2016/ グローバル・マクロ・ トピックス 5/2 投資情報部 シニアエコノミスト 吉川 健治 中国製造業PMI:実際は大きい低下か。増益は不安定 2016年4月の製造業PMIは生産(前月比▲0.1ポイント)や新規受注(同▲0.4ポイント)等、5つの 構成指数すべてが悪化、国家統計局の公表値は若干の低下で50台維持も、みずほ証券試 算では低下幅がより大きい。3月に景気刺激のアクセルが踏み込まれ、その余波が影響。た だし、貿易は厳しく、就業圧力は高まる。工業企業の増益転換は楽観できる内容ではない。 4月は国家統計局の 製造業PMIが若干低 下も、みずほ証券試 算では低下幅がより 大きい。大企業が全 体を押し下げた 2016年4月の国家統計局の製造業購買担当者指数(製造業PMI)は、生産(前月 比▲0.1ポイント)や新規受注(同▲0.4ポイント)等、5つの構成指数(P3上段グラフを 参照)すべてが悪化し、前月比▲0.1ポイントの50.1と再び低下も50台は維持した。 一方で、みずほ証券試算では2月が48.9(統計局数値:49.0)、3月が50.6、4月が 50.2となり、4月は同▲0.4ポイントと国家統計局の公表値よりも低下幅が大きい。 規模別内訳では、大企業PMIが前月比▲0.5ポイントの51.0と製造業PMI全体を 押し下げた。中型企業PMIは同+0.9ポイントの50.0と9ヵ月ぶりに50乗せ、小型企業 PMIが同▲1.2ポイントの46.9と再び低下、21ヵ月連続の50割れとなった。なお、4月 の財新製造業購買担当者指数は5/3に公表予定。 国家統計局は今回の製造業PMIについて、「投資の持ち直し等により生産指数 が若干の低下幅にとどまった。受注指数も需要回復の継続により50台を維持。ただ し、景気下押し圧力は根強い。貿易は比較的大きい困難に直面、就業圧力は強 まっている」とコメントしている。確かに3月は社会融資総量の増大や財政支出の拡 中国の製造業PMIと企業規模別PMI (月次:2010/1~2016/4) 58 (%) 中国の固定資産投資 50 (月次:2008/1~2016/3) 固定資産投資 うち、国有企業 うち、民間投資 うち、インフラ投資 うち、不動産開発投資 国家統計局製造業PMI 56 うち、大企業PMI 40 うち、中型企業PMI 54 うち、小型企業PMI 30 財新製造業PMI 52 20 50 10 48 46 政府目標 [景気拡大・後退の分岐点50] 0 08 44 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注) 国家統計局製造業PMIの企業規模別PMIは2012年2月から、財新製造業PMIは2016年3月まで 出所:中国国家統計局資料、マークイット資料、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 09 10 11 12 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 13 14 15 (注)毎年1月から累計の前年同期比、インフラ投資は2014年4月から(2014年12月は 未公表)、民間投資は2011年1月から 出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成 16 (年) 2016/5/2 グローバル・マクロ・トピックス 大等、景気刺激のアクセルが強く踏み込まれた結果、投資や生産が大きく上向き、 景気刺激のアクセル を踏み込んだが、貿 易の厳しさ、就業圧 力の強まり等、景気 下押し圧力は根強い 2016年4月もその余波により底堅く推移しているようだ。一方で、16年3月の季節調 整後の輸出が前年同月比▲6.3%と9ヵ月連続の減少、外需の厳しさに大きな変化は みられない。また、雇用関係指標をみると、都市部の新規就業増加者数と求人倍率 が14年をピークに低下基調にある。製造業を中心に過剰業種の再編が本格化する なか、サービス産業への転職難(職業訓練の充実が必要)、若年層中心の求人増、 等の構造問題を考慮すると、雇用の創出が伸び悩めば、失業者が増加しよう。 中国の鉱工業生産、輸出、固定資産投資 (%) 59.1 (2010/2) 40 (月次:2008/1~2016/3) 50 鉱工業生産(左目盛) 35 30 中国都市部の新規就業増加者数と求人倍率 (%) 固定資産投資(左目盛) 40 輸出(季節調整後 右目盛) 30 20 25 (四半期:2008/3~2016/3) (万人) (倍) 都市部新規就業増加者数(左目盛) 年間の就業目標(左目盛) 求人倍率(右目盛) 1,500 1.15 1.10 1.05 1,000 10 20 1.00 0 15 10 0.95 500 ▲ 10 0.90 ▲ 20 5 ▲ 30 08 09 10 11 12 13 14 15 0.85 0 16 (年) (注)前年同月比、輸出は2009年5月から、鉱工業生産は毎年1~2月が累計の前年同期比 固定資産投資は毎年1月から累計の前年同期比 出所:中国国家統計局資料、海関総署資料、CEICデータよりみずほ証券作成 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)都市部新規就業増加者数は毎年1月からの累計で2008年1-9月期から 出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成 工業企業の利益総額が2016年に入り増加に転じたが、増益業種がコンピュータ 工業企業は2016年 に入り増益に転じた が、少数業種への集 中や 本業以外の 利 益増等、楽観できる 内容ではない ネットワーク通信、化学、自動車、石油精製、医薬の5業種に集中していること、本業 以外の利益が増えたこと、15年同期の水準が低かったこと等、楽観できる内容では ない。また、主要業務収入も伸び悩んでいる。工業企業の赤字企業比率は12年以 降上昇の動き、特に国有企業が顕著である。国家統計局は「構造改革により、需要 不足、在庫圧力や資金繰り難等の影響は依然突出しており、企業収益の安定成長 に一層注視する必要がある」とコメントしている。今後は行き過ぎた金融緩和策や財 政出動に関して、政策調整が図られるか、留意が必要だ。 (%) (月次:2011/1~2016/3) 40 (%) (%) 30 20 6.0 11 12 13 14 15 外資・香港・マカオ・台湾 25 20 ▲ 2.0 ▲ 10 私営企業 30 0.0 0 国有企業 35 4.0 2.0 右目盛のゼロ 工業企業全体 40 主要業務収入の増減率(左目盛) 生産者物価PPI(右目盛) (年次:1998~2015) 45 8.0 利益総額の増減率(左目盛) 10 中国の工業企業の赤字企業比率 中国の工業企業の売上高・利益と物価 15 ▲ 4.0 10 ▲ 6.0 5 16 (年) 98 (注)主要業務収入と利益総額は年初来の前年同期比、毎年1~2月は累計の前年同期比 生産者物価PPIは前年同月比 出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成 00 02 04 06 08 10 12 14 (年) 出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2016/5/2 グローバル・マクロ・トピックス 中国の製造業PMIの構成指数 (月次:2011/1~2016/4) 60 生産 新規受注 原材料在庫 雇用 サプライヤー納期 55 50 [景気拡大・後退の分岐点50] 45 11 12 13 14 15 16 (年) 出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成 中国の製造業PMI(その他指数) 69.3(2011/1) 70.1(2011/2) 68.3(2011/3) 66.2(2011/4) 60.3(2011/5) 60 (月次:2011/1~2016/4) 購入量 新規輸出受注 原材料購買価格 輸入 製品在庫 55 [景気拡大・後退 の分岐点50] 50 45 40 11 12 13 14 15 16 (年) 出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2016/5/2 グローバル・マクロ・トピックス 金融商品取引法に係る重要事項 ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160502-14 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4
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