null

精選
改訂版
高等学校国語科用
143 筑摩 国総
文部科学省検定済教科書
改訂版
精選国語総合
精選
古典編
古典編
筑摩書房
筑摩書房
改訂版
国語総合
国語総合
現代文編
高等学校国語科用
国総
355
143 筑摩 国総
国総
356
文部科学省検定済教科書
筑摩書房
本
(古語の理解・漢文句法一覧)が充実。
付録
⑤ 付録・見返しに「装束」
「調度」
「暦法」や地図など、
授業で使えるカラー図版 を掲載。
など
)や、
◉入試を意識したトピックと筆者によるバラエティ豊かな評論教材
教材 と充実のラインナップ。
◉高校生の感性に響く厳選された随想・小説教材
① 評論 は、6単元
4教材 、小説 は、3単元6教材。
③ 随想 は、2単元 (「はじめに」含む )
④ 原則として各単元内の教材配列は易→難へ。
⑤ 定番作品 と意欲的な新教材 をバランスよく掲載。
本、韻文
11
⑥ 表現分野 は、必要にして十分な情報をまとめて巻末に掲載。
32
◉定番教材を中心に据えた基本重視の構成
① 古文教材 は、散文 本、韻文7本 、合計 教材。漢文教材 は、散文
合計 教材。
(古文入門・漢文入門)。
② 入門教材 は、丁寧に解説
13
② 評論教材 は、大学入試を意識した字数
(1500字~4000字程度)に厳選。
18
25
「古典に関連する近代以降の文章」。
③ 新指導要領から新設された
( 兵藤裕己 )
→「転換期の文学 ――『平家物語』の魅力」
④ 古文・漢文の読解に役立つコラム
(古典文法の窓・訓読のきまり・送り仮名のきまり
24
現代文編
境目
はじめに―――
目次
バラは暗闇でも赤いか?
評論一――――
1 評論入門一
羅針盤●
トロンボーンを吹く女子学生
デジタル社会
羅生門
小説一――――
キーワード
川上弘美 ―――――――――――――
渡辺 裕
―――――――
――――――
―――――――――――――
野矢茂樹 ―――――――――――――
イデオロギー
黒崎政男
主観と客観
メディア
―――――――――――
―――――――
――――――――――――
芥川龍之介
―――――――
――――――
樹 ―――――――――――――
山崎正和
―――――――――――――
鷲田清一―――――――――――――
内田
―――――――――――――――――――
小川洋子
﹇参考﹈羅城門の上層に登りて死人を見る盗人の語
(今昔物語集)―――――――――――――
愛されすぎた白鳥
見立て
アイデンティティ・
クライシス
構造主義
2 フィクションを読み解く
羅針盤●
ことばとは何か
評論二――――
〈わたし〉のいる場所
演じられた風景
8
14
20
25
31
32
45
46
55
56
63
69
2
小母さん
3 評論入門二
羅針盤●
―――――――――――――
―――――――――――――
――――――――――――――――――
水村美苗
内山 節
随想―――――
結ばれていく時間
―――――――――――――
若林幹夫 ―――――――――――――
――――――――
―――――
技術
藤田正勝
堀江敏幸
抽象
瓦を解かないこと
言葉と経験
評論三――――
魔術化する科学技術
入不二基義
―――
―――――
―――――
形而上学
多和田葉子
――
―――
―――――――
――――――
――――――――
―――――
―
―
――――――――――――――――――
安部公房
多言語社会
見田宗介
ティム・オブライエン
村上春樹訳
聖なるもの
小坂井敏晶
――
―――――――――――――――――
――
―――
―――――――
―――――――――――――
因果律
4 評論のテーマ
﹇言語﹈
羅針盤●
「ものさし」の恍惚と不安
棒
小説二――――
待ち伏せ
││ 赤い花と紫の貝
エクソフォニー
評論四――――
感性の考古学
主体という物語
5 評論のテーマ
﹇メディア﹈
羅針盤●
3
75
76
82
88
94
157 150 142 134 126 116 115 108 101
キーワード
――
――――――――――――
吉原幸子
谷川俊太郎
喪失ではなく
萩原朔太郎
二十億光年の孤独
竹
――――――――――――
萩原朔太郎 ――
詩歌―――――
およぐひと
室生犀星 ―――――――――――――――
――――――――――――――――――――
――
――――――――――――
―――――――――――――――
小景異情
短歌
―――――――――――――――――――――
――
―――――――――――――
―――――――――――――――
――――――――――――――
俳句
岡 真理
6 伝統的定型詩の現代――短歌・俳句
羅針盤●
文化相対主義
國分功一郎
開かれた文化
民主主義
清岡卓行
評論五――――
来るべき民主主義
逆説
―
―
―
―
―
――――――――――――――――――
―――――――――――――――
失われた両腕
7 評論のテーマ
﹇近代﹈
羅針盤●
199 191 184 176 175 169 167 165 164 162 160 158
4
カプリンスキー氏
小説三――――
夢十夜
遠藤周作
―――――――――――――――
―――――――――――――――
岩井克人 ―――――――――――――――
夏目漱石 ―――――――――――――――
差異
河野哲也
―――――――――――――――
マルジャーナの知恵
文明
西谷 修
評論六――――
環境と身体
名づけ
――――――――――――――――――――
名付けと所有
﹇身体﹈
8 評論のテ―マ
羅針盤●
表現編――――1 ことばを発する ―――――――――
―――――――――
―――――――――
――――――――――――
2 ことばから文章へ ――――――――
3 調べてまとめる ―――――――――
4 話す・聞く
5 自分を表現する
6 文学表現の世界
――――――――――――――
5
付録―――――近現代文学史 ―――――――――――――
常用漢字表
273 269 266 262 258 254 250 246
244 235 229 222 213 200
古文編
目次
――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
児のそら寝 ―――――――――――――――――――――――――――――――
古典の森へ
宇治拾遺物語
古文入門――――――古文を学ぶために
絵仏師良秀 ―――――――――――――――――――――――――――――――
1 歴史的仮名遣い ―――――――――――――――――――――
古典文法の窓◆
宇治拾遺物語
大江山 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
芥川 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
〈敬語〉について ――――――――――――――――――――――――――――――
かぐや姫誕生 ――――――――――――――――――――――――――――――
かぐや姫の嘆き ―――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
3 用言の活用/音便 ――
古典文法の窓◆
2 品詞の分類 ――――――――――――――――――――――――
古典文法の窓◆
十訓抄
竹取物語
物語――――――――
伊勢物語
東下り ――――――――――――――――――――――――――――――――――
筒井筒 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
鹿の声――――――――――――――――――――――――――――――――――
梓弓 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
大和物語
門出 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
足柄山 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
東路の道の果て ―――――――――――――――――――――――――――――
帰京 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
亡き児をしのぶ ―――――――――――――――――――――――――――――
4 係り結びの法則/
古典文法の窓◆
「ば」
の用法 ―――――――――――――――
土佐日記
日記――――――――
更級日記
―――――――――――――――――――――――――
5 助動詞 ―
古典文法の窓◆
54 52 50 47 46 44 43 41 39 36 33 31 30 27 24 22 20 19 16 14 11 10 7
6
徒然草
随筆一―――――――
つれづれなるままに ――――――――――――――――――――――――――
丹波に出雲といふ所あり ――――――――――――――――――――――――
ある人、弓射ることを習ふに ―――――――――――――――――――――
奥山に、猫またといふもの ――
―――――――――――――――――――――
名を聞くより、やがて面影は ―――――――――――――――――――――
﹇参考﹈歎逝賦
花は盛りに ―――――――――――――――――――――――――――――――
方丈記
文選
木曽の最期 ―――――――――――――――――――――――――――――――
6 助詞 ―――
古典文法の窓◆
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
陸機 ――
ゆく河の流れ ――――――――――――――――――――――――――――――
平家物語
軍記――――――――
◆7
敬語法
転換期の文学 ――
『平家物語』
の魅力 兵藤裕己 ――――――――――――
古典文法の窓 ――
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
序 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
白河の関 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
平泉 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
立石寺 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
8 和歌・俳諧の修辞 ―
古典文法の窓◆
―――――――――――――――――――
いにしへよりも後世のまされること ―――――――――――――――――
落柿舎の記 ―――――――――――――――――――――――――――――――
7
和歌と俳諧―――――万葉集
古今和歌集
新古今和歌集
奥の細道
随筆二―――――――玉勝間
風俗文選
9 まぎらわしい語の区別 ―――――――――――――――――
古典文法の窓◆
112 110 108 106 104 102 101 99 96 92 88 87 79 72 71 70 68 65 64 62 60 57 56
漢文編
目次
次
目
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
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――
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――
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――
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―
―
――
――
――
――
――
――
――
――
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――
――
――
――
――
――
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――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
―
漢文
文を
を学
学ぶ
ぶた
ため
めに
に
漢文
文入
入門
門―
――
――
――
――
――
―漢
漢
訓読
読の
のき
きま
まり
り
訓
一
一
一
一
一
一
李白
白―
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
李
―
杜甫
甫―
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
杜
―
李白
白―
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
李
―
杜甫
甫―
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
杜
―
列子
子―
――
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
列
―
韓非
非子
子―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
韓
―
唐詩
詩紀
紀事
事―
――
――
――
――
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
唐
―
戦国
国策
策―
――
――
――
――
――
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
戦
―
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
―
二
二
二
二
二
二
故事
事一
一―
――
――
――
――
――
――
―
借虎
虎威
威
故
借
推敲
敲
推
逆鱗
鱗
嬰逆
嬰
朝三
三暮
暮四
四
朝
唐詩一―――――――
絶
句
唐
詩
一
―
―
―
―
―
―
―
絶
句
静夜
夜思
思
静
春望
春
望
友人
人
送友
送
送り
り仮
仮名
名の
のき
きま
まり
り
送
三
三
淮南
南子
子―
――
――
――
――
―――
―――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
淮
十八
八史
史略
略―
――
――
――
―
―
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
十
―
―
―
孟子
子―
――
――
――
――
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
孟
一
一
十八
八史
史略
略―
――
――
――
―
―
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
十
―
―
―
十八
八史
史略
略―
――
――
――
―
―
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
十
―
―
―
十八
八史
史略
略―
――
――
――
―
―
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
十
―
―
―
1(
漢詩
詩の
のき
きま
まり
り
◆
(
「送
送元
元二
二使
使安
安
西」
」
王維
維)
)
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
――
―
漢
1
◆
「
西
王
―
―
二
一
二
一
二
二
史伝
伝―
――
――
――
――
――
――
――
―
管鮑
鮑之
之交
交
史
管
刺客
客荊
荊軻
軻
刺
生仲
仲達
達
死諸
諸葛
葛走
走生
死
故事
事二
二―
――
――
――
――
――
――
―
五十
十歩
歩百
百歩
歩
故
五
完璧
璧
完
塞翁
翁馬
馬
塞
150 148 146 143 139 136 135 133 133 132 132 130 129 128 126 124 115 114
8
二
一
二
一
孟浩然 ――
―――――――――――――――――
高騈 ――――――――――――――――――――
韋応物 ――
―――――――――――――――――
柳宗元 ――
―――――――――――――――――
王翰 ――――――――――――――――――――
杜牧 ――――――――――――――――――――
白居易 ――
―――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レ
唐詩二―――――――春暁
山亭夏日
秋夜寄 丘二十二員外
江雪
涼州詩
贈別
八月十五日夜、
禁中独直、
対 月憶 元九
2
漢詩のきまり◆
二
一
文章――――――――雑説
唐宋八家文読本
韓愈 ――――――――――――――――――――
売油翁
帰田録
歐陽脩 ――
―――――――――――――――――
〔学問〕
思想――――――――論語
―
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
論語〔政治〕
―
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
﹇参考﹈苛政猛 於虎
礼記 ―――――――――――――――――――――――――――――――
孟子
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
174
儒家の思想
﹇暦法﹈――――――――
186 180
付録――――――――古典常識
﹇装束・調度﹈――――――――
172
古典文法要覧 ―――――――― 古語の理解 ――――――――
日本古典文学史 ―――――――― 中国文化史 ――――――――
漢文句法一覧 ――――――――
9
176
184
188
170 168 167 165 162 160 158 157 155 154 154 153 153 152 152
はじめに
境目
かわかみひろみ
川上弘美
走って、一分ほどのところに、境目がある。市と市の境目である。ときどき、境目の
あたりを踏んでみたりする。こちらからあちらに移ったと思う瞬間、妙な気分になる。
以前住んでいた場所は、三つの市の境目近くにあった。左に踏み出せば×市。右に踏
み出せば□市。ここにとどまれば○市。子供の手を引いて境目に行き、境目から境目へ、
けんけんをしてみたことがある。×から□へ、□から○へ、○から×へ、それはもう自
ごく幼いころ、外国に住んだことがあった。日本人はほとんどいない場所だった。ク
人間ど う し の 境 目 、 と い う も の が あ る 。
く不可思 議 な も の に 感 じ た お ぼ え が あ る 。
在であった。痛快であった。しかしいっぽうで、人がつくった境目というものを、ひど
1
5
け んけん 片足跳び。
1
8
10
もう こ
ラスの中で、蒙古系の人間はわたし一人。周囲は全員が西欧系である。
境目があるということを、ときどき知らされることがあった。
「ヒロミはチャイニーズだから。(そのころ日本という国の知名度は低く、蒙古系の人
間イコールチャイニーズであった。)」と、言われるのである。
チャイニーズだから髪が真っ黒なのね。チ
ャイニーズだからサンドイッチの食べ方が反
対なのね。
(耳から食べることをなぜか子供
アメリカ合衆国とカナダの国境となるナイアガラの滝にかかる
レインボーブリッジ。橋の中央が国境。
がわたし以外から見れば、境目を持つ人間、
自分の姿は自分では見えないから、わたし
から見ればクラスはいちようである。ところ
た。チャイニーズだからではないんだが。
)
ゃうのね。
(わたしはおしっこもらしであっ
い。)チャイ ニーズだからおしっこもらしち
そうなんだろうか? だれかサンドイッチの
食 べ 方 に つ い て 詳 し い 人、 教 え て く だ さ
たちは「反対の食べ方」と言った。ほんとに
4
蒙 古系 人種の三大区分
の一つ、モンゴロイドを
)の中国
Mongol
チ ャイニーズ 中国人。
[英語] Chinese
音写。
ゴ ル(
表 現。
「 蒙 古 」 は、 モ ン
人々をおおまかに言った
どモンゴロイドに属する
さす。日本人・中国人な
2
耳 食パンなどの縁。
3
〈不可思議〉
〈知名度〉
〈自在〉
〈痛快〉
い ちよう 一様。同一の
こと。同様。
4
5
覚えておきたい熟語や成句・慣用句は
見開きごとに整理。
注意する語句
9……はじめに 境目
11
5
5
10
15
2
3
評論︙︙︙︙ 一
バラは暗闇でも赤いか?
の や しげき
野矢茂樹
最近いちばんうれしかった話をしよう。
「光は色が存在するための条件であってわれわれが色を経験するための条件ではない」
と気がついた。場所は街なかであった。ああ、そうなんだ、と、うれしかったのである。
しかし、その話を哲学者の仲間うちですると、喜びを分かちあってくれる人はおらず、
反応は二つに分かれた。いわく、「あたりまえじゃん」
。そしてもうひとつは、
「まちが
ってる」。いやはや。そこで、読者に私の喜びの一端なりとも分かっていただきたいと
思うので あ る 。
色は物の性質だろうか? 例えばここによく熟したトマトがあるとする。その赤さは
このトマトの性質だろうか。もちろんそうだと言いたくなる。私もそう言いたい。しか
し、ある筋道で考えるとそうではないと言いたくなるのである。そのトマトの表面の物
5
10
14
12
理的な特性に従って光が反射し、反射光が眼に入り、視神経を興奮させ、電気信号が脳
に伝達され、その結果、トマトの表面に赤い色が見える。そうだとすれば、トマトの表
面はそれだけでは色をもたないと言うべきだろう。そこで、
「色は物の性質なのか、そ
れとも物がわれわれに引き起こす感覚なのか」と問われるならば、
「感覚である」と答
†
えたくもなるのである。かくして、色は主観の内(あるいは心の内)に生じる感覚であ
†
り、物の性質ではない、客観的な世界そのものは無色だということになる。
*
論を尽くさねばならないと
だが、私はこのような考え方に反対したい。哲学的には議
ころだが、いまは直感的な一言で済ませておきたい。だって、世界はこんなに色彩にあ
ふれているじゃないか! 空の青さ、緑の木立ち、そしてトマトの赤さ。この、さまざ
まな色をもった世界に私たちは生きている。これが、私たちの客観的な世界なのである。
なるほど物理学が描き出す物質世界は色をもたない。だが、それは物理学が色に言及し
ないというだけのことにすぎない。物理学が描く世界は客観的世界の一側面にすぎず、
それだけが客観的世界だと考えるのはまちがいだと思うのである。
色が感覚だというのならば、誰も見ていないところでは物は色をもたないことになる。
例えば、いま我が家の居間には誰もいない。居間に一輪の赤いバラが飾られているとし
よう。だが、誰も見ていないのであれば、それは赤くないということになる。私がそこ
† 主 観と客観 私たちは自
分自身の感覚や経験から
自分にとっての主観的な
世界像を作り上げている。
一方で、個々人の主観に
よる差異を越え、共通認
識を持つことは共同生活
にとっても必須であり、
特に近代科学の描く世界
像は、誰にでも承認され
る客観的な世界像として
広く受け入れられてきた。
両者が一致する場合もし
ない場合もあるが、それ
ぞれの特性を理解するこ
とが重要である。
「 こ の よ う な 考 え 方 」 と
は何か。
*議論を尽くす
〈筋道〉
15……評論一 バラは暗闇でも赤いか?
13
1
5
10
15
1
仮(44)
1.次の語句を用いて、短文を作ってみよう。
ⓑ高をくくる (三六・
(三五・4) )
蛇(長蛇)
嘲(嘲笑)
*明治維新
ふくざわゆ きち
学問のすゝめ(福沢諭吉)
小説神髄(坪内逍遙)
あひゞき(ツルゲーネフ、四迷訳)
浮雲(二葉亭四迷)
五重塔(幸田露伴)
*大日本帝国憲法発布
舞姫(森鷗外)
*日清戦争
たけくらべ(樋口一葉)
日本近代文学の幕開け 近代の文学は新たな西洋文明の衝撃と共に始
なつめ そうせき
まった。夏目漱石が「現代日本の開化」(一九一一)で述べているよう
に、たとえ物質面で追いつくことはできても、そのゆがみは必ず精神
面にあらわれてくる。当時の文学が追求したのは、まさにこうした矛
盾や落差のもたらすさまざまな問題だったのである。
もりおうがい
文学における個人主義 西洋の思潮で文学に最も影響を与えたのは、
個人主義と写実主義である。個人主義に関しては、さまざまな作品で
主義」(一九一四)を講演した漱石も、同時に「こころ」(一九一四)
「行
それを明確に自覚することの絶望的な困難なのであった。
「私の個人
の「舞姫」(一八九〇)に象徴されるように、実際に明らかになるのは
自我(ほかの誰とも違う自分)が模索されながらも、たとえば森鷗外
金色夜叉(尾崎紅葉)
だ どっぽ
いずみきょうか
むしゃのこうじ
さねあつ
し
が
なおや
あることが同時に他者のためにもなる、という主張をストレートに展
方に大きな開きがあったと言ってよいだろう。白樺派は自己に忠実で
白樺派などそれに続く世代の作家との間には、こうした「個」の捉え
しらかばは
生じる、さまざまな悲劇を問題にしている。漱石、鷗外らの世代と、
人」(一九一二)などの作品では、自己に忠実であろうとするがゆえに
若菜集(島崎藤村)
こんじきや しゃ
「ホトトギス」創刊
くにき
歌よみに与ふる書(正岡子規)
こうやひじり
武蔵野(国木田独歩)
高野聖( 泉 鏡花)
みだれ髪(与謝野晶子)
墨汁一滴(正岡子規)
*日露戦争
わがはい
吾輩は猫である(夏目漱石)
近現代文学史
明治1 一八六八
一八七二
一八八五
一八八八
一八九七
一八八九
一八九〇
一八九一
一八九四
一八九五
一八九八
一九〇〇
一九〇一
付録 ◎ 近現代文学史 ……
開し、武者小路実篤の「友情」(一九一九)や志賀直哉の「和解」(一九
14
302
たのはなぜか、説明しなさい。
一・4)のはなぜか、説明しなさい。
4.
「下人」が「老婆の答えが存外、平凡なのに失望した」(四
5.老婆は自分の行為についてどのように考えているか、老婆
の話 (四一・8~四二・1)をまとめて、説明しなさい。
侮(侮辱)
21 18 5
ⓐとりとめもない
ⓒ語弊がある (三八・ )
2.「羅生門」のもとになった『今昔物語集』(四五ページ)の話
、
「 老 婆 を 捕 ら え た 時 の 勇 気 」( 同・
6.
「 あ る 勇 気 」( 四 二・ 6)
7)とは、それぞれどのような「勇気」か、説明しなさい。
どのように行動するだろうか、考えをまとめてみよう。
1.自分が「下人」の立場に立ったならば、どのように考え、
喉(喉元)
P 44
216
2
0095
を読んで、「羅生門」との違いをまとめてみよう。
面に分けなさい。
執(固執)
38
42
精選国語総合(現代文編) 新課程版 見本本
1.時間の推移や「下人」の行動に注意して、全体を四つの場
京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった。
」というもので
2.
『羅生門』の結びの文は当初、
「下人は、既に、雨を冒して、
弊(弊害)
38
41
P 269
2.「羅生門」とはどのような場所か、説明しなさい。
1.「ぼんやり、雨のふるのを眺めていた」(三四・7)とあるが、
)に書き改められた。印象はどのよ
あった。しかし、後に、本文のように「下人の行方は、誰
も知らない。
」(四三・
うに違うか、話し合ってみよう。
憎(愛憎)
37
41
近現代文学史
このときの「下人」の心情を説明しなさい。
2.「六分の恐怖と四分の好奇心」(三八・6)は、その後どのよ
)を抱い
34
15
37
41
筑摩書房
うな心理に変化していったか、まとめなさい。
32
猿(犬猿)
紺(濃紺)
32
嗅(嗅覚)
荒(荒野)
臭(悪臭)
顧(回顧)
揺(動揺)
砕(粉砕)
濁(混濁)
飢(飢餓)
肯(首肯)
匹(匹敵)
闇(暗闇)
剥(剥奪)
暇(余暇)
塗(道塗)
3.「下人」が老婆に対して「はげしい憎悪」(三八・
重要漢字……
32
婆(産婆)
責了
32
36
40
30 28 27 24 23 22
38 37
再校
32
35
38
DIC215
仮(269)
5
10
15
32
35
38
31
34 33
一九〇四
一九〇五
初校
12
10
13
32
34
38
44
269
15
随筆
つれ づれ ぐさ
一
つれづれなるままに
徒然草
*
けんかう
兼好
つれづれなるままに、日くらし、すずりに向かひて、心にうつりゆくよし
*
なしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
よ し な し ごと こ れ と い う 意 味 も な い
*つれづれなり *あやし
こと。
1
2.形容詞「あやし」の活用をすべて書き出して、ウ音便形「あやしう」(五六・2)のもとの形を確認しなさい。
ⓐ文章を書くきっかけは何か。 ⓑ何を書くのか。 ⓒどのような態度で書くのか。
1.「書きつくれ」の活用形に注意して、「そこはかとなく書きつくれば」(五六・2)を現代語に訳しなさい。
1.本文中から、次の問いの答えに相当する部分を抜き出しなさい。
(序段)
1
56
16
し
し
こまいぬ
*
狛犬
(左)と獅子(右)
い づ も
*
て、
「 い ざ、 た ま へ、 出 雲 拝 み に。
か い も ち ひ 召 さ せ む。
」 と て、 具 し
もて行きたるに、おのおの拝みて、
*
まへ
ゆゆしく信おこしたり。
お
前なる獅子・狛犬、背きて、後
御
*
ろさまに立ちたりければ、上人いみ
*
じ く 感 じ て、
「 あ な め で た や。 こ の
*
獅子の立ちやう、いとめづらし。深
」と涙ぐみて、「いか
きゆゑあらむ。
3
たん ば
4
丹波に出雲といふ所あり
おほやしろ
2
丹波に出雲といふ所あり。大社を移して、めでたく造れり。しだのなにが
*
しやうかいしやうにん
しとかやしる所なれば、秋のころ、 聖 海 上 人 、そのほかも、人あまた誘ひ
1
に殿ばら、殊勝のことは御覧じとが
聖海上人 伝未詳。
「志太」か。
ち
とせ
しだのなにがし しだの某。
「しだ」は、
なにがし
大 社 島 根 県 の 出 雲 大 社。
「移して」
は、その分霊を移し迎えて。
町出雲。
丹 波 に 出 雲 現 在 の 京 都 府 亀 岡 市 千 歳
1
2
3
いざ、たまへ さあ、いらっしゃい。
かいもちひ ぼたもち。そばがきとも。
4
5
獅子・狛犬 拝殿の前の一対の獅子・
狛犬の像。向き合って置かれる。
いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じと
がめずや なんとみなさん、このすば
らしいことは、お目にとまりませんか。
*めでたし *しる *具す *ゆゆし *いみじ *めづらし *ゆゑ
17
7
6
7
8
5
め ず や。 む げ な り。
」 と 言 へ ば、 お
57……随筆一 徒然草
8
5
10
6
)
漢文入門
*
訓読のきまり
漢文入門
*
仮(115)
句読点と送り仮名
訓点に従って漢字仮名交じり文に書き改めたものを、書き
点・送り仮名・返り点を訓点といいます。訓点が付いてい
点などを加えて日本語として訳読できるようにしました。
中国の文語文法と日本語のそれとでは、文の構造が違います。しかし、漢字を取
り込んで発達した日本語には、単語レベルでは古典中国語と共通
1する点が多く存在
訓読のきまり
[書き下し文]天は長く、地は久し。
[訓読]
[白文]
天 長
地
天 長
地
[訓点]
▼ 句 読 点 句 点「。」 と 読 点「、」。 文 や
内容の区切りを示すために付ける。
中国の文語文法と日本語のそれとでは、文の構造が違い
り込んで発達した日本語には、単語レベルでは古典中国語
訓読のきまり
漢文入門
ナで付け、訓読する際に必要となる助
横下 に歴史的仮名遣いを用いて カタカ
▼ 送 り 仮 名 古 典 文 法 に 従 っ て 漢 字 の 右
*
します。そこで日本人は漢字だけで書かれている原文に、句読点・送り仮名・返り
ハ
点などを加えて日本語として訳読できるようにしました。これを訓読といい、句読
点・送り仮名・返り点を訓点といいます。訓点が付いていない原文は白文といい、
ク
久
久
ハ
ク
ハ
シ
シ
シ
を補う(一二四ページ参照)。
詞や活用語尾、または副詞の一部など
ナで付け、訓読する際に必要となる助
115……漢文入門 漢文を学ぶために・訓読のきまり
[
現代語訳 ]
▼ 返 り 点 「 レ」「 一・ 二 」「 上・ 下 」 な
[
現代語訳 ] どの記号を漢字の左下に付ける。
天には永遠の生命があり、大地には悠
久の生命がある。
します。そこで日本人は漢字だけで書かれている原文に、
詞や[
活用語尾、または副詞の一部など
中国の文語文法と日本語のそれとでは、文の構造が違います。しかし、漢字を取
訓点]
従
訓点に
って漢字仮名交じり文に書き改めたものを、書き下し文といいます。
を
補
二
四
ペ
ー
ジ
参
。
句(
読一点
」照
と)
読
点「、」。 文 や
▼う
句 点「。
り込んで発達した日本語には、単語レベルでは古典中国語と共通する点が多く存在
返
り
点
「
」
「
「た上
▼
内容
のレ区
切一
り・
を二
示」
す
め・
に下
付」
けな
る。
どの
の左下に付ける。
送号
りを
仮漢
名字
▼記
古典文法に従って漢字の 右
横下 に歴史的仮名遣いを用いて カタカ
します。そこで日本人は漢字だけで書かれている原文に、句読点・送り仮名・返り
句読点と送り仮名
点などを加えて日本語として訳読できるようにしました。これを訓読といい、句読
ハ
ハ
送り仮名
・送り
・返り久
[白文点
]
天
長
仮名地
点 を訓点といいます。訓送点りが仮付名いていない原文は白文といい、
訓点に従って漢字仮名交じり文に書き改めたものを、書き下し文といいます。
[訓読]
天 長
地 久
句読点
ク
久
久
句読点と送り仮名
[書き下し文]天は長く、地は久し。
ハ
[白文]
天 長
地
天 長
地
[訓読]
1
18
漢文を学ぶために・訓読のきまり
1
句読点
送り仮名
2*返り点
し文といいます。
い原文は白文といい、
れを訓読といい、句読
返り点は、日本語として読むときに語順を変える必要がある場合に用います。
[返り点の種類] 主な返り点には、次のような種類があります。
「 レ」「 一・ 二 」「 上・ 下 」 な
▼ 返 り 点 どの記号を漢字の左下に付ける。
一
ニ
4
一
にくヲ
5
を補う(一二四ページ参照)
。
詞や活用語尾、または副詞の一部など
ナ で 付 け、 訓 読 す る 際 に 必 要 と な る 助
▼ 送 り 仮 名 古 典 文 法 に 従 っ て 漢 字 の 右
横下 に歴史的仮名遣いを用いて カタカ
ヲ
人生意気に感ず。
羊頭を懸げて狗肉を売る。
人の悪を称する者を悪む。
P 115
[
「書き下し文」表記の原則]
ク
ハ
シ
天は長く、地は久し。
ハ
天 長
地 久
、
。
① 漢 字仮名交じり文で表記する。
名遣い(平仮名)で表記する。
② 送 り仮名は文語文法に従い、歴史的仮
レバ
ヘ
シ
ヒ
有 備
無
患。
レ
レ
備へ有れば患ひ無し。
た ダ
ざ ル
ナラ のみ 直だ百歩ならざるのみ。
シテ
ヲ
ザク これヲ
鬼神を敬して之を遠ざく。
ラ
未だ来らず。
ず
いまダ
レ 。
未 来
よシト
恵王曰はく、「善し。」と。
ハク
」
恵 王
曰
、「善。
⑥ 引 用や会話文の終わりに「と」を送る。
し、二度目は、平仮名で表記する。
送り仮名を付けてそのまま 漢字 で表記
⑤ 再 読文字(一二一ページ)は、最初は
神
遠
二
一
レ 。
敬 鬼
而
之
④ 置 き字(一一九ページ)は表記しない。
歩
二
一 。
直 不
百
耳
(一一七ページ)は、平仮名で表記する。
③ 日 本 語 の 助 詞 や 助 動 詞 に あ た る 漢 字
[訓点]
」 と 読 点「、」
。文や
▼ 句 読 点 句 点「。
内容の区切りを示すために付ける。
私事を以つて公義を害せず。
く
4
上
ヲ
5
上
ル
3
6
ヲ
セ
3
5
す。しかし、漢字を取
[ 現代語訳 ]
歳月は人を待たず。
禍ひを転じて福と為す。
の
ヲ
2
4
共通する点が多く存在
ヲ
3
天には永遠の生命があり、大地には悠
久の生命がある。
1
6
読点・送り仮名・返り
ト
タ
3
4
4
5
レ点
連続する二字について、前後の順番を入れ替えて読む符号。
ず
わざは
ジテ
な ス
ヒヲ
2
ハ
1
転 禍
為
レ
レ
福
2
1
歳 月
人
レ
レ
不
待
ヲ
ズ
5
2
二
一・
点
(一・二・三)
離れた位置にある二字について、下から返って読む符号。
2
1
人 生
気
二
感
意
1
かかゲテ
3
懸 羊
頭
狗
肉
二
一
二
売
スル
4
も ツテ
2
・ 下点
(
付い
た部分を挟んで、下から返って読む符号。
……漢文入門 漢文を学ぶために・訓読のきまり
上・中・下)
上
一・二点が115
にくム
6
3
1
悪 称
人
之
下
二
一
悪
者
ず
7
不 以
私
事
公
義
下
二
一
中
害
116
19
ノ
ヲ
故事………… 一
ル
借 虎 威
メテ
一
タリ きつねヲ
い ハク
二
ヲ
一
ヲ
ラハバ
し
カ ム
ヲ
ノ
ニ
なり
も ツテ
ラヒ
カ カレ あ ヘテ
ヲシテ
ヲ
こ レ
ナラ
ニ
ためニ
み ヨ
ノ
カ
ヲ
したが
ヒテ
な サバ ず ト
(爲)
セン
ラフ
コト
(⻝)
タラ
ラフ
二
二
帝 命 也 子 以 我 為 不
2
三
獣 今 子 食 我 是 逆 天
ニ
我 也 天 帝 使 我 長 百
二
得 狐 狐 曰 子 無 敢 食
1
百 獣 而 食 之
虎 求
(獸)
二
テ
ヲ
(隨)
信 吾 為 子 先 行 子 随
ガ
しかリト
ニ
つひニ
(觀)
5
カ
(遂)(與)
これ
ク
テ
5
ヲ
カ ヘテ ざ ラン
ル
ラ
や ト
ル
ラ
二
ツテ
ノ
ス
虎形装飾金具(前漢時代)
レテ
「虎
の威を借る」の意味を調べなさい。
「是
逆天帝命也」と言ったのはなぜか。
2 天帝 天の神。
1 子 あなた。
1
4 然 その通り。
5 遂 ここは、そのまま、の意。
3 走 逃げる。
2
2
一
一
3
我 後 観 百 獣 之 見 我 而 敢 不 走 乎 虎 以 為
二
1
然 故 遂 与 之 行 獣 見 之 皆 走 虎 不 知 獣 畏
4
126
20
ヲ
ルヲ
ツテ
ス
ルト
ヲ
己 而 走 也 以 為 畏 狐 也
2.
「然」(一二六・8)のさす内容を具体的に説明しなさい。
しかリ
1.
「先行」(一二六・6)と言った狐の狙いは何か。
ヘテ (ス)
ル
(コト)
[戦国策]
2.
「敢不走乎」(一二六・7)を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。
カレ
ヲシテ (セ)
や
しょうおうか
1.
「観」(一二六・7)と「見」(同)には、どのような意味の違いがあるか話し合いなさい。
ム
決して~してはいけない〈否定・禁止〉(一二六・2)
無 二敢 ~
一 ヘテざラン
使 二~ … 一 ~に…させる 〈使役〉(一二六・3)
ず
(セ)
不 レ~ ~しない〈否定〉(一二六・5・8)
りゅうきょう
敢 不
二~ 一乎 どうして~するだろうか(いや、~しない)〈反語〉(一二六・7)
与~ ~と〈並列〉(一二六・8)
21
10
戦国策 前漢の劉向(前七七─前六年)編。戦国時代に各地を遊説して政策を説いた人々(縦横家)の言動や議論を国別に分類し、
ぐうわ
集成したもの。相手を説得するための比喩や寓話が多く含まれている。
127……故事一 借虎威
5
一
古典文法の窓
……用言の活用/音便
用言は用いられ方によって語形が変化する。そ
う
すで
活用するとき、変化しない部分を語幹、変化
動詞は、五十音図の行(ア行〜ワ行)の一つの行
は下二段と一致し、ラ変は四段と終止形のみが異なる。
形・連用形・終止形および命令形は四段と、連体形・已然形
*カ変とサ変とは上二段と未然形・命令形が違い、ナ変は未然
用・ラ行変格活用の九種類に分類される。
用・ 下 二 段 活 用・ カ 行 変 格 活 用・ サ 行 変 格 活 用・ ナ 行 変 格 活
か に よ っ て、 四 段 活 用・ 上 一 段 活 用・ 上 二 段 活 用・ 下 一 段 活
の中で変化する。そして、ア〜オ段のどの段を使って変化する
動詞の活用
と活用語尾が融合した動詞もある。
する部分を活用語尾という。「見る」「得」などのように、語幹
語幹・活用語尾
定条件を表すので名称を改めたものである。
現代語には仮定形があるが、これは古語の已然形(已にそう
なっている意)が確定条件を表したのに対して、現代語では仮
六種類がある。
形には、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の
い ぜん
の変化を活用といい、変化した形を活用形という。古語の活用
活用・活用形
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
語例
語幹 未然 連用 終止 連体 已然 命令
種類
ふ
へ
みる みる みれ みよ
へ
み
ひ
ふ
見る (見) み
思ふ
は
四段
思
上一段
るる るれ れよ
ぐる ぐれ ぎよ
くる くれ こ(よ)
ぐ
ぎ
る
ける ける けれ けよ
け
く
ぎ
れ
ね
ぬる ぬれ
れ
する すれ せよ
れ
ぬ
る
す
り
に
り
し
死
ら
な
あ
(す) せ
過
過ぐ
き
来
す
け
下一段
上二段
(来) こ
死ぬ
く
蹴る (蹴) け
流る
流
れ
ナ変
サ変
あり
カ変
下二段
ラ変
形容詞の活用 古語の形容詞にはク活用とシク活用の二種類が
ある。なお、連用形に動詞「あり」が融合して「─かり」とな
種類
高し
語例
美
高
った形を補助活用(カリ活用)という。
ク活用
美し
く
しから しかり
しく しく
から かり
く
し
し
しかる
けれ
しき しけれ
かる
き
しかれ
かれ
語幹 未然 連用 終止 連体 已然 命令
シク活用
22
22
送り仮名のきまり
原則一 「
送り仮名の付け方」(内閣告示)に準じ、誤読のおそ
れのないように配慮し、読みやすくする。
原則二 活用のある語は、活用語尾を送る。
原則三 付属語である助詞・助動詞を送る。
原則四 誤
読の可能性があるときは、判別のために読み仮名の
最後の一音を送る。
名詞 ①名詞には、送り仮名を付けない。 人・花・隣・右
動キ・戦ヒ・使ヒ・怒リ・侮リ
*誤読のおそれのあるものは、最後の一字を送る。
半バ・幸ヒ・斜メ
②動詞から転じた名詞は、動詞の送り仮名による。
志・恥・光・舞
*慣用的表記で、誤読のおそれがないものは送らない。
い
おも
お
も
われ
なんぢ なんぢ たれ
たれ
①代名詞には、送り仮名を付けない。
我・吾・己・汝・爾・孰・誰・何
*誤読のおそれのあるものは、最後の一字を送る。
いづ
いづ
いづ
いづ
何レ・孰レ・何ク・安ク
これ
たれ
こ
そ
これ
我ガ・吾ガ・之ガ・誰カ・此ノ・其ノ・我ヲ・之ニ
わ
「ノ」
「ヲ」「ニ」を伴う場合は、
②代名詞が、助詞「ガ」「カ」
その助詞を送る。
こ
こ
そ
そ
此レ・之レ・維レ・其レ・夫レ
こ
③指示代名詞が助詞を伴わないで読まれる場合は、最後の一音
を送る。感動詞の場合もこれに準ずる。
動詞
①動詞は、活用語尾を送る。
むち
読ム・書ク・学ブ・習フ・恥ヅ・怒ル・光ル
②名詞から転じた動詞は、名詞以外の部分を送る。
雨フル・傷ツク・指サス・横タハル・鞭ウツ
③形容詞から転じた動詞は、形容詞の送り仮名による。
楽シム・悲シム・親シム・苦シム・怪シム
④副詞や連語が動詞化したものは、もとの品詞の送り仮名によ
124
23
③動詞や形容詞が語尾に「ク」「ラク」「ミ」「サ」を伴って名
詞化する場合は、動詞・形容詞の活用語尾から送る。
曰ハク・謂ヘラク・以為ヘラク・楽シミ・大キサ
代名詞
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
古語の理解
心情や状態を表す語
い
古語のうち、心情や状態を表す語は平安時代の文学の中で飛躍的に発達し、後世に及んでいる。これらの語は多
くの意味で用いられるため、古語を理解する困難さの一つともなっている。しかし、その意味・用法の多様さのう
さらには古文解釈にとって有効である。
ちにも、統一的な語感(ニュアンス)を見出だすことができるのである。その語感を捉えることは、古語の理解、
*[古文編]本文中にある語を中心にして、心情や状態を表す形容詞・形容動詞(語幹のみ掲出)を五十音順に掲
げ、主として語感について解説した(「がる」がついて動詞化した語、
「さ」がついて名詞化した語についても示し
ことが多く、浮気っぽく不誠実な性
を表すのに用いられている。これは
れもしみじみと身にしみ入る気持ち
のほかに、身分が卑しい、みすぼら
たい気持ちが原義。奇異、不思議、
た)。→に続く算用数字は本書のページ数を示す。
質 を さ す。「 ま め 」 の 対 語。 女 の 容
しく粗末だ、など意味が多岐にわた
【あ 行】
る。→ ・
・
何よりも、人の魂をゆるがす心の底
・
からの感動を意味する。すなわち、
し、 高 貴 な 血 筋 と は い え、「 や む ご
あて 高貴な血筋にふさわしい上品
さ を 表 す。「 い や し 」 の 対 語。 た だ
た。しかしそれも人間的なものへの
悲哀の感情を表す語とも見られてき
う。
り」はやさしく落ち着いたさまをい
な 美 し さ を い う の に 対 し て、「 優 な
・
・
・
・
る。
が多く、その場合は副詞ともみられ
連用形「いたく」で用いられること
いた
れ」は、「をかし」とも対比されて、 「 あ て 」 が 高 貴 さ を 本 義 と し て 上 品
あ し わ
「 ろ し 」 が 美 に 対 す る 醜、
優に対する劣など相対的に悪いとい
共感に発しているとみなければなら
・
はない。→
う不快、嫌悪の感情を表すのに対し、 となし」のような第一級の高貴さで
・
あ は れ も と も と 感 動 詞「 あ 」「 は
れ」が複合して生まれた語で、心の
れんびん
底からの感嘆の声であった。平安時
を表す。→
本質的、絶対的に悪いとする気持ち
いたし 痛
「し」「甚し」があるが、
本来同語であろう。程度が並たいて
いう 漢語「優」を形容動詞化した
も の。 上 品 で す ぐ れ て い る 感 じ。
56
ない。自然に対しては美しい、人に
そ う と す る 語 で あ る。 古 来、
「あは
生身の人間であるがゆえの感動を表
姿のあでやかに美しいさまをいう
語である。
「あだあだし」は「あだ」
「 あ だ 」 も、 後 に こ れ か ら 派 生 し た
を重ねて形容詞化したもの。→
あ さ ま し 動 詞「 あ さ む 」( 驚 き あ
きれる意)から出た語。事のあまり
す。現代語では、いやしい、みじめ
の意外さに驚きあきれる気持ちを表
だなど悪い意味に用いるが、古語で
50
いでないというのが基本的な意味。
・
44
対しては、かわいい、いとしい、い
は善悪両方に用いられる。→
24
た わ し い、 な ど の 意 が あ た る。 →
65
あだ・あだあだし もろく一時的な
もの、気まぐれでおろそかなさまを
あやし 不思議と感じられる異常な
も の に 対 し て、「 あ や 」 と 声 を 発 し
65
21
代の用法では、嘆賞・情愛・憐憫・
101
26
16
悲傷など多様な感情を表すが、いず
52
37
いう語。花の実を結ばないことなど
47
25
もいうが、人間の性格についていう
16
17
180
24
イツシ
ひのえうま
丙午
きのえとら
甲寅
コウイン
きのとう
乙卯
イツボウ
ひのえたつ
丙辰
ヘイシン
ひのとみ
丁巳
乾
い
い ぬ
み
巳
うま
ひつ
じ
午
未
東
南南
南
南南
西
十時
さる
一時
二時
九っ
半
八っ
時
九っ時 十二時
時
四っ
時
十一
半
四っ
じ
つ
ひ る
さ
かのえさる
キビ
(ミ)
午 前 巳
午
午 後 未
坤
つちのえうま
テイシ
戊午
つちのとひつじ
ボゴ
己未
コウシン
みずのえいぬ
シンユウ
申
酉
戌
ジンジュツ
半
っ
八
時
七っ
みずのとい
半
七っ
六っ時
四時
時
三
五時
キガイ
西 申
南
西
西南
とり
西 酉
西北
西
いぬ
北
西 戌
つちのえさる
テイビ
(ミ)
戊申
かのえいぬ
キユウ
庚申
かのととり
辛酉
壬戌
癸亥
丑
きのえたつ
甲辰
コウシン
きのとみ
乙巳
ヘイゴ
ひのとひつじ
丁未
つちのととり
ボシン
己酉
コウジュツ
キチュウ
ね
イツビ
(ミ)
ひのえさる
丙申
つちのえいぬ
テイユウ
かのえね
キガイ
庚戌
かのとい
辛亥
シンガイ
みずのえね
壬子
みずのとうし
ジンシ
癸丑
うし
きのえうま
甲午
コウゴ
きのとひつじ
乙未
ヘイシン
ひのととり
丁酉
戊戌
ボジュツ
つちのとい
己亥
コウシ
キボウ
子
イツユウ
ひのえいぬ
テイガイ
つちのえね
かのえとら
キチュウ
庚子
かのとうし
辛丑
みずのえとら
シンチュウ
壬寅
ジンイン
みずのとう
癸卯
い
きのえさる
甲申
コウシン
きのととり
乙酉
丙戌
ヘイジュツ
ひのとい
丁亥
戊子
つちのとうし
ボシ
己丑
コウイン
キシ
亥
イツガイ
ひのえね
つちのえとら
テイチュウ
戊寅
かのえたつ
キボウ
庚寅
かのとう
辛卯
みずのえたつ
シンボウ
壬辰
ジンシン
みずのとみ
癸巳
西
北北
北
北北
東
きのえいぬ
甲戌
コウジュツ
きのとい
乙亥
丙子
ヘイシ
ひのとうし
丁丑
ボイン
つちのとう
己卯
コウシン
キビ
(ミ)
一時
と
イッチュウ
ひのえとら
丙寅
つちのえたつ
テイボウ
かのえうま
キシ
庚辰
かのとみ
辛巳
みずのえうま
シンシ
壬午
みずのとひつじ
ジンゴ
癸未
二時
え
きのえね
干支 甲子
コウシ・カッシ
きのとうし
乙丑
ヘイイン
ひのとう
丁卯
戊辰
ボシン
つちのとみ
己巳
コウゴ
キユウ
九っ
半
八っ
時
じゅうにし
ねずみ
うし
とら
…(虎)
…(牛)
…(鼠)
十二支
ね
子
イン
う
うさぎ
…(兎)
たつ
へび
…(龍)
…(蛇)
うま
ひつじ
…(馬)
…(羊)
庚午
かのとひつじ
辛未
みずのえさる
シンビ
(ミ)
壬申
みずのととり
ジンシン
癸酉
十時
じっかん
コウ
うし
シ
とら
チュウ
丑
寅
卯
ボウ
たつ
み
シン
辰
巳
ひつじ
ゴ
さる
…(猿)
にわとり
…(鶏)
いぬ
いのしし
…(犬)
…(猪)
九っ時 十二時
ごぎょう
暦法
五行と十干
五行 十干
ヘイ
ボ
=丙テイ
=丁
兄(え)
きのえ =甲
オツ
=乙
弟(と)
きのと
兄(え)
ひのえ
弟(と)
ひのと
キ
兄(え)
つちのえ=戊
コウ
ジン
=庚シン
=辛
弟(と)
つちのと=己
兄(え)
かのえ
シ
弟(と)
かのと
午
未
ミ・ビ
さる
申
シン
とり
ガイ
日
日
日
時
四っ
時
十一
半
四っ
のうし
うし
直の衣
直衣
きの
木
ひの
火
つちの
土
かの
金
キ
兄(え)
みずのえ=壬
うま
弟(と)
みずのと=癸
と
いぬ
ユウ
酉
い
ジュツ
戌
日
二十四節気 太陽暦相当月日
月
日
日
日
日
日
日
日
六っ
半
七時
五っ
時
五
八時
っ
半
九
時
六時
日
日
日
日
亥
子
丑
装束
装束
文官の束帯
文官の束帯
かりぎぬ
りぎぬ
狩か衣
狩衣
みずの
水
*干支は、十干と十二支に
よる六十種類の組合せ。十
干は、古代中国で万物の根
え
源と考えられていた五行を
甲・乙などの文字をあてた
兄(陽)と弟(陰)に分け、
もの。十二支は、黄道を十
二等分して動物の名前をあ
せっき
他の異名・関連の呼び名
りっしゅん
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
九
時
い
てたもの。暦は干支で表し、 亥
異名
しゅん
うすい
けいちつ
しゅんぶん
せいめい
こくう
りっか
しょうまん
ぼうしゅ
げし
しょうしょ
たいしょ
りっしゅう
こも
新 月 30 日ごろ
は月が籠る(見えなくなる)意。
「ついたち」は新しい月が立つ意。
つ ご も り (6 時 00 分)「つごもり」
二十三夜月 (0 時 30 分)
六十一年で還暦となる。
月
もう
ちゅう しゅん
月 孟 春
つき
月の異名と二十四節気
季
む
一 月 睦
らぎ
しゅん
月 仲 春
き
か
か
しゅう
日
日
日
日
日
23 日ごろ
31
とら
下弦の月
有明の夜(朝月夜)
22 日ごろ
二十日余りの月(22
時 30 分)
21
た
み つ
弦(弓のつるにあたる部分)が上にあるか下にあるかによる呼び名であるが、下弦の場合、月の
「入り」の時刻は日中であり、実際には「下弦の月」
(弦が下にある状態)には見えない。
六時
六っ時
寅
卯
辰
臥し待ち月 19 日ごろ
寝 待 ち 月(21 時 00 分)
更け待ち月 20 日ごろ
宵よい 闇 やみ 月(22 時 00 分)
表袴かのくかの
表袴
つ くつ
鞾鞾
調
調度
度
仮(174)
仮(175)
し
う ら
と
16 日ごろ
武官の束帯
武官の束帯
こうちき
こうちき
きさ
よい
もう
生 季 春
づき
もう
月
月
月
月
月
月
月
上弦の月
夕月夜(宵月夜)
174
175……付録 暦法
東 寅
北
東
東北
う
東 卯
東南
東
たつ
南
東 辰
で
春 二 月 如
や
三 月 弥
う
き
ちゅう か
月 孟 夏
つき
づき
月 仲 夏
な
づき
しょしょ
はくろ
しゅうぶん
かんろ
そうこう
りっとう
しょうせつ
日
日
日
日
15 日ごろ
半
っ
四時
八
時
七っ
五時
半
七っ
18 日ごろ
居 待 ち 月(20
時 00 分)
古方位
望月・満月 (18 時 00 分)
P 174
P 175
四 月 卯
さ
夏 五 月 皐
み
ふ
とう
しゅう
ちゅう しゅう
月 孟 秋
六 月 水無月 季 夏
ふみ
づき
もう
き
月 仲 秋
つき
づき
月 季 秋
月
月
月
9日ごろ
(13 時 30 分)
11
月
11 日ごろ
十日余りの月 (14
時 30 分)
41
九日月
七 月 文
は
かみ
たいせつ
しょうかん
8日ごろ
時
三
17 日ごろ
立ち待ち月(19
時 00 分)
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
42
43
32
1
2
3
12
13
22
23
24
33
34
35
え ぼ
え ぼ
し し
え え
ぼ ぼ
し し
4
だいかん
7日ごろ
うえのはかま
うえのはかま
鞾鞾
44
45
(8時 30 分)
蟻先
蟻先
かの
かの
くつくつ
14
15
16
25
26
27
36
37
38
39
28
29
30
46
(12 時 30 分)
袖括
袖括
鏡箱
鏡箱
5
6
7
とうじ
げつれいひょう
月齢表
しゃく
しゃく
小
小袿
袿
平緒
平緒
艮
十 六 夜 月 (18 時 30 分)
い ざ よ い
秋 八 月 葉
なが
かん な
九 月 長
十 月 神無月 孟 冬
立春
正 月
雨水
啓蟄
仲 陽
春分
清明
晩 春
穀雨
初 夏 立夏
麦 秋 小満
薫 風 芒種
わ せ 早稲月 夏至
小暑
晩 夏
大暑
立秋
初 秋
処暑
白露
観 月
秋分
寒露
晩 秋
霜降
小 春 立冬
しぐれ
時雨月 小雪
大雪
冬至
小寒
冬
大寒
かぐら
神楽月
とう
晩
ちゅう とう
き
月 仲 冬
つき
走 季 冬
し わ す
20 6 22 8 23 8 23 8 23 7 23 8 24 7 21 5 21 6 21 5 21 6 18 4
47
(11 時 30 分)
P 172
P 173
17
18
19
8
9
10
48
八日月
朝方
月が見えている時間
とり
こうろろ
ひひ
とり
こう
ゆするつき
ゆするつき
20
2
2
3
3
4
4
5
5
そでく
そでく
くりくり
かが
みばこ
かが
みばこ
みちょうだい
みちょうだい
6
6
7
7
8
8
火取香炉
火取香炉
泔坏
泔坏
からびつ
からびつ
唐櫃
唐櫃
御帳台
御帳台
几帳
几帳
きちょう
きちょう
角盥
角盥
ほう ほう
ひ おけ
おけ
ひ
古時刻
十 三 夜 月 13 日ごろ
小 こ 望もち月 (16 時 30 分)
もち
4
4
4
4
4
4
4
4
とりこうろろ
ひひとりこう
火取香炉
火取香炉
つのだらい
つのだらい
袍袍
狩衣
狩衣
唐 笥
笥
唐
火桶
火桶
49
七日月
から くしげげ
からくし
円座
円座
50
3日ごろ
三日月
鏡台
鏡台
にかい
かい ず
ず し
し
に
平緒
平緒
ひら
ひら
おお
烏帽子
烏帽子
烏帽子
烏帽子
だい
きき
ょょ
うう
だい
二階厨子
二階厨子
0時
(7時 30 分)
二日月
わろうだ
わろうだ
からびつ
からびつ
灯台
灯台
40
月の入
太陰暦
りの形 月の呼び方 (月の出の時刻) 夕方
2日ごろ
唐櫃
唐櫃
とうだい
とうだい
や や
女
女房
房装
装束
束
こうちき
こうちき
裾裾
きょ きょ
きょきょ
ひらひら
お お
裾裾
うき
ちき
うち
袿
袿
表袴
表袴
小袿
小袿
ゆみゆみ
太刀
太刀
た ち
た ち
表着
表着
冠冠
弓弓
笏笏
うえのはかま
うえのはかま
笏笏
袴
袴
ひおうぎ
ひおうぎ
六っ
半
七時
五っ
時
五
八時
っ
半
月の出の時刻は、季節により一時間ほどのずれがある。また、月の「出」と「入り」は、必ず
しも見え始め・見え終わりを示すものではない。例えば、上弦・下弦は、月の「入り」のとき、
4
しも
十二月 師
冬 十一月 霜
25
矢矢
唐衣
唐衣
た ち
た ち
太刀
太刀
ううわわぎぎ
すいえい
すいえい
緌緌
裳
裳
からぎぬ
からぎぬ
かんむ
かんむ
り り
けんえい
けんえい
巻纓
冠冠 巻纓
かんむ
かんむ
りり
垂纓
垂纓
おいかけ
おいかけ
もも
し
しゃ
くゃく
はかま
はかま
檜扇
檜扇
9
1 12 12 11 11 10 10 9
1
仮(172)
仮(173)
けってきのほ
けってきのほ
うう
闕腋袍
闕腋袍
ほうえ
きのほ
ほうえ
きのほ
う う
縫腋袍
縫腋袍
ありあ
さり
きさき
二階棚
二階棚
かいだな
ににかいだな
指貫
指貫
さしぬき
さしぬき
172
173……付録 装束・調度
新