「景気ウォッチャー調査」における東京都DIの別掲について 平成 28 年5

「景気ウォッチャー調査」における東京都DIの別掲について
平成 28 年5月 12 日
経済財政分析担当
1. はじめに
平成 28 年4月調査より、新たに東京都DI(総合、家計動向関連、現状・先
行き・水準)の公表を行う 1(期間は 2001 年8月∼)。従来、東京都は南関東の
中に含まれていたが、人口、経済規模等が大きいことから、利用者の利便性の向
上を目的とし、東京都を別掲にて公表する。
追加公表される東京都DIの特色は以下の通りである 2。
○第1−1図表 東京都DIの推移(原系列)
70
景気の現状判断 DI(総合)
(DI)
70
東京
60
東京
60
50
50
40
40
全国
30
20
全国
30
東京DI
全国DI
42.6(前月差 -1.6) 44.6(前月差 -2.0)
44.9(前月差 2.3) 45.4(前月差 0.8)
44.6(前月差 -0.3) 43.5(前月差 -1.9)
2月
3月
4月
10
南関東
南関東
20
東京DI
全国DI
49.4(前月差 0.2) 48.2(前月差 -1.3)
48.0(前月差 -1.4) 46.7(前月差 -1.5)
46.1(前月差 -1.9) 45.5(前月差 -1.2)
2月
3月
4月
10
0
0
810 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4(月)
03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16(年)
810 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4 10 4(月)
2001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16(年)
65
景気の先行き判断 DI(総合)
(DI)
景気の現状判断 DI(総合)【2013∼】
(DI)
2001 02
65
60
(DI)
景気の先行き判断 DI(総合)【2013∼】
東京
60
東京
55
55
50
50
全国
全国
45
40
東京DI
全国DI
42.6(前月差 -1.6) 44.6(前月差 -2.0)
44.9(前月差 2.3) 45.4(前月差 0.8)
44.6(前月差 -0.3) 43.5(前月差 -1.9)
2月
3月
4月
35
45
南関東
40
35
南関東
東京DI
全国DI
49.4(前月差 0.2) 48.2(前月差 -1.3)
48.0(前月差 -1.4) 46.7(前月差 -1.5)
46.1(前月差 -1.9) 45.5(前月差 -1.2)
2月
3月
4月
30
30
1
4
7
13
10
1
4
7
14
10
1
4
7
15
10
1
4 (月)
16
(年)
1
1
4
7
13
10
1
4
7
14
10
1
4
7
10
15
過去のデータは、統計表一覧を参照(http://www5.cao.go.jp/keizai3/watcher.html)
東京都の調査客体は 148 名、南関東は 330 名。過去調査の有効回答率は 88.3%(南関東は
87.7%、全国は 89.4%)
。なお、北海道の調査客体は 130 名、沖縄は 50 名。
2
1
1
4 (月)
16
(年)
2.東京都DIの特色
①平均DIが高めで変動幅が大きい
平均DI(2001 年8月∼2016 年4月)を算出すると、東京都DI(現状 46.3、
先行き 48.2)は、全国DI(現状 44.4、先行き 46.1)、南関東DI(現状 44.1、
先行き 46.1)よりも2ポイント程度高い。これは中央値でも同じ傾向にあり、
東京都は南関東よりも 2.9、全国よりも 2.4 も高い。
次に分散程度を比べると、東京都DIは、南関東、全国に比べて相対的に変
動幅が大きい(標準偏差でみると、東京都が 9.1、南関東が 8.7、全国が 8.3)。
なお、2015 年 11 月及び 2016 年1月に東京都DIは全国DIと比べて下落
幅が大きかったが、理由としては、暖冬による百貨店を中心とした冬物衣料の
販売不振などが指摘されていた。これは、東京都の家計動向関連DIに占める
百貨店関連の回答ウェイトが高く、その下押しが、全国に比べて相対的に大き
く出たためである 3。
○第1−2図表 現状判断DIの比較(2001 年8月∼2016 年4月、原系列)
全国
南関東
東京都
平均
44.4
44.1
46.3
中央値
46.0
45.5
48.4
8.3
8.7
9.1
最小
15.9
16.5
16.5
最大
57.9
58.8
61.3
標準偏差
○第1−3図表 先行き判断DIの比較(2001 年8月∼2016 年4月、原系列)
全国
南関東
東京都
平均
46.1
46.1
48.2
中央値
48.1
47.6
49.6
7.6
8.0
8.1
最小
17.6
18.6
21.7
最大
57.8
59.8
61.5
標準偏差
②景気に対して7か月程度の先行性を有する
景気動向に対する先行性について、景気動向指数の一致CIとの間で検証す
ると、全国DI(東京都を除く)も東京都DIも、7ヶ月程度の先行性を有し
3
東京都の分野別比率(家計動向関連、企業動向関連、雇用動向関連)は7:2:1と全国、及
び南関東の比率と概ね一致する一方、業種別構成比をみると、家計動向関連では、百貨店が
12.2%と全国比の約2倍、スーパーは 3.4%と全国比の約半分。また、企業動向関連では、サー
ビス業が 6.1%と全国比の約 1.5 倍となっている。
2
ていることが示されている 4。
○第2−1図表 景気に対する先行性
時差相関係数
0.800
0.774
全国DI(東京都を除く)
0.750
0.756
0.700
0.650
東京都DI
0.600
0.550
0.500
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
景気動向指数に対する景気ウォッチャーDIの先行月数
(参考)東京都DIと全国DI(東京都を除く)の関係について
東京都DIは全国DIよりも振幅が見られ、平均が高めとなっているが、東
京都の動きと全国の動きの間に統計的な前後関係があるかどうか確認した。因
果関係の方向性について統計検定(グレンジャー因果性テスト)を行ったとこ
ろ、全国DI(東京都を除く)は東京都DIに影響していないが、東京都DI
は全国DI(東京都を除く)に影響を与えている可能性があると考えられる。
○第2−2図表 因果関係の方向性
Pairwise Granger Causality Tests
Date: 05/02/16 Time: 19:16
Sample: 2001M08 2016M03
Lags: 2
Null Hypothesis:
Obs
F-Statistic
Prob.
TOKYO does not Granger Cause EXTOKYO
EXTOKYO does not Granger Cause TOKYO
174
0.53050
6.72392
0.5893
0.0015
4
景気動向指数は季節性が排除されているので、季節調整済のDIとの間でテストすることが好
ましいが、ここでは2つの原系列との比較で先行性を検証している。なお、全国の現状判断DI
の季節調整値との間で検証しても先行月数は同じであり、相関係数の水準が全体的に改善する
結果となっている。
3