第4週(5/2)ハンドアウト

試薬ラベルと
工学倫理と安全管理
SDSの読みかた
化学薬品を管理する法令
 化学物質の危険性

 化学物質の危険性
急性毒性

皮膚刺激 発赤・水疱・潰瘍

発がん
ベンゼン、Crなど

神経症状 麻酔・錯乱・多発性神経炎

肝障害
クロロホルムなど

窒息

腎障害
Cdなど

中枢神経障害
トルエン、Hgなど

酸欠
N2

閉塞性窒息
Cl2
分泌物で窒息

組織性窒息
CN−
内呼吸阻害
 化学物質の危険性

燃焼
 GHS
Globally Harmonized System of
火災


慢性毒性

classification and labeling of chemicals
大抵の有機溶剤

発火
アルカリ金属など

爆発
過塩素酸塩、ピクリン酸など
化学品の分類および表示に関する世界調和システム

世界的に統一されたルールに従って、
化学品を危険有害性の種類と程度により分類し、
環境汚染

大気汚染
四日市喘息 (SOx)

水質汚染
水俣病 (有機水銀)

土壌汚染
イタイイタイ病 (Cd)
その情報が一目でわかるようラベルで表示したり、
安全データシートを提供したりするシステム
1
 化学物質のラベルの見かた

 化学物質のラベルの見かた
ラベルに必要な情報 JIS Z 7253 : 2012

危険有害性を示す絵表示
1. 危険有害性を示す絵表示
2. 注意喚起語
3. 危険有害性情報
4. 注意書き
5. 化学品の名称
6. 供給者を特定する情報
7. その他国内法令によって表示が求められる事項
 化学物質のラベルの見かた

 化学物質のラベルの見かた
注意喚起語
危
警

険
危険有害性の性質とその程度を示す語句
高
[例]
重大性
低
 化学物質のラベルの見かた


引火性液体及び蒸気

飲み込むと有毒

皮膚に接触すると有毒

発がんのおそれ
危険有害性の
告
喚起語なし
危険有害性情報 Hコード Hazard
注意書き Pコード Precautionary
安全対策、応急措置、保管・廃棄方法などを指示する語句
 化学物質のラベルの見かた

国内法令によって表示が求められる事項

[例]
毒物及び劇物取締法
医薬用外毒物

熱、火花、高温などの着火源から遠ざけること

取扱い後はよく手を洗うこと

保護眼鏡を着用すること

全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと
etc.

医薬用外劇物
消防法
危険物第4類 第二石油類 非水溶性
2
 化学物質のラベルの見かた
 化学物質のラベルの見かた

すぐに対応すべき事項はラベルから情報を得る

「絵表示」「注意喚起語」「危険有害性情報」から

火薬・自己反応性物質・有機過酸化物
危険有害性の性質と取扱方法をイメージする

着火源を遠ざける

「注意書き」は取扱者にとって直ちに必要な情報

詳細な対応は SDS をあわせて参照する
 化学物質のラベルの見かた


他の物質の燃焼を助長

爆発性
可燃性

引火性固体・液体
自然発火性固体・液体

火気厳禁 着火源を遠ざける
物質によっては禁水・不活性雰囲気
 化学物質のラベルの見かた

飲んだり吸ったりすると急性健康障害

支燃性ガス・酸化性物質

急性毒性

熱・可燃物から遠ざける

手洗い励行 取扱時飲食厳禁
目・皮膚・衣類への付着を避ける
高圧ガス

接触した金属を腐食 皮膚・目に損傷

高圧ガス・液化ガス

腐食性物質

換気の良い場所におく
高温の場所は避ける

目・皮膚・衣類への付着を避ける
手洗い励行
 化学物質のラベルの見かた


単回・複数回曝露で特定健康障害


 化学物質のラベルの見かた

呼吸器感作性・生殖細胞変異原性・
発癌性・特定臓器毒性・
吸引性呼吸器障害
手洗い励行 取扱時飲食厳禁
粉塵等の吸引を避ける
眼に対する重篤な損傷

環境放出で環境に対する悪影響

水生環境有害性

環境への放出を避ける
重篤ではない健康有害性

急性毒性 皮膚・眼刺激性
気道刺激性 麻酔作用

それぞれの有害性に応じた対応
3
 SDSの読みかた
 SDSの読みかた

SDS = 安全データシート Safety Data Sheet

化学物質を提供する際に、化学物質の危険有害性情報を
1. 化学物質等および会社情報
提供先に提供するための文書
2. 危険有害性の要約


3. 組成および成分情報
化学物質の安全な取扱い、事故の未然防止

危険性 物理的:引火・爆発

有害性 急性毒性

環境影響
SDSに必要な情報 JIS Z 7253 : 2012
4. 応急措置
化学的:異常反応
5. 火災時の措置
慢性毒性
6. 漏出時の措置
7. 取扱および保管上の注意
8. 曝露防止および保護措置
 SDSの読みかた

SDSに必要な情報 JIS Z 7253 : 2012
 SDSの読みかた

9. 物理的および化学的性質
実験室にSDSを備えておくことが望ましい
10. 安定性および反応性
11. 有害性情報


14. 輸送上の注意
SDSは一般的な使用を前提に記載されているので、
自分の実験での取扱い実態と照合して危険予測を行う
15. 適用法令
16. その他の情報
まず「2. 危険有害性の要約」を見て、
危険性、健康・環境への影響を事前に把握する
12. 環境影響情報
13. 廃棄上の注意
有害性の高い化学物質、良く使う化学物質は

非専門家にも理解できるように、マニュアル化する
(eg. 神奈川産業保全推進センター)
4
 化学物質を管理する法令

化学物質を管理する法令

急性毒性・慢性毒性

労働安全衛生法

毒物及び劇物取締法
火災


 労働安全衛生法

目的

健康の確保


化管法

大気汚染防止法・水質汚濁防止法など
義務主体 = 事業者

日本の労働者の
安全の確保
環境汚染
 労働安全衛生法


消防法
○○しなければならない
○○させてはならない
強行規定・罰則あり (最高刑は懲役7年、罰金300万円)

快適な職場環境の形成促進
○○するようにしなければならない
○○するように努めなければならない
努力義務規定・罰則なし
学生は法的には労働者ではないが、
国立大学法人の判断で労働者に準じた扱いとなる
 労働安全衛生法

誰が義務を果たすのか?


 安全衛生管理体制

総括安全衛生管理者
義務を果たすのは代表者 = 学長

安全管理者
権限と責任の委譲

衛生管理者
国立大学法人は人間ではないから

学長 ⇒ 理事 ⇒ 学部長 ⇒ 学科長 ⇒ 管理責任者

労働者の責任

事業者が労働者に課した義務を守らなければ

通常は事業場の代表者が兼務する

第一種衛生管理者
(製造業など : 有害業務を伴う)

第二種衛生管理者
(金融業など : 有害業務を伴わない)
産業医
50万円以下の罰金を科す規定がある

民事的には過失相殺
5
 労働衛生関係政令・省令

労働安全衛生法施行令

労働安全衛生規則

有機則 (有機溶剤中毒予防規則)

有機溶剤による中毒の予防

特化則 (特定化学物質障害予防規則)

電離則 (電離放射線障害防止規則 )




作業環境管理 – 工学的対策

作業管理 – 個別管理的対策

健康管理 – 医学的対策
エックス線・放射性同位元素による障害の予防
有害物質に触れないで済むようにする

使用の中止・他の物質への転換

作業方法の改善

密閉化・遠隔操作
空気中の有害物質濃度を低く保つ
 作業環境測定

許容濃度

通常の勤務形態 (8時間/日、40時間/週) で曝露されても、
ほとんどの人に健康上の悪影響が見られない濃度


日本産業衛生学会の定める濃度
管理濃度

局所排気装置

作業環境管理の良否を判断する管理区分を決める濃度

全体換気

法令で定められている濃度

作業環境測定
 作業環境測定


特定化学物質による急性・慢性障害の予防
 作業環境管理

 労働衛生の3管理
作業環境測定
 作業管理

保護具

A測定 : 室内の平均的化学物質濃度を調べる測定

防塵マスク・防毒マスク

B測定 : 発散源の近くでの濃度を調べる測定

保護衣・保護眼鏡・保護手袋
管理区分 : 測定値を管理濃度と比較して決定

第1管理区分 : 測定値が有意水準95%で管理濃度以下

第2管理区分 : 測定値の平均が管理濃度以下
保護具に頼って環境改善を怠ってはならない
環境は良好であり維持に努める
作業環境に改善の余地あり

第3管理区分 : 直ちに原因を調べて改善する必要
6
 健康管理

 有機則
特殊健康診断


雇入時、配置転換時の健康診断

定期健康診断 (6か月に1回)

自覚症状・他覚症状

血液検査
肝機能・貧血

尿検査
体内代謝物

その他、眼底検査・握力・肺活量など
第1種有機溶剤等

(クロロホルム等は特定化学物質に移行)



(ジクロロメタン等は特定化学物質に移行)
これらを5%を超えて含有する混合物
 有機則
局所排気装置

管理

囲い式フード(ドラフト) 0.4 m/s 以上

外付けフード 側方吸引 0.5 m/s 以上

労働者の指揮
上方吸引 1.0 m/s 以上

局所排気装置の点検 (毎月)

保護具の使用状況監視


 有機則

n-ヘキサン, トルエン, メタノール, アセトン, エーテル,
THF, 酢酸エチルなど


これらを5%を超えて含有する混合物
第2種有機溶剤等
取り扱う化学物質に応じた検査
 有機則
二硫化炭素・1,2-ジクロロエチレン
掲示
有機溶剤作業主任者の選任 (試験研究の場合を除く)
局所排気装置の定期自主検査 (毎年)
 有機則

作業環境測定

健康診断

6か月に1回

尿検査(トルエン・ヘキサンなど)
肝機能検査(クロロベンゼンなど) 眼底検査 (CS2)

保護具の使用

貯蔵および空容器の処理

空容器は密閉するか、屋外の一定場所に集積
7
 特化則
 特化則

第1類物質 PCB, Be* など 製造は厚労大臣の許可要

第2類物質


特定第2類物質 : 密閉した施設で製造
局所排気装置

ガス状
0.5 m/s 以上

粉塵状
1.0 m/s 以上
HF, ベンゼン*, CH3Iなど


オーラミン・マゼンタ : 膀胱癌をおこす染料

特別有機溶剤
クロロホルム*、ジクロロメタン*など

管理第2類物質
クロム酸*, NaCN, KCN, Hg, Mnなど
第3類物質 H2SO4, HNO3, HCl, NH3(aq), PhOH, HCHOなど
*印 : 特別管理物質 : 発癌性⇒作業記録を30年保存
 特化則

用後処理 : 除塵・排ガス処理・排気処理・ぼろ等の処理

漏洩の防止 : 設備についての規制

管理


特定化学物質作業主任者の選任 (試験研究の場合を除く)

労働者の指揮

局所排気装置の点検 (毎月)

保護具の使用状況監視
物質
作業主任者
資格
有機溶剤
有機溶剤
作業主任者
有機溶剤作業主任者
技能講習修了者
特別有機溶剤
特定化学物質
作業主任者
有機溶剤作業主任者
技能講習修了者
特定化学物質
特定化学物質
作業主任者
特定化学物質及び
四アルキル鉛等
作業主任者
技能講習修了者
局所排気装置の定期自主検査 (毎年)
 特化則

 作業主任者
掲示
 特化則

作業環境測定

作業記録保存 : 特別化学物質 (ベンゼン、クロロホルムなど)


30年保存 (発癌性物質⇒特に長期保存が必要)
健康診断

6か月に1回

物質は多岐にわたるので、検査項目もいろいろだが
大部分は有機溶剤の健康診断項目と重複

保護具の使用
8
 毒劇物
 毒劇物
毒物及び劇物取締法
薬事法
医薬用外毒物
毒薬
医薬用外劇物
劇薬

毒物及び劇物取締法 第二条 (定義)

毒物とは、別表第一に掲げる物であって、医薬品及び
医薬部外品以外のものをいう。

劇物とは、別表第二に掲げる物であって、医薬品及び
医薬部外品以外のものをいう。
毒性の強弱は毒物・劇物を定義しません
 毒劇物

 毒劇物
医薬用外毒物

医薬用外劇物
HCN, NaCN, KCN

HCl, H2SO4, HNO3

Hg, Se

NaOH, KOH

HF

Br2, I2

POCl3

MeOH

NaN3

CCl4, CHCl3

 危険物

使用量を記録


第1類 酸化性固体
過塩素酸塩、無機過酸化物など

第2類 可燃性固体
金属粉・硫黄など

第3類 禁水性物質
Na、LiAlH4など

第4類 可燃性液体
可燃性有機溶媒一般

第5類 爆発性物質
過酸化物・ニトロ化合物など
第6類 酸化性液体
施錠された保管庫に保管

 危険物
消防法による規定


過塩素酸・硝酸など
危険物第4類 — 引火点で分類

特殊引火物 : 極めて引火しやすい

第一石油類 : 室温で引火
二硫化炭素, ジエチルエーテルなど
非水溶性 トルエン, 酢酸エチルなど
水溶性

アセトン, アセトニトリルなど
アルコール類 : 炭素数3以下の飽和1価アルコール
9
 危険物

 危険物
混ぜたら危険!

1
2
3
4
5
6

第4類 特殊引火物
50L
1 酸化性固体
–
×
×
×
×
○

第4類 第一石油類
200L (非水溶性)、400L (水溶性)
2 可燃性固体
×
–
×
○
△
×

第4類 アルコール類
400L
3 禁水性物質
×
×
–
△
×
×
4 可燃性液体
×
○
△
–
△
×
5 爆発性物質
×
△
×
△
–
×
6 酸化性液体
○
×
–
×
×
×

違う類の危険物は混ぜたらダメ
 化学物質排出把握管理促進法

指定数量 — 保管してよい数量の目安
PRTR制度

etc.
実験室における危険物の保有

全危険物について合計して指定数量の0.2倍まで

ex. エーテル5L, トルエン5L, エタノール10L :
5
5
10
+
+
= 0.15
50 200 400
 化学物質排出把握管理促進法

PRTR制度
環境や生態系に有害なおそれのある化学物質について、
事業所からの環境への排出量、事業所外 への移動量を、
事業者が自ら把握し国に対して届け出るとともに、
国は排出量・移動量を集計し、公表する制度
試薬業者
大学(研究室)
産廃業者
集計・報告は
環境へ排出
環境安全推進センターの
仕事です
10