IT部 - 日本情報システム・ユーザー協会

2015年度 アドバンスト研究会
サービスサイエンス研究プロジェクト
活動報告
ITサービスにおける
ユーザー企業とベンダーのあるべき共創関係
trade secret
サービスサイエンス研究プロジェクトの紹介
 ⽇本情報システム・ユーザー協会 アドバンスト研究会「サービスサイエンス
研究プロジェクト」ではITサービスをサービスサイエンスの観点から研究する
ことを⽬的に活動している研究会です。
 2015年度からは「ITサービスにおけるユーザー企業とベンダーのあるべき
共創関係」というテーマで研究を進めています。
 この資料は2015年度の活動結果をまとめたものです。
trade secret
1
研究の背景
trade secret
2
サービスの価値共創モデル
送り手 (従業員) +経営者
サービスを受けたい
気にさせる
受け手(顧客)+グループ
・サービスコンテンツ(サービス品質)
・サービスプロセス(プロセス品質)
リアルタイムな共創
コスト
(見える化)
事前
期待
受け手
の成長
サイクル
交換
価値
(納得感)
(収益)
・サービスの実績評価
(満足・感謝・要求・叱責)
(ヒアリング、観察、VOC・・・)
・リピート、顧客紹介
バッチの共創
経験
価値
(使用価値)
グループ
勉強会
学習・
実績評価
顧(客満足)
料金
顧客
セグメント
モチベーション
モチベーション
従業員満足
実績評価顧客満足の評価
論理的満足と感情的満足
・学習
受け手の
サービス
の成長
サイクル
経験
価値
コーチング、
マネジメント
満足、感謝、要求、叱責
事前
期待
送り手
の成長
サイクル
経営や従業員の
情報共有
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送り手の
顧客ロイヤリティ
スタッフ
セグメント
次の期待とリテラシ
・事前期待のマネジメント
従業員ロイヤリティ
サービスへの投資と環境の整備
次の期待とコンピタンス
サービスの改善
(狭義のサービスプロセス)
口コミ、SNS
(全体が広義の
サービスプロセス)
3
これまでの共創関係が引き起こした負の側⾯
⽇本企業のITケイパビリティの低下に
対する懸念が年々増している




経営者のITに対する無理解
ITを活⽤した製品・サービスのイノベーション不⾜
IT部⾨の能⼒不⾜と”発注部⾨化”
”ベンダー依存”、”ベンダーロックアウト”
ITベンダーへの依存が⽇本企業のITケイパビリ
ティの低下を引き起こしたのでは?という疑問。
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4
ベンダー頼みの⽇本のIT
 電⼦情報技術産業協会のベンダーへの期待の調査でも
⽇本企業の「ベンダー依存」傾向が⾒てとれる。
⽇本企業がベンダーに期待すること
業務改善のための提案⼒/コンサルティング⼒
要望に対する柔軟な対応
低価格でのサービス提供
業務変⾰や新事業創出の提案⼒
開発から運⽤/保守まで⼀貫したサービス提供
出典:JEITA 2013
新たなIT技術導⼊に関する⾼いスキル
0%
trade secret
10%
20%
30%
40%
50%
60%
5
研究の⽬的
【研究テーマ】
ユーザー企業とITベンダーが互いに能⼒を
⾼める関係=真の共創関係の在り⽅を探る
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6
企業ITを取り巻く状況
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7
近年の企業ITを取り巻く状況
事業部と
既存のIT資産
①エンタープライズITの構築機能
IT機能
(IT部⾨)
②製品/サービスへの
IT活⽤機能
事業部
trade secret
③全社のIT
インテグレーション機能
経営者
8
各機能の説明
事業部と
既存のIT資産
①エンタープライズITの構築機能
IT機能
(IT部⾨)
事業部
trade secret
経営者
9
エンタープライズITに関する昨今の議論
企業のITを⽀える機能はこれまでの⾃社システムの構築
・管理に加え、プロとして知⾒や技術をユーザー部⾨に
提供し、協⼒関係を築くことが求められる。
プロジェクトの最終ゴール
(ユーザー部⾨の役割)
• 事業戦略の策定
• 現⾏業務の理解
• 新たな業務の定着
(IT機能の役割)
コミット
IT機能
ユーザー 協⼒
関係 (IT部⾨/
部⾨
ベンダー)
(共通の役割)
• 新たなテクノロジーへ
の知⾒
• プロセス変⾰の
進め⽅のアドバイス
• システム導⼊/管理
• プロジェクトのマネジメントとコ
ミットメント
• ビジネスプロセスの理解(共有)と
あるべきプロセスの策定
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10
ユーザー事例:インテリジェンス
【社内専⾨家育成】
16年4⽉よりBITAの輩
出・融合化を計画
【その他・シャドーIT防⽌】
IT予算や決済権限をBI部⾨に
移管
【社内専⾨家育成】
ビジネスプロセスマネジメ
ントに精通するBITA育成
企業連合体
インテリジェンス
Biz Div.
BI部⾨
⼈材輩出
Biz Div.
BITA
BI
⼈材輩出
SOAの知⾒提供
ツール提供
サイト
プロデュース
開発・運⽤
⼦会社
Oracle
Microsoft
開発・運⽤
ツール提供
SIer
インテリジェンスビジネスソリューションズ(IBS)
IBSGB(沖縄)
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IBSベトナム
マネジメント
海外開発
パートナー
【ベンダーポートフォリオ確⽴】
ビジネスプロセス構築能⼒保持により
ベンダーへの期待を明確に出来る
11
各機能の説明
事業部と
既存のIT資産
IT機能
(IT部⾨)
②製品/サービスへの
IT活⽤機能
事業部
trade secret
経営者
12
製品/サービスへのIT活⽤機能
 製品やサービスにおけるITの活⽤が進み、これらに対する
貢献も求められている。
出典:http://panasonic.jp/
出典:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141330.html
出典:http://response.jp/article/2015/10/26/262813.html
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13
各機能の説明
事業部と
既存のIT資産
IT機能
(IT部⾨)
③全社のIT
インテグレーション機能
事業部
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経営者
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全社のITインテグレーション機能
 個別の事業に閉じた製品/サービスにとどまらず、ITを軸に
全社横断の製品・サービス連携によって顧客への提供価値を
向上させる。
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事例1:コマツ_KOMTRAX/KOMTRAX Plus
サービス改善
盗難防⽌
稼働状況把握
測量
⾃動施⼯
出典:IT Leaders (http://response.jp/article/2015/10/26/262813.html)
(出展)http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/profile/product_supports/
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部品交換
燃料補給
保守
16
本研究におけるITの範囲
 今後は従来のエンタープライズITだけではなく、より広い
範囲でITを捉えておく必要がある。
1
エンタープライズ
IT
基幹系を中⼼とした企業の業務⽀援システムの構築、
保守&運⽤能⼒。
2
先端
テクノロジー開発
AI、ロボティクス、スーパーコンピュータ、新たなア
ルゴリズム等、最先端のテクノロジーの開発と実務適
⽤に関する研究。
3
ネットサービス
EC(アマゾン、楽天)、ネットサービス(グーグル、
UBER)、携帯ゲーム(DeNA)等のインターネット上
で展開されるサービスの開発、保守&運⽤。
4
組み込み・制御系IT
⾃動⾞やエレベータ、家電等、製品制御のためのソフ
トウェア開発。
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17
ITケイパビリティ強化の⽅向性
 エンタープライズ領域は従来のケイパビリティを維持・
向上させ、同時に新たな領域については今後ケイパビリ
ティを創造・醸成していかなくことが適切と考えられ
る。
【旧来の領域】
1
エンタープライズ
IT
2
先端
テクノロジー開発
3
ネットサービス
4
組み込み・制御系IT
trade secret
従来のケイパビリティ
を維持・向上させる
【新たな領域】
新たにケイパビリティを
創造・醸成していく
18
これからのユーザー企業と
ITサービスベンダーの関わり方
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19
外部活⽤の観点
 ユーザー企業が共創的に外部を活⽤する際の観点とし
て、以下の2点が考えられる。
1
エンタープライズ
IT
2
先端
テクノロジー開発
3
ネットサービス
4
組み込み・制御系IT
trade secret
セレクティブソーシング
による戦略的な外部活⽤
国内外問わず、
最新技術を持った
ベンダーから学ぶ
20
外部(内部)活⽤の三つの考え⽅
 業務の運⽤⽅法にはインソーシング、アウトタスキング、
アウトソーシングの3つの考え⽅がある。
インソーシング
(内部リソースで運⽤)
アウトタスキング
(外部から労働⼒のみ借りる)
アウトソーシング
(ベンダーがプロセスを運営)
trade secret
 機密性の⾼い業務は原則、インソーシングする。
 ビジネスプロセスを⾃社で管理し、⾃社の内部リ
ソースでビジネスプロセスを運⽤する
 機密度が⾼くない場合、⾃社が管理するビジネスプ
ロセスを外部のリソースを借りて運⽤する
 ビジネスプロセスは発注者側が定義し、進捗管理や
品質管理を発注者主体で⾏う
 市場や業界で標準化されたプロセスや、特定領域に
特化したベンダーがいる場合に利⽤する
 プロセスの委託範囲や求める成果は⾃社で定義する
が、プロセスはベンダーのものに従う。
21
セレクティブソーシングとは
 セレクティブソーシングでは、ユーザー側がプロセスを管理
し、リソースを外部から借りる、SLA締結の上で部分的に
アウトソーシングする等の選択を主体的に⾏う。
従来の外部活⽤
セレクティブソーシング
ユーザー企業
ユーザー企業
(フル)アウトソーシング
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ネットワーク管理
アウト
タスキング
OAサポート
ブラックボックス化
サーバー
保守・運⽤
BA
IS企画~開発
SLA
各SP
運⽤ベンダー
VMO
アウトソーシング
SE
SIer
PJ(PG)M
22
COBIT(IT統制フレームワーク)
 セレクティブソーシングを⾏う際に⾃社で統制すべき
プロセスを把握するにはCOBITが参考になる。
IT部⾨の役割
モニタリングと評価
組織と計画
ITマネジメント
戦略管理
フレームワーク管理
EA管理
イノベーション
管理
ポートフィリオ
管理
予算と
コスト管理
サービス契約
の管理
サプライヤー
管理
品質管理
リスク管理
セキュリティ
管理
組織の
変⾰実現の
管理
変更管理
関係管理
調達と導⼊
ソリューションの
プログラムと 要件定義の
可⽤性と
特定と構築の
キャパシティ管理
PJT管理
管理
管理
知識管理
資産管理
構成管理
⼈的資源
の管理
成果と整合性の
モニタリング・評価
およびアセスメント
内部統制システムの
モニタリング・評価
およびアセスメント
変更受⼊と
移⾏の管理
外部要件への
準拠性のモニタリング
評価およびアセスメント
サービス提供とサポート
オペレーション
管理
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サービス要求と
インシデント管理
問題管理
継続性
管理
セキュリティ ビジネスプロセス
サービス管理
コントロール
23
サービスの価値共創モデル(再掲)
送り手 (従業員) +経営者
サービスを受けたい
気にさせる
受け手(顧客)+グループ
・サービスコンテンツ(サービス品質)
・サービスプロセス(プロセス品質)
リアルタイムな共創
コスト
(見える化)
事前
期待
受け手
の成長
サイクル
交換
価値
(納得感)
(収益)
・サービスの実績評価
(満足・感謝・要求・叱責)
(ヒアリング、観察、VOC・・・)
・リピート、顧客紹介
バッチの共創
経験
価値
(使用価値)
グループ
勉強会
学習・
実績評価
顧(客満足)
料金
顧客
セグメント
モチベーション
モチベーション
従業員満足
実績評価顧客満足の評価
論理的満足と感情的満足
・学習
受け手の
サービス
の成長
サイクル
経験
価値
コーチング、
マネジメント
満足、感謝、要求、叱責
事前
期待
送り手
の成長
サイクル
経営や従業員の
情報共有
trade secret
送り手の
顧客ロイヤリティ
スタッフ
セグメント
次の期待とリテラシ
・事前期待のマネジメント
従業員ロイヤリティ
サービスへの投資と環境の整備
次の期待とコンピタンス
サービスの改善
(狭義のサービスプロセス)
口コミ、SNS
(全体が広義の
サービスプロセス)
24
外部活⽤の観点
 ユーザー企業が共創的に外部を活⽤する際の観点として、
以下の2点が考えられる。
1
エンタープライズ
IT
2
先端
テクノロジー開発
3
ネットサービス
4
組み込み・制御系IT
trade secret
セレクティブソーシング
による戦略的な外部活⽤
国内外問わず、
最新技術を持った
ベンダーから学ぶ
25
現状のUISSの体系
 既存のITスキル体系の⼤半は、これからの市場で必要とされ
るITケイパビリティを満たしていない。
trade secret
※ UISSより
26
これからのIT機能に求められる役割
 市場では、時代に即したITケイパビリティを担う新たな役割
が次々と誕⽣している。
データサイエンティスト
(アナリスト)
カスタマーエクスペリエンス
スペシャリスト
グロースハッカー
エンタープライズ
アーキテクト
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企業内外のデータ分析とビジネス適⽤のスペシャリスト
顧客接点(顧客経験)のスペシャリスト
製品・サービスを育てるアジャイル型のマーケッター(R&D
スペシャリスト)
ビジネスプロセスとIT全体にビジネスモデル(プラン)や戦
略を適⽤し、全体最適の企業構造を⽴案するスペシャリスト
(広義の)デザイナー
デザインシンキングを理解した広義のデザイナー、アプリ
ケーションのデザインだけでなくビジネスモデル、プロセ
ス、システム全体のデザインを担当
SME(サブジェクト
マターエキスパート)
AI、ロボティクス、BI、クラウド、IoT等の各技術領域の専⾨
家
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事例_⼤⼿製造業
 新たに求められる役割を⾃社IT⼈材の体系に組み込む企業が
増えている。
IT部⾨の役割
「ビジネスプロセスの変⾰」
「ソリューションとしてのIT提供」
機能別に8つのロールを設定し、各ロールを個別の
組織に担わせて⼈材を育成している。
IT⼈材
ポートフォリオ
trade secret








IT Architect
IS Architect
Business Analyst
IT Specialist
Application Analyst
Program/Project Management
Planning & Financial Management
Data Scientist
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最新技術をもったベンダーから学ぶ
新たにITケイパビリティを
創造・醸成していく領域
新しい技術を外部から得るための施策例
 定期的なベンダーとの意⾒交換(勉強会)
 ⼤⼿ベンダーから専⾨ベンダーへのシフト
(なんでもできる⼤⼿ではなく、特定の領域に
⼤きな強みを持つベンダーを活⽤する)
 海外拠点/海外の会社の積極活⽤と社員の派遣
trade secret
29
事例_⼤⼿製造業
 ある⼤⼿製造業では、⼈財育成の領域ごとに適した海外拠点
を選定し、現地に社員を派遣しベンダーと協業している。
デジタル
マーケティング
@ロンドン
データサイエンティスト/
Iot/ビッグデータ研究
@シリコンバレー
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グローバル
ソーシングセンター
@インド
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サービスの価値共創モデル
送り手 (従業員) +経営者
サービスを受けたい
気にさせる
受け手(顧客)+グループ
・サービスコンテンツ(サービス品質)
・サービスプロセス(プロセス品質)
リアルタイムな共創
コスト
(見える化)
事前
期待
受け手
の成長
サイクル
交換
価値
(納得感)
(収益)
・サービスの実績評価
(満足・感謝・要求・叱責)
(ヒアリング、観察、VOC・・・)
・リピート、顧客紹介
バッチの共創
経験
価値
(使用価値)
グループ
勉強会
学習・
実績評価
顧(客満足)
料金
顧客
セグメント
モチベーション
モチベーション
従業員満足
実績評価顧客満足の評価
論理的満足と感情的満足
・学習
受け手の
サービス
の成長
サイクル
経験
価値
コーチング、
マネジメント
満足、感謝、要求、叱責
事前
期待
送り手
の成長
サイクル
経営や従業員の
情報共有
trade secret
送り手の
顧客ロイヤリティ
スタッフ
セグメント
次の期待とリテラシ
・事前期待のマネジメント
従業員ロイヤリティ
サービスへの投資と環境の整備
次の期待とコンピタンス
サービスの改善
(狭義のサービスプロセス)
口コミ、SNS
(全体が広義の
サービスプロセス)
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