Title Electron Microscopic Studies on the Negri Body( Abstract_要 旨

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Electron Microscopic Studies on the Negri Body( Abstract_要
旨)
Miyamoto, Kaneatsu
Kyoto University (京都大学)
1966-11-24
http://hdl.handle.net/2433/212026
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
【180 】
みや
本
もと
かね
あっ
学 位 の 種 類
医
学
博
士
学 位 記 番 号
論
学位授与 の 日付
昭 和 4 1 年 11 月 24 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位論文題 目
E lectron M icroscopic Studies on the N egri B ody
氏)
宮
医
厚
包
博
第 329 号
(ネグ リ小体 の電子顕微鏡的研究 )
(主 査)
論文 調査 委員
教 授 松 本 清 一
論
文
内
教 授 東
容
の
昇
要
教 授 花 岡 正 男
旨
ウイル ス病 に好発す る種 々の細胞 内封入体 の うち, ネダ リ小体 は狂犬病感染の示標 と して重要視 されて
い るが, いわゆ る街上毒 ウイル スの実験室 内脳継代 によ って固定毒化 され るとと もに神経細胞の細胞質 内
に出現 しな くな る特徴 を もつ。 しか も,、同小体 の重要な構成因子 で ある
inner body は他の ウイル ス封入
体 に認め られない構造物 と して特異的で ある。 この際立 った生物学的性格の散 に, その本態 に関す る論議
は 1903年以来続 け られてきてい る。 ネダ リ小体研究の歴史的概観 を行ない,
1) Protozoa 試 , 2 ) ウイ
ル ス粒子集団説 , 3 ) 神経細胞小器官 由来説 , 4 ) 神経細胞二次産物説 に大別 しその問題点を示 した。 す
なわ ち, 最近の論議 は
1 ) 同小体 が ウイル ス増殖部位であるか否か, 2 ) ウイル ス感染 に基づ く宿主細
胞の二次産物であるか否か とい う問題 に集中 しているO 現在 , 電子顕微鏡観察 によ って狂犬病 ウイル スの
形態が明 らかにされて お り, した が って, 同小体の本態 はウイル ス増殖像 と関連 して検討 しうる。 ただ
し, この問題 の決め手 は厳密 に同小体 の好発部位である, 例えば安 門角神経細胞層の観察 によ らなければ
な らない。 このために,ネダ リ少体形成能 の高 い街上毒 ウイル ス小松川株 を接種 したマウス脳 よ り安 門角神
経細胞層を含む超薄切片 および これに連続す る 1 〟切片 を作製 した。 電子顕微鏡観察 に先立 ち , toluidine
blue 染色 を行な った 1 p 切片 の光学顕微鏡観察 によ りネグ リ小体含有神経細胞を確認後 , 連続す る超薄
切片 にて同一神経細胞を電子顕微鏡で観察 した。 その結果 は次 の とお りで ある。
1 ) ネダ リ小体 は
toluidine blue 染色 1 /上切片で淡染性細胞質 内封入体 と して認め られ, これに連続
す る超薄切片 による電顕像 は同小体 の好酸性基質が ウイル ス増殖 と密接な関係を もつ マ トリックス域であ
ることを明 らかに した。
2 ) ネグ リ小体 の重要な構成 因子である inner body は 1 p 切片で濃染性頼粒構造 と して認め られ る
が , その電顕像 はネダ リ小体 内部でその基質 と劃然 と区別 して認め られ る領域を示 し, 小胞体 と関連 した
ウイル ス粒子 および リボ ゾ- ム頼粒等 の細胞質成分 よ り構成 され る。
3 ) 同一細胞質 内で隣接 して存在す る小型 マ トリックス域 の癒合 によ りネダ リ小体 は大型化 し, その際
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周囲細胞質が包み込 まれて inner body が形成 され る もの と患われ る。
以上よ り, ネダ リ小体 はその基本 の構造 において , 同小体 を形成 しない街上毒ない し固定毒狂犬病 ウイ
ル ス感染神経細胞 に出現す るマ トリックス域 と形態学的には質的な差異 がな く, ウイル ス増殖 の場である
ことを明 らかに した。 一方 , ネグ リ小体形成能 の程度 はウイル ス感染 によ り容積 の大な るマ トリックス域
が多数好発部位 に集中的 に出現す るとい う量的な違 いと して形態学的に理解 さるべ きものである。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
狂犬病街上毒 ウイル ス感染の際 , 神経細胞質 内に出現す るネダ リ小体 に関 し, 1 ) 同小体 が ウイル ス増
殖部位 か, 2 ) ウイル ス感染 による細胞の二次反応物であるかについてまだ結論がない。 ウイル スの形態
が明 らかで ある現在 , 厳密 に同小体 と同定 された構造 の電子顕微鏡観察 が最終的解答を与え るで あろ う。
この 目的のためにネダ リ小体好発部の安 門角神経細胞層の連 続 切 片 を つ く り, 光 学顕微鏡で小体 を確 認
級 , I/竃子顕微鏡で観察 し, ウイル ス増殖像 の関係を検討 し次 の結論 を得 た。
1 ) ネダ リ小体 はウイル ス増殖 と密接な関係を持つ特異的構造 (マ トリックスと も呼ばれ る) に一致す
る。
2 ) ネダ リ小体 の構成因子 と して重要 な inner body は小胞体 内腔- 産生 され る狂犬病 ウイル ス粒子 お
よび リボ ゾーム等 の細胞質成分 よ り構成 され る。
3 ) 同一神経細胞 内で隣接 して形成 され る小型 のマ トリックス域 は癒合 によ って大 き くな り, その際 ,
細胞質が包み込 まれて inner body が形成 され る。
4 ) ネダ リ小体 は固定毒 ウイル ス感染でみ られ るマ トリックスと質的な相違 はない。
以上本論文 は有益で あ って医学博士 の学位論文 と して価値 ある もの と認め る。
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