講演 2「平成 28 年度診療報酬に向けた 栄養食事指導

部会
病院部会研修会要旨
講演 2「平成 28 年度診療報酬に向けた
栄養食事指導ポイント」
講 師 公益社団法人 大阪府栄養士会
病院部会 理事 藤井 千絵氏
1.「がん患者に対する栄養食事指導のポイント」
がん治療には病初期や病気の進行期において
は手術、化学療法、放射線療法がありまた終末
期には緩和ケアが必要となってくる。これらの
治療に伴う副作用や合併症を予防すること、ま
た、患者さんの QOL の維持に栄養管理は重要
な支持療法となる。このためがんの患者が入院
してきたら手術の術前術後、化学療法や放射線
治療によるがん治療、緩和医療による QOL の
向上といった入院目的に合わせた栄養食事指導
をおこなわなければならない。がん薬物療法を
例にあげると薬物療法による食事に影響を及ぼ
す副作用としては、悪心・嘔吐、味覚障害、口
内炎・口内乾燥、下痢、便秘、白血球減少、末
梢神経障害などがあり食欲不振は 60%~ 85%
と多くの患者にみられる。食欲不振がある場合
は 3 食の食事以外にも間食をとることや、食べ
られる時に食べられるものを食べる、少量でエ
ネルギーの高いものを上手に利用する等また、
悪性腫瘍剤の副作用によって味覚異常がある場
合は食事が何でも甘く感じたり、味が感じられ
なくなったりすることがあるため食べやすくす
る工夫として、塩味を濃くしたり酸味を利かせ
たり、食事の温度を人肌程度にする等が栄養食
事指導のポイントとなる。
2.「摂食・嚥下機能低下の患者に対する栄養食
事指導のポイント」
摂食・嚥下機能低下の患者に対する栄養食事
指導は、嚥下調整食に関わる知識を習得するこ
ととして、日本摂食・嚥下リハビリテーション
学会の嚥下調整食分類 2013 を把握することが
必要となる。嚥下調整食分類 2013 はコード 0j
と 0t が嚥下訓練食、コード 1j が嚥下調整食 1、
コード 2-1 と 2-2 が嚥下調整食 2、コード 3 が
嚥下調整食 3、コード 4 が嚥下調整食 4 に分類
され、それぞれの分類の目的・特色、主食の例、
必要な咀嚼能力、他の分類との対応が示されて
いる。これらを十分に理解し、それぞれの病院
の院内約束食事箋規約に定められている嚥下調
整食との関連を明確にすることが重要となる。
また、患者自身が食べている現在の食事内容は
どのような食事なのか、栄養量、食形態、食環
境(食具はどのようなものかや食べる姿勢等)
はどうなのか、病態によってどこが障害されて
いるのか、咀嚼・嚥下機能の低下した患者が食
べにくいとされている食品(葉野菜のような口
やのどの中でまとまりにくいものや、のりやわ
かめといった貼りつきやすいもの等)を摂取し
ていないのかなどを正しく理解したうえで必要
な栄養食事指導をおこなうことが重要となる。
3.低栄養の栄養食事指導のポイント
低栄養状態としては、慢性疾患に関連したも
の(心臓、肺、腎臓、肝臓などの臓器不全)、
飢餓に関連したもの(神経性食欲不振症など)、
急性疾患に関連したもの(感染、外傷、熱傷、
脳損傷など)、高齢者一般などがある。
(例1)COPD(慢性閉塞性肺疾患)の場合
COPD では肺機能の悪化のため呼吸のため
のエネルギー消費が増大、息切れによる食欲
低下がおこり体重減少(筋力低下)がおこる。
このため食欲が低下しているものの十分な栄
養の確保が必要となる。栄養指導のポイント
としては食欲低下があるため食事回数を増や
してエネルギー量を確保する工夫や、同じ食
材でも油を取り入れてエネルギーアップをは
かる工夫をする等の指導を行う。
(例2)神経性食欲不振症の場合
神経性食欲不振症では、極端な摂食制限、
過食、自己誘発性嘔吐、過剰運動といった行
動異常や身体像の歪み、痩身への執着などの
特徴がある。栄養指導のポイントは誤った栄
養の知識の是正し一般的なバランスの良い食
事や BMI の適正値についての指導をおこな
ったり、低栄養からの急激なカロリー増加に
よるリフィーディングシンドロームの予防な
どがある。
(例3)高齢者一般の低栄養の場合
高齢者では咀嚼力、消化吸収率、運動量な
どの低下から食事摂取量が低下し低栄養に陥
りやすい。体組成で骨格筋が減少し、骨粗鬆
症にもなりやすく脂肪は増加傾向を示す。こ
のため栄養指導のポイントは、主食、主菜、
副菜をバランスよくとり骨粗鬆症の予防のた
めにカルシウムを多く含む食品を勧める等が
ある。
(文責 病院 内薗雅史)
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