「静岡新聞」2016年3月18日 - 直木賞 絵本 児童書 作家/志茂田景樹の

平成
28年 (2016年 )3月 18日
11111歳 まで伊東市で育った志茂
い。もっと自分 を解放できたら楽 にな
■■ 田景樹さん。その後父親の
れるのに、出口が見 つ からず悩 んで
│‐
ズンズン歩い
ギヨッとして目をそらす。
ていくうちに周りの視線はだんだん
へ 1議 会島なくなり、むんだか心地嵐く
なってきたんです」。プロ作家として
たが、
転勤で東京晦
小学義時代
は夏冬 の休みをよく伊東 で過ごした
いましたJ
という。
「 字佐美 の浜で地引き網を手
らアンデイー・ウオーホルのカラフ,レ な
いつのまにか背負い込んでいた、
不
バケツー杯 のムロアジをもらえ
伝うと、
モンローがズラリとプリントされている
ました。翌朝、その一夜干しが食卓に
女性物 のタイツを手渡された。
原稿の
安や虚栄、
傲慢 (ご うまん)な 気分か
ら解き放たれていくような心地良さ。
ある日、ニューヨーク帰 りの知人か
乗る。あの味を覚えると、もう東京 の
に、生まれ故郷はしっかり根を下ろし
ルドの幕開けだった。
をテレビが放っ
「カゲキな文化人」
ていた。
志茂 田景樹 の名 を聞 いて連想す
ておくはずもない。分刻み のスケ
ジュールの合 間の一服がその頃の
るのは、まず直 木 賞作 家 。そしてそ
の奇抜 ないでたちだろう。しかし、最
初 か らカゲキだったわ けではない 。
締め切 りに追われてホテルに缶詰 め
「火を
気分転換の時間だったという。
つけると始まる、
ちよっとぜいたくな時
になっていたとき、
志茂 田さんは何の
間。固まっていたものがすうっとほぐれ
気なしにそのタイツを履 いてみたとこ
ていく感じが′
さ地良かったJと 志茂田
生きるマタギを描 いた
「 黄色 い牙」で
ろ心がスッと軽 くなったという。ジーン
直 木 賞 受 賞 を果 たす 。その後 も、
ズを短 く切った即席 の短 パ ンとお気
さん。今でも酒席で愛煙家が隣に座
れば、
会話と一緒に紫煙も楽しむとい
ユーモ ア推 理小 説 や、歴 史小 説な
に入りのTシ ャツを合わせて、直木賞
「大人として場をわきまえさえすれ
う。
ど人気作 品を発表するが、
社会から
作家はそのまま街 に出た。
「すれ違う女性たちが目を丸くして
さを感じ始 めていたという。
「 心 が重
笑 っている。サ ラリーマ ンた ちは、
寄 せ られ る相 談 に はす ぐに返 事 をす る とい う (都 内事 務 所 で
│■
F堡 ::11[冤 [[
1キ
ば、人の楽しみ方はそれぞれあって
いいと思うし、ルールをがちがちに当
てはめる考え方は好きじゃないJ
)
まれる。大人たちもシーンと聞き入 っ
「読み聞かせでも、上から目線では
ている。あらためて読み 聞かせ の力
相手の心には響きません。質問者と
動を行っている。一つは読み聞か
せ。あるサイン会で親子を前に即興
を認 識 した」と言 う志 茂 田さんは、
同じ目線に立ち、自分の言葉で答え
1998年 に仲 間と
「よい子 に読み聞か
るよう心掛けていますJと 、
志茂田さ
で絵本や童話を朗読してみた。
「子
せ 隊」を結成。隊長として、昨年まで
んはどこまでも折り目正しい。
どもたちはすく
に お話の中に吸い込
に全 国 で1,808回 もの読み 開かせを
行っている。
ど
`■
│
幼 稚 園 での 読 み聞 かせ の様 子 (2003年 浜松 市
もう一つの顔 は、ッイッター
を認めない雰囲気の中で、閉塞感や
あせりを感じている働き盛りの大人
が多いようです。申(さ る)年 の今年
現象 にもなっている。毎 日全
銀
国から寄せ られる悩 み事 や
質 問 一 つ一 つ に目を通 し、
丁寧 に自分 の思 いを返す 。
)
「今、
時代が少しずつ息苦しくなっ
てきたように感じます。多様なあり方
での人生 相談だ。フォロヮー
は約27万 人 にも上 り、社 会
軍■11
ん し
の注 目に志茂田さんは次第に息苦し
し
大学 卒業後、職業を転 々としながら
小 説を書き始め、40歳 で厳 しい掟 に
.‐
カゲ キ で真 摯 な 自 然 体
志 茂 田景 樹 と い つ生 き 方
い」。今 年76歳 を迎 える志茂 田さん
志茂田さんはそのまま銀座まで歩き
続け、なじみのバーでは大いにうけ
た。この体験が今に続くカゲキ ワー
干 物 なんか食 べ られ たもんじゃな
志茂 田 景樹
作家 .よ い子に読み聞かせ隊 隊長
春■「 翔膚 4,1● 4● 事●H″ む円
伊東市生まれ。中央大法学部卒業。
2000年 に還暦を迎えて自ら新○歳と
称し、今年「16歳 Jを 迎える。好きな
言葉は「ゆっくりと かしこくなろう」
だからこそ、よく見てよく聞き、
積極的
に自分の考えを話してみましょう。だ
れもが自由を感じながら自然体で生
きられる社会であり続けたいですねJ
人 生 の 転機 をつ くった モ ン ロ ー タ イ