・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 営農情報局 米作りのスタートである田植えと、そ 水 稲 の前後の作業・管理が「うまい米」を安 定して収穫するためには極めて重要です。 薄植えと浅植えを心掛け、除草剤の効果を高めるな ど、田植えと初期管理を徹底してください。 1. 田植え作業のポイント ★適正な育苗日数で、緑色の元気な苗を薄く浅く 植え付けてください。 下葉の枯れ上がった軟弱徒長苗、葉の黄色い老 化苗などを太植え・深植えすると、分けつや初 期生育を大幅に遅らせ、穂揃いを悪くするなど、 収量・品質・食味まで大きな悪影響を及ぼしま す。 ○代掻き ★均平を主に縦横各1回掻き程度とし、その後湛水 して1~2日おき、ひたひた水程度で田植えを行 ってください。 代の掻きすぎは活着を悪くします。 田植え時には田面に指で作った溝が数秒で消え る程度の硬さにしてください。 ○植付け株数・本数 ★栽植密度は坪当たり50~60株程度、1株3~4 本の細植えとし、極端な粗植や密植、太植にし ないでください。 太植にすると初期生育は良く見えますが、1株中 の個々の苗で草丈や分けつ数が大きくばらつき ます。その上、幼穂形成期前に過繁茂となり、 後半の生育凋落、弱小茎や穂のばらつき、病害 虫の発生などにつながり、収量や品質に悪影響 を与えます。 ○植付け深さ ★圃場の硬さに合わせて田植機の植付深を調節し、 水深もひたひた水程度にして、3㎝程度の浅植え を心掛けてください。 深植えされた苗は活着が遅れ、分げつ発生を阻 害して、初期生育を7~10日も遅らせてしまい ます。また、浮き苗が発生するほどの極端な浅 植えは活着を遅らせたり、除草剤の薬害を受け て欠株の原因となります。 ○補植 ★10%以上の欠株があっても減収につながる例は ほぼないので、連続欠株以外は補植する必要は ありません。 補植する場合は連続欠株の2株に1株の割合で行 ってください。田植え後日数を経てからの補植 は、生育ムラを作るのでやめましょう。 ※補植用の苗を圃場に放置しておくと、いもち病 の発生源になるので、作業後すぐに処分してく ださい。 2. 田植え後の水管理 田植え後、根が活着する1週間前後までは除草剤 の効果を高めるために深水状態を維持してくださ い。ただし、苗が水没するほど深水にすると、逆 に生育が阻害されたり、除草剤の薬害を受けやす くなります。 活着後(田植え後10日目以降)は地温を高めて 3 敦賀美方農業協同組合広報誌 稲の根張りを良くするために5㎝程度の浅水管理を 徹底して下さい。ただし、田面が露出するほどの 浅水は除草剤の効果が得られないので注意してく ださい。 3. 除草剤の使用 ★圃場に多く発生する雑草の種類を見極めて、効 果の高い成分を有する除草剤を選択することは 勿論のこと、雑草の大きさ(葉齢)に注意して、 適用葉齢を厳守してください。 ・雑草の伸びは、田植え後の日数ではなく入水後 の日数で決まります。特に、ノビエは入水後5~ 7日で1葉に、気温が上がれば3日で1葉伸びま す。散布時期が遅れないよう注意してください。 ・どんなに高価な除草剤を使用しても、散布後の 水管理が悪いと十分な効果を得られません。成 分が拡散し、土壌に吸着して処理層が形成され るよう、3~5㎝の湛水深を保って、均一に規定 量を散布してください。フロアブル剤やジャン ボ剤を使用する場合、水深はやや深めにしてく ださい。 ※ジャンボ剤は風のある日にやると風下に偏りま す。必ず風のない日に使用してください。 ・有効成分が吸着する前に落水や掛け流しを行う と効果不足を起こすほか、圃場外の水質等にも 影響しますので、除草剤散布後7日間は止水して ください。田植え同時散布では、作業終了後に しっかり湛水してください。その際、オーバー フローや畦畔からの漏水に注意してください。 直播の播種後の管理 ○水管理 播種後の落水をしっかり行ってください。特に、 播種後に降雨が続いた場合でも、圃場全体を速や かに排水できるように予め排水溝を切っておくこ とが重要です。部分的に排水不良の場所があると、 出芽ムラの恐れがありますから、排水対策を徹底 してください。 逆に圃場の土が乾燥し、亀裂が入った場合は、 土が白く乾かないうちに走り水程度に入水してく ださい。特に砂質土で水持ちが悪い水田は土の乾 き方や亀裂発生に注意してください。 ○発芽苗立の観察 万一、気温、地温等の気象条件により、発芽遅 延が生じた場合でも、2週間程度は芽の動きを観 察・確認して下さい。コシヒカリの場合、目標と する苗立数は60~80本/㎡程度ですが、30本 (1m当たり10本/1条)の苗立ち数が確保されて おれば、収量に問題はありません。むしろ苗立数 の過剰は、過剰分げつとなりやすく、茎が細くな って倒伏や登熟低下につながるので注意する必要 があります。 ○除草剤の散布 除草剤は播種後10日目と20日目を目途に2回散 布が必要です。1回目の散布は出芽が遅れたり、だ らつくと散布のタイミングが難しくなりましたの で、必ず稲の葉齢1葉を確認してから散布して下さ い。なお、除草剤散布後5~7日間は湛水状態にし、 その後落水して、浅水状態を維持してください。 除草剤は配布した所定の薬剤を使用してください。 ○生育状況の観察 直播栽培は、移植栽培に比べて、分げつ数は多 くなりやすいものの茎が細いため、生育状態を見 誤ることが多々あります。このため、これまでの 傾向として、中干しなどの管理作業が遅れがちと なっています。収量や品質の安定化を図るために は、生育状況を把握し、早め早めの管理を心がけ ることが大切です。 ○鳥害対策(播種後~イネ2葉期) 播種時の土壌表面が硬くならないように気を付 け、播種後種を露出させないようにしてください。 また、鳥に狙われる前に、防鳥糸やキラキラ光る テープを張って予防に努めてください。 出芽後は、速やかに湛水することでスズメの害 を避けることができます。 果菜類の管理 トマト、ナス、ピーマン、キュウリ等、夏野菜の 植付けが始まりましたが、苗の深植えは絶対避けて ください。苗植付け後は、初期生育を促進し、高品 質果生産および春先の病害虫発生防止(予防)のた めの重要な管理作業が待ち受けていますが、適期作 業が高品質果、多収生産のポイントです。 ●支柱の設置と苗の誘引 果菜類を定植したら、①風による揺れ防止、②苗 を真っ直ぐ伸ばすために、直ちに支柱を立てて、苗 を誘引結束してください。特に、ナス科野菜類は風 により、地際部が揺れて傷がつくと、土壌病害が傷 口から侵入し、収穫直前頃になって株全体が枯死す る青枯れ病が発生する恐れがあります。 ●トマトのわき芽かき トマトは、根が活着すると各節からわき芽が発生 しますが、これらは全てかきとってください。畑を 巡回すると、この作業が遅れて、過繁茂状態になり、 果実肥大や着色が遅れたり、奇形果が多く着いてい る株が目につきます。わき芽かきはこまめに早期に 行うことが重要です。なお、わき芽かきは鋏を使わ ず極力手で行ってください。 ●キュウリの下葉かき キュウリは、本葉が5~6枚頃になると、一番下の 節から順に雌花が着き、わき芽も発生してきますが、 これをそのまま放置し、着果させると、草勢が極端 に弱り、上位節の子づる、孫づるの発生が少なくな ります。 ・本葉5~6枚の頃→下から5節目までの雌花やわき 芽は全て摘み取ってください。 ・本葉13~15枚の頃→下から2節までの葉2枚を摘 み取っとください。 ・本葉17~18枚の頃→下から5節までの葉を全て摘 み取ってください。 下葉かきは、草勢維持の他、地際部の通風が良く なり病害の発生予防に大きな効果があります。 ●各種病害の予防防除 苗の定植直後に各種病害の発生予防のため、ダコ ニール1000の1,000倍液を散布してください。 ●うどん粉病の防除 5月に入り、天候が安定 し、高温乾燥が続くと、う どん粉病が多発する恐れが あります。上位葉への発病 が進むと収量低下の大きな 原因になります。 発病がみ られたら、ストロビーフロアブル3,000倍液を散布 してください。 特に、昨年多発したハウスではハウス内の換気を こまめに行い、昼夜の気温格差を極力抑えて下さい。 なお、発病葉は早期に摘除してハウス外へ持ち出し、 胞子の飛散を防ぎ、二次感染防止に努めてください。 ●追肥の施用 果菜類の追肥は、トマトは果実が500円玉の大き さになってから、ナス、ピーマン、キュウリ等は最 初の収穫が始まってからが基本ですが、気象条件に 応じた追肥が収量・品質を左右するので、追肥施用 は次号で詳細に記載します。 温州ミカン ●病害虫防除 そうか病、黒点病の発生を考慮し、花弁の約8割が 落ちたら ストロビードライフロアブル 2,000倍に 展着剤アプローチBIを1,000倍になるよう加用し、 散布してください。 キ ク ●カスミカメムシ類の防除 カスミカメムシ類は、体長が5㎜程度と小さく、動 きが活発なため、発見しにくいカメムシですが、キ クの頂部を吸汁し、芯止まりや曲がり、花の奇形を 引き起こします。アブラムシ類やハモグリバエとの 同時防除を兼ねて下記の防除を行ってください。 表.薬剤防除の一例 散布時期 薬 剤 名 上旬 ダントツ (溶) (乳) 5月 中旬 スミチオン 倍数(倍) 同時防除できる害虫 2,000 アブラムシ類、ハモグリバエ 1,000 アブラムシ類 下旬 スタークル顆粒 (溶) 1,000 アブラムシ類、ハモグリバエ (乳) 6月 上旬 アディオン 2,000 アブラムシ類、 ヨトウムシ ●強風対策 例年、4~5月にかけて嶺南地域では春の嵐により、 風害を受ける危険性がありますが、強風が予想され る場合は、マルチや防風ネットが飛ばされないよう 確認して下さい。 強風通過後は、葉や茎の傷口から各種の病害が侵 入するので、速やかにダコニール1000の1,000倍 液を散布してください。なお、葉が痛んだ場合は液 肥(1,000倍)を施用し、草勢回復に努めてくださ い。 敦賀美方農業協同組合広報誌 2
© Copyright 2024 ExpyDoc