宿題 No.1

統計学 - 2016 年度前期
担当:蛭川雅之
宿題 No.1 - 解答例
2016 年 5 月 19 日
※正答は赤字、解説は(もしあれば)青字で印字してあります。
問1 ~ 問8
講義ノートNos.2-3で使用した女子大生80人の身長に関するデータから以下のよ
うな度数分布表を作成する。ノートで紹介した度数分布表では階級幅を5にと
っていたのに対し、今回は階級幅を3にとり直している。具体的な階級は、上
か ら 順 に 143~146, 146~149, 149~152, 152~155, 155~158, 158~161, 161~164,
164~167, 167~170(階級“143~146” は「143cm以上146cm未満」を意味する。以
下同様)の九つである。また、階級値は各階級の中央値である。この度数分布
表の空欄に該当する数値を選べ。もし正答が見つからない場合は、正答に最も
近い数値を選択せよ。なお、空欄以外の数値の一部も意図的に空白にしてある
ので注意せよ。
空白部分を埋めた度数分布表は次のようになる。
階 級
143-146
146-149
149-152
152-155
155-158
158-161
161-164
164-167
167-170
問1:a. 146
b. 147
階級値
144.5
147.5
150.5
153.5
156.5
159.5
162.5
165.5
168.5
度 数
1
3
8
10
18
16
14
6
4
相対度数
0.0125
0.0375
0.1000
0.1250
0.2250
0.2000
0.1750
0.0750
0.0500
累積度数
1
4
12
22
40
56
70
76
80
c. 147.5 d. 149
階級値は階級の中央値であるから、(146 + 149) ÷2 = 147.5 である。
問2:a. 158
b. 159
c. 159.5 d. 161
問1と同様に考え、(158 + 161) ÷2 = 159.5 である。
問3:a. 8
b. 10
c. 18
d. 26
この階級の相対度数が0.1000であるから、度数は 80×0.1000 = 8 である。
問4:a. 8
b. 10
c. 18
d. 26
問3の結果より、この階級を除く全ての度数の合計が62とわかる。従って、
この階級の度数は 80 – 62 = 18 である。
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問5:a. 0.0800
担当:蛭川雅之
b. 0.1600
c. 0.2000
d. 0.2400
16 ÷80 = 0.2000 である。
問6:a. 0.0400
b. 0.0500 c. 0.0800
d. 0.1000
4 ÷80 = 0.0500 である。
問7:a. 39
b. 40 c. 41
d. 42
問3 ~ 問4の結果より、この階級までの累積度数は 1 + 3 + 8 + 10 + 18 = 40
と求められる。
問8:a. 70
b. 80 c. 90
d. 100
最後の階級までの累積度数はデータ数に等しい。
問9 ~ 問12
以下の空欄に該当する数値を選べ。もし正答が見つからない場合は、正答に最
も近い数値を選択せよ。
問1 ~ 問8で使用した度数分布表を用いて統計量を計算する。必要に応じて次
の表(先程と同様、数値の一部は意図的に空白にしてある)を利用することに
より、身長の平均およびメディアンはそれぞれ( 問9 )および( 問10 )と求
められる。また、身長の分散は( 問11 )、標準偏差は( 問12 )である。
空白部分を埋めた途中計算は次のようになる。
階級値(A)
144.5
147.5
150.5
153.5
156.5
159.5
162.5
165.5
168.5
問9:a. 156.50
問10:a. 157.50
相対度数(B)
0.0125
0.0375
0.1000
0.1250
0.2250
0.2000
0.1750
0.0750
0.0500
平均
(A×B)
1.8063
5.5313
15.0500
19.1875
35.2125
31.9000
28.4375
12.4125
8.4250
157.9625
b. 157.96 c. 158.00
b. 158.00
c. 158.09
偏差(C) (D = C^2)
-13.4625 181.2389
-10.4625 109.4639
-7.4625
55.6889
-4.4625
19.9139
-1.4625
2.1389
1.5375
2.3639
4.5375
20.5889
7.5375
56.8139
10.5375 111.0389
分散
標準偏差
(D×B)
2.2655
4.1049
5.5689
2.4892
0.4813
0.4728
3.6031
4.2610
5.5519
28.7986
5.3664
d. 158.19
d. 158.19
累積度数を点検することにより、40番目と41番目のデータは階級値156.5
の階級の18番目および階級値159.5の階級の1番目に位置することがわか
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る。従って、メディアンは以下のようになる。
158  155

 18  158
40番目: 155 
18

41番目: 158  161  158  1  158.1875

16
158  158.1875
 メディアン 
 158.094cm 
2
問11:a. 24.00 b. 28.80
問12:a. 4.90
c. 62.14 d. 559.25
b. 5.37 c. 7.88
d. 23.65
問13 ~ 問17
ある大学の統計学の講義で100点満点の中間試験を実施したところ、平均40点、
標準偏差10点であった。各学生の本来の得点(「素点」という)は整数値であ
る。平均点が想定を大きく下回り合格者が少数になりそうな点を危惧した担当
教員は、次の①②のいずれかの方法で得点調整を行うことを検討している。
① 各学生の素点に一律10点を加えたものを得点とする。
② 各学生の素点を20%増加させたものを得点とする。この場合、調整後
の得点が小数値をとることを認める。例えば、素点が43点である場合、
8.6点を加えて51.6点を得点とする。
このとき、次のそれぞれの説明が正しければ a 、誤っていれば b、与えられた
情報だけで判断できなければ c を選べ。
問13:①に比べて②の方が調整後の得点の平均は大きくなる。b
方法①による平均は40+10 = 50点、一方、方法②による平均は40×1.2 =
48点である。
問14:①に比べて②の方が調整後の得点の標準偏差は大きくなる。a
方法①による標準偏差は10点のまま、一方、方法②による標準偏差は10
×1.2 = 12点である。
問15:①に比べて②の方が調整後の得点が60点以上の学生の割合は大きくなる。
b
方法①による調整後の得点が60点以上の素点は60-10 = 50点以上、一方、
方法②による調整後の得点が60点以上の素点も60÷1.2 = 50点以上である。
問16:①に比べて②の方が調整後の得点と素点との相関係数は大きくなる。b
方法①②とも調整後の得点は正の傾きを持つ素点の一次関数で表される
ため、相関係数はいずれの場合も1になる。
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問17:①に比べて②の方が各学生の偏差値は高くなる。なお、偏差値を求める
公式は 50  10  調整後の得点を標準化した数値  である。b
方法①②いずれの場合でも調整後の得点を標準化した数値は変わらない。
問18 ~ 問21
n 個のデータ  X 1 , Y1 ,  ,  X n , Yn  から計算される相関係数を r とする。このとき、
次のそれぞれの説明が正しければ a 、誤っていれば b、与えられた情報だけで
判断できなければ c を選べ。
問18: Z  2 X とするとき、 Z 1 , Y1 , , Z n , Yn  から計算される相関係数は r より
大きい。b
ZがXの一次関数であるため、ZとYの相関係数はXとYの相関係数rに一致
する。
問19: W  Y  35 とするとき、 Y1 ,W1 ,, Yn , Wn  から計算される相関係数は r
より小さくなることはない。a
YとWの相関係数は1であり、rが1を超えることはない。
問20: r の絶対値は1より大きい値をとる場合がある。b
相関係数は常に-1以上1以下の値をとる。
問21: X と Y の役割を入れ替えて Y1 , X 1 , , Yn , X n  から相関係数を計算すると
 r になる。b
XとYの順序を入れ替えても相関係数は変わらない。
問22 ~ 問23
n 個のデータ X 1 , , X n はそれぞれ 0 より大きく 1 より小さい値をとるものとす
る。これら n 個のデータの標本平均を X と表すとき、次のそれぞれの説明が正
しければ a 、誤っていれば b、与えられた情報だけで判断できなければ c を選
べ。
問22: Z  X 2 とおき、 n 個のデータ Z 1 , , Z n から計算される標本平均を Z と表
す。このとき、 Z  X である。a
0  X 1 ,  , X n  1 であるから、 Z1  X 12  X 1 , , Z n  X n2  X n が成り立ち、
Z  X である。
問23: W 
1
とおき、 n 個のデータ W1 , ,Wn から計算される標本平均を W と
X
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表す。このとき、 W 
1
である。b
X
データが1個(n = 1)の場合、
W  W1 
1
1

X1 X
であるため、直ちにこの主張は誤りであることがわかる。念のため、デ
ータが2個(n = 2)の場合も考える。データ X 1 , X 2 はともに正であるた
め、(相加平均)
(相乗平均)
の関係を利用する。まず、
X 
X1  X 2
 X1X 2
2
が成り立ち、さらに
W 
W1  W2 1  1
1 
1 1
 

 

2
2  X1 X 2 
X1 X 2
1
X1X 2
である。これらを組み合わせると、やはり
W 
1
1

X1X 2 X
となる。さらに、この関係が一般の n に対して成り立つことも証明でき
るが、少々高度な数学を必要とするため省略する。
5