一億総活躍社会の実現に向けた国有地の有効活用について

資料2
一億総活躍社会の実現に向けた国有地の有効活用について
平成28年5月17日
財務省理財局
Ⅰ 介護施設整備に係る国有地活用について
1
○ 介護施設整備に係る国有地活用策
2020年代初頭までの「介護離職ゼロ」の実現に向けて、介護施設整備を加速化させる観点
から、以下の基本的考え方に基づき、国有地を積極的に活用する。
①介護離職ゼロについて、2020年代初頭までの達成を目指すこと
②介護施設整備にあたり、初期投資の負担軽減に資すること
③関係する他の政策と整合的かつ相乗効果が生じるものであること
その際、特に都市部における介護施設整備の加速化に資するよう、政策的に必要な期間、
地域、対象施設において、定期借地権による減額貸付を実施する。
【具体的な活用スキーム】
1.実施期間 : 平成28年(2016年)1月1日から平成32年度末(2020年度末)
2.実施地域 : 東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、福岡
3.対象施設 : 別添【第1】に定める施設を対象とする。なお、当該施設に別添【第2】に定める施設が合築又は併設
される場合は、当該施設 を対象施設に含める。
4.定期借地貸付料の減額等
・ 定期借地権による貸付にあたっては、初期投資の負担軽減に資するよう、貸付契約締結日から10年
間に限り、貸付料を時価から5割減額
・ 定期借地権による貸付契約に際して、社会福祉法人も契約保証金免除 等
5.地方公共団体との連携 (資料4頁参照)
2
(別 添)
➣ 対象施設
第1に定める施設を対象とする。なお、当該施設に第2に定める施設が合築又は併設される場合は、当該施設を対象施設に含める。
【第1】
【第2】
施設名
根拠法令
・特別養護老人ホーム
社会福祉法第2条第2項第3号
老人福祉法第20条の5
・養護老人ホーム
社会福祉法第2条第2項第3号
老人福祉法第20条の4
・軽費老人ホーム※
社会福祉法第2条第2項第3号
老人福祉法第20条の6
・小規模多機能型居宅介護事業の用
に供する施設
社会福祉法第2条第3項第4号
老人福祉法第5条の2第5項
・認知症対応型老人共同生活援助事
業の用に供する施設
(認知症高齢者グループホーム)
社会福祉法第2条第3項第4号
老人福祉法第5条の2第6項
・生計困難者に対して、無料又は低額
な費用で介護保険法に規定する介護
老人保健施設を利用させる事業の用
に供する施設
社会福祉法第2条第3項第10号
特記事項
※ケアハウス(介護保険法
に基づく特定施設入居者生
活介護の指定を受けるもの)
又は都市型軽費老人ホーム
に限る。
施設名
根拠法令
特記事項
・老人居宅介護等事業の用に供する 社会福祉法第2条第3項第4号
施設※
老人福祉法第5条の2第2項
※定期巡回・随時対応型訪問介護
看護事業の用に供する施設のうち、
社会福祉法第2条に規定する事業
の用に供する施設に限る。
社会福祉法第2条第3項第4号
老人福祉法第20条の2の2
※認知症対応型通所介護に係る施
設又は介護予防認知症対応型通所
介護に係る事業の用に供する施設
に限る。
・老人デイサービスセンター※
社会福祉法第2条第3項第4号
老人福祉法第5条の2第4項
・老人短期入所事業の用に供する施
地域における医療及び介護の総
設※
合的な確保の促進に関する法律
第5条第2項第2号ロ
※地域における医療及び介護の総合
的な確保の促進に関する法律に基づく
緊急の対応を行うものとして整備され
る施設に限る。(虐待のほか要介護者
の急な疾病等に対応するための緊急
ショートステイ)
本対象施設は、平成28年3月17日付で一部改正。
(注1)第1の複数の施設を合築又は併設により整備した場合についても、本通達の対象施設となる。
(注2)第1及び第2の施設は、定期借地権設定のための一時金の支援事業(「医療介護提供体制改革推進交付金、地域医療対策支援臨時特例交付金及び地域介護対策支援臨時特例交付金の運
営について」(平成26年9月12日付厚生労働省医政発0912第5号・老発0912第1号・保発0912第2号)別紙「地域医療介護総合確保基金管理運営要領」別記1‐2の2‐(3)に規定する事業をいう。)の対象
となる施設のうち、社会福祉法第2条に規定する事業に係る施設。
(注3)第1又は第2の施設に付設される施設内保育施設であって、上記事業の遂行上直接必要と認められるものを含むものとする。
3
➣ 国有地を活用した介護施設整備における地方公共団体との連携(イメージ)
地方公共団体
③国有地活用の
検討・調整
⑤事業認可
社会福祉法人
①新たな制度の説明・連携体制の構築等
②情報提供(未利用国有地リスト) ⇒財務局HPで公表
④個別の国有地について
協議・調整
国(財務局)
⑤定期借地による貸付
(又は優先的売却)
①国(財務局)は、各地方公共団体に対し、制度の概要を説明するとともに、地方公共団体との連携体制を構築
②国(財務局)より地方公共団体に対して、未利用国有地のリストを提供し、当該リストを国(財務局)HPで公表
③地方公共団体において、情報提供を受けた国有地について介護施設用地としての活用を検討(注)
(注)地方公共団体において、社会福祉法人による介護施設用地としての活用見込を検討
④国(財務局)と地方公共団体との間で、個別の国有地について具体的に協議・調整
⑤国(財務局)は、地方公共団体が決定した社会福祉法人に対し定期借地による貸付(又は優先的売却)
地方公共団体は、当該社会福祉法人に対し事業認可
(※)具体的な連携スキームについては、財務局と地方公共団体との協議により決定。
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○ 介護施設整備に係る国有地活用策の具体的取組(平成28年3月末現在)
 対象地方公共団体との調整及び情報提供
財務局等から対象地方公共団体(8都府県、110先)に対し、介護施設としての活用が可能と見込
まれる未利用国有地約300件について情報提供。
各地域の実情を踏まえつつ、各地方公共団体と国有地の活用について調整。
【地方公共団体との調整の中で認められた課題】
 第6期の事業計画は策定済みであり、第7期以降の計画での整備の前倒しが必要。
 地方公共団体において国有地が特定されず事業者公募が実施される場合は、同公募の受付期間終了まで介護施設
整備に国有地が活用されるか否か判明せず、処分を留保せざるを得ない。
 事業者選定等に係る透明性・公正性の確保
国有地を活用した介護施設整備については、国有地が国民共有の貴重な財産であることに
鑑み、貸付相手方である事業者の選定等に係る透明性・公正性の確保が特に重要である。
このため、厚生労働省において地方公共団体に対しその旨要請を行うとともに、財務省におい
ても、地方公共団体に対し情報提供を行った財産については、財務局等のウェブサイトに公表。
関東財務局ウェブサイトより
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○ 介護施設整備に係る国有地活用策の具体的取組(平成28年3月末現在)
 国有地活用の実績
本年1月以降、本制度を活用して契約を締結した案件は以下のとおり。
なお、情報提供した国有地のうち、地方公共団体との協議を踏まえ、介護施設整備への活用の
可能性があると見込まれる財産については、今後、公募等の手続きを進めていく予定。
【参考】 契約実績
所在
土地面積
利用用途
契約締結日
東京都世田谷区深沢1‐29‐4
約4,180㎡
特別養護老人ホーム、
都市型軽費老人ホーム等
H28.1.29
千葉県千葉市稲毛区作草部1‐903‐2
約1,880㎡
認知症高齢者グループホーム、
小規模多機能型居宅介護事業所等(注)
H28.3.30
(注)児童発達支援事業・放課後等デイサービス事業(児童福祉施設)を併設
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○ 介護施設整備における地方公共団体との連携事例(福岡市)
 福岡財務支局より福岡市に対して、市内に所在する1,000㎡前後の国有地13件について情報提
供のうえ、具体的活用についての協力を要請
 これを受けて、福岡市において、国有地13件について特別養護老人ホーム開設事業者を募集の
うえ、採択事業者を決定する公募手続きを実施
※ 福岡市ウェブサイトにおいて、特別養護老人ホーム開設事業者募集要項を公表し、福岡財務支局ウェブ
サイトと相互リンク貼り付け
【福岡市における事業者公募手続き】
・ 開設事業者説明会の実施(福岡財務支局より本施策の概要説明)(3月29日)
・ 事業者は、福岡市との事前調整を経て福岡市の募集手続きに応募(7月末まで)
・ 福岡市が内容審査後、採択事業者を決定(11月頃)
 福岡財務支局において、福岡市が決定した事業者と契約締結 ⇒ 介護施設整備
福岡市ウェブサイトより
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Ⅱ.保育施設整備に係る国有地の活用について
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(出所)子ども・子育て会議、子ども・子育て会議基準検討部会合同会議資料(平成28年1月26日)
待機児童解消加速化プラン
◆ 待機児童の解消を目指し、平成25年度から平成29年度末までに40万人分の保育の受け皿を確保することを
目標とした「待機児童解消加速化プラン」に基づき取り組んでいるところ。
◆ 平成25・26年度の2か年で合計約21.9万人分の保育の受け皿拡大を達成し、平成29年度までの5か年の合計は約
45.6万人分の保育の受け皿拡大を見込んでいる。
◆ 今後、25~44歳の女性の就業率上昇が更に進むことを念頭に、加速化プランに基づく平成29年度末までの整備目
標を前倒し・上積みし、40万人分から50万人分とすることとする。
◇ 「待機児童解消加速化プラン」集計結果(平成27年度)
支援パッケージ ~5本の柱~
①
賃貸方式や国有地も活用した保育所整備(「ハコ」)
②
保育を支える保育士の確保(「ヒト」)
③
小規模保育事業などの運営費支援等
④
認可を目指す認可外保育施設への支援
⑤
事業所内保育施設への支援
1・2歳児の保育所等利用率の推移
(平成29年度末)
(平成26年4月)
(平成27年4月)
50万人分確保時の利用率
1、2歳児 : 35.1% → 38.1% → 48.0%
< 【参考】女性の就業率: 70.8%(2014年) → 76%(2020年) >
(注)利用率:利用児童数 ÷ 修学前児童数
平成26年4月の利用率は小規模保育事業等を含んでいない。
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(出所)厚生労働省公表資料
(平成27年9月29日)
待機児童解消加速化プランの状況
◆保育拡⼤量の推移
平成25年度
保育拡大量
平成26年度
保育拡大量
72,430人
146,257人
( 計 218,687人 )
平成27年度
保育拡大量
平成28年度
保育拡大量
平成29年度
保育拡大量
平成25~29年度
合計
117,250人
81,407人
39,262人
456,606人
*平成27年度保育拡⼤量は、平成27年5⽉29⽇時点で把握した各市区町村における27年度末の実績⾒込み。
*平成28年度は81,407⼈、平成29年度は39,262⼈で計120,669⼈分拡⼤する⾒込み。
*上記のほか、平成28年度から、企業主導型保育事業により最⼤5万⼈の保育の受け⽫を整備。
◆平成26年度の保育拡⼤量
認可保育所
(注1)
H26→H27
▲ 13,505
単位(人)
幼保連携
幼稚園型
地方裁量型
認定こども園 認定こども園 認定こども園
138,920
8,812
437
小規模
保育事業
21,774
家庭的
保育事業
▲ 1,447
事業所内
保育事業
2,194
居宅訪問型 地方単独事業
保育事業 のいわゆる保育室
13
▲ 7,300
その他
合計
▲ 3,641
146,257
(注1)保育所型認定こども園の保育所部分を含む
◆平成27年4⽉1⽇の保育の受け⼊れ枠
認可保育所
(注1)
平成27年4月1日
2,260,534
幼保連携
認定こども園
184,873
幼稚園型
認定こども園
20,502
地方裁量型
認定こども園
2,715
単位(人)
小規模
保育事業
25,445
家庭的
保育事業
4,285
事業所内
保育事業
5,147
居宅訪問型
保育事業
13
地方単独事業
のいわゆる保育室
46,227
その他
合計
77,640 2,627,381
(注1)保育所型認定こども園の保育所部分を含む
10
○ 保育分野における国有地活用状況
 平成25年6月の「日本再興戦略」に盛り込まれた「待機児童解消加速化プラン」については、平成27年11月の「一億総活
躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」において、同プランに基づく平成29年度末までの「保育の受け皿」の整備
目標を40万人分から50万人分に上積みがなされ、待機児童解消を目指すこととされている。
 同プランにおける「国有地を活用した保育所整備」に基づき、これまでも財務省としては、地方公共団体に対して、廃止宿
舎跡地などの国有地情報を提供し、優先的売却や定期借地制度を用いた国有地の貸付けを積極的に行っている。

この結果、
・ 平成25年4月以降、保育所整備への国有地活用実績としては、契約締結済が56件あり、具体的な協議中及び活用要
望のある財産を含めると110件となっている。
・ これらにより、首都圏を中心に約8,000人分の保育の受け皿確保に貢献することとなる。
(参考)
全国待機児童数
23,167 人 (平成27年4月現在 : 厚生労働省発表)
〈保育分野における国有地の年度別契約状況 (平成22~27年度)〉
〈平成25年4月以降の保育分野における国有地の活用等状況〉
【単位:件】
【単位:件】
年 度
22
23
24
25
26
27
22~27
合計
保育分野
3
13
7
15
19
22
79
売 却
3
4
4
10
9
10
40
1
2
2
2
4
6
17
0
9
3
5
10
12
39
0
7
2
3
9
7
28
うち首都圏
定 借
うち首都圏
※平成28年3月末時点
売却
定借
合計
29
27
56
(今後契約予定)
(要望書既受領)
21
24
45
活用要望有
5
4
9
合計
55
55
110
契約締結
協議中
※平成28年3月末時点の計数であり、今後の協議等により、変動があり得る。
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○ 保育施設整備に係る更なる国有地活用策
 保育の受け皿の拡大を促進する観点から、国有地等の更なる活用策として、以下の対応を行うこと
とする。
◆ 国家戦略特区に基づく都市公園内にある無償貸付中国有地の活用
国有地を無償貸付中の公園敷地内において保育所を整備する場合、無償貸付を継続することが
できる国家戦略特区制度について周知を図るとともに、申請があった場合は速やかに設置を承認。
(参考1) 特区制度を活用した都市公園への保育所設置予定は5件(いずれも敷地は公有地)。
敷地が国有地の公園では、東京都に無償貸付中の都立代々木公園敷地の一部に保育所を設置
するため、渋谷区において事業者選定の公募手続中。なお、東京23区内において国有地を無償
貸付中の公園(貸付面積3,000㎡以上)は55件(28年3月末現在)。
(参考2) 国家戦略特区として、東京圏(東京都、神奈川県、千葉市及び成田市)、関西圏(大阪府、
兵庫県、京都府)、沖縄県、仙台市等の計10区域が指定されている。
◆ 小規模財産の掘り起こし・情報提供
これまで、保育・介護施設整備のため、地方公共団体の意向を踏まえ、1,000㎡以上の比較的規模
の大きな財産を中心に地方公共団体に情報提供を行ってきた。今般、小規模な保育施設を念頭に、
比較的小規模な国有地(1,000㎡未満)についても財産の洗い出し・情報提供を行う。
◆ 庁舎や宿舎の有効活用
待機児童の受け皿確保及び国有財産の暫定的な有効活用の観点から、庁舎や国家公務員宿舎
の空きスペースを国の事務・事業に支障のない範囲で保育事業のために活用。
(参考)都内で、国の庁舎として活用していた空きスペースについて、保育所設置のために貸付を
受けたいとの要望が寄せられている事例あり。また、国家公務員宿舎の保育ママ事業への
活用件数は19件(28年2月末現在)。
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○ 保育施設整備に係る更なる国有地活用策

なお、社会福祉分野への国有地の定期借地契約に際しては、契約履行の担保のため、社
会福祉法人に対し契約保証金(賃料1年分)の納付を義務付けてきたが(地方公共団体は
免除)、本年1月以降、介護施設については、初期投資負担軽減の観点から、8都府県に
限り、免除している。
定期借地制度導入以降5年を経過し制度が定着したことを踏まえ、社会福祉分野全般に
おいて社会福祉法人に対し契約保証金の納付を免除するという措置を講ずる。
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