多様化する時代に建築家はどう対応すべきか ⑵

INTERVIEW
インタビュー
多様化する時代に建築家はどう対応すべきか ⑵
建築家ファン層の価値観が新しい時代の建築需要を切り開く
大島 芳彦( 建築家 )
建築家 のファンの 価値観が新しいマーケットを切り開く
私 たちブルースタジオがリノベーションの 旗印 を 掲 げて 仕事
という感覚 は 持っていると思 いますが 、生活者 の 求 めているも
不動産 の 評価 から建築家ファンのマーケットに
のに 深入りし過 ぎる傾向 があると感じます。 一方、建築家 は 、
軸足を移 す
本当にその 空間 や 環境 が 魅力的 だと感じている人に対しては 、
を 始 めた の は 平成 12 年 です。 そ の 当初 から、建築家 は 建築
ものすごく自信 を 持っています。 でも 、 そ れが 不動産 や 金融
の 職務 だけでなく、社会的産物としての 建築 や 空間 を、企画
の 世界 で 価値を持 ち 得るものかはまったく知りません 。 あるい
自分 のファンとしか 認識していません 。建築家 は自分 がつくり
や 流通、竣工後 の 管理 の 面まで 総合的にデザイン、プロデュー
は 関心 がないのかもしれません 。 このため 建築家と不動産業
上 げる世界観 や 建築物 に 対 する共感者 がいるのであれば 、 そ
スを 担う必要 があると考 えていました 。 当時 は 不動産 の 証券
者 が 考 える建築 の 価値、建築家と不動産事業者 の 考 える暮ら
れをマーケットと捉 えて 拡張していく仕事 の 仕方 があるのでは
化 がスタートし不動産、建物 の 価値 は 土地、建物 そ のもより
しの 価値 には 交 わらない 部分 があり、 それが 互 い の 不得意 な
ないかと私 は 考 えました 。 それが 前号 でもお 話しした 、私 たち
もその 場 が 生 む「収益性」によって 評価 されるという状況 が 広
部分になっていると思 います。
が 不動産証券化 をきっかけに 取り組 み 始 めた 、自分 の 理想と
まりつつありました 。 この 変化 は 私 たち 建築家にとっても 価値
こうした 現状 から私 たちは 、建築家としてのものづくりの 職
でも 、建築家自身 は 確 かなマーケットとは 認識しておらず 、
する建築に住 みたいと思う人 たちのための 、新 たなマーケット
ある建築 デザインとは 社会 が 求 めるデザインであるという認識
能や 職域 から一歩踏 み 出し、職能を拡張 することによって 、不
を 新 たにさせ 、社会 が 求 めるデザインとは 経済性と密接 な 関
動産事業者 が 補 えない 部分 を 担 える可能性 があると考 えてい
建築家 のウエブサイトには WORKS が 出 ていて 代表作品 が
係性 があると考 えるようになったのです。
ます。例 えば 、建築家には 多 かれ少 なかれファンがいます。 ど
掲載されています。 そうしたサイトに関心 があるのは 、 その 建
優 れたデザインで 設計 できたと自負しても 、誰にも 使 われな
うしてもあの 建築家 の 設計した 住宅に住 みたいというファンを
築家 の 設計した 家に住 みたいと憧 れている人 たちです。 でも 、
ければそれは 本当 によいデザインとは 言 えません 。 本来建築
持っています。 そうしたファンの 方 たちは 、今 は 家 を 欲しくな
サイトや 住宅雑誌 を 見 ても 、実際 にそ れを 手 に 入 れる 術 がわ
大島 芳彦(おおしま・よしひこ)
家 は 生活者 の 代弁者、理想 の 暮らしを 形 にするプロ。 そうで
くていつかは 住 んでみたいと思っている方 たちですから、不動
かりませ ん 。 意外 に 分譲住宅 だったり賃貸用 デザイナーズマ
1970 年東京都生まれ。建築家。大手組織設計事務所勤
務 を 経 て 2000 年、 ブルースタジオにて 遊休不動産 の
あれば 、自らの 経験、仮説 に 基 づいて 設計した 建物 は 、 そこ
産事業者 には 持 ち 得 ないファンです。 大手 デベロッパー のマ
ンションだったりすることがあり、不動産事業者 のサイトでは
に 暮らす 人 たちを 最 もリアルにイメージできているはずです。
ンションに 住 みたいと思う人 のブランドに 対 する意識 は 、建築
販売価格 3,000 万円とか 賃料 20 万円と表示されていて 、クリッ
賃貸住宅 や 分譲住宅 などの 事業用 の 建物 を 設計した 場合 それ
家に対 するファンの 意識とは 異 なるものです。安全・安心や 資
クすると内覧 もできるようになっています。 確 かにリアルに 見
は「 マーケットを熟知している」ということを意味します。
産価値 などのブランドに対 するニーズであり、実 はこれも 建築
ることができますが 、見 せ 方 は 不動産事業者 のものです。 主
再生流通活性化 をテーマとした「 リノベーション 」事
業 を 開始。 そ の 活動域 は 建築設計 に と ど ま ら ず 企画、
コンサルティング、 グラフィックデザイン、不動産仲
介管理 など 多岐 にわたる。団地再生 など 都市 スケール
の 再生 プロジェクトを 手掛 ける 一方、個別 の 物件探 し
からはじめる 中古住宅 のワンストップリノベーション
サービスを 展開。近年 では 公益施設、商業施設 の 再生
も 手 が け る。 リ ノ ベ ー シ ョ ン ス ク ー ル の 実績 に よ り
2015 年「日本建築学会教育賞」を受賞。一社)リノベ
ーション 住宅推進協議会理事副会長。一社)HEAD 研
究会理事、リノベーション・タスクフォース委員長。
私 がとくに 興味 を 持ったのは 事業用 の 建物 です。 なかでも
要駅徒歩 10 分、公園 が 近くにあり、商業施設 まで 何メートル
賃貸住宅。 例 えば 、東京 では 6 割強 の 方 が 賃貸住宅 に 暮らし
では 、誰 がそこに最 も 高 い 付加価値を見出してくれるかとい
といったように、利便性 の 高 い 立地 ばかりアピールされます。
ていて 、 それ以上 の 数 の 賃貸住宅 があり空室率 は 14 %を超 え
えば 、 そ れは 間違 い なく建築家 が 抱 えているファンです。 金
そうしたなかで 私 たちは 、建築家 のサイトで 作品を見 ている
ています。人口にも 急激 な 減少トレンドが 訪 れている。 そうし
融機関と密接 な 関係にあるデベロッパーの 建物には 必 ずチェッ
人 たちに対して 、建築家 のファン層 をもっとも 強力 なマーケッ
た 社会環境 のなか 、賃貸住宅 は 建築 であることを 超 えてその
クリストが あります。 広 さ、接道条件、構造、設備、築年数
トとして 軸足 を 置 き、従来 の 不動産事業者 の 評価軸 ではなく、
社会 や 地域 における存在意義 をのものを 問 い 直 すべき 時 が 来
などがリストアップされ、築後年数による減価償却 から現在 の
そ のまま 不動産事業者 の 取引 にアクセスできる 状況 を 構築し
ていると。またマーケットは 縮小 すれども 、ライフスタイルニー
価値 が 表記してあります。現地に行って 実際に物件を見 なくて
ました 。 建築家 のサイトなら 掲載写真 も 建築家 が 一番 よい 写
ズは 急激 に 多様化しているわけですから、賃貸住宅 という事
も 、 チェックリストだけで 建築物 が 評価 されてしまう世界 です。
真を選 んでいるはずですし、そこで 内覧 でき価格 もわかるサイ
業用建築物 の 企画 に 関して 建築家 の 果 たすべき 役割 をもう一
日本 の 建築 はそうした 問題 を 長年抱 えています。 建築 の 専門
トを 立 ち 上 げました 。 インテリア 作品 などもアップして 物件情
家 がよい 建築 だと評価しようが 、入居者 がさらにお 金をかけて
報として 紹介 するようにしています。 そうすることで 、現在 の
リフォームして 素敵 な 家にしようが 、金融機関にとってはまった
需要 だけでなく将来 のニーズも 囲 い 込 むことができます。
度見直 す必要 があると考 えたのです。
建築家 が 見直 すべきは 、 まず 、 マーケットや 社会環境 の 変
化 を 知 ることです。 設計段階 においては 不在 の 生活者 の 顔 を
想定しながら 設計 するのが 事業用建物 ですから、本来、建築
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家と不動産事業者 が 互 いに補 えないニーズです。
をつくりこんでいくことです。
く関 わりのないことなのです。
でも 、 あの 建築家 がつくった 家 に 住 みたいと思っているファ
また 、物件情報 だけでなく、私 たちが 考 えている価値観
を 知っていただき、共感していただく人 を 増 やすこともしてい
家 はマーケットを知らなければ 事業用建物 は 設計 できないはず
ンは 、 そうした 金融機関 のような 評価 や 見方 は 一切しません 。
ます。 物件情報と同じだけさまざまなインタビュー 記事 も 15
です。 そ のうえで 建築物 を 流通 させる、 そしてそ の 価値 を 持
空間 の 良し悪しに 関心 の あるファンの 人 たちは 、評価 の 尺度
年前 からメルマガで 発信して 会員 を 増 やしてきました 。 3 年、
続させる必要 がある。不動産業界用語 でいう「客付」と「管理」
がまったく違 います。 そういうファンの 人 たちの 方 が 、 チェッ
4 年と進 めるうちに会員数 が 2,000 人、4,000 人に増 え、 そう
を 私 たちは 建物竣工後 に 行 います。 建築家 はそうした 役割 も
クリストで 評価している人 たちよりも 高 い 価格 で 取引してくれ
いう方 たちとのコミュニケーションが 同時 にマーケットとのコ
担うべきだと考 えています。 これをブルースタジオでは「時間
る、 そういうことが 起こり得ます。 それを 担 えるのはそれをつ
ミュニケーショになっていきます。会員登録 の 際 は 、購入 か 賃
のデザイン」と言っています。
くった 本人 の 建築家 だけな の です。 そして そ の マ ー ケットを
貸 か 、希望価格 や 賃料、広 さ、家族構成 などの 希望 を 聞 き、
一般 に 不動産事業者 は 、建築 はよいデザインであるべきだ
知っていて 持っているのも 建築家 だけなのです。
結果をデーターベース化しました 。 すると、私 たちの 得 たデー
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INTERVIEW
タは 不動産業界 の 持っている情報 や 常識とは 懸 け 離 れた 傾向
私 たちに 最初 に 届 けてくれたのは 、実 は 不動産事業者 ではなく
を示したのです。
金融機関 でした 。
例 えば 、当時 の 東京 の 賃料相場 は 10 万円 を 切っていました
社会に対 する問題意識を持 つことで
共感 の 輪 は広 がる
段として 建築 があるという認識を持 たないと、独立しても 仕事
2001 年 の 不動産証券化 は 金融業者 が 不動産事業 に 乗り出し
が 、私 たちの 会員 の 希望平均賃料 は 12 万円と2 万円 ほど高 かっ
たタイミングですから、同じ賃貸 マンションをつくるにしても 、
たのです。希望 する広さの 平均値 も 私 たちの 会員 は 30 ㎡台半
と、不動産業界 の 平均値よりも 広 めだったのです。
これから建築家を目指 す若 い 人 たちは 、昔 のように建築をつ
くるだけでは 仕事 は 巡ってきませ ん 。 社会問題 を 解決 する 手
どうして 日本 の 建築家 が 金融 や 不動産 の 言語 を 持 たないか
はこないと思 います。 社会 に 対 する 問題意識 を 持っているか
不動産ファンドがつくる賃貸 マンション、不動産 デベロッパーの
といえば 、日本 の 建築教育 がそ のような 構造 だからです。 建
い な いかで 、仕事 のチャンスがあるかな いかが 決 まると思 い
つくる賃貸 マンション、街 の 大家 さんがつくる賃貸 マンションと
築教育 のなかで 金融 や 不動産 を 勉強 することはありませんし、
ます。
一方、家 を 購入したい 人 たちの 東京 の 平均予算 は 3,000 万
では 、 それぞれの 事業目的 が 異 なります。 その 違 いを意外に建
一部 の 大学 を 除 いてカリキュラム 自体 がありませ ん 。 本来 で
ただ 、 だからといって 建築家 が 金融 や 法律を深く理解してい
円中盤 から 4,000 万円弱 で 、私 たちの 会員 もほぼ 同じで 金融
築家 は 認識しないで 設計しているケースを 多く見 かけます。 仕
あれば 、不動産に必須条件 の 金融 や 、権利関係 の 民法 などを
なければ 仕事 がまったくできな いかとは 思 いませ ん 。 社会 に
機関 や 不動産事業者 が 持っている常識と変 わりませんでした 。
事 を 頼 まれたことの 嬉しさで 終 わらずに、 そ の 違 いをきちんと
学 ばずに、建築物 をつくるプロが 生 まれるはずがありません 。
対 する問題意識 は 人 それぞれで 着眼点 が 異 なります。 そこに
ということは 、 12 万円 の 家賃 を 払っている 人 は 、 い つ 購入し
認識 する必要 があります。
それにもかかわらず 、必要 なカリキュラムが日本 の 建築教育に
オリジナリティが 出 てくるはずです。 それは 学生 であっても 持
てもい いし、場合 によっては 購入した 方 が 合理的 な 人 たちで
不動産事業者 ではなく、金融事業者 だからこそ 成り立 つ 建築
す。 そうすると、仮 に 3,000 人 のなかで 借りたいという人 が 7
があります。 利回りを 重視しているようなコミュニケーションで
割 で 、 3 割 が 購入希望者 だとしても 、どちらも 同じお 客 さんで
は 、私 たちは 金融事業者 のボキャブラリーで 自分 たちの 建築 の
新築 をつくるための 教育 だけを 行っています。 新築 のために
家、金融業者、不動産事業者 が 同じ 20 代前半 で 同じ社会問題
ある 場合 もあります。 概 ね 同じ価値観 を 持った 人 たちで 、賃
プレゼンテーションを 行 います。 例 えば 、窓 は 四角 よりも 三角
勉強 するにしても 建築 に 関 わる 経済学的 な 勉強 をしてこな い
として 認識していれば 、 それぞれが 足りない 部分を認識して 解
貸 なら 6 万円しか 出 さないというお 客 さんとは 明らかに 違う人
の 方 が 利回りが 0.2 %高まるというように説明します。 なぜその
のは 不思議 な 話 です。 経済的 なことを 学 ばないことが 、 あた
決していこうと考 えられるはずです。
たちであるとことがわかりました 。
プランがあるべき 姿 なのかを、建築家 のボキャブラリーで 説明
かも 高尚 なアカデミズムであるかのように感じている人 が 、建
それぞれの 職能 が 異 なっているからこそ 一緒にやる意味 があ
年齢層 は 概 ね 30 代 で 、私と同世代 の 人 が 多 かった 。私 もこ
しても 、不動産事業者 や 金融企業者 は 真剣 に 聞こうとはしませ
築 の 世界 には 多 い のです。 とくに 不動産 に 嫌悪感 を 感じる 人
りますし、自分 ができなくても 共感者 の 輪を広 げればよいので
の 仕事 を 始 めたのが 30 歳 ですから、 だいたい 自分 たちと同世
ん 。 この 方 が 利回りはよくなるというコミュニケーションだけが
は 多 いようで 、自分 たちと不動産事業者を同等に扱うことなど
す。 すべてのネイティブランゲージを 使 いこなすことはできな
代 の 人 たちです。 そのようにしてマーケットを 囲 い 込 むことで
成り立 つのです。
とんでもないという人 も 少 なくありません 。 もちろん 、不動産
いし必要 もありませ ん 。 共感 の 輪 を 広 げてマ ルチリンガルに
事業者 も 、建築 に 対 する理解 は 深 いとは 言 えません 。 建築 の
なればよい のです。 そして 共感 の 輪 を 広 げるためには 、 それ
同世代 のニーズがわかり、 そのニーズを 反映した 商品企画 が
私 たちは 、このプランはこのマーケットがありこういうニーズ
は 欠 けているのです。
日本 の 建築教育 では 建築基準法や 消防法、都市計画法 など、
てるはずです。 その 着眼点 そのものには 共感者 がいて 、 その
共感者 に 金融 や 不動産 の 事業者 がいることが 大切 です。 建築
できるようになりました 。 例 えば 、賃貸住宅 をつくるときに 不
があるからできたと、同じプレゼンをするにもボキャブラリーを
質問 をしても 答 えはまず 返ってきませ ん 。 不動産教育 も 建築
ぞ れがビジョンや 理念 を 持 つ 。 そこに 社会 に 対 する 問題意識
動産事業者 は 、今 でも 2LDK が 必要 だという人 が 多 いようで
変 えたプレゼンをしているのです。 それは 建築 の 言葉 ではなく
に 対 する理解 が 不足していますし、大学 での 不動産学 そ のも
を持 つ 意味 があるのです。(談)
すが 、私 たちは 必要 ないと主張します。 小 さい 子どもの いる
金融 の 言葉 で 建築 のプレゼンをすることです。 私 は 同じ建築 で
のがまだ 非常に限られているのが 現状 です。
家庭 なら 2LDK よりも 40 ㎡ の 1LDK の 方 がニーズはあると私
もマルチリンガルになるべきだと思っています。 今 の 建築 はモ
たちは 主張 することができます。 そ れは 本当 の マ ー ケットの
ノリンガルで 、建築家 は 建築家用語 でしかプレゼンしていませ
ニーズを知っているし、客付 けするのも 私 たちだから安心して
ん 。 建築家 は 自分 の 建築作品 を 世 に 問うために 実現 するには 、
くださいと不動産事業者を説得 することができるからです。建
相手 がクライアントによって 異 なるわけですから、 その 人 たちの
築 はそうしたコミュニケーションが 、金融 や 不動産業界との 間
言語 に 置 き 換 えてプレゼンしなければならない のです。 そうす
で 可能になるのです。
れば 互 いの 分野 はより理解 が 深 まるはずです。 これも「職能 の
blue studio WORKS
ホシノタニ 団地 (神奈川県座間市)
青豆 ハウス (東京都練馬区)
小田急線座間駅 の 目 の 前 に 建 つ『 ホシノタニ 団地』。 小田急電鉄 の 社宅として 使用 さ
れていた 築 45 年・築 50 年 の 建物 2 棟をリノベーションし、街にひらかれた「こどもたち
の 駅前広場」として 再生した 。 敷地内 には 、子育 て 支援 センター 、貸し農園、農家カ
フェ、芝生 の 築山 などがあり、人と人、人と街 がつながる空間をつくっている。
コンセプトは 、「育 つ 賃貸住宅」。住まい 手と一緒につくりあげ 、成長していく居住
拡張」の 1 つの 方法 なのです。
ただし、 ネイティブランゲージは 建築家 のままで 構 いません 。
建築 の 言葉 ではなく金融や 不動産 の 言葉 で
むしろネイティブランゲージである必要 があります。 そのうえで
プレゼンする
金融事業者 や 不動産事業者 の 言葉 や 、生活者 の 言葉、建築家
は 比較的理解している方 だと思 いますが 、 より一層理解 を 深 め
私 たちが 、私 たち自身 で 客付 けするマーケットを囲 い 込 みな
る 必要 があります。 そうすることによって 建築 は 、社会的 な 必
がら、 そことのコミュニケーションを 通じた 情報 を 基 に 設計 の
然性 だけにとどまらず 、 もっと多くの 機会 を 得ることになるので
話 をすると、不動産事業者 や 投資家 たちは 従 わざるを 得 ませ
す。今 の 建築家 は自分 たちの 建築 の 言葉 でしか 語らないから損
ん 。 自分 たちの 価値観 で 通 そうとすれば 、 やがて 限界 がくる
をしている、私 はそう思っています。
ことを彼らは 知っているからです。 そこで 、
「 あなたたちのマー
ケットとスキルに任 せよう」ということになります。 その 感覚を
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空間 には 、コミュニティを 誘発 する仕掛 けがある。 例 えば 、 2 階共用 テラスは 、各
住戸 の 玄関に至る共用動線 であり、 ポーチでもあり、各住戸 のリビングの 延長とし
ての 機能 も 担う。 そこには 、住人 たちのさまざまなアクティビティが 生まれている。
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