改訂版

改訂版
高等学校国語科用
143 筑摩 国総
文部科学省検定済教科書
筑摩書房
編集委員のことば
日本大学教授
紅野謙介
国語教科書に新しい風が流れ込んできました。新たな指導要領のもと、
大幅に分量を増やすことができるようになったのです。ことは量だけに
とどまりません。バラエティを可能にし、さまざまな質と特性をもった
教材を提供できるようになったのです。筑摩書房は長年、国語教科書で
定評を得てきましたが、今回の新風によって、「伝統と革新のせめぎあい」
という筑摩ならではの教科書カラーをさらに鮮明に打ち出すことができ
『国語総合』では、冒頭に定評ある山崎正和の文明論『水の東西』と港千
るようになりました。
尋の境界・情報社会論『テルミヌスの変身』を並べました。論理を明快に
する伝統的な東西二元論の思考と、ボーダレス化が進む現代社会におけ
る「境界」の意味とを、まさにそれこそ多様性をもって示しています。ど
れが正しいというわけではありません。どれも正しい。その矛盾した多
様性のなかで、対象やそのときの状況、論者の関わり方によって可変的
な思考を育て、そこで白熱した議論を起こすことこそ、教科書ののぞむ
ところです。
そらく教科書を最後まで読み通すと、目もくらむような思考の渦に
お
巻き込まれると思います。そのなかから何が問題かをつかみ、みずから
考えていく手がかりを見つけ出してください。この教科書は有能なガイ
ドとなるでしょう。
国
[ 語総合 編集委員
]
鈴木日出男 東京大学名誉教授
井島正博 東京大学教授
木村 博 元東京都立高等学校教諭
五味渕典嗣 大妻女子大学准教授
清水良典 愛知淑徳大学教授
野中 潤 都留文科大学准教授
高田祐彦 青山学院大学教授
千野浩一 筑波大学附属駒場中・高等学校教諭
三上英司 山形大学教授
吉田 光 東京都立竹早高等学校教諭
★ 改 訂 版のポイント
現代文編
本。
(古語の理解・漢文句法一覧)が充実。
付録
⑤ 付録に「装束」
「調度」
「暦法」など、
授業で使えるカラー図版 を掲載。
など
)や、
◉オーソドックスな 教 材 を 軸に、
意 欲 的 な 新 教 材 を配 した評 論 教 材
教材 (「恋の歌を読む」含む )
と充実のラインナップ。
◉高校生の感性に響く厳選された随想・小説教材
① 評論 は、5単元
7教材。
③ 随想 は、1単元 2教材、小説 は、4単元 (「記録・翻訳」含む )
④ 評論と小説の最初の単元には、それぞれの分野の読解の指針となる
「小説読解のポイント」を新設。
「評論読解のポイント」
⑤ オーソドックスな定番的教材 を各単元に配した教養重視型。
⑥ 原則として各単元内の教材配列は易→難へ。
⑦ 表現分野 は、必要にして十分な情報をまとめて巻末に掲載。
古文編・漢文編
本、韻文
◉定番教材を中心に据えた基本重視の構成
① 古文教材 は、散文 本、韻文7本。漢文教材 は、散文
② 入門教材 は、丁寧に解説
(古文入門・漢文入門)。
16
「古典に関連する近代以降の文章」。
③ 新指導要領から新設された
( 兵藤裕己 )
→「転換期の文学 ――『平家物語』の魅力」
④ 古文・漢文の読解に役立つコラム
(古典文法の窓・訓読のきまり・送り仮名のきまり
11
② 評論教材 は思考力涵養に最適な字数
(1800字~4200字程度)。
14
22
国総357
改訂版
国語総合
1冊構成の国語総合の決定版
「教科書の質・量の充実」を図り、豊富な教材を用意
目次
評論一
水の東
西
山崎正和
……………
現代文編
定……………
番
評論読解のポイント
……………
……………
キ ー ワ ー ド
●二項対立
17
■古典と近代文学
●コード・境界
●逆説
27
「歴史」と「物語」
●
●構築主義
51
テルミ ヌ ス の 変
身
港 千尋
定……………
番
小説読解のポイント ……………
話を複
に す
こ と
効 用
雑
る
の
内田 樹
46
41
﹇参考﹈羅城門の上層に登りて死人を見る盗人の語(今昔物語集) …
羅生門
芥川龍之介
18
42
52
小説一
評論二
……………
……………
……………
「食べ 物 」
と 「 伝
」 西江雅之
統
近代・近代化
贅沢の
件 山田登世子
条
67
60
61
59
22
12
28
新
新
1
40
2
小説二
川上弘美 ……………
……………
……………
94
100
…………
●寓話
●引用
86
定……………
番
………
……………
110
清兵衛
瓢 簞
と
志賀直哉
神様
二十億
年 の
独 谷川俊太郎
光
孤
自分の
受 性
ら い
感
く
茨木のり子
萩原朔太郎 ……………
……………
書きかえられた小説 ……………
87
88
ある時
待 っ
み て
だ さ
間
、
て
く
い
大江健三郎
樹下の
人 高村光太郎
二
汚れつ
ま つ
悲 し
に ……
ち
た
み
中原中也
竹
68
111
詩
随想
96
106
……………
■短編小説の名作案内
■文学賞
3
虹の雌
雄 蜂飼 耳
随想を味わう
105
77
92
90
2
3
76
評論三
小説三
短歌・俳句
評論四
言語 と
化 池上嘉彦
文
準……………
定番
準……………
定番
言語・記号 ……………
考え る
体 三浦雅士
身
貧困 は
己 責
な の
自
任
か
湯浅 誠
セメ ン ト
の 中
手 紙
樽
の
葉山嘉樹
……………
定……………
番
……………
185
……………
……………
準……………
定番
とん が
焼 の
衰 村上春樹
り
盛
……………
……………
恋の 歌
読 む
を
俵 万智
短歌
俳句
……………
情報 が
界 を
か す
世
動
春木良且
福岡伸一
動的 平
衡
今福龍太
バイ リ ン
ズ ム の
治 学
ガ
リ
政
キ ー ワ ー ド
●母国語・母語・異言語
●身体と感覚
■和歌と短歌
■村上春樹の作品案内
■文学と政治・社会
●労働と資本
■近代短歌
■近代俳句
●ポストコロニアリズム・越境
●生命倫理
●パーソナルメディアとソーシャルメディア
155
130
120
166
162
169
131
138
170
137
184
121
156
144
191
178
145
112
122
4
163
167
177
4
定……………
番
……………
準……………
定番
208
……………
■記憶と記録
■文学と少数派
●価値・差異
●アイデンティティ
207
211
空き 缶
林 京子
掟の 門
フランツ・カフカ/池内 紀訳
ホン モ
の お
ネ の
り 方
ノ
カ
作
岩井克人
宇野重規
〈私〉
代 の
モ ク
シ ー
時
デ
ラ
1 ことばを発する ……………
219
記録・翻訳
評論五
表現
2 ことばから文章へ ……………
3 調べてまとめる ……………
5
4 話す・聞く ……………
5 自分を表現する ……………
6 文学表現の世界 ……………
228
212
220
192
230
234
238
250 246
242
目次
古文入門
古典の森へ
……………
古文編
古文を学ぶために ……………
宇治拾遺物語 児のそら寝
……………
大江山 ……………
……………
十訓抄
かぐや姫誕生 ……………
かぐや姫の嘆き ……………
芥川 ……………
〈敬語〉について ……………
276 273
東下り ……………
筒井筒 ……………
梓弓 ……………
門出 ……………
帰京 ……………
亡き児をしのぶ ……………
290
東路の道の果て ……………
歴史的仮名遣い ◆古典文法の窓
◆
1
◆
3
係り結びの法則/「ば」の用法 用言の活用/音便 品詞の分類 ◆
4
助動詞 ◆
2
◆
5
260
268
宇治拾遺物語 絵仏師良秀
竹取物語
伊勢物語
土佐日記
270
294
物語
日記
更級日記
266
277
282 279
288 285
291
296
265
256
足柄山 ……………
298
262 257
254
287
6
随筆
軍記
和歌と俳 諧
徒然草
方丈記
平家物語
万葉集
つれづれなるままに ……………
丹波に出雲といふ所あり ……………
300
奥山に、猫またといふもの ……………
ある人、弓射ることを習ふに ……………
301
303
花は盛りに ……………
名を聞くより、やがて面影は ……………
305
ゆく河の流れ ……………
木曽の最期 ……………
307
転換期の文学 ――
『平家物語』
の魅力 兵藤裕己
……………
……………
……………
……………
序
◆
6
助詞 敬語法 ……………
◆
7
313
◆
8
まぎらわしい語の区別 和歌・俳諧の修辞 341
古今和歌集
新古今和歌集
奥の細道
348
329
308
311
314
345
白河の関 ……………
平泉 ……………
346
321
◆
9
7
343
334
立石寺 ……………
350
338
330
目次
漢文入門
故事一
唐詩一
漢文編
漢文を学ぶために ……………
訓読のきまり ……………
戦国策 ……………
唐詩紀事 ……………
一
推敲
一
韓非子 ……………
二
朝三暮四
絶句
静夜思
春望
杜甫
李白
杜甫
……………
……………
……………
……………
十八史略 ……………
五十歩百歩
十八史略 ……………
孟子 ……………
……………
完璧
淮南子 ……………
一
塞翁馬
二
371 371 370 370
李白
管鮑之交
十八史略 ……………
一
刺客荊軻
二
送 友人
列子 ……………
嬰 逆鱗
二
借 虎威
352
死諸葛走 生仲達 十八史略
381 377 374
386
史伝
故事二
364
366
367
368
384
388
送り仮名のきまり 二
一
漢詩のきまり1(
「送 元二使 安西 」王維)
362
三
353
373
8
唐詩二
文章
思想
春暁
山亭夏日
一
孟浩然
高騈
韋応物
……………
……………
……………
……………
二
秋夜寄 丘二十二員外
王翰
……………
柳宗元 ……………
涼州詩
杜牧
江雪
贈別
帰田録
……………
……………
一
レ
歐陽脩
二
一
……………
……………
八月十五日夜、
禁中独直、
対 月憶 元九 白居易 ………… 漢詩のきまり2 唐宋八家文読本 韓愈 ……………
雑説
売油翁
論語〔学問〕
論語〔政治〕
二
儒家の思想
常用漢字表
……………
……………
……………
日本古典文学史
古典文法要覧
395
390
390
391 391
392 392
398
396
﹇暦法﹈ ……………
近現代文学史 ……………
408
﹇参考﹈苛政猛 於虎 礼記
……………
……………
412
……………
426
405
漢文句法一覧
414
434
孟子
410
403 400
古典常識﹇装束・調度﹈ ……………
古語の理解
……………
9
中国文化史
428 418
393
430 422
406
評論…………●
一
あい きょう
やまざきまさかず
山崎正和
水を鑑賞する文化に
注目して日本と西洋を比
較すると何が見えるか。
対比関係を整理して、全
体の構成をつかもう。
鹿 おどし 庭園などに置
かれた、水を利用して音
筧 竹や木をくり抜き、
とい 樋にして水を引く装置。
の。
「添水」ともいう。
そうず
打つときの音を楽しむも
を出す仕掛け。竹が石を
1
水の東西
しし
「鹿おどし」が動いているのを見ると、その愛嬌のなかに、なんとなく人生のけだるさ
たま
のようなものを感じることがある。かわいらしい竹のシーソーの一端に水受けがついて
かけい
いて、それに筧の水がすこしずつ溜る。静かに緊張が高まりながら、やがて水受けがい
っぱいになると、シーソーはぐらりと傾いて水をこぼす。緊張が一気にとけて水受けが
跳ねあがるとき、竹が石をたたいて、こおんと、くぐもった優しい音をたてるのである。
見ていると、単純な、ゆるやかなリズムが、無限にいつまでもくりかえされる。緊張
が高まり、それが一気にほどけ、しかし何ごとも起こらない徒労がまた一から始められ
*
るだけである。水の流れなのか、時の流れなのか、「鹿おどし」はわれわれに流れるも
る。ただ、曇った音響が時を刻んで、庭の静寂と時間の長さをいやがうえにもひきたて
1
「 何 ご と も 起 こ ら な い 徒
かけひ。
2
か。
労」とはどのようなこと
1
2
のを感じさせる。それをせきとめ、刻むことによって、この仕掛けはかえって流れてや
5
10
1
10
12
評論一……
まないも の の 存 在 を 強 調 し て い る と い え る 。
5
私はこの「鹿おどし」を、ニューヨークの大きな銀行の待合室で見たことがある。日
ひ
本の古い文化がいろいろと紹介されるなかで、あの素朴な竹の響きが西洋人の心を魅き
鹿おどし
つけたのかもしれない。だが、ニューヨークの銀行では人々はあまりに忙しすぎて、ひ
とつの音と次の音との長い間隔を聴くゆとりはなさそうであった。それよりも窓の外に
噴きあげる華やかな噴水のほうが、ここでは水の芸術としてあきらかに人々の気持ちを
くつろが せ て い た 。
流れる 水 と 、 噴 き あ げ る 水 。
*
そうい え ば ヨ ー ロ ッ パ で も ア メ リ カ で も 、 町 の 広
場にはい た る と こ ろ に み ご と な 噴 水 が あ っ た 。 ち ょ
っと名の あ る 庭 園 に 行 け ば 、 噴 水 は さ ま ざ ま な 趣 向
を凝らし て 風 景 の 中 心 に な っ て い る 。 有 名 な ロ ー マ
郊外のエ ス テ 家 の 別 荘 な ど 、 何 百 と い う 噴 水 の 群 れ
が庭をぎ っ し り と 埋 め つ く し て い た 。 樹 木 も 草 花 も
とどろ
10
15
エ ステ家の別荘 ローマ
近郊ティボリにある、多
けい
*趣向を凝らす
*いやがうえにも
〈仕掛け〉
〈造型〉
造られた。
により修道院を改造して
十六世紀、枢機卿エステ
すうき
数の噴水で有名な別荘。
3
*息をのむ
11
ここではそえものにすぎず、壮大な水の造型が轟き
*
ながら林 立 し て い る の に 私 は 息 を の ん だ 。 そ れ は 揺
13……水の東西
3
のポイント
12
のポ
イ読
ント解
評論読解 評
論
単語・文節・文の関単
係語・文節・文の関係
18
評論一……
注意したい。
まり・すなわち)がある場合は、文章の展開に関わることが多いので、特に
列挙
譲歩
まず・次に・第一に・第二に・最後に
確かに・もちろん・なるほど
注意したい。
注落
意の
し冒
た頭
いに
。、逆接の接続語(だが・しかし・けれども)や換言の接続語(つ
段
換
言
つ
ま
り
・
す
な
わ
ち
列で
挙、特
列
挙
まに
ず・次に・第
一
に・
ま
第
ず
二
・
に
次
・
に
最
・
後
第
に
一・
にい
・い
第か
二え
にれ
・ば
最後に
ま り・す な わ ち)が あ
まる
り場
・合
すは
な、
わ文
ち章
)の
が展
あ開
るに
場関
合わ
は、
る文
こ章
との
が展
多開
いに
の関
でわ
、特
るに
ことが多いの
には、必ず用例と合わせて確認しよう。
補
足
た
だ
し
・
譲歩
譲
歩
確つ
かに・もちろ
ん
・な
確
る
か
ほ
に
ど
・も
もっ
ちと
ろも
ん・
・な
なお
るほど
段落の冒頭に、逆接の
段接
落続
の語
冒(
頭だ
にが
、・
逆し
接か
のし
接・
続け
語れ
(ど
だも
が)
・や
し換
か言
しの
・接
け続
れ語
ど(
もつ
)や換言の接
続語(
が評
あ論
ると
問は
題、
に筆
つ者
いが
てあ
のる
自問
分題
のに
主つ
張い
をて
論の
理自
的分
にの
述主
べ張を論理的に述べ
評論とは、筆者
副詞
形 容 詞
形名
容詞
動 詞
助 詞 動
副詞
詞 助 動
形容動詞 動詞 単語 形容詞 名詞 助詞
単 語
1
「ことば」
と向き合おう
詞
単
語
・
文
節
・
文
の
関
係
た文章をさす。よた
っ文
て章
、を
筆さ
者す
の。
論よ
理っ
のて
道、
す筆
じ者
をの
正論
し理
くの
見道
定す
めじ
るを
こ正
としく見定めること
赤も
いき
夕れ
日い
がに 見
とえ
ても
た。
きれいに 見え
文 赤い 夕日 が 文とて
評論とは、筆者がある問題についての自分の主張を論理的に述べ〈主語〉 〈
〈
修
主
飾
語語
〉
〉
〈
述
語 〉 〈修飾語〉 〈
述語
が、評論読解の目
が
標、
と評
な論
る読
。解
まの
ず目
は標
、と
一な
つる
一。
つま
のず
文は
の、
意一
味つ
を一
的つ
確の
に文の意味を的確に
名
詞
詞
副 詞 単 語 形
容
詞 詞
助
形容動詞 動
助
た文章をさす。よって、筆者の論理の道すじを正しく見定めること
押さえることを大押
切さ
にえ
しる
よこ
うと
。を大切にしよう。
い
夕
日
が
も きれいに 見え
文節 修飾語 被修飾語文
文
節赤
修語
飾 語
被被
修修
飾飾
語語
飾語 被修飾語
と修て
修飾
〈 主語〉
が、評論読解の目標となる。まずは、一つ一つの文の意味を的確に 〈修飾語〉 〈
述語〉
単を
語調
やべ
語れ
句ば
の文
意章
味の
を意
調味
べが
れわ
ばか
文る
章と
のは
意限
味ら
がな
わい
か。
るとは限らない。
単語や語句の意
味
押さえることを大切にしよう。
◉識
主な
語の例 文
◉節
主な
修接
飾続
語語
被の
修例
飾語 修飾語 被修飾語
主述の関係、修飾主
・述
被の
修関
飾係
の、
関修
係飾
な・
ど被
、修
文飾
のの
組関
み係
立な
てど
を、
意文
識の
し組
なみ
が立てを意
し接
な続が
単 語 や 語 句 の 意 味 を 調 べ れ ば 文 章 の 意 味 が わ か る と は順
限接ら な
いて。
・だから順
・接ゆえそ
にし
・て
し・
ただ
がか
っら
て・ゆえに・したがって
ら読む習慣を身に
ら付
読け
むよ
習う
慣。
を文
身が
にい
付く
けつ
よか
う集
。ま
文っ
がて
い段
く落
つが
かで
集き
まる
っ。
て段落が
でそ
きしる
。
◉逆
主
など
接
続
語
の
例
主述の関係、修飾・被修飾の関係など、文の組み立てを意逆識
が・しかし・
接し な
接
け
れ
だ
も
が
・
・
と
し
こ
か
ろし
が・
・け
とれ
はど
いも
え・ところが・とはい
段落には形式上で段
区落
別に
すは
る形
場式
合上
(で
形区
式別
段す
落る
)と
場、
合(
意形
味式
内段
容落
で)
区と
別、
す意
る味内容で区
別だ
すがる
順
接
そ
し
て
・
だ
か
ら
・
ゆ
え
に
添
加
ら 読 む 習 慣 を 身 に 付 け よ う 。 文 が い く つ か 集 ま っ て 段 落添
が加で き るも。
・および
・
その
し
う
か
え
も
・
・
さ
お
ら
よ
に
び
・
・
つ
そ
ぎ
の
に
う・
えし
・た
さが
らっ
にて
・つぎに
場合(意味段落)が
場あ
合(
る意
。味
さ段
ら落
に)
、が
文あ
同る
士。
やさ
段ら
落に
同、
士文
の同
関士
係や
を段
作落
る同
接士の関係を作し
るか接
逆
接
だ
由別す
理
由
なぜ
う
のは
なが
ぜ・
なし
らか
・し
と・
いけ
うれ
のど
はも・ところが・とはい
段落には形式上で区別する場合(形式段落)と、意味内容で理区
るなら・とい
続語の働きにも注続
意語
しの
た働
いき
。に
指も
示注
語意
はし
、た
直い
前。
の指
語示
句語
だは
け、
で直
な前
くの
、語
そ句だけでなく、そ
添
う
列
並加
列 しかも・および・その
ま
た
・
あ
る
い
は
・
か
つ
ま
・
た
な
・
ら
あ
び
る
に
い
・
は
あ
・
わ
か
せ
つ
て
・え
な・
らさ
びら
にに
・・
あつ
わぎ
せに
て
場合(意味段落)がある。さらに、文同士や段落同士の関係並を
作
る
接
れ以前の文や段落れ
の以
内前
容の
を文
指や
す段
場落
合の
も内
あ容
るを
。指
ます
た場
、合
語も
句あ
やる
文。
のま
意た
味、語句や文の意味
理
由
な
ぜ
な
ら
・
と
い
う
択 または・もしく
選
択
は
・そ
ま
れ
た
と
は
も
・
・
も
な
し
い
く
し
はの
・は
それとも・ないし
続語の働きにも注意したい。指示語は、直前の語句だけで選な
く
、
そ
は、前後の文脈(は
コ、
ン前
テ後
クの
ス文
ト脈
)に
(よ
コっ
ンて
テも
ク変
ス化
トす
)に
るよ
。っ
辞て
書も
を変
引化
くす
際る。辞書を引く際
並
列
ま
た
補足 ただし・もっと
補
足
も
・な
た
お
だ・
しあ
・る
もい
っは
と・
もか
・つ
な・
おならびに・あわせて
れ以前の文や段落の内容を指す場合もある。また、語句や文の意味
には、必ず用例とに
合は
わ、
せ必
てず
確用
認例
しと
よ合
うわ
。せて確認しよう。
選
択
ま
た
は
・
も
し
換言 つまり・すなわ
換
言
ち
・い
つ
い
ま
か
り
え
・
れ
す
ば
なく
わは
ち・
・そ
いれ
いと
かも
え・
れな
ばいし
は、前後の文脈( コンテクスト)によっても変化する。辞書を引く際
の向
ポイ
評
論
解
1 「ことば」
と
1向
「
き
こ読
合
とお
ばう
」
と
きン
合ト
おう
仮(18)
仮(18)
Who(だれが)
のポイント
Where(どこで)
●場面設定(時代・場所)
When(いつ)
42
(年齢・性別・職業・
語・文節・文の関係
●作中人物の単
設定
小説一……
What(なにを)
Why(なぜ)
How(どのように
日本人にとって「水」とは?
「思想以前の感性」に裏付けられたもの
13
譲歩 確かに・もちろん・なる
にさ
はな
、い
必よ
ずう
用に
例注
と意
合
わ
せい
て頭
確に認
う接
。続語(だが・しかし・けれ……………………………………
段
落た
の
冒
、し
逆よ
接の
ども)や換言の接続語(つ
ともある。見落と
し
。
換
言
つ
ま
り
・
す
な
わ
ち・いいかえれば
見えない水と、目に見える水。
列挙 まず・次に・第一に・第
作中人物Aだけでなく、BやCの視点から
直ち
し)
てが
みあ
よる
う場
。合
思わ
ま出
り来
・事
すを
な見わ
はぬ
、部
文分
章の展開に関わることが多いので、特に
譲歩 確かに・もちろん・なるほど
段落の冒頭に、逆接の接続語(だが・しかし・けれども)や換言の接続語(つ
が見えてくると、その小説への理解が深ま
注る
意に
し違
たい
いな
。い。
……………………………………
列挙 まず・次に・第一に・第二に・最後に
まり・すなわ節
ち、
)意
が味
あ段
る落
場の
合よ
はう
、な
文ま
章と
のま
展り
開ご
にと
関に
わ小
る見
こ出
とが多いので、特に
長い文章を読む場合
で
も
、
章
や
しを付けてみると、注
文意
章し
のた
構い
成。
がつかみやすくなる。
ただし・もっとも・なお
評
論き
と人
は生
、
筆う
者え
がる
あこ
ると
問す
題ら
にあ
つる
いての自分の主張を論理単
的語
に
1、「
と体ば
と誘
向
合
お
きに人を慰め
未こ
知の
験」
に
い
、
を
変
2とタ
イ
ト
ル
と
キ
ー
ワ
ー
ド
に
着
目
し
よ
う
・述
文性べ
節
の関
単係
語 形容詞 名詞 助詞 副詞 格・
な文
ど)
例 タイトルから出発する
たい
文を
章求
をめ
さて
す、
。読
よ解
っの
てポ
、イ
筆ン
者ト
のを
論確
理の道す
じを正しく見定めること
小説。そんな小説との豊かな出会
評
論
と
は
、
筆
者
が
あ
る
問
題
に
つ
い
て
の
自
分
の
主
張
を
論
理
的
に
述
べ
文 赤い 夕日 が とても
容
に
関
わ
る
議
論
で
も
、
多
く
の
読
者
を
説
得
で
き
な
内
単語 形容詞 名詞 助詞 副詞 形容動詞 どんなに重要な
動詞 助
〈主語〉 •
間の
の生
維意
持に
か的
せな
い
。が
が、評論読解の目標となる。まずは、一つい
一人つ
文命の
味欠を
確
に
認しよう。
?
だ
れ
?
た。
文筆
章者
をは
さ、
す自
。ら
よの
っ主
て張
、を
筆読
者者
のに
論届
理け
のる
道た
すめ
じに
を、
正さ
しく見定めつる
こと
ければ意味がない
•自然環境の具体例。
人間は「水」の
赤
い
夕
日
が
き
れ
い
に
見
え
文
とても 〈
押さ業
える性
ことな
を大の
切に徴
しよう
。 に人
で?
だれ〈
と主?
まずは作中人物
語〉 文節 修飾語
修
〈
述語
語〉
修飾
飾語
語〉 がの
、年
評齢
論・
読性
解別
の・
目職
標と・
なる格
。まど
ずは特
、一を
つも
一と
つの文の意味ど
をこ的
確に
イ
メ
ー
ジ
を ど被
う
飾
まざまな工夫を凝
ら
し
て
い
る
。
修
単語や語句の意味を調べれば文章の意味がわかるとは限らない。
水
の
表
現
し
て
きたか
物像を立ち上げよう。親子・友人・
恋
人
な
ど
の
人
物
相
互
の
関
係
も
つ
押
さ
え
る
こ
と
を
大
切
に
し
よ
う
。
東 文西
節 修飾語 被修飾語 修飾語 被修飾語
そ こ で 、 ま ず は 文 章 の タ イ ト ル に 注 目 し よ う 。 新 聞 記 事 の「 見 出
(主
=な
文接
化)
◉
続語の例
主場
述所
のな
関ど
係、
、出
修来
飾事
・の
被背
修景
飾と
のな
関る
係設
など、文●の
み展立
かんでおこう。なかでも、時代や
物組
語の
開て を 意 識 し な が
単
語
や
語
句
の
意
味
を
調
べ
れ
ば
文
章
の
意
味
が
わ
か
る
と
は
限
ら
な
い
。
し」のように、タ
ト
ル
に
は
、
文
章
の
主
題
(
テ
ー
マ
)
や
主
張
の
ポ
イ
ン
東洋/西洋の比較
イ
時集
間の
過て
・会
・心
情
のき
変化・。
順接 そして・だから・ゆえに
ら 読で
む 習る
慣 をそ
身 にう付
けよ
う。
文が
い く つ(か
ま経っ
段話落
が主
で
定を理解しておく
◉
な接る
続語の例
主こ
述と
のが
関極
係め
、て
修重
飾要
・被あ
修飾。
の関の
係なえ
どで
、、
文ど
のの
組場
み面
立てを意識しなが
トが端的に表され
て
い
る
か
ら
だ
。
未知の事象との遭遇・行為など)
逆接 だが・しかし・けれども
段落には形式上で区別する場合(形式段落)と、意味内容で区別する
で人物や人間関係
が
ど
の
よ
う
に
展
開
し
て
順
接
そ
し
て
・
だ
か
ら
・ゆえに・したがって
らが
読変
む化
習し
慣て
をい
身く
にの
付か
け、
よ物う語。
文
が
い
く
つ
か
集
ま
っ
て段落ができる。
なにを?
また、評論では、一般にはあまり使われない専門用語や、日常の
添加 しかも・および・そのう
場の
合変
(意
味
落
が
る
さ
らに
、文同士や
段
落
を
接
いくのかを追いた
化る
、段
作合
中)
人形
物あ
同段
士。
の)
行
逆
接作
だ
・え
しか
キ
ー同
ワ士
ーの
ド関
の係
対
比
かる
らが
考
るし・けれども・ところが・とはい
例
段い
落。
に場
は所
形や
式時
上間
で
と為
、や
意会
味内容で 区の
別
用法とは違う意味
で
語
句
が
用
い
ら区
れ別
るす
こと場
もあ(
る。式
文中落
でく
り
返
さ
ど
よす
うる
にしたのか?
理由 なぜなら・というのは
続の
語展
の開
働が
きは
にっ
もき
注り
意と
し見
たえ
いて
。く
指る
示語は、直前の語句だけで添
な加く、
そも・および・そのうえ・さらに・つぎに
しか
話などに目を向け
る
こと味
で、落
物語
場ど
合(
ら語
には
、、
文文
同章
士全
や体
段の
落キ
同は
士の関係な
を
ぜ作
?る接
れ る 語 や、「 」な
の意
記 号段
が 用)
いが
らあ
れる
て。いさる
ー
並列 また・あるいは・かつ・
……………………………………
なぜ
れ以が
前のこ
文やた
段落系
の内に
容をっ
指す展
場合もある。また、語句や理
文由の意
味なら・というのは
ずだ。また、物語
れく
る、
水と
続は
語必
のず
働し
きも
に出
も来
注事
意ー
し起
たは
いっ
。示
指時
示で
語列
はき
、沿
直え
前て
のれ
語開
句だけで流な
そ、噴き上げる水。
ワードである可能
性
が
高
い
。
キ
ー
ワ
ド
指
語
置
換
ら
た
選択 または・もしくは・それ
また
は、や
前後情
の文現
脈( コ
ンテ
クス
ト)
によっても変化する。辞書並
を列引く
際・あるいは・かつ・ならびに・あわせて
するとは限らない
れ。
以作
前中
の人
文物
やの
段回
落想
のる
内心
容と
を表
指あ
すの
場挿
合入
も、
あ時
る間
。の
ま変
た化
、語句や文
の意味
補足 ただし・もっとも・なお
……………………………………
り、別の表現で言
い
換
え
ら
れ
た
り
す
こ
が
る
。
ま
た
複
数
の
キ
ー
択 または・もしくは・それとも・ないし
に
必ず用例と合わせて確認しよう。 時間的な水と、空間選
や場所の移動など
うは
。、テ
的な水。
換言 =
はに
、も
前注
後意
のを
文払
脈お
(
に論
よ理
っを
て展
も開
変す
化る
すこ
る。辞書を引く際
つまり・すなわち・いい
ワードを対照的に
用
い
る
こ
と
で
、コ
ダン
イナク
ミス
ット
ク)
な
補足
5W1H
小説読解 のポイント 評論読解
評論読解 のポイント
仮(18)
「ことば」
と向き合おう
1 設定と展開を整理しよ1
う 仮(18)
したのか)
⑴全文を通読して、
「水の東西」というタイトルにはどのよ
うな意味が込められているか、考えなさい。
⑵「鹿おどし」が「人生のけだるさ」(一二・1)を感じさせる
のはなぜか、説明しなさい。
)を表現している比喩を抜き出して、
二項対立
何かについて考えるとき、私たちはそれとは別の何かと比較しな
がら考えていることが多い。たとえば、
「善」は「善ではないもの
=悪」
、
「上」は「上ではないもの=下」と照らし合わせることによ
って、それぞれの意味をより深く理解するのである。特に項目を二
つに限定して対比的・対立的な一対の概念として捉えたものを二項
対立と呼ぶ。複雑で見えにくい全体像を捉えようとするときに有効
な発想法である。本文では、
「時間/空間」
「見える/見えない」等
の概念によって「東/西」の文化の特色が明らかにされている。そ
こではこれらの項目に価値的な優劣はない。
滝(滝音)
掘(発掘)
乏(窮乏)
乾(乾杯)
13
粘(粘着)
13
隙(隙間)
13
鑑(鑑識)
13
致(合致)
14
15
16
16
16
⑶「水の造型」(一三・
その効果について考えなさい。
⑷「鹿おどし」が「水を鑑賞する行為の極致を表す仕掛け」
(一六・8)であるのはなぜか、説明しなさい。
人の「好み」の違いをどのようにとらえているか、まとめ
⑸「独特の好み」(一六・1)とあるが、筆者は、西洋人と日本
しかし、一般的には「精神/肉体」であれば「精神」がより高度
なものである、というように、社会の価値観を反映して一方が高く
評価されることも多い。また、二項対立が描き出す明快な全体像は、
ものごとの曖昧さや割り切れなさを、かえって際立たせることにな
る。そのため、評論では、二項対立の発想に基づいて、一般的な価
13
15
13
14
なさい。
⑴筆者の主張について、自分の考えを発表してみよう。
⑵
「時間/空間」
「見える/見えない」のように対比できるこ
値観を転倒させたり、従来の対立を相対化して新たな項目を立てた
りすることで、筆者の主張が展開されることが多い。
13
彫(彫塑)
忙(多忙)
12
揺(動揺)
朴(純朴)
12
埋(埋没)
寂(寂然)
12
荘(荘厳)
響(反響)
12
趣(趣味)
曇(曇天)
噴(噴出)
跳(跳躍)
聴(聴取)
緊(緊密)
隔(隔離)
端(発端)
とばを使って、四百字以内の文章を書いてみよう。
重要漢字……
12
13
14
14
14
17……水の東西
5
10
15
12
13
14
近現代文学史
*日清戦争
一八九四 舞姫(森鷗外)
一八九〇 五重塔(幸田露伴)
一八九一 あひゞき(ツルゲーネフ、四迷訳)
*大日本帝国憲法発布
一八八九 小説神髄(坪内逍遙)
一八八五 浮雲(二葉亭四迷)
一八八八 一八七二
明治1 一八六八 *明治維新
ふくざわゆ きち
学問のすゝめ(福沢諭吉)
一九〇〇
一九〇一
一九〇五
こうやひじり
いずみきょうか
墨
汁一滴(正岡子規)
*日露戦争
一九〇四 わがはい
吾輩は猫である(夏目漱石)
高野聖( 泉 鏡花)
みだれ髪(与謝野晶子)
若
菜集(島崎藤村)
歌よみに与ふる書(正岡子規)
一八九八 くにき だ どっぽ
武
蔵野(国木田独歩)
たけくらべ(樋口一葉)
一八九五 「ホトトギス」創刊
一八九七 こんじきや しゃ
金
色夜叉(尾崎紅葉)
日本近代文学の幕開け 近代の文学は新たな西洋文明の衝撃と共に始
なつめ そうせき
まった。夏目漱石が「現代日本の開化」(一九一一)で述べているよう
に、たとえ物質面で追いつくことはできても、そのゆがみは必ず精神
面にあらわれてくる。当時の文学が追求したのは、まさにこうした矛
盾や落差のもたらすさまざまな問題だったのである。
もりおうがい
文学における個人主義 西洋の思潮で文学に最も影響を与えたのは、
個人主義と写実主義である。個人主義に関しては、さまざまな作品で
自我(ほかの誰とも違う自分)が模索されながらも、たとえば森鷗外
の「舞姫」(一八九〇)に象徴されるように、実際に明らかになるのは
それを明確に自覚することの絶望的な困難なのであった。
「私の個人
主義」(一九一四)を講演した漱石も、同時に「こころ」(一九一四)
「行
人」(一九一二)などの作品では、自己に忠実であろうとするがゆえに
しらかばは
生じる、さまざまな悲劇を問題にしている。漱石、鷗外らの世代と、
白樺派などそれに続く世代の作家との間には、こうした「個」の捉え
方に大きな開きがあったと言ってよいだろう。白樺派は自己に忠実で
むしゃのこうじ
さねあつ
し
が
なおや
あることが同時に他者のためにもなる、という主張をストレートに展
開し、武者小路実篤の「友情」(一九一九)や志賀直哉の「和解」(一九
422
15
21 18 5
30 28 27 24 23 22
31
34 33
38 37
付録……
随筆
つれづれなるままに
つれ づれ ぐさ
*
徒然草
けんかう
兼好
(序段)
さまざまな思索・思考の多面性や
柔軟性に注目しながら、作者の人間や
自然に対する見方・感じ方を読み味わ
おう。
よ し な し ごと こ れ と い う 意 味 も な い
*つれづれなり *あやし
こと。
1
⑵形容詞「あやし」の活用をすべて書き出して、ウ音便形「あやしう」(三〇〇・2)のもとの形を確認しなさい。
ⓐ文章を書くきっかけは何か。
ⓑ何を書くのか。
ⓒどのような態度で書くのか。
⑴「書きつくれ」の活用形に注意して、
「そこはかとなく書きつくれば」(三〇〇・2)を現代語に訳しなさい。
⑴本文中から、次の問いの答えに相当する部分を抜き出しなさい。
つれづれなるままに、日くらし、すずりに向かひて、心にうつりゆくよし
*
なしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
1
300
随筆……
16
お
*
まへ
し
*
*
びょうぶ
聖海上人 伝未詳。
「志太」か。
ち
とせ
しだのなにがし しだの某。
「しだ」は、
なにがし
大 社 島 根 県 の 出 雲 大 社。「 移 し て 」
は、その分霊を移し迎えて。
町出雲。
丹 波 に 出 雲 現 在 の 京 都 府 亀 岡 市 千 歳
1
2
い づ も
こまいぬ
*
たや。この獅子の立ちやう、い
*
」
とめづらし。深きゆゑあらむ。
と 涙 ぐ み て、
「 い か に 殿 ば ら、
殊勝のことは御覧じとがめずや。
む げ な り。
」 と 言 へ ば、 お の お
獅子・狛犬を見る聖海上人一行(「徒然草屛風」
)
たん ば
し
前なる獅子・狛犬、背きて、
御
後ろさまに立ちたりければ、上
*
6
きたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。
て、
「いざ、たまへ、出雲拝みに。かいもちひ召させむ。」とて、具しもて行
3
丹波に出雲といふ所あり
おほやしろ
4
丹波に出雲といふ所あり。大社を移して、めでたく造れり。しだのなにが
*
しやうかいしやうにん
しとかやしる所なれば、秋のころ、 聖 海 上 人 、そのほかも、人あまた誘ひ
2
「あなめで
人 い み じ く 感 じ て、
7
3
いざ、たまへ さあ、いらっしゃい。
かいもちひ ぼたもち。そばがきとも。
獅子・狛犬 拝殿の前の一対の獅子・
狛犬の像。向き合って置かれる。
いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じと
がめずや なんとみなさん、このすば
らしいことは、お目にとまりませんか。
*めでたし *しる *具す *ゆゆし *いみじ *めづらし *ゆゑ
17
5
10
4
5
6
5
の あ や し み て、
「まことに他に
301……徒然草
8
7
8
1
)
仮(115)
[書き下し文]天は長く、地は久し。
[訓読]
[白文]
天 長
地
天 長
地
句読点と送り仮名
訓点に従って漢字仮名交じり文に書き改めたものを、書き
点・送り仮名・返り点を訓点といいます。訓点が付いてい
点などを加えて日本語として訳読できるようにしました。
ハ
点などを加えて日本語として訳読できるようにしました。これを訓読といい、句読
[訓点]
▼ 句 読 点 句 点「。」 と 読 点「、」。 文 や
内容の区切りを示すために付ける。
中国の文語文法と日本語のそれとでは、文の構造が違い
り込んで発達した日本語には、単語レベルでは古典中国語
訓読のきまり
ナで付け、訓読する際に必要となる助
横下 に歴史的仮名遣いを用いて カタカ
▼ 送 り 仮 名 古 典 文 法 に 従 っ て 漢 字 の 右
漢文入門
ク
します。そこで日本人は漢字だけで書かれている原文に、
します。そこで日本人は漢字だけで書かれている原文に、句読点・送り仮名・返り
句読点と送り仮名
点などを加えて日本語として訳読できるようにしました。これを訓読といい、句読
久
久
ハ
ハ
ク
ハ
シ
シ
ハ
シ
送り仮名
・送り
・返り久
[白文点
]
天
長
仮名地
点 を訓点といいます。訓送点りが仮付名いていない原文は白文といい、
訓点に従って漢字仮名交じり文に書き改めたものを、書き下し文といいます。
[訓読]
天 長
地 久
句読点
ク
久
久
句読点と送り仮名
[書き下し文]天は長く、地は久し。
ハ
[白文]
天 長
地
天 長
地
[訓読]
を補う(一二四ページ参照)。
詞や活用語尾、または副詞の一部など
ナで付け、訓読する際に必要となる助
115……漢文入門 漢文を学ぶために・訓読のきまり
[
現代語訳 ]
▼ 返 り 点 「 レ」「 一・ 二 」「 上・ 下 」 な
[
現代語訳 ] どの記号を漢字の左下に付ける。
天には永遠の生命があり、大地には悠
久の生命がある。
詞や[
活用語尾、または副詞の一部など
中国の文語文法と日本語のそれとでは、文の構造が違います。しかし、漢字を取
訓点]
従
訓点に
って漢字仮名交じり文に書き改めたものを、書き下し文といいます。
を
補
二
四
ペ
ー
ジ
参
。
句(
読一点
」照
と)
読
点「、」。 文 や
▼う
句 点「。
り込んで発達した日本語には、単語レベルでは古典中国語と共通する点が多く存在
返
り
点
「
」
「
「た上
▼
内容
のレ区
切一
り・
を二
示」
す
め・
に下
付」
けな
る。
どの
の左下に付ける。
送号
りを
仮漢
名字
▼記
古典文法に従って漢字の 右
横下 に歴史的仮名遣いを用いて カタカ
点・送り仮名・返り点を訓点といいます。訓点が付いていない原文は白文といい、
*
します。そこで日本人は漢字だけで書かれている原文に、句読点・送り仮名・返り
訓読のきまり
中国の文語文法と日本語のそれとでは、文の構造が違います。しかし、漢字を取
り込んで発達した日本語には、単語レベルでは古典中国語と共通
1する点が多く存在
漢文入門
*
訓読のきまり
漢文入門
*
漢文入門
1
18
漢文を学ぶために・訓読のきまり
漢 文 編
1
句読点
送り仮名
2*返り点
し文といいます。
い原文は白文といい、
れを訓読といい、句読
返り点は、日本語として読むときに語順を変える必要がある場合に用います。
[返り点の種類] 主な返り点には、次のような種類があります。
「 レ」「 一・ 二 」「 上・ 下 」 な
▼ 返 り 点 どの記号を漢字の左下に付ける。
一
ニ
4
一
にくヲ
5
を補う(一二四ページ参照)
。
詞や活用語尾、または副詞の一部など
ナ で 付 け、 訓 読 す る 際 に 必 要 と な る 助
▼ 送 り 仮 名 古 典 文 法 に 従 っ て 漢 字 の 右
横下 に歴史的仮名遣いを用いて カタカ
ヲ
人生意気に感ず。
羊頭を懸げて狗肉を売る。
人の悪を称する者を悪む。
私事を以つて公義を害せず。
P 115
補説的事項は脚注欄にまとめました。
[
「書き下し文」表記の原則]
ク
ハ
シ
天は長く、地は久し。
ハ
天 長
地 久
、
。
① 漢 字仮名交じり文で表記する。
名遣い(平仮名)で表記する。
② 送 り仮名は文語文法に従い、歴史的仮
レバ
ヘ
シ
ヒ
有 備
無
患。
レ
レ
備へ有れば患ひ無し。
た ダ
ざ ル
ナラ のみ 直だ百歩ならざるのみ。
シテ
ヲ
ザク これヲ
鬼神を敬して之を遠ざく。
ラ
未だ来らず。
ず
いまダ
レ 。
未 来
よシト
恵王曰はく、「善し。」と。
ハク
」
恵 王
曰
、「善。
⑥ 引 用や会話文の終わりに「と」を送る。
し、二度目は、平仮名で表記する。
送り仮名を付けてそのまま 漢字 で表記
⑤ 再 読文字(一二一ページ)は、最初は
神
遠
二
一
レ 。
敬 鬼
而
之
④ 置 き字(一一九ページ)は表記しない。
歩
二
一 。
直 不
百
耳
(一一七ページ)は、平仮名で表記する。
③ 日 本 語 の 助 詞 や 助 動 詞 に あ た る 漢 字
[訓点]
」 と 読 点「、」
。文や
▼ 句 読 点 句 点「。
内容の区切りを示すために付ける。
上
く
4
上
ヲ
5
5
ル
3
6
ヲ
セ
3
4
す。しかし、漢字を取
[ 現代語訳 ]
歳月は人を待たず。
禍ひを転じて福と為す。
の
ヲ
2
6
共通する点が多く存在
ヲ
3
天には永遠の生命があり、大地には悠
久の生命がある。
1
2
読点・送り仮名・返り
ト
タ
3
4
4
5
レ点
連続する二字について、前後の順番を入れ替えて読む符号。
ず
わざは
ジテ
な ス
ヒヲ
2
ハ
1
転 禍
為
レ
レ
福
2
1
歳 月
人
レ
レ
不
待
ヲ
ズ
5
2
二
一・
点
(一・二・三)
離れた位置にある二字について、下から返って読む符号。
2
1
人 生
気
二
感
意
1
かかゲテ
3
懸 羊
頭
狗
肉
二
一
二
売
スル
4
も ツテ
1
・ 下点
(
付い
た部分を挟んで、下から返って読む符号。
……漢文入門 漢文を学ぶために・訓読のきまり
上・中・下)
上
一・二点が115
にくム
6
3
ページ〜
116
19
悪 称
人
之
下
二
一
悪
者
ず
7
不 以
私
事
公
義
下
二
一
中
害
▼「古典編」教科書
353
ノ
ヲ
ヲ
一
ヲ
い ハク
ラハバ
し
カ ム
ヲ
ノ
ニ
なり
も ツテ
ラヒ
カ カレ あ ヘテ
ヲシテ
ヲ
こ レ
ナラ
ニ
ためニ
み ヨ
ノ
カ
ヲ
したが
ヒテ
な サバ ず ト
(爲)
セン
テ
ヲ
(隨)
信 吾 為 子 先 行 子 随
ガ
ラフ
コト
(⻝)
タラ
ラフ
二
二
帝 命 也 子 以 我 為 不
2
三
獣 今 子 食 我 是 逆 天
ニ
我 也 天 帝 使 我 長 百
二
得 狐 狐 曰 子 無 敢 食
タリ きつねヲ
二
しかリト
ニ
(觀)
つひニ
カ
これ
ク
テ
5
ヲ
カ ヘテ ざ ラン
ル
ラ
や ト
ル
ラ
ツテ
ノ
ス
虎形装飾金具
(前漢時代)
レテ
返り点・再読文字・置き字などに
注意して、繰り返し声に出して読もう。
「虎
の威を借る」の意味を調べなさい。
「是
逆天帝命也」と言ったのはなぜか。
2 天帝 天の神。
1 子 あなた。
1
故事…………●
一
ル
借 虎 威
メテ
一
1
而 食 之
虎 求 百 獣
(獸 )
二
(遂)(與)
二
5
4 然 その通り。
5 遂 ここは、そのまま、の意。
3 走 逃げる。
2
2
一
一
3
我 後 観 百 獣 之 見 我 而 敢 不 走 乎 虎 以 為
二
1
然 故 遂 与 之 行 獣 見 之 皆 走 虎 不 知 獣 畏
4
364
故事一……
20
ヲ
ルヲ
ツテ
ス
ルト
ヲ
己 而 走 也 以 為 畏 狐 也
⑵
「然」(三六四・8)のさす内容を具体的に説明しなさい。
しかリ
⑴「先行」(三六四・6)と言った狐の狙いは何か。
[戦国策]
⑵「敢不走乎」(三六四・7)を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。
ヘテ (ス)ル(コト)
や
しょうおうか
⑴「観」(三六四・7)と「見」(同)には、どのような意味の違いがあるか話し合いなさい。
カレ
ヘテざラン
決して~してはいけない〈否定・禁止〉(三六四・2)
無 二敢 ~
一 ム
ヲシテ (セ)
使 二~ … 一 ~に…させる〈使役〉(三六四・3)
ず
(セ)
不 レ~ ~しない〈否定〉(三六四・5・8)
りゅうきょう
敢 不
二~ 一乎 どうして~するだろうか(いや、~しない)〈反語〉(三六四・7)
与~ ~と〈並列〉(三六四・8)
ぐうわ
集成したもの。相手を説得するための比喩や寓話が多く含まれている。
21
10
戦国策 前漢の劉向(前七七─前六年)編。戦国時代に各地を遊説して政策を説いた人々(縦横家)の言動や議論を国別に分類し、
365……借虎威
5
一
古典文法の窓
……用言の活用/音便
用言は用いられ方によって語形が変化する。そ
う
すで
活用するとき、変化しない部分を語幹、変化
動詞は、五十音図の行(ア行〜ワ行)の一つの行
は下二段と一致し、ラ変は四段と終止形のみが異なる。
形・連用形・終止形および命令形は四段と、連体形・已然形
*カ変とサ変とは上二段と未然形・命令形が違い、ナ変は未然
用・ラ行変格活用の九種類に分類される。
用・ 下 二 段 活 用・ カ 行 変 格 活 用・ サ 行 変 格 活 用・ ナ 行 変 格 活
か に よ っ て、 四 段 活 用・ 上 一 段 活 用・ 上 二 段 活 用・ 下 一 段 活
の中で変化する。そして、ア〜オ段のどの段を使って変化する
動詞の活用
と活用語尾が融合した動詞もある。
する部分を活用語尾という。「見る」「得」などのように、語幹
語幹・活用語尾
定条件を表すので名称を改めたものである。
現代語には仮定形があるが、これは古語の已然形(已にそう
なっている意)が確定条件を表したのに対して、現代語では仮
六種類がある。
形には、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の
い ぜん
の変化を活用といい、変化した形を活用形という。古語の活用
活用・活用形
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
語例
語幹 未然 連用 終止 連体 已然 命令
種類
ふ
へ
みる みる みれ みよ
へ
み
ひ
ふ
見る (見) み
思ふ
は
四段
思
上一段
るる るれ れよ
ぐる ぐれ ぎよ
くる くれ こ(よ)
ぐ
ぎ
る
ける ける けれ けよ
け
く
ぎ
れ
ね
ぬる ぬれ
れ
する すれ せよ
れ
ぬ
る
す
り
に
り
し
死
ら
な
あ
(す) せ
過
過ぐ
き
来
す
け
下一段
上二段
(来) こ
死ぬ
く
蹴る (蹴) け
流る
流
れ
ナ変
サ変
あり
カ変
下二段
ラ変
形容詞の活用 古語の形容詞にはク活用とシク活用の二種類が
ある。なお、連用形に動詞「あり」が融合して「─かり」とな
種類
高し
語例
美
高
った形を補助活用(カリ活用)という。
ク活用
美し
く
しから しかり
しく しく
から かり
く
し
し
しかる
けれ
しき しけれ
かる
き
しかれ
かれ
語幹 未然 連用 終止 連体 已然 命令
シク活用
22
22
送り仮名のきまり
原則一 「
送り仮名の付け方」(内閣告示)に準じ、誤読のおそ
れのないように配慮し、読みやすくする。
原則二 活用のある語は、活用語尾を送る。
原則三 付属語である助詞・助動詞を送る。
原則四 誤
読の可能性があるときは、判別のために読み仮名の
最後の一音を送る。
名詞 ①名詞には、送り仮名を付けない。 人・花・隣・右
動キ・戦ヒ・使ヒ・怒リ・侮リ
*誤読のおそれのあるものは、最後の一字を送る。
半バ・幸ヒ・斜メ
②動詞から転じた名詞は、動詞の送り仮名による。
志・恥・光・舞
*慣用的表記で、誤読のおそれがないものは送らない。
い
おも
お
も
われ
なんぢ なんぢ たれ
たれ
①代名詞には、送り仮名を付けない。
我・吾・己・汝・爾・孰・誰・何
*誤読のおそれのあるものは、最後の一字を送る。
いづ
いづ
いづ
いづ
何レ・孰レ・何ク・安ク
これ
たれ
こ
そ
これ
我ガ・吾ガ・之ガ・誰カ・此ノ・其ノ・我ヲ・之ニ
わ
「ノ」
「ヲ」「ニ」を伴う場合は、
②代名詞が、助詞「ガ」「カ」
その助詞を送る。
こ
こ
そ
そ
此レ・之レ・維レ・其レ・夫レ
こ
③指示代名詞が助詞を伴わないで読まれる場合は、最後の一音
を送る。感動詞の場合もこれに準ずる。
動詞
①動詞は、活用語尾を送る。
むち
読ム・書ク・学ブ・習フ・恥ヅ・怒ル・光ル
②名詞から転じた動詞は、名詞以外の部分を送る。
雨フル・傷ツク・指サス・横タハル・鞭ウツ
③形容詞から転じた動詞は、形容詞の送り仮名による。
楽シム・悲シム・親シム・苦シム・怪シム
④副詞や連語が動詞化したものは、もとの品詞の送り仮名によ
124
23
③動詞や形容詞が語尾に「ク」「ラク」「ミ」「サ」を伴って名
詞化する場合は、動詞・形容詞の活用語尾から送る。
曰ハク・謂ヘラク・以為ヘラク・楽シミ・大キサ
代名詞
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
古語の理解
心情や状態を表す語
い
古語のうち、心情や状態を表す語は平安時代の文学の中で飛躍的に発達し、後世に及んでいる。これらの語は多
くの意味で用いられるため、古語を理解する困難さの一つともなっている。しかし、その意味・用法の多様さのう
さらには古文解釈にとって有効である。
ちにも、統一的な語感(ニュアンス)を見出だすことができるのである。その語感を捉えることは、古語の理解、
*[古文編]本文中にある語を中心にして、心情や状態を表す形容詞・形容動詞(語幹のみ掲出)を五十音順に掲
げ、主として語感について解説した(「がる」がついて動詞化した語、
「さ」がついて名詞化した語についても示し
「 あ だ 」 も、 後 に こ れ か ら 派 生 し た
姿のあでやかに美しいさまをいう
質 を さ す。「 ま め 」 の 対 語。 女 の 容
ことが多く、浮気っぽく不誠実な性
悲哀の感情を表す語とも見られてき
そ う と す る 語 で あ る。 古 来、
「あは
生身の人間であるがゆえの感動を表
からの感動を意味する。すなわち、
何よりも、人の魂をゆるがす心の底
を表すのに用いられている。これは
れもしみじみと身にしみ入る気持ち
り」はやさしく落ち着いたさまをい
な 美 し さ を い う の に 対 し て、「 優 な
いう 漢語「優」を形容動詞化した
も の。 上 品 で す ぐ れ て い る 感 じ。
る。→ ・
しく粗末だ、など意味が多岐にわた
のほかに、身分が卑しい、みすぼら
たい気持ちが原義。奇異、不思議、
た)。→に続く算用数字は本書のページ数を示す。
あ さ ま し 動 詞「 あ さ む 」( 驚 き あ
きれる意)から出た語。事のあまり
語である。
「あだあだし」は「あだ」
た。しかしそれも人間的なものへの
う。
【あ 行】
の意外さに驚きあきれる気持ちを表
を重ねて形容詞化したもの。→
共感に発しているとみなければなら
いたし 痛
「し」「甚し」があるが、
本来同語であろう。程度が並たいて
・
本質的、絶対的に悪いとする気持ち
・
・
す。現代語では、いやしい、みじめ
ない。自然に対しては美しい、人に
いでないというのが基本的な意味。
を表す。→
270
288
294
300
・
・
・
る。
が多く、その場合は副詞ともみられ
連用形「いたく」で用いられること
いた
れ」は、「をかし」とも対比されて、 「 あ て 」 が 高 貴 さ を 本 義 と し て 上 品
・
だなど悪い意味に用いるが、古語で
あて 高貴な血筋にふさわしい上品
さ を 表 す。「 い や し 」 の 対 語。 た だ
対しては、かわいい、いとしい、い
・
し、 高 貴 な 血 筋 と は い え、「 や む ご
た わ し い、 な ど の 意 が あ た る。 →
・
345
は善悪両方に用いられる。→
はない。→
う不快、嫌悪の感情を表すのに対し、 となし」のような第一級の高貴さで
あ し わ
「 ろ し 」 が 美 に 対 す る 醜、
優に対する劣など相対的に悪いとい
あ は れ も と も と 感 動 詞「 あ 」「 は
れ」が複合して生まれた語で、心の
れんびん
底からの感嘆の声であった。平安時
308
308
あだ・あだあだし もろく一時的な
もの、気まぐれでおろそかなさまを
296
あやし 不思議と感じられる異常な
も の に 対 し て、「 あ や 」 と 声 を 発 し
291
266
代の用法では、嘆賞・情愛・憐憫・
262
272
262
悲傷など多様な感情を表すが、いず
283
いう語。花の実を結ばないことなど
271
もいうが、人間の性格についていう
263
418
付録……
24
イツシ
ひのえうま
丙午
きのえとら
甲寅
コウイン
きのとう
乙卯
イツボウ
ひのえたつ
丙辰
ヘイシン
ひのとみ
丁巳
乾
い
い ぬ
み
巳
うま
ひつ
じ
午
未
東
南南
南
南南
西
十時
さる
一時
二時
九っ
半
八っ
時
九っ時 十二時
時
四っ
時
十一
半
四っ
じ
つ
ひ る
さ
かのえさる
キビ
(ミ)
午 前 巳
午
午 後 未
坤
つちのえうま
テイシ
戊午
つちのとひつじ
ボゴ
己未
コウシン
みずのえいぬ
シンユウ
申
酉
戌
ジンジュツ
半
っ
八
時
七っ
みずのとい
半
七っ
六っ時
四時
時
三
五時
キガイ
西 申
南
西
西南
とり
西 酉
西北
西
いぬ
北
西 戌
つちのえさる
テイビ
(ミ)
戊申
かのえいぬ
キユウ
庚申
かのととり
辛酉
壬戌
癸亥
丑
きのえたつ
甲辰
コウシン
きのとみ
乙巳
ヘイゴ
ひのとひつじ
丁未
つちのととり
ボシン
己酉
コウジュツ
キチュウ
ね
イツビ
(ミ)
ひのえさる
丙申
つちのえいぬ
テイユウ
かのえね
キガイ
庚戌
かのとい
辛亥
シンガイ
みずのえね
壬子
みずのとうし
ジンシ
癸丑
うし
きのえうま
甲午
コウゴ
きのとひつじ
乙未
ヘイシン
ひのととり
丁酉
戊戌
ボジュツ
つちのとい
己亥
コウシ
キボウ
子
イツユウ
ひのえいぬ
テイガイ
つちのえね
かのえとら
キチュウ
庚子
かのとうし
辛丑
みずのえとら
シンチュウ
壬寅
ジンイン
みずのとう
癸卯
い
きのえさる
甲申
コウシン
きのととり
乙酉
丙戌
ヘイジュツ
ひのとい
丁亥
戊子
つちのとうし
ボシ
己丑
コウイン
キシ
亥
イツガイ
ひのえね
つちのえとら
テイチュウ
戊寅
かのえたつ
キボウ
庚寅
かのとう
辛卯
みずのえたつ
シンボウ
壬辰
ジンシン
みずのとみ
癸巳
西
北北
北
北北
東
きのえいぬ
甲戌
コウジュツ
きのとい
乙亥
丙子
ヘイシ
ひのとうし
丁丑
ボイン
つちのとう
己卯
コウシン
キビ
(ミ)
一時
と
イッチュウ
ひのえとら
丙寅
つちのえたつ
テイボウ
かのえうま
キシ
庚辰
かのとみ
辛巳
みずのえうま
シンシ
壬午
みずのとひつじ
ジンゴ
癸未
二時
え
きのえね
干支 甲子
コウシ・カッシ
きのとうし
乙丑
ヘイイン
ひのとう
丁卯
戊辰
ボシン
つちのとみ
己巳
コウゴ
キユウ
九っ
半
八っ
時
じゅうにし
ねずみ
うし
とら
…(虎)
…(牛)
…(鼠)
十二支
ね
子
イン
う
うさぎ
…(兎)
たつ
へび
…(龍)
…(蛇)
うま
ひつじ
…(馬)
…(羊)
庚午
かのとひつじ
辛未
みずのえさる
シンビ
(ミ)
壬申
みずのととり
ジンシン
癸酉
十時
じっかん
コウ
うし
シ
とら
チュウ
丑
寅
卯
ボウ
たつ
み
シン
辰
巳
ひつじ
ゴ
さる
…(猿)
にわとり
…(鶏)
いぬ
いのしし
…(犬)
…(猪)
九っ時 十二時
ごぎょう
暦法
五行と十干
五行 十干
ヘイ
ボ
=丙テイ
=丁
兄(え)
きのえ =甲
オツ
=乙
弟(と)
きのと
兄(え)
ひのえ
弟(と)
ひのと
キ
兄(え)
つちのえ=戊
コウ
ジン
=庚シン
=辛
弟(と)
つちのと=己
兄(え)
かのえ
シ
弟(と)
かのと
午
未
ミ・ビ
さる
申
シン
とり
ガイ
日
日
日
時
四っ
時
十一
半
四っ
のうし
うし
直の衣
直衣
きの
木
ひの
火
つちの
土
かの
金
キ
兄(え)
みずのえ=壬
うま
弟(と)
みずのと=癸
と
いぬ
ユウ
酉
い
ジュツ
戌
日
二十四節気 太陽暦相当月日
月
日
日
日
日
日
日
日
六っ
半
七時
五っ
時
五
八時
っ
半
九
時
六時
日
日
日
日
亥
子
丑
装束
装束
文官の束帯
文官の束帯
かりぎぬ
りぎぬ
狩か衣
狩衣
みずの
水
*干支は、十干と十二支に
よる六十種類の組合せ。十
干は、古代中国で万物の根
え
源と考えられていた五行を
甲・乙などの文字をあてた
兄(陽)と弟(陰)に分け、
もの。十二支は、黄道を十
二等分して動物の名前をあ
せっき
他の異名・関連の呼び名
りっしゅん
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
月
九
時
い
てたもの。暦は干支で表し、 亥
異名
しゅん
うすい
けいちつ
しゅんぶん
せいめい
こくう
りっか
しょうまん
ぼうしゅ
げし
しょうしょ
たいしょ
りっしゅう
こも
新 月 30 日ごろ
は月が籠る(見えなくなる)意。
「ついたち」は新しい月が立つ意。
つ ご も り (6 時 00 分)「つごもり」
二十三夜月 (0 時 30 分)
六十一年で還暦となる。
月
もう
ちゅう しゅん
月 孟 春
つき
月の異名と二十四節気
季
む
一 月 睦
らぎ
しゅん
月 仲 春
き
か
か
しゅう
日
日
日
日
日
23 日ごろ
31
とら
下弦の月
有明の夜(朝月夜)
22 日ごろ
二十日余りの月(22
時 30 分)
21
た
み つ
弦(弓のつるにあたる部分)が上にあるか下にあるかによる呼び名であるが、下弦の場合、月の
「入り」の時刻は日中であり、実際には「下弦の月」
(弦が下にある状態)には見えない。
六時
六っ時
寅
卯
辰
臥し待ち月 19 日ごろ
寝 待 ち 月(21 時 00 分)
更け待ち月 20 日ごろ
宵よい 闇 やみ 月(22 時 00 分)
表袴かのくかの
表袴
つ くつ
鞾鞾
調
調度
度
仮(412)
仮(413)
し
う ら
と
16 日ごろ
武官の束帯
武官の束帯
こうちき
こうちき
きさ
よい
もう
生 季 春
づき
もう
月
月
月
月
月
月
月
上弦の月
夕月夜(宵月夜)
412
付録……
413……暦法
東 寅
北
東
東北
う
東 卯
東南
東
たつ
南
東 辰
で
春 二 月 如
や
三 月 弥
う
き
ちゅう か
月 孟 夏
つき
づき
月 仲 夏
な
づき
しょしょ
はくろ
しゅうぶん
かんろ
そうこう
りっとう
しょうせつ
日
日
日
日
15 日ごろ
半
っ
四時
八
時
七っ
五時
半
七っ
18 日ごろ
居 待 ち 月(20
時 00 分)
古方位
望月・満月 (18 時 00 分)
P 412
P 413
四 月 卯
さ
夏 五 月 皐
み
ふ
とう
しゅう
ちゅう しゅう
月 孟 秋
六 月 水無月 季 夏
ふみ
づき
もう
き
月 仲 秋
つき
づき
月 季 秋
月
月
月
9日ごろ
(13 時 30 分)
11
月
11 日ごろ
十日余りの月 (14
時 30 分)
41
九日月
七 月 文
は
かみ
たいせつ
しょうかん
8日ごろ
時
三
17 日ごろ
立ち待ち月(19
時 00 分)
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
42
43
32
1
2
3
12
13
22
23
24
33
34
35
え ぼ
え ぼ
し し
え え
ぼ ぼ
し し
4
だいかん
7日ごろ
うえのはかま
うえのはかま
鞾鞾
44
45
(8時 30 分)
蟻先
蟻先
かの
かの
くつくつ
14
15
16
25
26
27
36
37
38
39
28
29
30
46
(12 時 30 分)
袖括
袖括
鏡箱
鏡箱
5
6
7
とうじ
げつれいひょう
月齢表
しゃく
しゃく
小
小袿
袿
平緒
平緒
艮
十 六 夜 月 (18 時 30 分)
い ざ よ い
秋 八 月 葉
なが
かん な
九 月 長
十 月 神無月 孟 冬
立春
正 月
雨水
啓蟄
仲 陽
春分
清明
晩 春
穀雨
初 夏 立夏
麦 秋 小満
薫 風 芒種
わ せ 早稲月 夏至
小暑
晩 夏
大暑
立秋
初 秋
処暑
白露
観 月
秋分
寒露
晩 秋
霜降
小 春 立冬
しぐれ
時雨月 小雪
大雪
冬至
小寒
冬
大寒
かぐら
神楽月
とう
晩
ちゅう とう
き
月 仲 冬
つき
走 季 冬
し わ す
20 6 22 8 23 8 23 8 23 7 23 8 24 7 21 5 21 6 21 5 21 6 18 4
47
(11 時 30 分)
P 410
P 411
17
18
19
8
9
10
48
八日月
朝方
月が見えている時間
とり
こうろろ
ひひ
とり
こう
ゆするつき
ゆするつき
20
2
2
3
3
4
4
5
5
そでく
そでく
くりくり
かが
みばこ
かが
みばこ
みちょうだい
みちょうだい
6
6
7
7
8
8
火取香炉
火取香炉
泔坏
泔坏
からびつ
からびつ
唐櫃
唐櫃
御帳台
御帳台
几帳
几帳
きちょう
きちょう
角盥
角盥
ほう ほう
ひ おけ
おけ
ひ
古時刻
十 三 夜 月 13 日ごろ
小 こ 望もち月 (16 時 30 分)
もち
4
4
4
4
4
4
4
4
とりこうろろ
ひひとりこう
火取香炉
火取香炉
つのだらい
つのだらい
袍袍
狩衣
狩衣
唐 笥
笥
唐
火桶
火桶
49
七日月
から くしげげ
からくし
円座
円座
50
3日ごろ
三日月
鏡台
鏡台
にかい
かい ず
ず し
し
に
平緒
平緒
ひら
ひら
おお
烏帽子
烏帽子
烏帽子
烏帽子
だい
きき
ょょ
うう
だい
二階厨子
二階厨子
0時
(7時 30 分)
二日月
わろうだ
わろうだ
からびつ
からびつ
灯台
灯台
40
月の入
太陰暦
りの形 月の呼び方 (月の出の時刻) 夕方
2日ごろ
唐櫃
唐櫃
とうだい
とうだい
や や
女
女房
房装
装束
束
こうちき
こうちき
裾裾
きょ きょ
きょきょ
ひらひら
お お
裾裾
うき
ちき
うち
袿
袿
表袴
表袴
小袿
小袿
ゆみゆみ
太刀
太刀
た ち
た ち
表着
表着
冠冠
弓弓
笏笏
うえのはかま
うえのはかま
笏笏
袴
袴
ひおうぎ
ひおうぎ
六っ
半
七時
五っ
時
五
八時
っ
半
月の出の時刻は、季節により一時間ほどのずれがある。また、月の「出」と「入り」は、必ず
しも見え始め・見え終わりを示すものではない。例えば、上弦・下弦は、月の「入り」のとき、
4
しも
十二月 師
冬 十一月 霜
25
矢矢
唐衣
唐衣
た ち
た ち
太刀
太刀
ううわわぎぎ
すいえい
すいえい
緌緌
裳
裳
からぎぬ
からぎぬ
かんむ
かんむ
り り
けんえい
けんえい
巻纓
冠冠 巻纓
かんむ
かんむ
りり
垂纓
垂纓
おいかけ
おいかけ
もも
し
しゃ
くゃく
はかま
はかま
檜扇
檜扇
9
1 12 12 11 11 10 10 9
1
仮(410)
仮(411)
けってきのほ
けってきのほ
うう
闕腋袍
闕腋袍
ほうえ
きのほ
ほうえ
きのほ
う う
縫腋袍
縫腋袍
ありあ
さり
きさき
二階棚
二階棚
かいだな
ににかいだな
指貫
指貫
さしぬき
さしぬき
付録……
410
411……装束・調度
新
改訂版
筑摩書房
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