ITの深い
知識がなくても、アプリケーション開発ができることから、新し
い開発技法として注目されている。
• 事例としては、Google MapなどAPIが公開されているWeb
サービスを、CRMなどの企業アプリケーションと組み合わせ
た例などがIT情報誌などで報告されている。
• グーグルマップはAjaxとMashupという流行語を世界中に知ら
しめた画期的なサービスである。
グーグルの脅威
アマゾンとWeb2.0 –CGMとは‐
• グーグルアースの発表とともに、各国政府は国家保全への危機
を与える存在として警戒を深めている。
• グーグルアースでは、真上だけでなく、斜め上からの立体画像
も写し出され、世界中の様々な施設の状態が丸見えになった。
• グーグルのユーザを通じて各国の多様な情報がウェブ上(グー
グルのサーバー)に蓄積されているので、現在の日本人が関心
を持っている事や行動を追跡・分析することが可能となる。国防
上、経済活動上、米国が大きな優位性を持つと言うことになる。
• グーグルがあらゆるデータをアップロードし、多くの人がグーグ
ルの検索エンジンを介してそれらを入手するようになったら、人
類の行動履歴のほぼすべてをデータベース化できると言うこと
になる。
• その脅威を感じて、遅ればせながら日本やフランスは国産の検
索エンジン開発に着手している。
• アマゾンは単なるeコマースサービスの事業者ではなく、その
特徴は膨大なユーザー訪問数と書籍データベース、さらには
その書籍データベースを利用したビジネスにある。
• Web2.0的な要素を示すとすれば、ユーザー参加のコンテン
ツであるCGM(Consumer Generated Media )の機能が付加さ
れているということである。
• CGMはインターネットなどを活用して運営者・管理者ではなく、
利用者・参加者・消費者が内容を生成していくメディアを指す。
例えば、クチコミサイト、Q&Aコミュニティ、ソーシャルネット
ワーキングサービス(SNS)、ブログポータル、BBSポータル、
COI(Community Of interest)サイト等がこれにあたる。Viral的
広がり(爆発的な口コミ)を持つ事もある。
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アマゾンの付加価値
ABC分析
「カスタマーレビュー」。いわゆる口コミ情報。
• カスタマーレビューは「お薦め度」というレーティングに加えて
感想が掲載されており、膨大な訪問者が膨大なカスタマーレ
ビューを産み書籍情報に大きな付加価値を付けている。
「なか見!検索」。いわゆる立ち読み機能。
• これも本の発売元がアマゾンに対して付加価値を提供してい
るものである。
「アマゾン・アソシエイト・プログラム」。
• アマゾン以外のウェブサイトに商品情報を掲載し、そのウェ
ブサイトを経由して商品を購入した場合、ウェブサイトのオー
ナーに購入金額の一定率でコミッションを支払うという仕組
み。これにより、全世界のウェブサイトがアマゾンのビジネス
対象になり、アマゾンへの訪問者を増やす原動力となる。
• アマゾンの場合には独自データベースを開放することにより、
ユーザーを巻き込んでビジネス拡大をはかるという戦略を
とっている。
• 在庫管理や商品発注、販売管理などでABC管理(重
点管理)を行う際に、要素項目の重要度や優先度を
明らかにするための分析手法である。パレート図を
ツールとして管理対象(在庫品目)を重要な順にA・
B・Cの3つのランクに分ける方法である。
もし、あなたが店長ならば、店の売り上げを最大に
するという使命がある。そのためには、商品をなん
でもかんでもならべるというのは不効率となる。
よって、売れ筋の商品をどのように選別するのか
が重要な問題になってくる。実店舗だとスペースの
関係があるので無限大に商品を陳列することがで
きないため、Aグループの商品は陳列棚を増やす、
Bグループの商品は棚を少なめに、Cグループの
商品は取り扱いを中止するなどの管理が必要と
なってくる。
ロングテールとは
実際の店舗においてもら
える書籍はヘッド部分。
ロングテールから収益
下位
あまり売上げのない多種の
書籍は、長く伸びたロング
テールの部分
ヘッド部分の売上が全体の80%を占める
というのが一般的だった。テール部分は
せいぜい20%止まり。
• これまでのビジネスでは、ある特定の分野における売上げは上
位20%が全体の80%を占めるという「パレートの法則」が一般的
であった。つまり残りの80%の商品は重視されていなかった(コン
ビニや本屋実店舗などはこの例)。
• アマゾンなどは、在庫や物流にかかるコストが少ないため、これ
まで重視されていなかったテール部分の80%も商品として組み
込み、そこからの売上げも集積するという新たなビジネスモデル
を生み出した(大規模な集客力があるために実現が可能となる)。
• ロングテールから収益を得るということは、そこに広が
る無数の小さなニーズに対応できるサービスを実現
するということ。
• アマゾンの「アソシエイトプログラム」やグーグルの「ア
ドセンス」、アップルのiTunesミュージックストアが代表
例である。
• アマゾンでは売れ筋13万件の売上げ総額より、それ
以下の商品の売上げ額が大きくなりつつあり、iTunes
では100万曲以上もの楽曲を提供しながら、ダウン
ロードされていない曲は1曲もないと言われている。
グーグルアドセンスでは個人ブログなどの小さいなが
ら無数に存在するウェブサイトのオーナーにも広告を
掲載してもらい巨大な利益をあげている。
ヤフーや楽天は?
• ヤフーや楽天などのポータル型サイトは、
ヘッド部分に依存している。これらのサイトは
巨大な集客力を利用してバナー広告やオンラ
イン店舗ビジネスを行っており、リアルの世界
でのビジネスモデルをインターネット上で展開
しているため、採算が取りやすい。
• しかし、テールは無制限に伸びていると考え
れば、そこから得られる利益は莫大である可
能性もある。
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