Page 1 12 水稲乾田直播栽培における降下浸透 水稲の乾田直播栽培

1 2
水稲 乾 田 直 播 栽 培 に お け る降 下 浸 透
増
博*
島
水 稲 の乾 田直 播 栽 培 に お い て は ,移 植 栽 培 に くらべ
し, 実 容 積 法 で 全 孔 ゲ キ 景・を, 土柱 法 で 水 柱 40cm の 負 圧
て, 一 般 に 減 水 深 が 増 大 す る と考 え られ て い る 。 水 田 用
で排 水 きれ る粗 孔 ゲ ヰ量 を , 定 水 位 法 で透 水 係 数 を測 定
水景 の 増大 は将 来 , 水 田基 盤 整 備 の 進展 に伴 い, 適 正 浸
した 。 ま た 1 , 2 区 に つ い て は 内 径 2 em の 硬 質 塩 化 ビ ニ
透景 の 維 持 )工 業 用 水 との 競 合 な ど.種 々 の 問題 を提 起
ール 管 を 打 ら込 み , 中 の 土 を 排 除 し て , 背 中 の 水 位 を 物
する。 水 田 用 水量 (柁 水 深 ) は桝 盤 浸 嵐
け い はん 浸 透
きしで は か って ,作 土 層 下 端 と耕 盤 層 下 端 に お け る水 頭
葉水 面 蒸 発 よ りな るが ,直 播 栽 培 に お け る用 水量 の増 大
を秋 定 し た 。
は前 者 の 影 響 の 大 き い こ とが 認 め られ て お り 3), 降 下 浸
2 . 結 果 と考 察
透の 増 大 は シ ロ カ キ を 行 な わ な い こ と , け い は ん 浸 透 の
増大 は あ ぜ ぬ りを 行 な わ な い こ と に よ る と考 え られ る 。
棋 水 期 間 中 の浸 透 最 の変 化 は 第 1 図 に示 した。 各 区 の
ここ で は 乾 田 直 播 栽 培 で 耕 瓦 法 を 異 に し た 場 合 の 水 田 の
浸透 水 景 は 全 期 間 を 通 じて 移 植 田 が 少 な く, 垣 播 田 が 多
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降 ̄
F 浸 透 の 変 化 と土 壌 の構 造 との 関 係 に つ い て 論議 を行
なっ た 。
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1. 試 験 方 法
浸
試 験 の 場 所 は福 岡県 筑 後 市 の九 州 製 業 試 験 場 ホ 場 で ,
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第1 表
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均2 5 0 cm の 乾 田 で あ る 。
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に示 した 。地  ̄
F 水位 は濯 漑期 間 平均 7 0 ヱ
m,非濯漑期間平
透0 量
土壌 断 面 は A I}
g/
B g/
D g/G 型 で, その 粒 径 組成 は 第 1 表
プラ ウ 直 播
2 .ロ ー タ リ 直 播
、、3 .
浅耕直播
′ヽ\
■ヽ_ _ _ .
−
1 .
移植
1 ラも
25
㌔14
24
ヲ
包 13
24 %
試験区別は
1・
慣 行移 植 田 (小 型 桝 髭 機 プ ラ ウ桝 ,桝 深 1 2 cm , シ
ロ カキ は か ご事 柄 で 2 回 )
第1 図
浸 透 量 の 変 化
い。 と くに , 盤 層 を 破 壊 し た プ ラ ウ新 区 は 湛 水 直 後 は か
2・
ロー タ リ耕 宙 播 (小 型 耕 転 機 ,耕 深 12 c nl)
なりの 浸 透 を示 し, 10 0 0 m m /d a y に も及 び , 以 後 漸 減
3・
桟 桝 直 播 (大 型 ド リ ル シ ー ダ ー 付 ロ ー タ リ, 桝 探
するが , 収 穫期 近 くに な っ て もな お移 植 田 の 10 倍 近 い 浸
3 cm )
4・
プ ラ ウ 柳 眉 播 (16 ′
ボ ト ム プ ラ ウ, 桝 深 1 8 珊 , 那 盤
破 壊)
透が あ っ た。 ロー タ リ耕 直 播 の 場合 に も湛 水 直 後 の 費 透
はか な り多 く, そ の後 も移 植 田 の 数倍 か ら10 倍 程 度 の 浸
透が あ り, そ の 変 動 は は な は だ 不 安定 で あ った。 浅 新 区
1 区 面 積 10 a l 連 制 で実 施 した。 1 区 の 移 植 区 は 6 月
は湛 水 直 後 は移 植 田 の 数倍 程 度 の 浸透 を示 す が , そ の後
2 0 日 , 2 区 は 7 月 13 日 , 3 ,4 区 は 7 月 1 6 日 湛 水 し た 。 移
急速 に 浸 透 を減 じ ,湛 水 後 2 0 日で移 植 田 とほ ぼ 同 じ水 準
植庖 播 と も水 稲 「 ホ ウ ヨ ク」 を 作 付 し た 。
減 水 深 の 測 定 は ,大 起 理 化 工 業 製 迅 速 漏 水 測 定 器 を用
い, 1 区 に つ き10 個 所 測 定 し, 平 均 値 を求 め た。 測 定 は
7 月 13 日 よ り9 月 28 日 まで 5 日毎 に 行 な った。 測定 時 間
は9 時 ∼ 1 1 時 と した。 9 月 中旬 に 各 区 の 作土 層 と耕 盤 層
から,高 さ 5 cm ,容 積 1 0 0 c c の金 属 円 筒 で 土 壌 を 採 取
★農 事 呑も
験場
に落 着 い た。
湛 水 期 間 中 の積 算 浸 透 水 量 は 第 2 表 に示 し た。 移 植 田
の7 月 1 3 日以 前 の 浸透 は 1 0 m m /
d a y と仮 定 して 計 算 し
た。 こ れ に よ る と移 植 田 は も っ と も湛 水 期 間 が 長 い の に
もか か わ らず , 積 算 浸 透 水 量 は も っ と も少 な く , 直 播 の
場合 は 浅 耕 が こ れ に 近 か っ た 。 し か し , 直 播 で も ロ ー タ
リ耕 を 行 な う と, 積 算 浸 透 水 量 は 約 3 倍 に な り, プ ラ ウ
水稲 乾 田 虐 播 栽 培 に お け る 降 下 線 透
第2 東
区別
l
浅
4 .
プ
︼フ
3・
浸
透
水
異 の た め に 両 者 の 値 は 必 ず し も一 致 は し な い が , ほ ぼ 同
盈
楷 り 川
研 ウ
移
ロ
を榔 定 して えた 動 水 勾 配 で あ る。 前 記 の よ うに 場 所 的 変
棟 算 浸 透 水 量
算
タ
1・
2.
積
13
1194 (to n /10a )
じ傾 向 を示 して い る。 す な わ ち, 移 植 田で は 作 土 層 で の
動 水 勾 配 が 大 き く, 迫 播 田 で は作 土 層 申の 動 水 勾 配 は ご
3275
1382
くわ ず か で , 耕 盤 層 で の 動 水 勾 配 が 大 きい 。
2 0415
1) 2)
松 尾 と 佐 藤 は 福 岡 県 南 部 の 乾 旺=こつ い て , 湛 水 期 間 中
耕に よ って 耕 盤 を破壊 し た場 合 は その 水 屋 は飛 躍 的 に 増
大し た 。
の 膚 位 別 の 透 水 係 数 は 作 土 で 小 き く, 下 層 で 大 き く, ま
た , 作土 層 円 で は上 郡 に微 細 粒 子 が 多 く,下 部 に 粗 粒部
同一 区 内 の 測定 場所 に よ る浸 透 速 度 の 変 異 は い ち じ る
しく大 きい 。 一 例 と し て 8 月 1 6 日 と 9 月 1 9 日 の 測 定 値 に
分 が 韓 積 して い る こ とを 明 らか に した。 著者 の 測 定 結 果
で も, 移 植 田 で は 桝 盤 層 よ り 作 土 層 の 透 水係 数 が 小 さ
対す る 榛 準 偏 差 と 変 動 係 数 を 示 せ ば 第 3 表 の と お りで あ
く, シ ロ カ キ を 行 な わ な い 由 細 田 で は 逆 に 作 土 層 よ り朗
 ̄7
Qo
盤 層 の 方 が 透 水係 数 が低 か っ た。 これ は 明 らか に移 植 栽
第 3 表
各 区 の浸 透 量 と区 内 の変 動
培 の シ ロ カ キ の 影 響 に よ る も の と考 え ら れ る。 各 層 位 の
月日
l
8
左右■「
▼
【
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区
1・
移
2.
ロ
1 6
日
9 月
1 9
日
竺攣 竺軋 整 J腰 、議表表 I雷 憎磨
タ
区 をの ぞ いて 細 % 以 上 と な っ て い て, 全 孔 ゲ キ量 か らは
リ
水 きれ る粗 孔 ゲ キ量 は, 作 土 層 で は移 植 田で 少 な く,  ̄
F
耕
プ
全孔 ゲ キ量 は作 土 層 で は いづ れ も糾 % 台 ,下 層 で も浅 桝
透 水 性 の判 定 はで きない 。 しか し, 水 柱 4 0 こ
mの張力で排
植
ー
3 . 浅
4.
月
ラ
ク
層 で は プ ラ ウ 耕 区 以 外 の 区 で 少 な く, こ の 大 き き の 孔 ゲ
竺旦
8 3 .3 】 2 3 .8
測 定 値 の 変 異 は 浅柳 区 が 比 較 的少 な か った。 ぎ
甚水 後 の
経過 日 数 と 変 動 の 闇 に は 関 係 な く, 8 月 1 6 日 と 9 月 19 日
では浸 透 の 低 下 した区 は変 動 係 数 が 増大 し, 浸透 の 増 し
た区 は 変 動 係 数 が 小 き く な る 傾 向 が あ る 。 こ の こ と は 浸
キ が 浸 透 に 関 与 し て い る こ と が うか が わ れ に 。
以 上 の こ とか ら, 移 植 田 で は 湛 水 し た 水 は 主 と し て 作
土 層 で 支 え られ , 直 播 田 で は 桝 盤 層 で 支 え られ て い る こ
とが わ か る。 また , 移 植 田 の 作 土 層 と, 直 播 田 の 析 盤 層
水 温 の上 界
とで は, 移 植 田の 作 土 層 の 方 が 透 水 性 が 低 い か ら, 浸 透
によ る 水 の 粘 性 の 低 下 , 根 に よ る 吸 水 の 増 加 な ど成 る 程
畳 は 移 植 田 の 方 が 直 播 田 よ り小 さ くな る 。 さ らに , 新 盤
魔の 広 が りを も っ た 要 因 の 変 化 に 基 づ き , 浸 透 の 減 少 は
層 を破 壊 し た直 播 田 で は 水 を 支 え る層 が な く, 浸 透 は 極
作業 の た め の土 壌 の か くはん , 庄 密 な ど局部 的 な変 化 に
端 に 多 くな っ た 。
透の 増 加 は 地下 水 位 の 低  ̄
 ̄
F ,湛水深の増大
水 田 にお け る降 下 浸 透 は , 根 圏 にお け る養 分 濃 度 , 酸
よ る こ とが 多 い こ とを示 唆 す る。
化還 元 状 態 , 温 度 な どを 通 して 水 稲 の 生 育 に 影 響 を及 ぼ
土 壌 中 の 浸 透 は D a r cy 式 に よ り
し て お り, 適 正 浸 透 畳 も環 境 条 件 の 変 化 に よ っ て 変 る も
ヴ = 点・ ゐ/g
で表 わ さ れ る。 こ こ で 9 は 単 位 断 面 積 単 位 時 間 あ た りの
の と 考 え られ る。 し か し 適 正 浸 透 量 を 越 す 浸 透 は , 水 経
流量 , ん/g は 動 水 勾 配 , 点 は 透 水 係 数 で あ る。 9 月 中 旬
済 , 施 肥 の 有 効 利 用 ,地 力 の保 持 な どの面 か ら極 力 お さ
に各 区 に つ い て , 漏 水 測 定 器 に よ っ て 甘 を 瓢 定 し , そ の
え るべ き で あ ろ う。 直 播 栽 培 に お け る 過 大 な 浸 透 を 回 避
場所 か ら試 料 を と っ て 丘 の 室 内 測 定 を 行 な っ た 結 果 は
す る 手 段 と し て は 浅 耕 が あ げ られ るが , 耕 盤 を 破 壌 し た
第4 表 に 示 し た 。 表 中 ヴ/丘は こ の 測 定 値 か ら計 算 し た 動
場合 , あ るい は基 盤 整 備 水 田で 締 固 め不 十 分 な盛 土 個 所
第4 表
浸 透
で の過 大 浸透 に対 し ては 土 壌 のか くはん に よ って 粗 孔 ゲ
と 孔 ゲ キ
キ を ぶ つ し , 水 を 支 え る 層 を 作 る こ と が 考 え られ る 。
区別
堅」
m さ_
_
__
ヱ_
甘/丘 九/J 【 全 孔 ゲ キ
2.
移
ロ
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3 一 派
4.
プ
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6 4 忘 川4・ 15 4 二山 15
%
1・
粗孔ゲ キ
水勾 配 , 叫 f は 実 際 に 水 田 に パ イ プ を 打 ち こ ん で 水 致 差
3.
ま
と
め
水槽 乾 田 直播 栽 培 に おい て は, 移 植 栽 培 に く らべ ,一
般に 減 水 深 が 増 大 す る こ とが 認 め ら れ て い る 。 こ こ で は
乾田直 播 栽 培 で桝 恕 法 を異 に し た場 合 の水 凹の 降 下 浸 透
の変 化 に つ い て報 告 し †
こ。
試 験 の 場 所 は前 岡 県 筑 後 市 の水 田で , 作 土 下 層 土 と も
L ig h t C lay の 乾 田で あ る。 試 験 区 は ① 慣 行 移 植 臥
⑧ ロ
ータ リ桝 直 播(小 型 , 耕深 12e】
n), ⑨ 浅 柳 直 播 (大 型 ロー
14
土
壌
の
物
理
性
第 15 号
ク リ, 耕 深 3 cm ), ④ プ ラ ウ 耕 直 稀 ( 16 ’
ボ トム プ ラ ウ ,
は, 移 植 田 で は 作土 層 で大 き く, 直 播 田 で は耕 盤 層 で大
緋盤 破 壊 )。 降 下 浸 透 量 の 測 定 は迅 速 漏水 測 定 器 を用 い
きか った。 この ちが い は移 植栽 培 に お け る シ ロ カキ作 業
1 区 あ た り10 カ所 の平 均 を求 め た。 測 定 は 湛 水 期 間 中 5
によ る土 壌 孔 ゲ キ の 細 化 に 基 づ く も の で あ る 。
こ の 研 究 の 実 施 に あ た り多 く の 便 宜 を 与 え ら れ た 九 州
日毎 に 行 な っ た 。
各 区 の 浸 透 量 は全 期 間 を通 じ て移 植 田が 少 な く,直 播
田が 大 きか っ た 。 と く に , 盤 を 破 っ た プ ラ ウ 耕 区 は 著 る
の浸透 が あ り, 時 期 的 変 動 は は な は だ不 安 定 で あ った。
浅耕 区 は 湛 水 直 後 の 浸 透 は か な り大 きい が , 湛 水 後 2 0 日
たし ま す 。
123
しく浸 透 が 多 か っ た 。 ロ ー タ リ耕 の 場 合 も移 植 田 の 数 倍
農業 試 験 場 農 業 機 械 化 研 究 室 長 井 上 礪二 郎 技 官 に 感謝 い
引
用
松尾 炎俊 ・ 件 應 郁 夫 (1959)
( 1960)
文
献
九 州農 試 f報 ,旦
U 土肥賂
農業 土 木 試 験 場 土 地 改 良 部 (1965)
で移 植 田 とほ ぼ 同 じ水 準 に 落 着 い た。 土 壌 中 の 動 水 勾配
盤整 僻 に関 す る嬢 令 研 究 39咋 廣 成 親 書
.
封
25 9∼2 76
259 −29?
大 型 機 械 化 に 伴 う水 H寸土甥 基
23− 鎚