仕事と介護の両立が、今後の大きな経営課題に

BUSINESS DATA
仕事と介護の両立が、今後の大きな経営課題に
わが国の高齢化の進行により、介護が仕事や経営に
及ぼす影響が懸念されるようになってきた。
日本能率協会(JMA)は『第 6回ビジネスパーソン
「介護離職」の防止のために職場にあると
よいと思うことは何ですか。
0
1000 人調査(仕事と介護編)
』
(2016 年 3月)で、仕
事と介護についての意識を聞いている。介護離職につ
いて「したくない/しない」が約半数に上り、
「分から
ない」が 3割強であった。介護に対しては、
「経済面」
「時
間」
「体力」が 3大不安となっているが、介護経験者は
「自由時間の制約」
、未経験者は「経済的に苦しくなる
こと」がそれぞれ最も多く、意識に差がある。また介
10
20
29.6
介護する社員に
理解がある社風
26.8
時間勤務制度」
「フレックスタイム制度」が、3 大不安
の1つである「経済面」を解消するような「手当」や「施
設斡旋」より上位に並んでいる。現実的に必要なのは、
周囲の理解というソフト面と制度のようだ。
では、介護離職の実態はどうか。インターリスク総
研の『仕事と介護の両立に関する企業実態調査報告書』
(2015年10月)によると、回答企業のうち介護離職者
がいた企業は12.6%で、8 社に1社は介護離職が発生
していた。介護離職者の内訳は、男性が約3分の1、女
28.6
34.4
27.1
フレックスタイム制度
性が 3 分の 2 で、女性のほうが多く、特に 40 代、50
代の女性が突出している。
同調査では、経営層または管理職において介護離職
者が発生した場合、
「事業への影響は大きい」と答えた
企業は8 割を超えているが、経営層や管理職でなくて
も、
ベテラン社員の離職は経営に打撃を与えよう。実際、
7割以上の企業が「優先度が高い」または「中長期的
に解決すべき」課題であると感じてもいる。
高齢化が進むいま、他人ごとではなく、想像力を働
かせて当事者意識をもつ必要が、誰にでもあるといえ
るだろう。
6
JMA マネジメント
2016.5
26.1
26.3
26.0
会社から支給される
介護手当
22.6
24.9
22.0
在宅勤務制度
21.9
26.8
20.6
残業がない
定時退社の推奨
18.7
22.0
17.8
介護期間中の
業務変更
会社からの介護施設・
サービスの斡旋
特にない
全体
(n=1,000)
40.2
29.1
30.6
28.7
短時間勤務制度
とは何か」という設問に対しては、
「介護する社員に理
解がある社風」
「介護休暇制度」
「上司・同僚の理解」
「短
(%)
50
29.2
34.4
27.8
上司・同僚の理解
上った。
「介護離職の防止のために職場にあるとよいと思うこ
40
29.2
33.5
28.1
介護休暇制度
護未経験者に、家族の介護が必要になったときの対応
を聞いたところ、
「どうするか分からない」が約6 割に
30
14.7
13.9
14.9
12.0
28.6
介護経験あり
(n=209)
33.0
介護経験なし
(n=791)
仕事と介護の両立のために職場に何を求めるのか
出所:一般社団法人日本能率協会『第 6 回ビジネスパーソン1000 人調査(仕事
と介護編)
』
(2016 年 3月)より