Title 結膜囊より分離せるCorynebacteriumに関する研究

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結膜囊より分離せるCorynebacteriumに関する研究(
Abstract_要旨 )
永田, 美代
Kyoto University (京都大学)
1966-11-24
http://hdl.handle.net/2433/212027
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
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氏)
田
永
なが
た
学
美
代
み
よ
博
士
学 位 の 種 類
医
学 位 記 番 号
論
学位授与 の 日付
昭 和 41 年 11 月 24 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第
学位論文題 目
結膜 嚢 よ り分離せ る C oryn ebaeteriu m
論文 調査 委員
教 授 田部 井
和
論
内
医
博
第 330 号
5 条 第 2 項 該 当
に関す る研究
(主 査)
文
教 授 浅 山 亮 二
容
の
要
教 授 岡 本 耕 造
旨
大阪赤十字病院眼科外来患者の うち, 正常結膜 を有す るものおよび各種結膜疾患を有す る ものの結膜嚢
よ り, 好気性 の C orynebacterium の分離 を試 みた。
菌 を分離す る場合 の基礎培地 と してはチオグ リコ レ- ト培地 を用 い, 左右眼はそれぞれ別個 の もの と し
て扱 った。 滅菌 ピペ ッ トに所要量のチオグ リコ レー ト培地 を吸 引 し, これを結膜嚢 内に滴下 してで きるだ
け結膜嚢 内のすみず みにまで拡が らせ た後 , 同 じピペ ッ トで吸 引 して元 の培地 に もど し, これを 37oC で
2 - 5 日間培養す る。 しか る後 に荒川培地 お よ び 10 % ウサギ 血液加寒天培地を用 いて分離培養を行な っ
た。 得 た純培養 につ いては, 主 と して, 染色 および形態検査 の成績 , 一般生物学的性状すなわ ち運動性 ,
硝酸塩 の還元能 , H iss の糖加血清水培地 に 5 日間培養 して得 た糖分解性 に関す る成績 , 毒素産生能 を ウ
サギ角膜 内注射法 , モルモ ッ ト皮 内注射法 , E lek の寒天層 内沈降反応で検査 した成績 , L atex 凝集反応
および吸収試験 によ り免疫学的性状 を検査 した成績を総合 して分類 した。
なお C . xerosis と しては 53-K -Ⅰ株 , 阪大 よ りの分与株 および A T C C よ り分与 され た9016株を,
C . pseudodiphtheriticum と しては10700株を , C . diphtheriae と しては, いずれ も伝研か ら分与 され た
G ravis 型 の A -7 株 , M itis 型 の T ront 株 および P ark-D avis 株 , および Interm edius 型 の A -9 株 ,
大阪学芸大学 よ り分与 され た P ark W illiam s N o. 8 株 をそれぞれ対照標準菌株 と して用 いた。
つ ぎのよ うな成績を得 た。
1 ) 健康者 および各種結膜疾患を有す る患者 251 例 の結膜嚢の細菌学的検査を試み , 好気性 の C orynebacterium 53株 を得 た。 これ らはすべて G ram 陽性 の梓菌で , 2 株を除いた 51 株 で は異 染 小体を認 め
た 。
2 ) これ らの菌株 を主 と して糖分解性 によ り, glucose および sucrose は分解す るが dextrin は分解
しない C . xerosis 41株 , 糖類を分解 しない C . pseudodiphtheriticum
2 株 , glucose および m altose
は分解す るが sucrose および dextrin は分解 しない D iphtheroid 5 株 , その所属を決定 し得なか った
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もの 5 株 に分類 した。
3 ) C .x erosis 41株は, その荒川培地上 における培養所見か ら, 大なる集落を作 る 2 株 と, 微小な集落
を作 る39株 とに区別 し得 た。
4 ) 分離菌株の中には,一般性状のはかに糖分解 の成績 ,すなわち glucose,m altose,dex trin,glycogen ,
sucrose の分解性 か ら C . diphtheriae と考え られ るもの もあったが, ジフテ リア毒素を生産す るものは
なか った。
5 ) 主 と して L atex 凝集反応 によ り分離株および標準保存株の抗原構造の比較を臨 み, C . pseu dodiphtheriticum の抗原構造は均等であるのに対 し, C . xerosis の抗原構造 は複雑であることを認めた。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
大阪赤十字病院眼科外来患者の結膜嚢か ら好気性 C orynebacterium の分離を試みた。
チオグ リコレー ト培地を増菌培地 と し, 荒川培地および血液寒天を用いて分離培養 した。 得 た純培養に
ついては形態 , 運動 , 硝酸塩還元 , 糖分解 , 毒素産生 , L atex 凝集反応 による免疫学的性状等を検査 し
て分類を行ない, つ ぎのどとき成績を得た。
1 ) 本研究では好気性 の C orynebacterium 53株を得た。 これ らはすべて G ram (+ ) の梓菌で , 51株
では異染小体をみとめた。
2 ) これ らの菌株を, 主 と して糖 分 解 性 に よ り C . xerosis 41株, C . pseu dodiphtheriticum 2 株,
D iphtheroid 5 株, 所属を決定 し得ない もの 5 株に分類 し得た。
3 ) C . xerosis 41株は, 荒川培地上の培養所見 か ら大 な る集落を作 る 2 株 と, 微小な集落を作 る39株
に区別 し得た。
4 ) 分離菌株中には, その諸性状か ら C . diphtheriae と考え られ るものがあ ったが, ジフテ リア毒素
を産生す るものはなか った。
5 ) 主 と して L atex 凝集反応によ り, C . pseu dodiphtheriticum の抗原構造 は均等であるのを認めた
のに対 し, C . xerosis のそれは複雑であ った。
本研究は学術上有益な ものであり, 医学博士の学位論文 と して価値 あるものと認定す る。
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