青山学院大学理工学部 講 師:林 科学・技術セミナー(第1回) 洋一(理工学部電気電子工学科教授) テーマ:「三相電圧形インバータの PWM 制御と空間ベクトルを用いた動作解析」 【概要】 三相電圧形インバータによる交流電動機の可変速制御の高性能化のためには、デッドタイムやデ バイスのオン電圧による電圧制御誤差を出来るだけ正確に補償する必要がある。このためには、 PWM 制御による電流リプルも考慮した検討が不可欠であり、PWM 制御の詳細と電流リプルの解析 手法について十分な理解が必要となる。今回のセミナーでは、 「三相電圧形インバータの PWM 制御 と空間ベクトルを用いた動作解析」と題して、電流制御系の考え方も含め、以下の内容を分かり易 く説明する。 【目次】 1. 空間ベクトルとは 空間ベクトルと三相電圧・電流の関係や変換式の考え方、コモンモード成分(零相分)の取扱 い、複素数としての取扱いとベクトルとしての取扱いの考え方、三相電圧形インバータの出力 可能な電圧ベクトル、等について説明する。 2. 中間電圧1/2加算方式とは PWM 制御の基本である三角波比較方式においてコモンモード成分として3つの三相電圧指令 値の中間に位置する指令値の1/2を加算する手法について説明し、出力電圧範囲の拡大ととも に、電流リップルの最小化が図れることを示す。 3. PWM 制御によるリプル電流の解析 空間ベクトルを用いてリプル電流を計算する手法の考え方を説明し、デバイスがスイッチング する時点での瞬時電流が簡単に求められることを示す。 4. デッドタイムによる電圧制御誤差の考え方 実用上問題となるデッドタイムによる電圧制御誤算の考え方について説明し、電流零クロスで の正確な誤差補償のためには、リプル電流の考慮や三角波の半周期毎の誤差補償が重要である ことを示す。オン電圧による誤差電圧についても説明する。 5. 電流制御の考え方 電動機制御系の基本となる電流制御の考え方について説明する。PWM のキャリア周期でのサ ンプル値制御となること、1 サンプル周期の遅れの考慮が重要であることを分かり易く説明する。 以上
© Copyright 2024 ExpyDoc