IFRSに精通した人材の 育成が急務 アビタス 代表取締役 三輪豊明 国際財務報告基準(IFRS)の適用が全世 欧州の金融機関は、EU経済・財務理事会勧 界で急速に拡大している。EU は、2005年 告において、IAS第39号「金融商品:認識と より域内の上場企業にIFRS適用を義務付 測定」の金融資産の保有目的区分の変更 けており、米国も08年8月、採用する方針 に係る規定について、国際的な競争相手 を提示した。日本でも、今年2月4日に公 と同じ基準が適用できるよう強く要請し 表された「我が国における国際会計基準 た。結果、異例の速さで IAS 39、IFRS 7が の取扱いについて(中間報告) (案)」によ 改訂されるに至った。 ると、早ければ15年にわが国でも採用さ れる可能性がある。 国際競争力を強化するためには、世界 に共通する「モノサシ」の設定に対して、 今 IFRS の趨勢の中心は、金融商品に係 意 見 を 言 わ な け れ ば な ら な い 。日 本 の る基準であるといっても過言ではない。 IFRS採用に際しては、業務ルールの確立、 改訂についての公開草案も複数出されて システム対応を始め様々な課題はあるが、 いる。先のG20サミットにおける首脳宣言 特に人材の教育・育成は急務である。道の においては、市場の混乱時において、特に りはなだらかではないが適切な取り組み 複雑な証券についての国際会計基準の見 に対するリターンは欧州において実証さ 直しを、各国財務大臣に要請している。 れていることから、早急な対応が求めら また、金融機関には IFRS の潮流を作っ れよう。 ていく役割を期待されている。08年10月、 6 2009.4
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