HPE System Integration | IT case study

Case Study
目的
スマートフォン向けのクラウド基
盤上で言語の壁を越える世界初の
革新的なコミュニケーションサー
ビスを提供することで、利用者の
スマートライフを支援するととも
に、利用者のスマートライフを支
援するというNTTドコモの取り組
みを具現化する
NTTドコモが、“言葉の
壁を超えるクラウドサー
ビス”を短期間で実用化
世界初の革新的なコミュニケーション
サービス「はなして翻訳」の開発をHPE
が全面的にサポート
アプローチ
翻訳サービスに必要な自然言語
処理関係の要素技術をオープンイ
ノベーションによって統合するこ
とで、競争力のあるサービスを短
期開発するとともに、これら新技
術と音声系ネットワークの安全な
連携によって、商用サービスとして
の安定性、信頼性を確保する
本開発プロジェクトの特徴 (詳細
内容については、
「はなして翻訳」
開発概念図をご覧下さい。)
•優れた外部技術を組み合わせ
るオープンイノベーションによっ
て、
サービスの開発期間を大幅
に短縮
•各要素技術を部品化することで、
機能変更や追加、
サービスバリ
エーション開発の柔軟性・迅速
性を確保化
•国内外に及ぶ広範なリサーチに
よって、優れた外部技術を収集
• Web系技術と音声系ネットワーク
における安全性、安定性の確保
はなして翻訳の特徴
•クラウドサービスにより、端末の
処理能力に限定されることなく、
高度な翻訳サービスを提供
•電話中の会話の同時通訳をサ
ポートする通話利用と、
目の前の
相手との会話の翻訳に使える対
面利用の2種類の利用法を提供
•従来の自動翻訳サービスにない
軽快なレスポンスと高い翻訳精度
•利用者の声を反映することで、使
い勝手を向上
NTTドコモ(以下ドコモ)
チャレンジ
は、スマートフォン向けの
ドコモクラウド上で、高精
度な音声自動翻訳という
イノベーションを提供する
「はなして翻訳」サービ
スを開発した。HPEのシス
テムインテグレーション
サービスを活用すること
で、音声認識、機械翻訳
といった自然言語処理を
駆使した新サービスの短
期開発を実現するととも
に、商用サービスとして
の品質も確保している
軽快なレスポンスと高い翻訳精度を
誇る革新的な翻訳サービス
フィーチャーフォンからスマートフォン
へのシフトやLTEの普及など、かつて
ないスピードで変化する移動通信市
場の中で、ドコモは従来の通信キャリ
アの枠組みを超え、ユーザーの生活
のあらゆる面でモバイルを核として新
たな価値を創造する総合サービス企
業に生まれ変わろうとしている。その
ためのビジネス基盤である「ドコモク
ラウド」では、ユーザーのスマートライ
フを様々な角度から支援する革新的
なサービスが続々とリリースされてい
る。その成果の一つが、今回開発され
た「はなして翻訳」だ。
Case study
Hong Leong
Asia Ltd
Industry
Trade and Industrial
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“Hewlett Packard Enterpriseは、言葉の壁を超えるイノベー
ションで人々の暮らしを便利にしようという、私たちと同じ強い
使命感を持って、
プロジェクトに参加してくれました。
その上で、
情報通信分野における優れた技術力とグローバルな情報収集
力、
そして提案力を結集してくれたのです。HPEの協力がなけれ
ば、今回のサービスは構築できなかったでしょう”
— 株式会社NTTドコモ 研究開発センターサービス&ソリューション開発部 サービス開発推進担当
担当部長 那須和徳氏
「はなして翻訳」は、ドコモのスマー
トフォンユーザー向けに無料で提供さ
れる音声ベースの自動翻訳サービスで
ある。利用方法は、電話中の会話を携
帯電話が同時通訳してくれる通話利
用(3ヶ国語対応)と、目の前の相手と
の会話で翻訳機として使える対面利用
(10ヶ国語対応)の2 通り。国際電話
でのやりとりも来日した海外旅行者
への応対も、身近な携帯電話ひとつ
で対応できるのだ。
特筆すべきは、自動翻訳サービスとし
ての性能と使い勝手。世界各地の業
界展示会では、従来の自動翻訳サー
ビスにない軽快なレスポンスと高い翻
訳精度に、業界関係者から驚きの声
が上がったという。洗練されたユー
ザーインタフェースに加え、入力文
や翻訳結果の確認、修正機能など、
利用者が安心して使える工夫も高
く評価され、
「CTIA 2013」「Mobile
World Congress 2013」「CEATEC
JAPAN 2012」では、モバイル分野の
イノベーションに貢献するサービスと
して表彰されている。
ドコモの技術開発力を全世界に証明
した「はなして翻訳」だが、その開発
にあたってはどのような課題解決があ
ったのだろうか。開発プロジェクトを
主導したドコモ研究開発センター
サービス&ソリューション開発部サー
ビス開発推進担当部長の那須和徳氏
に伺った。
「第一は、スピーディな開発です。
自然言語処理という革新技術を組み
込んだサービスを短期間で開発する
ために、オープンイノベーションを
ベースとした開発体制で臨みました」
(那須氏)
オープンイノベーションは、社内外の
最新技術を組み合わせて、革新的な
サービスを作り上げるシステム開発の
スキームである。これにより、わずか
2ケ月でプロトタイプ開発ができたと
のこと。
もう一つの課題は、サービスの品質
だった。ドコモ研究開発センター ネット
ワーク開発部サービス基盤担当部長
の立元慎也氏は、次のように語る。
「サービス自体の品質に加え、新サー
ビスを追加することによって、ドコモ
のコアネットワークである音声系ネッ
トワークに影響を与えないことが大
前提でした」
(立元氏)
立元氏たちは、自然言語処理をはじ
めとする新技術と音声系ネットワーク
を分離させながら、安全に連携するし
くみをつくり上げることで、ドコモの
大規模ネットワーク全体の品質を維
持したという。
革新技術による新サービスの短期開
発と、大規模ネットワークにおけるサー
ビス品質の確保に向けて、ドコモ研究
開発センターとHPEは一丸となって取
り組んでいった。次に、その具体的な
開発過程を見ていこう。.
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NTT DOCOMO, INC.
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業界
通信
ソリューション
オープンイノベーションによるスピー
ド開発
Hサービス開発の発端は、2010年の
初夏。
「携帯電話を使った翻訳サービ
スで、言葉の壁を越えられないか」
という、当時の山田隆持社長からの
直接の指示だったという。
株式会社NTT ドコモ
研究開発センター
サービス&ソリューション開発部
サービス開発推進担当
「翻訳サービスのコアテクノロジー
は、音声認識や機械翻訳といった自
然言語処理関連の技術ですが、通信
技術やソフトウェア技術を専門とする
我々にとっては、それらは未経験の領
域だったのです。まさにゼロからのス
タートでした」
(那須氏)
担当部長
那須和徳氏
「正直言って、進め方も分からなかっ
た」
(那須氏)ため、複数のベンダー
に協力を依頼したが、その呼びかけに
正面から応えたのは、HPEだけだった
という。
「Hewlett Packard Enterprise
は、我々と一緒に、要素技術のリサー
チとプロトタイプ作りに邁進してくれ
ました。グローバル企業ならではの情
報収集力や海外ベンダーへの影響力
をフルに発揮して、我々が知らないよ
うな優れた海外技術を見つけ出してく
れました」
(那須氏)
株式会社NTTドコモ
研究開発センター
ネットワーク開発部 サービス基盤担当
担当部長
立元慎也氏
わずか2ヶ月後には、翻訳サービスの
プロトタイプが完成。プロトタイプ
は、翻訳スピードなど解決すべき課題
も多かったが、総体的には当初の予
想を超える完成度だったという。山
田社長へのプレゼンも成功裏に終わ
り、本格開発がスタートした。ここで
注目すべきは、オープンイノベーショ
ンをシステム開発の基本思想としたこ
とである。
「市場にある一番優れた技
術を組み合わせることで、競争力のあ
るサービスをスピーディに構築したかっ
たのです。もちろん、どの領域の技術
も目覚ましい勢いで進化しているの
で、個別の技術に縛られていてはその
競争力もすぐ失われてしまいます。そ
の時点で一番良い技術と自由に入れ
替えられるしくみが必要でした」
(那
須氏)
これを可能としたのが、当時開発さ
れたドコモクラウドのシステム基盤
SEN(Service Enabler Network)
である。複数の部品化機能(イネーブ
ラ)を組み合わせ、サービスを記述す
るシナリオで制御するしくみだ。
「今回のサービスでは、音声認識、機
械翻訳、音声合成など、複数のエンジ
ンをイネーブラとして組み合わせるこ
とで、個別のエンジンを変えたり、新
たなエンジンを追加したりといったこ
とが、自由に行えます」
(那須氏)
その時点で最強のエンジンを自由に
チョイスすることで、最強技術を結集
したオールスターチームがすばやく編
成でき、エンジンやシナリオを変える
ことで、機能変更やサービスバリエー
ションの開発も容易に行えるという。
ドコモ研究開発センターとHPEは、エ
ンジンの選択とシナリオの最適化に
よって、新サービスを構築していった。
課題だったレスポンス速度について
は、信号シーケンスを統合することで
物理速度を向上しつつ、アプリケー
ション上でのテキスト表示の工夫によ
り体感速度も向上させたという。
ベネフィット
商用サービスに求められる品質を確保
「はなして翻訳」では、入力した言葉
や翻訳結果を音声だけでなく文字で
も表示することで、コミュニケーショ
ンの精度を上げているが、その実現の
ために、利用者との接続にWeb 系の
クライアント・サーバ型通信と音声系
のピア・ツー・ピア通信という異なる
通信処理を同時併用している。
これは今までにない革新的な試みだ
が、新たな課題も生じたという。立元
氏は、次のように語る。
「自然言語処理関連のWeb 系新技術
を、ドコモのコアネットワークである
音声系ネットワークの運用に悪影響を
与えることなく、いかに安全に
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NTT DOCOMO, INC.
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業界
通信
組み込むかが、課題になりました。
HPEはこの問題に対しても、積極的に
提案してくれたのです」
(立元氏)
HPEが数年前に導入したメディア
系サービスプラットフォームHPE
OCMP(HPE OpenCall Media
Platform)は、SENの主要イネーブラ
のひとつとして「はなして翻訳」のシ
ステムを支えている。このHPE OCMP
をはじめ、ドコモシステムにおける豊
富なシステム構築経験を通じてドコモ
の商用品質についてのニーズを熟知し
ていたHPEにとって、それを維持する
しくみを考えるのはごく自然なことだ
ったという。
「HPEは、新サービスのエンジンが生
成するファイルなどの検証手順を個別
に提案してくれました。それらがドコ
モの大規模ネットワークでの使用に
耐える品質を持っていない場合でも、
アダプタやリカバリシステムの開発に
よって、安全に組み込めるようにして
くれたのです」
(立元氏)
2011年から2012年にかけて、数百名
のモニターを対象とした試験サービス
が実施された。実際にモニターの利
用シーンを間近で見た那須氏は、衝撃
を受けたという。
「スマートフォンの操作も音声入力も
うまくいかずに、それでも一生懸命入
力しようとされている年配の方を見
て、今まで持っていた自信が吹き飛ん
だのです。早速、ユーザーインタフェー
スを見直しました。お客様の声を感じ
取ることが、サービス開発においてい
かに重要かということを再認識しまし
た」
(那須氏)
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NTT DOCOMO, INC.
業界
通信
Customer at a glance
サービス
• System Integration
ドコモ研究開発センターとHPEは、
ユーザーインタフェースや翻訳精度の
向上に注力し、
「はなして翻訳」はリ
リースに至る。2012 年 11月のこと
だった。 これからの日本を支える、
翻訳イノベーション
今後の予定を那須氏にお聞きしよう。
「少子化の進展、とくに生産年齢人
口の急減に対応するために、近い将
来、日本では外国人労働者の大量受
け入れが現実のものとなるでしょう。
言葉の壁を超える“はなして翻訳”は、
今後の日本の発展に不可欠なサー
ビスなのです。これからは、数多くの
外国人と共存する時代を見据えて、
様々な生活シーンにおけるこのサー
ビスの普及に努めていきます。例え
ば、2020 年の東京オリンピックやパ
ラリンピックに貢献するサービスも検
討していくことになるでしょう」
(那
須氏)
しかし、サービス自体に関しては、ま
だ改良の余地があるという。特に翻
訳精度の向上は大きな課題だ。
「翻訳精度を向上するためには、機
械翻訳で利用する辞書データベース
を拡充していかなけ
ればなりません。クラウド側に蓄積さ
れる音声認識や機械翻訳の膨大なロ
グを有効活用して、辞書データベース
の拡充を図っています※」
(那須氏)
最後に、ドコモ研究開発センターとと
もに「はなして翻訳」の開発に邁進し
たHPEについての評価を頂こう。
「他の外資系ベンダーと違って、HPE
は国内に数多くの技術者がいます。
しかも、一人ひとりの技術者が高いス
キルと、新しい技術にアグレッシブに
挑戦する積極性を兼ね備えています。
私たちの身近にこういう技術者がい
て、私たちのビジネスを知り尽くした
上で、他にないイノベーション
を提案してくれたことが、今回のプロ
ジェクトの成功につながったと思いま
す」
(立元氏)
「HPEは、言葉の壁を超えるイノベー
ションで人々の暮らしを便利にしよう
という、私たちと同じ強い使命感を
持って、プロジェクトに参加してくれま
した。その上で、情報通信分野におけ
る優れた技術力とグローバルな情報
収集力、そして提案力を結集してくれ
たのです。HPEの協力がなければ、今
回のサービスは構築できなかったでし
ょう」
(那須氏)
Learn more at
hpe.com/us/en/services
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4AA5-1291JPN, 2016年4月, Rev. 1