2016 年 3 月 31 日に終了する 会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 (2016 年 3 月 31 日時点で公表されている すべての基準書及び解釈指針書を含む) IFRS アップデート 目次 はじめに .................................................................................................................................... 3 セクション 1: 2016 年 3 月 31 日時点で公表されている新規又は改訂基準書及び解釈指針書 ................ 6 IFRS 第 9 号「金融商品」 ........................................................................................................................ 8 IFRS 第 10 号、IFRS 第 12 号及び IAS 第 28 号「投資企業:連結の例外の適用」-(IFRS 第 10 号、IFRS 第 12 号及び IAS 第 28 号の改訂案) ............................................................................................................. 10 IFRS 第 10 号及び IAS 第 28 号「投資者と関連会社又はジョイント・ベンチャーとの間の資産の売却又は拠出」- (IFRS 第 10 号及び IAS 第 28 号の改訂案) .......................................................................................... 10 IFRS 第 11 号「共同営業(ジョイント・オペレーション)に対する持分の取得の会計処理」-(IFRS 第 11 号の改訂)11 IFRS 第 14 号「規制繰延勘定」 ............................................................................................................. 11 IFRS 第 15 号「顧客との契約から生じる収益」.......................................................................................... 12 IFRS 第 16 号「リース」 ........................................................................................................................ 13 IAS 第 1 号「開示イニシアティブ」-(IAS 第 1 号の改訂) ........................................................................... 14 IAS 第 7 号「開示イニシアティブ」-(IAS 第 7 号の改訂) ........................................................................... 15 IAS 第 12 号「未実現損失に係る繰延税金資産の認識」-(IAS 第 12 号の改訂) .......................................... 15 IAS 第 16 号及び IAS 第 38 号「減価償却及び償却の許容される方法の明確化」-(IAS 第 16 号及び IAS 第 38 号の改訂) .......................................................................................................................................... 16 IAS 第 16 号及び IAS 第 41 号「農業:果実生成型の植物」-(IAS 第 16 号及び IAS 第 41 号の改訂) ............ 16 IAS 第 19 号「確定給付制度:従業員拠出」-(IAS 第 19 号の改訂) ........................................................... 17 IAS 第 27 号「個別財務諸表における持分法」-(IAS 第 27 号の改訂)........................................................ 17 国際財務報告基準の年次改善 .............................................................................................................. 18 セクション 2: 解釈指針委員会がアジェンダとして取り上げなかった項目(2016 年第 1 四半期) .............. 21 セクション 3: IASB プロジェクト ................................................................................................... 26 2 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 はじめに IFRS に準拠して財務諸表を作成している企業は、新たに公表さ れる基準書や解釈指針書に継続的に対応していくことが求められ ます。IFRS の改訂は、IFRS の基本原則に関する重要な改訂から 年次改善プロセスに含まれるような比較的軽微な改訂まで多岐に わたり、結果として、認識及び測定から表示及び開示に至る、さま ざまな会計分野に影響を及ぼすことになります。 こうした改訂による影響は、会計の領域にとどまらず、たとえば多 くの企業のシステムに影響を及ぼす可能性があり、さらに共同契 約の設計や取引の仕組みなどのように、事業上の意思決定に影 響を及ぼすことも考えられます。 したがって、財務諸表の作成者はこれらの今後の動向を常に把握 しておく必要があります。 本書の目的 本書は、新規又は改訂基準書及び解釈指針書について、その概 要を解説しています。また IASB が現在進めているプロジェクトの うちのいくつかのアップデートも取り上げています。本書は、各トピ ックに関する詳細な分析や解説をするものではなく、これらの改訂 の主なポイントについて概説することを目的としています。したが って、これらの改訂に関する対応を検討し、決定するにあたっては、 必ず基準書及び解釈指針書の本文を参照する必要があります。 セクション 1 では、2016 年 3 月 31 日時点で国際会計基準審議 会(以下、IASB)及び IFRS 解釈指針委員会(以下、解釈指針委 員会)により公表されており、2016 年 3 月 31 日以後終了する 会計年度において初めて適用されることになる新規又は改訂基 準書及び解釈指針書について、その概要を説明しています。経過 措置が定められている場合にはその内容を概説するとともに、そ れらの改訂が企業の財務諸表にどのような影響を及ぼしうるかに ついても簡単に触れています。 当該セクションでは、新規又は改訂基準書及び解釈指針書の番 号順に解説を行っています。ただし、年次改善に関しては、すべて セクション 1 の最後で解説しています。 さらに、セクション 1 の冒頭では、期末日が各月末であった場合 の、新規又は改訂基準書等の強制適用日をまとめた表を掲載し ています。この表では、これらの基準書及び解釈指針書は、発効 日順に記載されていますが、その多くは、早期適用が認められて います。 表に続き、基準書及び解釈指針書を、関連基準が IFRS 基準書 (ブルーブック)に掲載されている順に説明しています。ただし、 AIP に関する説明はセクション 1 の最後に記載しています。 すでに公表されているが未だ適用されていない基準書又は解釈 指針書については、IAS 第 8 号に従い、これら改訂の当初適用 時に財務諸表に生じ得る影響を理解するために役立つように、既 知又は合理的に見積可能な情報を開示すること、又は開示しない のであればその理由を示すことが求められます。セクション 1 の 冒頭の表は、この開示規定の範囲に含まれる新規又は改訂基準 書等を特定するのに役立ちます。 セクション 2 は、2016 年 1 月 1 日以降 IFRIC アップデート1にて 公表されたアジェンダ決定(棄却通知(rejection notice))の要旨 をまとめたものです。2016 年 1 月 1 日より前の棄却通知につい ては、前回の「IFRS アップデート」を参照してください。これらの棄 却通知の中には、解釈指針委員会が、その論点に関し既に適切 なガイダンスが提供されているとして、現行の基準書又は解釈指 針書に言及しているものがあります。これらの棄却通知は、IFRS を適用する上で参考になり、IAS 第 8 号第 12 項に述べられてい る「その他の会計上の専門的文献、及び一般に認められている業 界実務慣行」に該当します。 セクション 3 では、IASB が現在進めているプロジェクトのうちのい くつかのポイントをまとめています。ここで取り上げている「主要プ ロジェクト」とは、新基準書の公表を目指して着手されたプロジェク ト及び複数の基準書にまたがる重要な検討事項が関係するプロ ジェクトを指します。「その他のプロジェクト」には、部分的な範囲の 改訂が含まれます。基本的には公開草案の段階まで至っている プロジェクトのみを含めていますが、公開草案の段階まで至ってい ない重要プロジェクトも一部取り上げています。 1 IFRIC アップデートについては IASB のウェブサイトを参照されたい。 http://www.ifrs.org/Updates/IFRIC-Updates/Pages/IFRICUpdates.aspx 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 3 IFRS 関連ツール 弊社のナレッジ IFRS 開示チェックリスト ニュースレター IFRS 財務諸表の作成準備にお役立てください。 IFRS Developments 不定期刊 公開草案や新基準、審議会の状況など企業に重要な影響を 及ぼす案件の解説をタイムリーに提供しています。 IFRS 連結財務諸表記載例 IFRS に基づく連結財務諸表の日本語 による記載例です。 2015 年 8 月 31 日現在で公表され、 2015 年 1 月 1 日以後開始する事業 年度に適用される IFRS に基づいてい ます。 IFRS 保険アラート 新たな基準の公表に向けてプロジェクトが進行中の保険契 約について、月次で審議の進捗状況を解説します。 メールマガジン IFRS メールマガジン 変化し続ける IFRS の最新動向や基準の解説などを、多角的に タイムリーにお伝えします。定期配信は 2 週間に 1 回。号外配 信もあります。 この出版物のシリーズとして、期中財務報告、特定のセクター及 び業界に特化した財務諸表の例についても現在、以下が刊行さ れています。 IASB 審議会速報 その他の財務諸表記載例 IASB 審議会の開催後に、各進捗状況の概要をいち早くお知らせ します。 弊法人は、業種特有の財務諸表記載例及び検討を要する特定 の状況を取り扱うその他の財務諸表記載例を提供しています。 弊法人の財務諸表記載例シリーズは、次のとおりです。 ビデオ配信 • 製造・サービス業版財務諸表記載例(優良工業株式会社/ 上記財務諸表記載例) • 期中要約版財務諸表記載例 最新版は IFRS 第 9 号「金融商品」について、IFRS デスクメンバ ーが解説しています。 • 初度適用版財務諸表記載例 • 銀行版財務諸表記載例(英語版のみ) e ラーニングで学ぶ IFRS ベーシック • 保険会社版財務諸表記載例(英語版のみ) IFRS と日本基準の違いを、短時間で効率的にウェブ学習 貴社グループの経理担当者向け IFRS 教育に最適です。 • 投資ファンド版(資本)財務諸表記載例(英語版のみ) • 投資ファンド版(負債)財務諸表記載例(英語版のみ) IFRS の主要 25 テーマについて、その概要と、日本基準との違 いを重点的に学習することができ、短時間で効率的に IFRS の全 体像を把握することができます。 • 不動産業版財務諸表記載例 • 建設業版財務諸表記載例 • 鉱業会社版財務諸表記載例 貴社の e ラーニング環境や想定利用者数などに応じて、別途お 見積りいたします。お気軽にご相談ください。 • 石油会社版財務諸表記載例 IFRS ウェブキャスト 動画による重要論点解説シリーズ(オンデマンド) 本 e ラーニングに関する詳細やお問合せは、こちらのウェブサイ トからお願いいたします。 http://www.shinnihon.or.jp/seminar/e-learning/ifrsbasic/index.html 4 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 IFRS クイックガイド 書籍 改訂版、近日刊行予定。 IFRS の任意適用を行うにあたり、日業 会社で重要な影響が生じる可能性が高 い項目の概要、それが財務及びビジネ スに与える影響、並びに想定される課 題をコンパクトに解説しています。 IFRS を巡る世界と日本の動向 国際会計の実務(レクシスネクシス・ジャパン) アーンスト・アンド・ヤングの IFRS グル ープによる IFRS 解説書。本書で取り上 げているものも含め、すべての基準書 及び解針書の適用方法についての例も 示しています。世界的に首尾一貫したベ ースで IFRS を理解・解釈するために、 信頼のおける実務的なガイダンスを提 供しています。 完全比較 国際会計基準と日本基準(清文社) IFRS 適用の動向を短時間で振り返るこ とを目的として、日本を中心とした IFRS を巡るこれまでの動きと最近のニュース を中心にご紹介しています。 また、各ニュースに関連する当法人の 追加解説記事がある場合、ウェブサイト 内のリンクを掲載していますので、詳細 な内容をご確認いただけるようになって います。 日本基準と IFRS の差分情報をできる 限り詳細に効率的に把握できるように 解説を行っています。また、IFRS の各 基準の背景にある考え方、ならびに個 別既定の趣旨、さらに企業が IFRS を 適用する際に留意すべき実務上の諸 問題についても、可能な限りの解説を 試みています。 国際会計基準の初度適用(清文社) 日本基準と国際財務報告基準(IFRS)の比較 二つの基準の相違点について、現在の 実務において一般的と考えられる相違 点にできる限り焦点を絞り、会計分野ご とに概説します。 効果的かつ効率的な IFRS の導入に向 けて、IFRS 第 1 号の概要のほか、会計 テーマごとに、概要・初度適用時の論点 と具体的な処理・欧州での実務対応を 詳解しています。 この冊子の記載は、2016 年 1 月 1 日時点で有効な基準に基づきます。 国際会計基準 表示・開示の実務(清文社) その他公表物 本書で取り扱っているトピックスに関し、さらに詳細に説明してい る EY のその他の公表物については、本書の各セクションで紹介 しています。 これらの公表物は、EY のウェブサイト www.ey.com/ifrs(日本 語 の 公 表 物 は http://www.shinnihon.or.jp/services/ifrs/ ) からダウンロードすることができます。業種別モデル財務諸表和 訳版は EY の担当者にお問い合わせください。 本書は、IFRS の認識や測定についての 一通りの知識をもった実務家が、財務 諸表を作成する際に直面する表示及 び開示に関する論点を説明します。基 準書の要求事項の単なる紹介やその 解説にとどまらず、実務家が疑問に思う 論点に焦点をあて、実際の開示傾向 の分析や事例の紹介、海外のレギュレ ーターの指摘事項の紹介等を交えて説 明しています。財務諸表作成者や職業 会計人など、IFRS に関わるすべての方 に必携の本格的な実務書です。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 5 セクション 1:2016 年 3 月 31 日時点で公表されている 新規又は改訂基準書及び解釈指針書 強制適用日の一覧 新規又は改訂基準書及び解釈指針書 IAS 第 19 号「確定給付制度:従業員拠出」-(IAS 第 19 号の改訂) 年次改善(2010-2012)-IFRS 第 2 号「株式報酬」-権利確定条件に関連する定義 年次改善(2010-2012)-IFRS 第 3 号「企業結合」- 企業結合における条件付対価の会計処理 年次改善(2010-2012)-IFRS 第 8 号「事業セグメント」- 事業セグメントの集約 年次改善(2010-2012)-IFRS 第 8 号「事業セグメント」- 報告セグメント資産の合計額から企業の総資産への調整表 年次改善(2010-2012)-IAS 第 16 号「有形固定資産」及び IAS 第 38 号「無形資産」-再評価モデル- 減価償却/償却費累計額の比例的修正再表示 年次改善(2010-2012)-IAS 第 24 号「関連当事者についての開示」-経営幹部 年次改善(2011-2013)-IFRS 第 3 号「企業結合」- ジョイント・ベンチャーに係る適用除外規定の範囲 年次改善(2011-2013)-IFRS 第 13 号「公正価値測定」- 第 52 項の範囲(ポートフォリオに関わる例外規定の範囲) 年次改善(2011-2013)-IAS 第 40 号「投資不動産」- IFRS 第 3 号と IAS 第 40 号の相互関係の明確化(付随的サービス) IFRS 第 10 号、IFRS 第 12 号及び IAS 第 28 号「投資企業:連結の例外の適用」-(IFRS 第 10 号、IFRS 第 12 号及び IAS 第 28 号の改訂案) IFRS 第 10 号及び IAS 第 28 号「投資者と関連会社又はジョイント・ベンチャーとの間の資産の売却又は拠出」-(IFRS 第 10 号及び IAS 第 28 号の改訂案)(注 2) IFRS 第 11 号「共同営業(ジョイント・オペレーション)に対する持分の取得の会計処理」-(IFRS 第 11 号の改訂) IFRS 第 14 号「規制繰延勘定」 IAS 第 1 号「開示イニシアティブ」-(IAS 第 1 号の改訂) IAS 第 16 号及び IAS 第 38 号「減価償却及び償却の許容される方法の明確化」-(IAS 第 16 号及び IAS 第 38 号の改訂) IAS 第 16 号及び IAS 第 41 号「農業:果実生成型植物」-(IAS 第 16 号及び IAS 第 41 号の改訂) IAS 第 27 号「個別財務諸表における持分法」-(IAS 第 27 号の改訂) 年次改善(2012-2014)-IFRS 第 5 号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」-処分方法の変更 年次改善(2012-2014)-IFRS 第 7 号「金融商品:開示」- サービシング契約 年次改善(2012-2014)-IFRS 第 7 号「金融商品:開示」- 相殺に関する開示の要約期中財務諸表への適用可能性 年次改善(2012-2014)-IAS 第 19 号従業員給付- 割引率:地域市場に関する論点 年次改善(2012-2014)-IAS 第 34 号「期中財務報告」- 「期中財務報告書の他の部分」での情報の開示 IAS 第 7 号「開示イニシアティブ」-(IAS 第 7 号の改訂) IAS 第 12 号「未実現損失に係る繰延税金資産の認識」-(IAS 第 12 号の改訂) IFRS 第 15 号「顧客との契約から生じる収益」 IFRS 第 9 号「金融商品」 IFRS 第 16 号「リース」 年次改善:年次改善プロセス *:以下の日付以降に始まる会計期間に適用される。 **:基準における特別の規定に基づく早期適用がされていないと仮定する。 注1:2015年12月に、IASBは本改訂の発効日を、持分法会計に関するリサーチ・プロジェクトの結果が出るまで無期限に延期した。 6 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 以下の各月の最終日に終了する事業年度に最初に適用される。** Page 発効日* 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 17 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 18 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 18 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 18 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 18 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 18 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 19 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 19 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 19 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 19 2014年7月1日 2016 2016 2016 2016 2016 2015 2015 2015 2015 2015 2015 2015 10 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 10 注1 11 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 11 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 14 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2018 16 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 16 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 17 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 19 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 20 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 20 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 20 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 20 2016年1月1日 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2017 2016 15 2017年1月1日 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2017 15 2017年1月1日 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2018 2017 12 2018年1月1日 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2018 8 2018年1月1日 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2019 2018 13 2019年1月1日 2020 2020 2020 2020 2020 2020 2020 2020 2020 2020 2020 2019 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 7 IFRS第9号「金融商品」 ヘッジ会計 2018 年 1 月 1 日以降開始事業年度より適用 主な規定 金融資産の分類及び測定 すべての金融資産は、当初認識時に公正価値で測定される。ただ し、純損益を通じて公正価値(FVPL)で会計処理されない金融資 産については、取引費用が公正価値に加算される。 負債性金融資産は、契約上のキャッシュ・フロー及び負債性金融 資産が保有されるビジネスモデルに基づいて、純損益を通じて公 正価値(FVPL)、償却原価又は OCI を通じて公正価値(FVOCI)に より事後測定される。 会計上のミスマッチが解消又は大幅に低減される場合には、当初 認識時に金融資産を FVPL に指定することができる公正価値オプ ション(FVO)が認められている。 資本性金融資産は、通常は FVPL で測定される。一方で、金融資 産ごとに「OCI を通じて公正価値で測定」することを選択できるが、 事後的にその選択を取消すことは認められない。また OCI に認識 された金額は、その後の期間に純損益へ振替えられることはない (すなわち、リサイクルされない)。 金融負債の分類及び測定 公正価値オプションを使用して FVPL に指定された金融負債につ いて、当該金融負債の公正価値変動額のうち、信用リスクの変動 に起因する部分は、OCI に表示しなければならない。ただし、当該 変動額を OCI に表示することにより会計上のミスマッチが生じる 又は増幅される場合はこの限りではない。それ以外の公正価値の 変動額は純損益に表示する。 金融負債の認識及び測定に関する IAS 第 39 号「金融商品:認 識及び測定」の他の規定は、組込デリバティブの区分処理規定や FVO を使用する際の要件なども含め、IFRS 第 9 号に引き継がれ ている。 ヘッジの有効性評価は、将来に向かってのみ行われ、IAS 第 39 号で定められていた 80%から 125%という数値基準は適用されな い。ヘッジの複雑性次第では、定性的な評価のみでも足りる。 金融商品又は非金融商品のリスク要素は、それを個別に識別で き、かつ信頼性をもって測定できる場合には、ヘッジ対象に指定で きる。 オプションの時間価値、フォワード契約のフォワード要素及び外国 為替ベーシス・スプレッドは、金融商品のヘッジ手段の指定から除 外し、ヘッジコストとして会計処理できる。 レイヤー(階層)指定やいくつかの純額ポジションをはじめ、従前 の基準と比べ、より多くの項目グループをヘッジ対象に指定するこ とが可能となった。 移行措置 早期適用は、最終版の IFRS 第 9 号が公表された 2014 年 7 月 24 日より後に開始する事業年度について、IFRS 第 9 号のすべ ての規定を同時に適用する場合にのみ認められる。あるいは、最 終版の IFRS 第 9 号をすべて適用するという原則の例外として、 FVPL に指定した金融負債に係る公正価値変動の表示に関する 規定に限り、他の IFRS 第 9 号(最終版)の規定を適用することな く、早期適用することが可能である。 影響 IFRS 第 9 号の適用により、金融商品の契約上のキャッシュ・フロ ー及び金融商品が保有されているビジネスモデルに応じて、多く の金融商品の測定及び表示に変更が生じる可能性がある。一方 で新たな減損規定の適用により、一般的には IAS 第 39 号による 場合と比較して信用損失(貸倒引当金)が早期に認識されることに なる。また新たなヘッジモデルを適用することで、より多くの経済 的なヘッジ戦略がヘッジ会計の要求事項を満たすようになる可能 性がある。今後は、金融商品の減損に関する IFRS 移行リソース・ グループ(ITG)での議論の動向を注視されたい。 減損 減損規定は、IAS 第 39 号の発生損失モデルに代わる、予想信 用損失(Expected Credit Loss:ECL)モデルに基づくものである。 ECL モデルは、償却原価又は FVOCI で会計処理される負債性金 融商品、大部分のローン・コミットメント、金融保証契約、IFRS 第 15 号における契約資産、IAS 第 17 号「リース」におけるリース債 権に適用される。 企業は ECL を測定する適切な期間を判断するにあたり、原則とし て、当初認識(又はコミットメントや保証契約の締結)時以降の信用 リスクの著しい増加の有無に応じ、12 ヵ月又は残存期間(全期間) にわたる予想信用損失(以下、Lifetime ECL)に基づき評価するこ とが求められる。一部の売掛債権には、簡便法を適用することがで き、その場合は、常に Lifetime ECL を認識することになる。 8 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 EY のその他の公表物 Applying IFRS: Classification of financial instruments under IFRS 9 (May 2015) EYG no. AU3134 Applying IFRS: Impairment of financial instruments under IFRS 9 (December 2014) EYG no. AU2827 Applying IFRS: IFRS 第 9 号のヘッジ会計(2014 年 2 月) IFRS Developments 87:IFRS 第 9 号「金融商品」(予想信用損失) の公表(2014 年 7 月) IFRS Developments 109:動的リスク管理の会計処理に関するプ ロジェクト:次のステップ IFRS Developments 105:ITG が IFRS 第 9 号の減損既定の適 用上の論点を審議 IFRS Developments 100:バーゼル委員会が、予想信用損失会 計に関するガイダンスを提案 IFRS Developments 87:IFRS 第 9 号「金融商品」(予想信用損失) の公表 IFRS Developments 86:IASB が IFRS 第 9 号「金融商品」を公 表-分類及び測定(2014 年 7 月) 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 9 IFRS第10号、IFRS第12号及びIAS第28号「投 資企業:連結の例外の適用」-(IFRS第10号、 IFRS第12号及びIAS第28号の改訂案) 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用 IFRS第10号及びIAS第28号「投資者と関連会社 又はジョイント・ベンチャーとの間の資産の売却 又は拠出」-(IFRS第10号及びIAS第28号の改 訂案) IASB は 2015 年 8 月に、公開草案 ED/2015/7「IFRS 第 10 号 主な規定 本改訂は、IFRS 第 10 号における投資企業の例外を適用する際 に生じる 3 つの問題点を解消するものである。 IFRS 第 10 号の本改訂により、IFRS 第 10 号第 4 項に定められ る連結財務諸表の作成の免除は、投資企業がその子会社のすべ てを公正価値で測定している場合における、その投資企業の子会 社である親会社に対しても適用されることが明確化された。 さらに、IFRS 第 10 号の本改訂により、投資企業の子会社のうち、 それ自体は投資企業ではなく、かつ投資企業に支援サービスを提 供している子会社だけが連結されることが明確化された。投資企 業のその他のすべての子会社は公正価値で測定される。 IAS 第 28 号の本改訂により、投資者は、持分法を適用する際、 投資企業である関連会社又はジョイント・ベンチャーがその子会社 に対する持分に対して適用した公正価値測定をそのまま維持する ことができる。 移行措置 及び IAS 第 28 号の修正の発効日」を公表し、持分法に関するリ サーチ・プロジェクトから生じる改訂が確定するまで、当該改訂の 発効日を延期することを提案した。2 主な規定 本改訂は、投資者が関連会社又はジョイント・ベンチャーに子会社 を売却又は拠出を行うことより、企業が子会社に対する支配を喪 失する場合の取り扱いについて、IFRS 第 10 号と IAS 第 28 号 の間で会計処理に矛盾があることに対処するものである。 本改訂により、関連会社又はジョイント・ベンチャーへの移転が IFRS 第 3 号「企業結合」に定義される事業を伴う場合、利得又は 損失の全額が認識されることが明確化される。事業を構成しない 資産の売却又は拠出が行われる場合、その結果生じる利得又は 損失は、当該関連会社又はジョイント・ベンチャーに対する、投資 者と関連しない持分の範囲でのみ認識される。 移行措置 本改訂は遡及的に適用しなければならない。本改訂は早期適用 が認められるが、その場合、その旨を開示しなければならない。 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。本改訂は早期 適用が認められるが、その場合、その旨を開示しなければならな い。 影響 影響 IFRS 第 10 号及び IAS 第 28 号の改訂は、財務諸表作成者が 当該基準をより一貫性をもって適用するために有用な明確化であ るといえる。しかし、実務においてマルチ・レイヤー(多層)構造を 有する企業グループ内で、投資企業を識別することは、依然とし て困難であろう。 本改訂により、実務上のばらつきが実質的に解消され、財務諸表 作成者はこうした取引に首尾一貫した原則を適用することができ るようになることが意図されている。しかし、事業の定義を適用す る際には判断が求められ、このような判断を伴う取引においては 事業の定義を慎重に検討する必要がある。 EY のその他の公表物 IFRS Developments 97:IASB が投資企業の連結の例外に対す る改訂を公表(2014 年 12 月) 2 2015 年 12 月、IASB は公開草案における提案と同じ内容の 改訂を公表し、確定した。早期適用は引き続き容認される。 10 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 IFRS第11号「共同営業(ジョイント・オペレーショ ン)に対する持分の取得の会計処理」-(IFRS第 11号の改訂) 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用 主な規定 本改訂により、共同営業に対する持分を取得する企業は、当該共 同営業の活動が事業を構成する場合には、その持分について、 IFRS 第 3 号「企業結合」及び他の IFRS に定められるすべての 原則を(IFRS 第 11 号「共同契約」の規定に矛盾しない範囲で)適 用しなければならない。さらに、IFRS 第 3 号ほか、企業結合に関 する基準書で求められる関連情報も開示しなければならない。 本改訂は、1 つ以上の企業が既存の事業を拠出することによって、 共同営業が設立される場合についても適用される。 また本改訂では、共同営業の活動が事業を構成する場合の当該 共同営業に対する持分を共同営業者が追加取得する場合には、 共同営業者が共同支配を維持するならば、以前から保有する共 同営業に対する持分を再測定してはならないことも明確にされて いる。 IFRS第14号「規制繰延勘定」 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用 主な規定 IFRS 第 14 号によると、料金規制の対象となる企業は、IFRS の 初度適用に際して、規制繰延勘定残高に関する従前の会計基準 の大部分を引き継ぐことができる。したがって、既に IFRS による 財務報告を行っている企業は、IFRS 第 14 号を適用することはで きない。さらに従前の会計基準において、料金規制資産や料金規 制負債の認識を認められていなかった企業や、従前の会計基準 においてそれらを認識する方針を採用していなかった企業は、 IFRS の初度適用時に規制繰延勘定を認識することはできない。 IFRS 第 14 号を適用する企業は、規制繰延勘定残高を財政状態 計算書において個別の表示科目とし、当該勘定残高の増減額を 純損益及びその他の包括利益計算書において個別の表示科目と する。 また、IFRS 第 14 号では、料金規制の内容、それに関連して生じ るリスク、料金規制が企業の財務諸表に及ぼす影響を開示するこ とが求められている。 移行措置 移行措置 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。本改訂は早期 適用が認められるが、その場合、その旨を開示しなければならな い。 影響 IFRS 第 11 号の改訂により、取引が事業の取得又は資産の取得 のいずれに該当するかを決定するための判断が必要となる取引 の範囲が広がることになる。当該評価には高度な判断が求められ る。企業は事業の定義を慎重に検討し、取引に関する具体的な事 実及び状況に基づいて適切な会計処理方法を選択する必要があ る。 EY のその他の公表物 Applying IFRS in the Oil & Gas Sector: Potential implications of the amendments to IFRS 11 Joint Arrangements (November 2014) EYG no. AU2749 本改訂は早期適用が認められるが、その場合、その旨を開示しな ければならない。 影響 IFRS 第 14 号により、IFRS 初度適用企業は、IASB が料金規制 資産と料金規制負債に関する会計処理の包括的プロジェクトを完 了するまでは、当該資産と負債の認識を中止する必要はなくなる。 料金規制事業に関する包括的なプロジェクトは、IASB のアジェン ダとされている。 EY のその他の公表物 Applying IFRS for IFRS 14 Regulatory Deferral Accounts (November 2014) EYG no. AU2640 IFRS Developments 72:IASB が規制繰延勘定に関する過渡的 基準として IFRS 第 14 号を公表(2014 年 2 月) Applying IFRS: Challenges in adopting and applying IFRS 11 (June 2014) EYG no. AU2512. 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 11 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」 2018 年 1 月 1 日以降開始事業年度より適用 主な規定 IFRS 第 15 号は、IFRS における現行のすべての収益認識基準 及び解釈指針(IAS 第 11 号「工事契約」、IAS 第 18 号「収益」、 IFRIC 第 13 号「カスタマー・ロイヤリティ・プログラム」、IFRIC 第 15 号「不動産の建設に関する契約」、IFRIC 第 18 号「顧客から の資産の移転」、SIC 第 31 号「収益-宣伝サービスを伴うバータ ー取引」)を置き換え、顧客との契約から生じるすべての収益に適 用される。ただし、契約が IAS 第 17 号等、他の基準の適用範囲 に含まれる場合を除く。IFRS 第 15 号は、一部の非金融資産(た とえば有形固定資産や無形資産)の売却に係る利得及び損失の 認識及び測定モデルも定めている。 同基準は、収益の測定及び認識に適用すべき原則を定めている。 その基本原則は、顧客への財又はサービスの移転と交換に企業 が権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識するとい うものである。 IFRS 第 15 号の基本原則は、次の 5 つのステップから構成され るモデルを用いて適用される。 1. 顧客との契約を特定する 2. 契約における履行義務を識別する 3. 取引価格を決定する 4. 取引価格を契約における各履行義務に配分する 5. 各履行義務が充足された時点で(又は充足されるにつれて) 収益を認識する 顧客との契約に当該モデルを適用するにあたり、各ステップにお いて、関連するすべての事実及び状況を考慮し、判断することが 求められる。 IFRS 第 15 号は、当該 5 つのステップから構成されるモデルに 加え、契約獲得の増分コスト及び契約履行に直接関連するコスト の会計処理についても定めている。 移行措置 IFRS 第 15 号では、適用開始年度に表示されるすべての期間に おける完全遡及適用アプローチ(いくつかの限定的な負担軽減措 置あり)、又は修正遡及適用アプローチのいずれかの方法を選択 することが認められている。本改訂は早期適用が認められるが、 その場合、その旨を開示しなければならない。 影響 IFRS 第 15 号には、現行基準に比べて収益認識に関するより多 くの規定が定められるとともに、より多くの適用ガイダンスも設けら れている。さらに、同基準には拡充された開示規定も含まれてい る。同基準は、さまざまな業界に属するすべての企業に何らかの 影響を及ぼすことになる。当該基準の適用により、現行の会計処 理、システム及びプロセスに変更が及ぶ可能性があり、多くの企 業にとって重要な取組みとなるであろう。そのため、新基準へのス ムーズな移行には、そうした変更を評価し、当該変更を管理する ための計画が必要になる。また、IASB、米国財務会計基準審議 会(FASB)及び収益認識に関する合同移行リソース・グループ (TRG)が適用上の論点について引き続き議論を行っていることか ら、その動向を注視することが重要である。詳細については、セク ション 3「IASB プロジェクト」を参照されたい。 EY のその他の公表物 Applying IFRS:収益認識に関する合同移行リソース・グループ: 一般的合意事項(2015 年 12 月更新版) Applying IFRS:収益認識に関する合同移行リソース・グループに よる、適用上の論点についての検討状況(2015 年 11 月) Applying IFRS: IFRS 第 15 号 顧客との契約から生じる収益 (2015 年 10 月更新版) Applying IFRS: 新しい収益認識基準が収益以外に及ぼす影響 (2015 年 2 月). IFRS Developments 116: IASB が IFRS 第 15 号の明確化を再 審議(2015 年 12 月) IFRS Developments 113: IFRS 第 15 号における「完了した契約」 IFRS 第 15 号には、知的財産のライセンス、製品保証、返品権、 の定義について IASB が審議(2015 年 9 月) 本人か代理人かの検討、追加の財又はサービスに対する選択権、 顧客の権利不行使といった特定の一般的な契約に同基準の規定 を適用する際の適用ガイダンスが定められている。 業種別 - Applying IFRS: 新たな収益認識基準の概要 • エンジニアリング及び建設業界 12 • 金属・鉱業 • 小売業及び消費財産業 • 不動産業 • Telecommunications • 保険業 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 IFRS第16号「リース」 • ソフトウェア及びクラウド・サービス • テクノロジー産業 • アセット・マネジメント業 • 自動車産業 主な規定 • ライフサイエンス業 IFRS 第 16 号の適用範囲には、一部の例外を除き、すべての資 産のリースが含まれる。リースの定義は、資産(原資産)を使用す る権利を一定期間にわたり、対価と交換に移転する契約又は契 約の一部とされている。 2019 年 1 月 1 日以降開始事業年度より適用 業種別 - IFRS Developments: 新たな収益認識基準の概要 • 新たな収益認識基準-金属・鉱業の影響(2014 年 9 月) • 新たな収益認識基準-石油・ガス業(2014 年 10 月) • 新たな収益認識基準-油田サービス業(2014 年 10 月) • 新たな収益認識基準-小売業及び消費財産業(2014 年 9 月) • 新たな収益認識基準-電力・ガス業(2014 年 9 月) IFRS 第 16 号では、借手はすべてのリースを貸借対照表に認識 する単一のモデル(IAS 第 17 号のファイナンス・リースと同様の 方法)により会計処理することが求められる。 IFRS 第 16 号には、借手の認識に関して 2 つの免除規定が設け られている。一方は少額資産のリース(例:パソコン)、もう一方は 短期リース(リース期間が 12 ヵ月以内のリース)に関する免除規 定である。 借手はリースの開始日において、リース料に係る支払債務(リー ス負債)と、対応するリース期間にリース資産を使用する権利を表 す使用権資産を認識する。その後、リース負債から生じる利息費 用と、使用権資産から生じる減価償却費を別個に認識する。一定 の事象(例:リース期間、リース料の決定のために使用される指数 又はレートの変動から生じる将来のリース料)が生じた場合には、 リース負債を再評価することが求められる。この際には借手は、リ ース負債の再測定により生じる変動額を、通常は使用権資産へ の調整として認識する。 貸手の会計処理は、現行の IAS 第 17 号における貸手の会計処 理と実質的に同じである。貸手は、すべてのリースを IAS 第 17 号における原則に基づいて分類し、オペレーティング・リース又は ファイナンス・リースの 2 つのタイプに区分する。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 13 移行措置 IFRS 第 16 号において、借手は完全遡及適用アプローチ又は修 正遡及適用アプローチのいずれかを選択することができる。なお、 同基準の移行措置において、一定の免除規定が設けられている。 早期適用は認められるが、IFRS 第 15 号を適用するまで IFRS 第 16 号を適用することはできない。 影響 借手は現行基準と比較すると、通常はリース期間の初期により多 額のリース費用を認識することになる。 負債比率や財務制限条項などの貸借対照表に係る指標や、支払 利息・税金・減価償却・償却控除前利益(EBITDA)などの損益計 算書に係る指標が影響を受ける可能性がある。また、リース負債 の元本部分に係る支払いが、財務活動によるキャッシュ・フローの 区分で表示されるため、借手のキャッシュ・フロー計算書も影響を 受けることがある。 貸手の会計処理は、現行の貸手の会計処理と比較して、変更は ほとんどない。 IFRS 第 16 号において、借手と貸手は、IAS 第 17 号と比較して より多くの開示が求められる。 重要な会計上の影響が生じることが想定されるため、借手は契約 がリースに該当するか、又は契約にリースが含まれるかどうかを 慎重に検討する必要がある。このような検討は、貸手にとっても、 新たな収益認識基準の適用対象となる契約(又は契約の一部)を 判断する際に重要になる。 EY のその他の公表物 IFRS Developments 117: IASB が 新 た な リ ー ス 基 準 を 公 表 (2016 年 1 月) IAS第1号「開示イニシアティブ」-(IAS第1号の 改訂) 2016 年 1 月 1 日以降開始する事業年度から適用 主な規定 IAS 第 1 号「財務諸表の表示」の改訂は、既存の IAS 第 1 号の 規定を大幅に変更するものではなく、以下に関する明確化を行っ ている。 • IAS 第 1 号における重要性の規定 • 純損益及びその他の包括利益計算書と財政状態計算書に おいて表示項目を細分化することができる。 • 財務諸表の注記を作成するときに、その順番を柔軟に決定 することができる。 • 持分法で会計処理する関連会社及びジョイント・ベンチャー の OCI に関する持分は、事後的に純損益に組替調整(リサ イクリング)される項目とされない項目に区分し、それぞれを 合算して単一の表示科目として表示する。 さらに、本改訂により、財政状態計算書ならびに純損益及び OCI に追加の小計を表示する場合に適用する規定が明確化されてい る。 移行措置 早期適用が認められる。また、審議会は当該改訂が会計方針又 は会計上の見積りに影響を及ぼさないと考えているため、早期適 用した旨を開示する必要はない。 影響 今回の改訂は、IFRS で定められた表示及び開示規定を満たす上 での判断に資することを意図したものであり、認識及び測定に影 響を及ぼすことはない。当該改訂は IAS 第 1 号の現行規定を明 確化するためのものであるが、これによって開示の有効性の改善 が促進されることになる。 EY のその他の公表物 IFRS Developments 98: IASB の開示イニシアティブに進展 (2014 年 12 月) 14 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 IAS第7号「開示イニシアティブ」-(IAS第7号の 改訂) IAS第12号「未実現損失に係る繰延税金資産の 認識」-(IAS第12号の改訂) 2017 年 1 月 1 日以降開始する事業年度から適用 2017 年 1 月 1 日以降開始する事業年度から適用 主な規定 主な規定 IAS 第 7 号「キャッシュ・フロー計算書」への改訂は、IASB の開示 イニシアティブの一環である。 IASB は、公正価値で測定される負債性金融商品の未実現損 失に係る繰延税金資産の会計処理を明確化するために IAS 第 12 号の改訂を公表した。 本改訂では、財務活動から生じるキャッシュ・フローの変動を伴う 負債の変動と、キャッシュ・フローの変動を伴わない負債の変動に 関して、財務諸表の利用者による評価を可能とする開示を求めて いる。 移行措置 本改訂により、将来減算一時差異の解消による減算に対して、 課税所得の源泉を制限する税法の有無を検討する必要がある ことが明確にされている。さらに、企業が将来の課税所得をど のように算定するかと、どのような状況において、特定の資産 のその帳簿価額以上の回収が課税所得に影響するかに関す るガイダンスを提供している。 本改訂を初めて適用する際には、前期以前に係る比較情報に関 する開示は求められない。一方で、早期適用が認められる。 移行措置 影響 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 本改訂により、企業の負債の変動を投資家がより理解し易くなる ような情報を提供されることが意図されている。 ただし、改訂を初めて適用する際には、最も古い比較期間の期首 時点の資本に対する影響額は、期首時点の剰余金とその他の資 本の構成要素に区分されることなく、期首時点の剰余金(又は適 切なその他の資本の構成要素)に認識される可能性がある。当該 措置を適用する企業は、その旨を開示する必要がある。 本改訂は早期適用が認められるが、その場合、その旨を開示しな ければならない。 影響 本改訂により、未実現損失に係る繰延税金資産の認識に係る実 務における不整合を解消することが意図されている。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 15 IAS第16号及びIAS第38号「減価償却及び償却 の許容される方法の明確化」-(IAS第16号及び IAS第38号の改訂) 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用 主な規定 本改訂では、収益は、資産の使用を通じて消費される経済的便益 ではなく、(当該資産がその一部を構成する)事業の運営から創出 される経済的便益の創出パターンを反映しているという点につい て、IAS 第 16 号「有形固定資産」及び IAS 第 38 号「無形資産」 に定められる原則の明確化を図っている。したがって、有形固定 資産を減価償却するにあたり、予想収益総額に対する実際収益 の比率を用いることはできず、無形資産の償却に関しても、非常 に限定された状況でしかこうした比率を用いることができない。 移行措置 本改訂は将来に向かって適用される。早期適用も認められるが、 その場合にはその旨を開示しなければならない。 影響 現在、有形固定資産に収益を基礎とした償却方法を用いている場 合には、定率法などの他の許容される償却方法に変更する必要 がある。定率法を採用する場合には、耐用年数の初期により多く の償却費が認識されることになる。 EY のその他の公表物 IFRS Developments 78: IASB が収益を基礎とした減価償却を禁 止(2014 年 5 月) IAS第16号及びIAS第41号「農業:果実生成型 の植物」-(IAS第16号及びIAS第41号の改訂) 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用 主な規定 IAS 第 16 号及び IAS 第 41 号「農業」の改訂により、IAS 第 16 号の適用範囲が変更され、当該範囲に果実生成型の植物の定義 を満たす生物資産(例:果樹)が含まれることになった。なお、果実 生成型の植物から収穫される農産物(例:樹木から収穫される果 物)は、引き続き IAS 第 41 号「農業」の適用対象となる。本改訂 の結果、事後測定において原価モデルと再評価モデルのいずれ かを選択できることを含め、果実生成型の植物には IAS 第 16 号 の認識及び測定に関するすべての規定が適用されることになる。 さらに、果実生成型の植物に関する政府補助金は、IAS 第 41 号 ではなく、IAS 第 20 号「政府補助金の会計処理及び政府援助の 開示」に従って会計処理される。 移行措置 本改訂は全面的に遡及適用することも、表示される期間のうち最 も古い期間の期首時点の公正価値で果実生成型の植物を測定す ることを選択することもできる。早期適用は認められるが、その場 合はその旨を開示しなければならない。 影響 本改訂は、果実生成型の植物に育つ農産物は依然として公正価 値で測定されるため、純損益のボラティリティを完全に除去するも のではない。さらに、農産物の公正価値を、それが生育する果実 生成型の植物とは区別して測定するためには、適切な公正価値 測定方法を決定する必要があり、その結果、測定の複雑性と主観 性が増す可能性がある。 EY のその他の公表物 IFRS Developments 84:果実生成型植物-新しい規定(2014 年 7 月) 16 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 IAS第19号「確定給付制度:従業員拠出」-(IAS 第19号の改訂) IAS第27号「個別財務諸表における持分法」- (IAS第27号の改訂) 2014 年 7 月 1 日以後開始する事業年度から適用 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用 主な規定 主な規定 IAS 第 19 号では、確定給付制度を会計処理する際、従業員又 は第三者による拠出の検討が求められる。そのような拠出のうち 勤務に関連するものは、負の給付として勤務期間に帰属させる。 IAS 第 27 号の改訂により、企業は個別財務諸表において子会 社、ジョイント・ベンチャー及び関連会社に対する投資の会計処理 に、IAS 第 28 号に定められている持分法を適用することができる ようになる。その結果、個別財務諸表におけるこれらの投資は、以 下のいずれかによって会計処理することになる。 今回の改訂により、その拠出金額が勤務年数とは関係なく決定さ れる場合は、複数の勤務期間に帰属させず、勤務が提供された 期の勤務費用の減額として認識できることが明確化された。この • 取得原価 ような拠出の例として、従業員給与に対する固定割合による拠出、 • IFRS 第 9 号(又は IAS 第 39 号) 勤務期間を通じた固定額の拠出、従業員の年齢に応じて決まる • 持分法 拠出が挙げられる。 企業は、投資の各区分について同じ会計処理を適用しなければ ならない。 移行措置 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 影響 本改訂は、一定の要件を満たす従業員又は第三者からの拠出の 会計処理について、実務上の簡便法を定めている。 本改訂に伴い、IFRS 第 1 号「国際財務報告基準の初度適用」も 改訂された。その結果、個別財務諸表において投資を持分法を用 いて会計処理している初度適用企業は、過去の企業結合に関す る IFRS 第 1 号の免除規定を、当該投資の取得に適用することが 認められる。 移行措置 本改訂は遡及的に適用しなければならない。本改訂は早期適用 が認められるが、その場合、その旨を開示しなければならない。 影響 本改訂の結果、現地の法規制により、個別財務諸表における子 会社、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に持分法 の適用が求められる国々において会計基準の差異が解消される ことになる。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 17 国際財務報告基準の年次改善 主な規定 IASB の年次改善プロセスでは、緊急性はないが必要と判断される IFRS の改訂を取り扱っている。 2010-2012 年サイクル(2013 年 12 月公表) 年次改善サイクル(2010-2012 年)の改訂内容の要約は、下記のとおりである(基準書の結論の根拠にのみ影響する事項は除く)。下 記の改訂は 2014 年 7 月 1 日以後開始する事業年度から適用される(IFRS 第 2 号「株式報酬」に関連する改訂を除く)。早期適用は 認められるが、その場合はその旨を開示しなければならない。 IFRS 第 2 号「株式報酬」 権利確定条件に関連する定義 • この改訂では、「業績条件」及び「勤務条件」の定義が追加され、以下をはじめとするさまざまな 点が明確にされている。 • 業績条件には勤務条件が含まれなければならない。 • 業績目標は相手方の勤務提供期間中に達成されなければならない。 • 業績目標は企業の事業や活動、もしくは同一グループ内の他の企業の事業や活動に関連 する場合がある。 • 業績条件は市場条件又は市場条件以外の条件にもなり得る。 • 相手方が権利確定期間の間に退職した場合は、その理由にかかわらず、勤務条件の未達 成となる。 • 本改訂は付与日が 2014 年 7 月 1 日以後である株式報酬に対して、将来に向かって適用しな ければならない。 IFRS 第 3 号「企業結合」 企業結合における条件付対価の会計処理 • この改訂では、企業結合により生じた負債又は資産として分類されるすべての条件付対価は、 IFRS 第 9 号(又は IAS 第 39 号)の適用範囲に含まれるか否かに関係なく、純損益を通じて 公正価値で事後測定すべきことを明確にしている。 • 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。 IFRS 第 8 号 事業セグメントの集約 • この改訂では、IFRS 第 8 号第 12 項に定められる集約基準を適用するにあたり、経営者が行 った判断を開示することを明確にしている。こうした開示には、集約した事業セグメントに関する 簡潔な記述、及びセグメントが「類似」しているかどうかを判断する際に考慮した経済的特徴 (例えば売上総利益率)が含まれる。 • 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 「事業セグメント」 報告セグメント資産の合計額から企業の総資産への調整表 • この改訂では、セグメント資産と総資産の調整表は、当該調整表が最高経営意思決定者に報告 されている場合にのみ開示が求められることを明確にしている。これは、セグメント負債に関して 求められている開示と同様である。 • 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 18 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 IAS 第 16 号「有形固定資産」 及び IAS 第 38 号「無形資産」 再評価モデル-減価償却/償却費累計額の比例的修正再表示 • IAS 第 16 号と IAS 第 38 号の改訂により、再評価額の算定は以下のいずれかの方法を採 用できることが明確化される。 • 帳簿価額総額が市場価値と等しくなるように調整する。 • 正味帳簿価額の市場価値を測定し、正味帳簿価額が市場価値に等しくなるように帳簿価 額総額を比例的に調整する。 • この改訂では、減価償却/償却費累計額は、資産の帳簿価額総額と正味帳簿価額の差額で あることを明確化している。 • 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 IAS 第 24 号「関連当事者につ 経営幹部 • この改訂により、経営管理企業(経営幹部としてのサービスを提供する企業)は、関連当事者 に該当し、関連当事者に関する開示が求められることが明確化されている。さらに、経営管理 企業を利用している企業は、経営管理サービスに係る費用を開示しなければならない。 • 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 いての開示」 2011-2013 年サイクル(2013 年 12 月公表) 年次改善サイクル(2011-2013 年)の改訂内容の要約は下記のとおりである(基準書の結論の根拠にのみ影響するものは除く)。下記 の改訂は 2014 年 7 月 1 日以後開始する事業年度から適用される。早期適用は認められるが、その場合はその旨を開示しなければ ならない。 IFRS 第 3 号「企業結合」 ジョイント・ベンチャーに係る適用除外規定の範囲 • この改訂では、以下を明確にしている。 • ジョイント・ベンチャーのみでなく、共同契約(ジョイント・アレンジメント)も IFRS 第 3 号の適 用範囲から除外される。 • 適用範囲からの除外規定は、共同契約自体の財務諸表における会計処理にのみ適用さ れる。 • 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。 IFRS 第 13 号 第 52 項の範囲(ポートフォリオに係る例外規定の範囲) • この改訂は、IFRS 第 13 号のポートフォリオに係る例外規定は、金融資産及び金融負債の みではなく、IFRS 第 9 号(又は場合によっては IAS 第 39 号)の適用範囲に含まれるその他 の契約にも適用されることを明確化している。 • 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。 「公正価値測定」 IAS 第 40 号「投資不動産」 IFRS 第 3 号と IAS 第 40 号の相互関係の明確化(付随的サービス) • IAS 第 40 号の付随的サービスに関する記述は、投資不動産と自己使用不動産(すなわち有 形固定資産)との間の区別に関するものである。この改訂では、ある取引が資産の取得に該 当するか、企業結合に該当するかの判断には、IAS 第 40 号の付随的サービスに関する記 述ではなく、IFRS 第 3 号が用いられることを明確化している。 • 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 19 2012-2014 年サイクル(2014 年 9 月公表) 年次改善サイクル(2012-2014 年)の改訂の内容の要約は、以下のとおりである(基準書の結論の根拠にのみ影響する改訂は除く)。 下記に要約した改訂は 2016 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用される。早期適用は認められるが、その場合はその旨を開 示しなければならない。 IFRS 第 5 号「売却目的で保有 する非流動資産及び非継続事 業」 IFRS 第 7 号 「金融商品:開示」 処分方法の変更 • 資産(又は処分グループ)は、通常、売却又は所有者への分配を通じて処分される。本改訂 では、いずれかの処分方法からもう一方の処分方法に変更される場合、それを新たな処分 計画とみなすのではなく、当初計画の継続として取り扱うべきであることが明瞭化された。し たがって、IFRS 第 5 号の規定の適用が中断されることはない。 • 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。 サービシング契約 • 本改訂では、報酬を含むサービシング契約は金融資産に対する継続的関与に該当しうること を明確化している。開示が求められるか否かを判断するにあたり、IFRS 第 7 号第 B30 項 及び IFRS 第 7 号第 42C 項に示される継続的関与に関するガイダンスに照らして報酬と契 約の性質を評価しなければならない。 • どのサービシング契約が継続的関与に該当するかの評価は遡及的に実施しなければならな い。ただし、求められる開示は、企業が最初に当該改訂を適用する事業年度より前の期間に 関して行う必要はない。 相殺に関する開示の要約期中財務諸表への適用可能性 • • 本改訂により、直近の年次財務諸表で報告されている情報が著しくアップデートされる場合を 除き、相殺に関する開示規定は要約期中財務諸表に適用されないことが明らかになった。 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 IAS 第 19 号「従業員給付」 割引率:地域市場に関する論点 • IAS 第 19 号の改訂により、優良社債の市場の厚みは、当該債務が所在する国ではなく、当 該債務の通貨に基づいて評価することが明確化された。当該通貨において優良社債に厚み のある市場が存在しない場合、国債の利回りを用いなければならない。 • 本改訂は将来に向かって適用しなければならない。 IAS 第 34 号「期中財務報告」 「期中財務報告書の他の部分」での情報の開示 • 本改訂では、求められる期中開示は、期中財務諸表に織り込むか、あるいは期中財務諸表 と当該開示が含まれている期中財務報告書の該当箇所(例:経営者による説明又はリスク報 告書)との相互参照によって組み込まなければならないとされた。 • 期中財務報告書における他の情報は、利用者が、期中財務諸表と同じ条件で同時に利用で きなければならない。 • 本改訂は遡及的に適用しなければならない。 EY のその他の公表物 IFRS Developments 71: IASB が 2 つのサイクルの IFRS 年次改善を公表(2013 年 12 月) IFRS Developments 91: IASB が年次改善 2012-2014 年サイクルを公表(2014 年 9 月) 20 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 セクション 2:解釈指針委員会がアジェンダとして取り上げなかった項目 (2016 年第 1 四半期) IFRS 解釈指針委員会が審議した特定の論点は、IASB の IFRIC アップデートにおいて「解釈指針委員会アジェンダ決定」として公表され ている。アジェンダ決定(「棄却通知」と呼ばれることもある)には、解釈指針委員会のアジェンダとして採用されなかった論点が、その理 由と共に公表されている。解釈指針委員会はこうした論点の一部について、関連する基準をどのように適用すべきかに関する情報を提 供している。本ガイダンスは、解釈指針ではないが、提起された論点や、基準書及び解釈指針書をどのように適用すべきかに関する解 釈指針委員会の見解について、追加的な情報を提供するものである。 以下の表は、(前回の IFRS アップデートの公表以降)2016 年 1 月 1 日から 2016 年 3 月 31 日の間に、解釈指針委員会がアジェン ダとして取り上げなかった項目と、それに関連するアジェンダ決定の概要をまとめたものである。2016 年 1 月 1 日より前に公表された アジェンダ決定については、前回の「IFRS アップデート」を参照されたい。解釈指針委員会により審議されたすべての項目とその結論の 全文については、IASB のホームページ上の IFRS アップデートに掲載されている。3 最終検討日 2016 年 1 月 論点 IFRS 第 5 号「売却目的で保有する非 流動資産及び非継続事業」―処分グ ループ内の非流動資産への減損損失 の配分 解釈指針委員会のアジェンダとして採用されなかった理由の概要 IFRS 解釈指針委員会は、処分グループについて認識された減損損 失を配分するにあたり、IFRS 第 5 号の測定規定の適用対象となる非 流動資産の帳簿価額を、「処分コスト控除後の公正価値」又は「使用 価値」を下回る金額まで減額し得るかどうか明確にすることを求める 要請を受領した。この論点を分析するにあたり、IFRS 解釈指針委員 会は、減損損失の金額が、そうした非流動資産の帳簿価額より大きく ならない状況を念頭に置いており、減損損失が非流動資産の帳簿価 額を上回る場合の減損損失の配分の影響については考慮しなかっ た。 IFRS 解釈指針委員会は、IFRS 第 5 号第 23 項においては、IAS 第 36 号「資産の減損」第 105 項(当該項は、処分コスト控除後の公正価 値、使用価値又はゼロのうち最も高い金額を下回るように資産を減損し てはならないとすることで、個々の資産への減損損失の配分を制限して いる)に言及されていない点に留意した。したがって、IFRS 解釈指針委 員会は、処分グループに係る減損損失を IFRS 第 5 号の測定規定の 適用対象である非流動資産に配分する際には IAS 第 36 号第 105 項 の制限は適用されないと考えた。IFRS 解釈指針委員会は、これは、処 分グループに関して認識すべき減損の金額が、IFRS 第 5 号の測定規 定の適用対象である非流動資産の処分コスト控除後の公正価値又は 使用価値により制限されないことを意味すると理解している。 2016 年 1 月 IFRS 第 5 号「売却目的で保有する非 流動資産及び非継続事業」―継続事 業と非継続事業の間でのグループ内 取引の表示 IFRS 解釈指針委員会は、継続事業と非継続事業の間でのグループ 内取引の表示方法を明確にすることを求める要請を受領した。要請の 提出者は、IFRS 第 5 号第 30 項が、財務諸表の利用者が非継続事 業及び非流動資産(又は処分グループ)の処分による財務上の影響 を評価できるような情報の表示と開示を求めていることを指摘した。一 方で、IFRS 第 5 号には、継続事業と非継続事業の間のグループ内 取引をどのように消去するかに関して具体的な規定は定められていな い。 IFRS 解釈指針委員会は、非継続事業の表示に関し、IFRS 第 10 号 の連結規定に優先する規定が IFRS 第 5 号にも IAS 第 1 号にも定 められていないことに留意した。さらに IFRS 解釈指針委員会は、IFRS 第 10 号 B86 項(c)が、グループ内利益だけでなく、特にグループ内 取引に関係する収益及び費用の消去を求めていることに着目した。し たがって IFRS 解釈指針委員会は、グループ内取引を消去しないこと は、グループ内取引の消去に関する IFRS 第 10 号の規定と整合しな 3 IFRIC アップデートについては IASB のウェブサイトを参照されたい。http://www.ifrs.org/Updates/IFRIC-Updates/Pages/IFRIC-Updates.aspx 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 21 最終検討日 論点 解釈指針委員会のアジェンダとして採用されなかった理由の概要 いであろうとした。 IFRS 解釈指針委員会は、特定の事実及び状況によっては、財務諸表 の利用者が非継続事業の財務上の影響を理解できるように、開示を 追加して提供しなければならない場合があるとした。 IFRS 解釈指針委員会は、IASB が 2015 年 8 月に公表した意見募 集「2015 年アジェンダ協議」において、IFRS 第 5 号を潜在的なリサ ーチ・プロジェクトとして挙げていたことに留意した。これを受けて IFRS 解釈指針委員会は、グループ内取引の消去を反映するように、連結 業績を継続事業と非継続事業にどのように分解すべきかという論点に ついては、当該プロジェクトの一環として検討するほうが適切であろう と判断した。 2016 年 1 月 IFRS 第 5 号「売却目的で保有する非 流動資産及び非継続事業」―IFRS 第 5 号に関連するその他のさまざまな論 点 IFRS 解釈指針委員会は、IFRS 第 5 号の規定の適用に関連した多く の論点を受領し、いくつかの会議において議論してきた。それらの論 点は IFRS 第 5 号のさまざな側面に関係しており、以下が含まれる。 • 売却又は分配を通じた支配の喪失以外に、保有する株式の希薄 化、非支配株主が保有するコール・オプション又は株主間契約の 見直しによる子会社の支配の喪失など、特定の種類の予定されて いた支配喪失事象(planned-loss-of-control event)によって、売 却目的保有への分類が生じ得るか • IFRS第5号が、主に(又はすべてが)金融商品で構成される処分グ ループに適用されるか • 処分グループの帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値との差額 が、当該処分グループ内の非流動資産の帳簿価額を上回る場合、 認識する減損損失の金額は、以下のいずれかの帳簿価額に制限 すべきか • • • • 処分グループの純資産 処分グループの総資産 非流動資産(この場合、超過部分に関して負債を認識するこ とになる) • 以前に処分グループ内ののれんに配分された減損損失を戻入れ ることは可能か • 「非継続事業」の定義はどのように解釈すべきか(特にIFRS第5号 第32項に記載される「独立の主要な事業分野又は営業地域」の概 念) • 子会社とその他の非流動資産の両方で構成される処分グループ が売却目的保有に分類されなくなった状況において、当該子会社 とその他の非流動資産に関係する再測定に係る修正を、異なる会 計期間に認識すべきか。また、測定だけでなく表示も修正すべき か。 • 継続事業と非継続事業の間で重要なグループ内取引が行われて いる場合、以下のいずれを行うべきか。 • • 22 IFRS第5号の測定規定の適用対象となる非流動資産 調整を行うことなく消去する 消去するが、継続事業と非継続事業の間の取引が将来どの ような影響を受けると見込まれるかを表すための調整を行う 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 最終検討日 論点 解釈指針委員会のアジェンダとして採用されなかった理由の概要 このような多岐にわたる多くの未解決の論点があることから、IFRS 解 釈指針委員会は、IFRS 第 5 号に関する広範囲に渡るプロジェクトを 実施する必要の可能性があると結論付けた。IFRS 解釈指針委員会 は、IASB が 2015 年 8 月に公表した意見募集「2015 年アジェンダ 協議」において、IFRS 第 5 号を潜在的なリサーチ・プロジェクトとして 挙げていたことに留意した。 2016 年 1 月 IFRS 第 9 号「金融商品」―へッジに関 する移行時の論点 IFRS 解釈指針委員会は、IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」か ら IFRS 第 9 号へ移行する際のへッジの指定及びヘッジ会計に関連 した 2 つの論点に関するガイダンスを求める要請を受領した。IFRS 解釈指針委員会は特に、以下を検討することを要請された。 • 論点1:IAS第39号からIFRS第9号への移行時に、ヘッジを企業の リスク管理目的と合致させるため、ヘッジ関係におけるへッジ対象 を(IAS第39号で容認される)非金融項目全体から(IFRS第9号で 容認される)非金融項目の構成要素に変更した場合、そのへッジ 関係を継続しているへッジ関係として取り扱うことができるか。 • 論点2:企業のリスク管理目的が非金融項目の構成要素のみをヘ ッジすることである場合、IFRS第9号への移行時に非金融項目全 体の当初のヘッジ指定を継続することができるか。 論点1に関し、IFRS解釈指針委員会は、IFRS第9号への移行時にヘッ ジ関係におけるへッジ対象を非金融項目全体から非金融項目の構成 要素に変更する場合、IFRS第9号第7.2.22項で述べられているように 将来に向かってその変更を行うべきであることに留意した。さらにIFRS 解釈指針委員会は、ヘッジ対象を変更する一方で、当初のへッジ関係 を継続することはIFRS第9号におけるヘッジ会計規定の遡及適用と同じ ことであり、これは、IFRS第9号第7.2.26項に記載される限定的な状況 を除き禁止される点に留意した。IFRS解釈指針委員会は、論点1に示さ れている例の場合、第7.2.26項の例外は適用されないと判断した。し たがって、当初のへッジ関係はIFRS第9号への移行時に継続している へッジ関係として取り扱うことはできない。 論点2に関し、IFRS解釈指針委員会は以下の点に留意した。 • IFRS第9号BC6.97項、BC6.98項及びBC6.100項は、管理対象で あるリスクと同じ種類のリスク及びその目的のために使用されてい るのと同じ種類の金融商品に関係している限り、実際のリスク管理 と完全に一致するものではないへッジ指定(代用へッジ)の使用が 認められるとしている。 • 企業のリスク管理を反映する場合(すなわち、管理対象であるリス クと同じ種類のリスク及びその目的のために使用されているのと同 じ種類の金融商品に関係している場合)の代用へッジの使用は、 IFRS第9号が実際のリスク管理に従ってヘッジ対象を指定すること を禁止した事例に制限されるとは思われない。 したがって IFRS 解釈指針委員会は、IFRS 第 9 号の適格要件を満た す限り、非金融項目全体のヘッジの指定を IFRS 第 9 号の移行時に 継続できるとした。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 23 最終検討日 2016 年 1 月 論点 IFRS 第 11 号「共同支配の取決め」― 以前から保有していた持分の再測定 解釈指針委員会のアジェンダとして採用されなかった理由の概要 IFRS 解釈指針委員会は、共同営業の資産及び負債に対して以前か ら保有していた持分を、以下の両方の取引において再測定すべきか について議論した。ただし、取引に関係する資産又は資産グループ は、IFRS 第 3 号の事業の定義を満たさない。 • 取引が行われる前には共同支配を有していた企業、あるいは一当 事者であった企業が、共同営業の支配を獲得する場合 • 持分の変動により、共同営業の一当事者が当該共同営業に対す る共同支配を獲得する場合。共同営業の当該当事者は、共同営 業に関係する資産に対する権利及び負債に対する義務を当該取 引前に有していた。 IFRS 解釈指針委員会は、IFRS 第 3 号第 2 項(b)において、資産又 は資産グループが事業の定義を満たさない場合の資産の取得の会計 処理に関する規定が説明されている点に留意した。IFRS 解釈指針委 員会は、IFRS 第 3 号第 2 項(b)において、資産の取得を会計処理す る際は取得原価ベースのアプローチを使用すべきであり、取得原価ベ ースのアプローチでは一般的に既存資産は再測定されないとされて いる点に留意した。また、IFRS 解釈指針委員会は、実務の大きなばら つきがみられないことにも留意した。 2016 年 1 月 IAS 第 12 号「法人所得税」―為替レ ート変動の影響に関する繰延税金の 認識 IFRS 解釈指針委員会は、非貨幣性資産及び負債の税務基準額が、 企業の機能通貨とは異なる通貨により算定される場合の繰延税金の 認識に関する要請を受領した。問題になるのは、非流動資産の税務 基準額に関し、為替レートの変動により生じる繰延税金が、純損益を 通じて認識されるかどうかである。 IFRS 解釈指針委員会は、IAS 第 12 号第 41 項に、非貨幣性資産又 は負債の税務基準額が、機能通貨とは異なる通貨で算定されている 場合、一時差異が生じ、その結果繰延税金資産又は負債が生じると 述べられている点に留意した。そうした繰延税金は、純損益外で認識 される取引又は事象によって生じるものではないことから、IAS 第 12 号第 58 項に従い純損益に費用又は収益として認識される。計上され た繰延税金に係る費用又は収益は、純損益計算書において為替差損 益ではなく、他の繰延税金と共に表示される。 IFRS 解釈指針委員会は、IAS 第 12 号第 79 項において、税金費用 (収益)の主要な内訳の開示が求められている点にも留意した。IFRS 解釈指針委員会は、為替レートの変動が、計上した繰延税金に係る 費用又は収益の主要な内訳の原因である場合には、IAS 第 12 号第 79 項に従ってこれを説明すれば、財務諸表の利用者が当期の税金 費用(収益)を理解するうえで役立つと考えた。 2016 年 1 月 IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測 定」―マイナス金利環境における変動 金利の主契約からの組込フロアの分 離 IFRS 解釈指針委員会は、マイナス金利環境下での組込デリバティブ に関する IAS 第 39 号の規定の適用を明確にするよう要請を受けた。 具体的に、IFRS 解釈指針委員会は以下について検討を行った。 • IAS第39号AG33項(b)を、マイナス金利環境において主契約であ る変動金利負債に含まれる組込金利フロアに適用すべきか。 • 当該項で言及されている「市場金利」はどのように算定するか。 IFRS解釈指針委員会は、以下のような見解を示した。 24 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 最終検討日 論点 解釈指針委員会のアジェンダとして採用されなかった理由の概要 • IAS第39号AG33項(b)は、マイナス金利環境下でも、プラス金利環 境で適用されるのと同じように金利フロアに適用すべきである。 • IAS第39号AG33項(b)をプラス又はマイナス金利環境で適用する 際は、混合契約の金利フロア全体(すなわち、当該契約で参照して いるベンチマーク金利に加え、契約上のスプレッド、ならびに適宜 プレミアム、ディスカウント又は実効金利の計算に関係があるその 他の要素)と、金利フロアのない類似契約(すなわち、主契約)の市 場金利を比較しなければならない。 • 主契約の適切な市場金利を算定するために、主契約の特定の条 件と当該取引に適切となる関連スプレッド(信用スプレッドを含む) を考慮しなければならない。 これらの見解を示すにあたり、IFRS解釈指針委員会は以下の点に留意 した。 • IAS第39号AG33項(b)では、プラス金利とマイナス金利を区別して いない。したがって、当該項の規定はどちらの場合も首尾一貫して 適用すべきである。 • IAS第39号AG33項(b)は、組込金利フロアが主契約である負債に 密接に関連しているかどうかを特定することを求めており、組込金 利フロアの個々の構成要素(たとえばベンチマーク金利)について は言及していない。 • 「市場金利」という用語は、IFRS第13号に定義される公正価値の 概念と結びついており、IAS第39号AG64項において、「同様の信 用格付けを有する類似の金融商品(通貨、条件、金利の種類及び 他の要素に関して類似するもの)」の金利と説明されている。 IFRS 解釈指針委員会は、IFRS 第 9 号 B4.3.8 項(b)及び B5.1.1 項 が、それぞれ IAS 第 39 号 AG33 項(b)及び AG64 項の規定を引き 継いでいることにも留意した。したがって、このアジェンダ決定で示され た見解は、IFRS 第 9 号に従って会計処理される金融負債にも同様に 適用される。 参考基準:IAS第39号AG33 項 次の例においては,組込デリバティブの経済的特性及びリスクは主契約の経済的特性及びリスクと密接に関連している。これらの例では, 企業は組込デリバティブを主契約と区分して会計処理することはしない。 : (b) 負債性の契約又は保険契約の金利に係る組み込まれたフロアー又はキャップは,当該金融商品の発行時において,キャップが市場 金利以上で,フロアーが市場金利以下であり,かつ,キャップもフロアーも主たる金融商品に関してレバレッジされていない場合には,主 たる契約と密接に関連している。同様に,契約に含まれている資産(例えば,コモディティ)の売買条項で,当該資産について授受される 価格のキャップ及びフロアーを設定しているものは,キャップとフロアー両方が開始時にアウト・オブ・ザ・マネーで,かつ,レバレッジされ ていない場合には,主契約と密接に関連している。 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 25 セクション 3:IASB プロジェクト 現在、多くの基準の改訂等が進んでいるため、IASB の基準設定活動について一早く情報を入手し理解することが非常に重要である。以 下では、IASB が現在進めているプロジェクトに関して、その特徴と提案されている基準が及ぼしうる影響について要約している。「主要プ ロジェクト」とは、新基準書の公表を目指して着手されたプロジェクト及び多数の基準書にまたがる重要な検討事項が関係するプロジェク トを指している。「その他のプロジェクト」には、限定的な範囲の改訂案が含まれている。ここでは基本的には、公開草案の段階まで至っ ているプロジェクトのみを含めているが、公開草案の段階まで至っていないプロジェクトも一部で取り上げている。4 主要プロジェクト 保険契約 主な改訂点 背景 一定の有配当性を有する契約は、変動手数料アプローチと呼ば れる、提案されている一般測定モデル(すなわち、その他すべての 保険契約に適用されるビルディング・ブロック・モデル)を修正した アプローチに従うことが求められる。 IASB は 2013 年 6 月に公表した保険契約に適用される包括的 な会計モデルに関する 2 度目の公開草案について再審議を完了 した。IASB のスタッフは、現在投票プロセスを進めているが、これ は 2016 年いっぱいかかる予定である。FASB も 2013 年 6 月 に公開草案を公表している。しかし、その後、FASB は保険契約に 関する新たな基準書は公表せず、その代わりに保険会社の現行 の会計処理を改善する取組みを行うことを決定した。 この変動手数料アプローチでは、変動手数料の見積りの変更(こ れには、特定項目の投資成果に対する企業の持分が含まれる) は、CSM で調整される。 範囲 CSM は、時の経過に基づいて純損益に認識される。 保険契約を発行している企業の種類に関係なく、すべての種類の 保険契約(すなわち、生命保険、損害保険、元受保険、再保険)に 加え、一部の保証及び裁量権のある有配当性を有する金融商品 に適用される。なお、いくつかの例外規定も存在する。 保険料の配分に基づく簡便法は、一定の適格要件を満たす(たと えば、カバレッジ期間が 1 年以下の契約)場合、残存カバレッジに 係る負債に適用できる。 すべての保険契約における収益は、契約に基づく当期の保険者 のパフォーマンスを表す既経過保険料を通じて損益計算書に計上 される。 経過措置及び発効日 特徴 保険契約負債の測定について提案されているモデルは、次のビ ルディング・ブロック・アプローチ(一般測定モデルとも呼ばれる)に 基づいている。 IASB は発効日を決定していないが、最終基準書の公表から約 3 年後と予想される。再審議の過程で、IASB は、原則的に遡及適 用を求めることを決定した。ただし、該当する場合には一定の免除 規定が適用される。 • 将来キャッシュ・フローの現在価値の見積り 影響 • キャッシュ・フローの現在価値の見積りに対するリスク調整 • 契約開始時の利得を消去する契約上のサービス・マージン (CSM)。CSM は、将来キャッシュ・フローの見積りの変更及 びリスク調整について事後的に調整される。 OCI の使用を任意にするという IASB の暫定決定は、保険契約プ ロジェクトを完了させるために必要な譲歩であろう。このような選択 肢が認められたことで、保険契約に基づく義務を履行するための 各企業の事業運営方法の相違を反映することができるようになる。 • 各報告期間の末日時点で更新される割引率。この割引率は、 負債の特徴を反映すべきであるとする原則に基づいている。 保険基準の目的は、個々の契約の会計処理についての原則を提 供することであるが、この目的が満たされる限りにおいて、契約を 集約することもできる。 IASB は OCI を任意とし、変動手数料モデルを導入したが、提案さ れているモデルは、KPI(主要業績指標)に大きな影響を与えるこ とが見込まれており、依然として現行の会計モデルよりも資本及 び純損益のボラティリティが大きくなる可能性がある。 また、割引率の変動による影響を OCI と純損益のどちらに認識す るかについて、ポートフォリオ・レベルで会計方針の選択が可能で ある。 4 26 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 最新の IASB ワークプラン及び各プロジェクトに関する詳細な情報は、以下のウェブサイトを参照のこと。 http://www.ifrs.org/Current-Projects/IASB-Projects/Pages/IASB-Work-Plan.aspx IFRS 第 9 号との関係 概念フレームワーク IFRS 第 9 号は 2018 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適 用される。保険会社が新たな保険契約基準の発効前に IFRS 第 9 号を適用した場合に生じる可能性がある一定の会計上のミスマッ チを軽減するため、IASB は 2016 年 3 月、IFRS 第 9 号適用に 係る一時的な免除を認める(企業の支配的活動が保険契約を発 行することである場合)、又は適格金融資産から生じる収益又は 費用の一部を純損益から OCI に振り替えること容認するため、現 行の IFRS 第 4 号「保険契約」の改訂を進めることを決定した。 IASB には解消すべき技術的論点がまだ幾つかあるが、2016 年 9 月には IFRS 第 4 号の改訂を公表する予定である。 主な改訂点 背景 概念フレームワークプロジェクトの目的は、より完全、明瞭、かつ 最新の概念を示し、財務報告の改善を図ることである。 この目的を達成するために、IASB は概念フレームワークのすべ ての項目を根本的に見直すのではなく、現行の概念フレームワー クを基礎として、更新、改善、ギャップを埋める取り組みを進めて いる。 範囲及び主な特徴 2015 年 5 月の公開草案には、以下の提案が含まれている。 EY のその他の公表物 プロジェクトが進行中の保険契約について、適時に審議の進捗状 況を解説 5 • 財務諸表の構成要素の定義を改訂する • 認識要件及び認識の中止に係る原則に関して新たなガイダ ンスを示す • 使用される測定基礎を記述し、適切な測定基礎を選択する 際に考慮すべき要因を示す • 収益及び費用項目を純損益又はその他の包括利益に計上 する際の原則を示す • 情報の表示及び開示に関する原則的な概念を示す 公開草案のコメント募集期限は 2015 年 11 月 25 日に終了した。 影響 概念フレームワークについて提案されている変更は、特定の取引 又は事象に他のいずれの基準書も適用されない場合、あるいは 基準書において会計方針の選択が認められている場合において、 影響を受ける可能性がある。 EY のその他の公表物 Applying IFRS: IASB the Conceptual Framework exposure draft (June 2015) EYG no. AU3242 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 27 開示イニシアティブ 開示の原則 主な改訂点 本プロジェクトの目的は、基準書レベルのプロジェクトにおける基 礎となるような IFRS の一連の開示原則を識別し、開発することで ある。リサーチ段階では、IAS 第 1 号、IAS 第 7 号及び IAS 第 8 号の一般規定をレビューし、これらの規定を単一の基準書、すな わち開示フレームワークを創設することによって集約する方法を 検討することである。財務報告の開示に関するディスカッション・フ ォーラムで関係者より寄せられた改善のための提言を中心に取り 上げるとともに、概念フレームワークプロジェクトで受領したフィー ドバックも考慮する予定である。 背景 IASB は、IFRS に基づく財務報告における開示の改善に向けて、 広範囲にわたる取組み(開示イニシアティブ)を実施している。開 示イニシアティブは、数多くの適用プロジェクト及び調査プロジェク トから構成されている。2014 年 12 月に IAS 第 1 号の改訂が公 表され、2016 年 1 月には IAS 第 7 号の改訂が公表された。本 書のセクション 1 に当該改訂の要約を載せている。開示イニシア ティブを構成するそれ以外のプロジェクトについては、以下のとお りである。 IASB は以下のリサーチを行う予定である。 重要性 • 本プロジェクトの目的は、重要性概念の適用を改善する方法を検 討することである。IASB は以下を計画している。 注記に関する開示の原則(代替的な業績測定値及び非 IFRS 情報の開示を含む) • 以下を含む、完全な一組の IFRS 財務諸表における情報 • • • IFRS に定められる現行の重要性の定義を変更し、複数の 基準書と財務報告に関する概念フレームワークにまたがる 重要性の定義を一致させる。重要性の主たる特徴を明確に する規定を IAS 第 1 号に追加する。 重要性の概念を適用するためのガイダンスを提供する。これ は強制ではない実務ステートメント(Practice Statement)の 形態で提供される予定である。 その他の基準の全般的な開示規定のレビュー作業がさらに 進んでから、基準における不整合な表現又は過度に形式的 な表現の使用に対処するための変更を行うかどうかを検討 する。 実務ステートメントの公開草案が 2015 年 10 月に公表された。こ の公開草案では、次の 3 つの主要領域に関するガイダンスが提 案されている。 • 重要性の特性 • 財務諸表に情報を表示及び開示する際に、重要性の概念を 適用する方法 • 情報の脱漏及び誤表示が財務諸表にとって重要かどうかを 評価する方法 公開草案に対するコメントの提出は 2016 年 2 月 26 日で締め 切られた。 • 開示の差別化とバランス • キャッシュ・フロー報告 • 期中財務情報の開示 ディスカッション・ペーパーの公表は 2016 年下期を予定している。 会計方針の変更と会計上の見積りの変更の区別 本プロジェクトの目的は、会計方針の変更と会計上の見積りの変 更の現行の区分を明確化することである。2016 年に公開草案の 公表が予定されている。 全般的な開示規定のレビュー IASB は、既存の基準書のレビューを行い、冗長な表現、矛盾及 び重複を識別し、削除する予定である。 影響 開示イニシアティブの現段階において、異なるプロジェクトが相互 に与える影響はわかっていない。しかし、開示イニシアティブの目 的は、いかにして財務諸表の構造を改善し、開示を企業に即した 内容とし、そして重要性の概念を適用するかに関するガイダンスを 提供することによって、開示の有効性を高めることである。 2014 年 12 月に公表された IAS 第 1 号の改訂は、IAS 第 1 号 の既存の規定を一般的に明確化しただけである。ただし、こうした 明確化により、有効でないと見られる情報を提供してきた開示実 務にメスを入れ、開示の有効性を高めることができるかもしれない。 同様に、その他のプロジェクトも、よりカスタマイズされた効果的な 開示を促進する可能性がある。 EY のその他の公表物 Applying IFRS「開示の有効性の改善に向けて」(2014 年 7 月) 28 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 その他のプロジェクト IASB のワークプランには、既存の基準書及び解釈指針書を特定の事項に関して改訂する多くのプロジェクトが示されている。以下は、そ のうちの一部のプロジェクトについて簡単にまとめたものである。すべてのプロジェクトの現状が示されているワークプランについては、 IASB のウェブサイトを参照されたい。 その他のプロジェクト 現在の状況/次のステップ IFRS 第 15 号「顧客との契約から生じる収益」の明確化(TRG における議論から生じた 論点) • 本プロジェクトの目的は、TRG における議論から生じた実務適用上の論点につい て、IFRS 第 15 号の規定を明確化することである。 • IASB は、以下を明確化することを提案する公開草案を公表した。 • 約束した財又はサービスが契約の観点においてどのような場合に別個のもの であるか • 評価に係る会計単位を含む本人・代理人に関する適用指針の適用方法、サー ビス取引における支配の原則の適用方法、及び指標の再構成 • 企業の活動が、顧客が権利を有する知的財産に著しい影響を及ぼす場合、企 業がライセンスに係る収益を一定期間にわたり認識するか、一時点で認識する かを判断するための要因はどれか • 企業は、知的財産のライセンスに関連する売上高ベース及び使用量ベースの ロイヤルティに係る例外を適用し、関連するライセンスが独立した履行義務で はない場合にどのように収益を認識するか • 公開草案には、IFRS 第 15 号への移行の救済措置として、契約変更及び完了した 契約に関する 2 つの実務上の便法の提案が含まれている。 • IASB は、2015 年第 4 四半期の再審議において、さらに以下を決定した。 • 本人・代理人に関する適用指針から信用リスクの指標を削除する • 適用開始日時点のすべての契約(FASB が提案)、あるいは適用開始日時点 で完了していない契約(IASB が提案)に修正遡及方式を適用することを認める • 修正遡及方式を使用し、契約変更に係る実務上の便法の適用を選択する企業 に対し、当該便法を表示する最も古い期間の期首時点で適用するか、IFRS 第 15 号の適用開始日時点で適用するかの選択肢を認める。ただし、それ以外の 日に適用することは認められない • 企業は、当該改訂を 2018 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から遡及適用しなけ ればならない。早期適用は認められる。 • 金融商品-動的リスク管理の会計処理:マクロヘッジに対するポートフォリオ再評価アプ ローチ • 本プロジェクトの目的は、個々の契約ではなく、資産の中身が順次入れ替わ る、オープン・ポートフォリオに対するリスク管理戦略の会計処理を取り扱うこと である。IAS 第 39 号及び IFRS 第 9 号のヘッジ会計の規定は、マクロヘッジ に関する論点に特有の解決策を提供していない。 • IASB は、最初に、企業が行っている動的リスク管理活動をより適切に示すた めに必要であると関係者が考える情報の検討に焦点を合わせている。 • これに続いて IASB は、関係者の情報ニーズのうち、認識及び測定によって対 処する必要がある領域を検討するのに先立って、まずは、当該情報ニーズに ついて、開示によって対処する方法を検討すると見込まれる。(ただし、当プロ ジェクトを開示のみのプロジェクトにするものではない) • • • 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 公開草案の公表:2015 年 7 月、 再審議 2016 年第 1 四半期完了 改訂の公表予定:2016 年第 2 四半期 ディスカッション・ペーパーの公 表:2014 年 4 月、再審議 2015 年第 4 四半期完了 2 番目のディスカッション・ペーパ ーの公表予定:2016 年第 3 四 半期以降 29 その他のプロジェクト 現在の状況/次のステップ 株式報酬取引の分類及び測定に関する明確化(IFRS 第 2 号の改訂案) • IASB は以下の事項を取り扱うため、IFRS 第 2 号の改訂を提案している。 • 権利確定条件が現金決済型の株式報酬に及ぼす影響 • 税法又は規則により最低限の源泉徴収が求められているため、資本性金融 商品の一定部分を留保することで純額決済される株式報酬取引 • 株式報酬取引の分類を現金決済型から持分決済型に変更する条件変更 • 負債の分類(IAS 第 1 号の改訂案) IAS 第 1 号の改訂の目的は、負債の流動/非流動の分類要件を明確化することで、 財務諸表の表示を改善することである。公開草案では、以下が提案されている。 • 負債の流動/非流動の分類は、報告期間の末日現在の企業の権利に基づくこ とを明確化する。 • 負債の決済と、企業からの資源の流出とのつながりを明確化する。 • 公開草案の公表:2015 年第 1 四 半期、改訂の公表予定:2016 年第 3 四半期以降 市場価格のある子会社、ジョイント・ベンチャー及び関連会社に対する投資の公正価値 測定(IFRS 第 10 号、IFRS 第 12 号、IAS 第 27 号、IAS 第 28 号及び IAS 第 36 号、 ならびに IFRS 第 13 号の設例の改訂案) • IASB は、以下の事項を明確化するために IFRS 第 10 号、IFRS 第 12 号、IAS 第 27 号、IAS 第 28 号、IAS 第 36 号の改訂を提案している。 • 子会社、ジョイント・ベンチャー及び関連会社に対する投資の会計単位は投資 全体とする。 • 投資全体を構成する個々の金融商品について活発な市場における公表価格 が入手可能な場合、公正価値は、「金融商品の公表価格(P)×当該金融商品 の保有数量(Q)」(すなわち、価格×数量 P×Q)とする。 • 資金生成単位(CGU)の減損判定に関して、CGU が活発な市場における公表 価格のある企業である場合には、公正価値(処分コスト控除後の公正価値に 基づく回収可能価額の計算に利用)は P×Q となる。 • 公開草案では、活発な市場における公表価格が入手可能な投資のみで構成される ポートフォリオに対して、ポートフォリオ・アプローチの適用方法を説明する設例を、 IFRS 第 13 号に含めることを提案している。 • 公開草案の公表:2014 年第 3 四半期、プロジェクトの方向性に 関する再審議 2016 年第 1 四半 期完了 このプロジェクトで行われた作業 は、IFRS 第 13 号の適用後レビ ューで使われる予定である。 制度改訂、縮小又は清算時の再測定/確定給付制度からの積立超過の返還の利用可 能性(IAS 第 19 号及び IFRIC 第 14 号の改訂案) • IAS 第 19 号の改訂案では、制度の改訂、縮小又は清算が報告期間中に生じた場 合、これらの事象が生じた後の期間における当期勤務費用及び利息純額は、最新 の情報に基づき算定しなければならないと定められている。 • IFRIC 第 14 号「IAS 第 19 号―確定給付資産の上限、最低積立要件及びそれらの 相互関係」の改訂案は、他の当事者のパワーが、制度の積立超過分の返還を受け る企業の権利に影響を及ぼすかどうかを取り扱っている。 • • • 30 • 3 月 31 日に終了する会計年度に関する IFRS による決算上の留意点 公開草案の公表:2014 年第 4 四 半期、再審議 2015 年第 4 四半期 完了 改訂の公表予定:2016 年第 3 四 半期まで 公開草案の公表:2015 年第 2 四 半期、プロジェクトの方向性に関す る決定が 2016 年第 3 四半期まで に下される見込み EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory EY について EY は、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなど の分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサ ービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たち はさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを 生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして地域社 会のために、より良い社会の構築に貢献します。 EY とは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワー クであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的 に独 立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証 有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.com をご覧 ください。 新日本有限責任監査法人について 新日本有限責任監査法人は、EY の日本におけるメンバーファームで す。監査および保証業務をはじめ、各種財務アドバイザリーサービスを提 供しています。詳しくは、www.shinnihon.or.jp をご覧ください。 © 2016 Ernst & Young ShinNihon LLC. 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