簡易プログラム - 藤田保健衛生大学

第5回
日本血液学会東海地方会
プログラム抄録集
会 期 平成 28 年 4 月 23 日(土) 12 時 30 分~
会 場 愛知県産業労働センター(ウインクあいち)10F
大会議室 1002
〒450-0002 名古屋市中村区名駅4-4-38
会 長 藤田保健衛生大学医学部 血液内科学
教授 恵美 宣彦
交通のご案内
会場:愛知県産業労働センター(ウインクあいち)10 階 大会議室 1002
〒 450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅 4 - 4 - 38
会場周辺図 名古屋駅より徒歩 5 分
至大阪
桜通口
ロータリー
JRセントラル
タワーズ
太閣通口
JR名古屋駅
大名古屋ビルヂング
ジュンク堂
ユニモール地下街 5番出口
5
名古屋ビルディング
桜通
ウインクあいち
ミッドランド
スクエア
名古屋クロスコートタワー
名鉄
近鉄
錦通
中村署
モード学園スパイラルタワーズ
広小路通
至東京
名古屋三井ビルディング 新館
名鉄
レジャック
会場のご案内
参加受付、PC受付、
単位登録受付
会 場
愛知県産業労働センター(ウインクあいち)10 階
― 2 ―
プログラム
12:00
12:30
〈12:00~〉
受付開始 (~17:00頃まで) 10階1007会議室
〈12:30~12:35〉 開会の辞
〈12:35~13:35〉
ランチョンセミナー
「WHO リンパ腫分類2016 ~診断と治療のシンポ~」
会長:恵美 宣彦
座長:岡本 昌隆(藤田保健衛生大学医学部 血液内科学)
演者:中村 栄男
(名古屋大学大学院医学系研究科 臓器病態診断学)
共催:武田薬品工業株式会社
13:35
13:40
15:40
15:45
〈13:40~14:09〉
一般演題1~3 「白血病」
座長:早川 文彦
(名古屋大学医学部附属病院 血液内科)
〈14:10~14:39〉
一般演題4~6 「リンパ腫」
座長:原 武志
(岐阜大学医学部医学系研究科 血液病態学)
〈14:40~15:09〉
一般演題7~9 「移植」
座長:渡会 雅也
(愛知医科大学病院 血液内科)
座長:山口 素子
〈15:10~15:39〉
(三重大学医学部附属病院 血液内科)
一般演題10~12 「小児およびその他疾患」
〈15:45~16:45〉
シンポジウム
テーマ:学会主導前向きコホート研究
16:45
16:50
座長:名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 清井 仁
名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 飯田 真介
講演:1 JSH-MPN-15研究に関して
名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 清井 仁
国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究事業部 伊藤 典子
2 JSH-MM-15研究に関して
名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 飯田 真介
国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究事業部 伊藤 典子
〈16:50~17:50〉
コーポレートセミナー
「移植非適応の初発多発性骨髄
腫に対する新たな治療選択」
座長:恵美 宣彦(藤田保健衛生大学医学部 血液内科学)
演者:柴山 浩彦
(大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学)
共催:セルジーン株式会社
17:50
17:55
〈17:55~18:05〉
研修医演題表彰
18:05
18:30
〈18:30~〉
情報交換会 ※学会参加受付の際に会場をご案内致します。
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お知らせ・お願い
参加費(3,000円)のご案内
参加費と引き換えにネームカード(兼領収証)と抄録集をお渡しいたします。
研修医・コメディカルの方は無料です。
情報交換会費(1,000円)のご案内
情報交換会を予定しております。
ご参加頂ける方は当日参加受付にて1,000円お支払いください。
一般演題座長の先生へのご案内
ご担当いただきますセッション開始15分前までに、座長受付にお立ち寄りください。
ご来場の確認をさせていただきます。
※時間厳守にご協力をお願いいたします。
一般演題演者の先生へのご案内
一般演題 口演6分 質疑応答3分 計9分
※参加受付を済ませた後、ご発表の開始30分前までに PC 受付にて試写を済ませてください。
※スライド枚数に制限はありませんが、発表時間を厳守してください。
※光学式スライド、ビデオデッキなどの用意はございません。音声出力は不可。
※スライドは、なるべく横版でご用意ください。
日本血液学会専門医更新単位について
本学会出席での取得数は2単位です。
※血液専門医カードによる登録
会場にて登録受付されたデータは、自動的に「血液専門医単位登録システム」にアップされます。
※血液専門医カードを持参されなかった場合
「血液専門医単位登録システム」より参加証の画像(PDF データ等)をシステムにアップロー
ドいただくことで登録可能です。
駐車場のご案内
会場に有料駐車場はございますが、台数に限りがございますので、公共交通機関をご利用くだ
さい。
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発表要領
ご発表者の先生方へ
PC を使用したご発表のみとさせていただきます。
ご発表データの受付は、原則として USB フラッシュメモリとさせていただきます。
※バックアップ用の CD-R もご持参いただくことをお勧めいたします。
ご発表用データ作成上の留意点
USB メモリー又は CD-R でのデータ持ち込みによるご発表
1.事務局として用意します PC は Windows、プレゼンテーションソフトは Power Point です。
2.メディアを持ち込む場合は、Windows 版 Power Point 2010で作成されたデータのみと
いたします。(Power Point に標準で搭載されているフォントをご使用ください。)
3.Macintosh のデータは Windows 上での位置のずれや文字化けなどの不具合が生じる事が
多いため、そのままのデータの持ち込みは不可とさせていただきます。各自、Wondows 上
での動作確認と、Windows 用にデータ変換を行った上でのご用意をお願いします。
4.動画(movie file)がある場合には、各自の PC を持ち込んでの発表をお願いします。
5.Macintosh にて作成されたデータでのご発表をご希望の場合には、各自の PC を持ち込ん
での発表をお願いします。
6.液晶プロジェクターの出力解像度は、XGA(1024×768)に対応しております。
7.音声出力は使用できませんので、ご了承ください。
PC 持ち込みによるご発表
1.液晶プロジェクターとの接続は、PC 本体にミニ Dsub15ピン外部出力コネクターが使える
ものに限ります。薄型 PC では特殊なコネクター形状になっているものもありますので、必
ず付属の変換アダプターを予めご確認の上ご用意をお願いします。
2.発表中又はその準備中にバッテリー切れになることがありますので、発表には付属の AC ア
ダプターをご用意ください。(100V)
3.発表中にスクリーンセーバーや省電力機能で電源が切れないように、設定のご確認をお願い
します。
4.音声出力は使用できませんので、ご了承ください。
データ及び PC の受付・その他
1.事務局で用意しますキーボード、マウスを使用し、発表者ご自身で操作してください。
2.Power Point にて作成したデータのファイル名は「演題番号 氏名」で保存してください。
3.データ保存する前に必ずウィルスのチェックを行ってください。
4.各ご発表の30分前までに PC 受付にて、演題受付及び動作確認をしてください(なるべく
受付予定時間よりも早めにお願いします)。
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一般演題プログラム
※演 題番号に E の付いた演題は、研修医演題表彰
(研修開始 4 年目まで)の審査対象演題です。
13:40~14:09
「白血病」
座長:名古屋大学医学部附属病院 血液内科 早川 文彦
1 消化管原発濾胞性リンパ腫に合併した全トランス型レチノイン酸併用化学療
法抵抗性急性前骨髄球性白血病
E
1
岐阜市民病院 血液内科、2 岐阜大学医学部附属病院 血液内科
◯生駒 良和 1、笠原 千嗣 1、南谷 泰仁 1, 2、後藤 英子 1、高橋 健 1、鶴見 寿 2
2
ATO 不耐容かつ ATRA 耐性変異を獲得し再燃した二次性急性前骨髄球性白
血病の一例
名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学
○宮尾 康太郎、平野 大希、服部 光、西山 誉大、石川 裕一、寺倉 精太郎、西田 徹也、村田 誠、
清井 仁
3
白血病診断時に致命的な肺塞栓症を合併した、慢性骨髄性白血病の 1 例
名古屋市立大学病院 血液・腫瘍内科
○金森 貴之、楠本 茂、成田 朋子、加藤 千絵、中島 貴裕、萩原 真也、村上 五月、伊藤 旭、李 政樹、
石田 高司、小松 弘和、飯田 真介
14:10~14:39
「リンパ腫」
4
座長:岐阜大学医学部医学系研究科 血液病態学 原 武志
経直腸的超音波内視鏡下穿刺吸引法が診断に有用だった DLBCL の一例
岐阜大学医学部附属病院 第一内科
◯中村 信彦、柴田 悠平、松本 拓郎、中村 博、上村 真也、二宮 空暢、北川 順一、岩下 拓司、
南谷 泰仁、原 武志、清水 雅仁、鶴見 寿
5
自家移植後ホジキンリンパ腫患者にブレンツキシマブベドチン(BV)を用い、
再移植を施行し得た 1 例
伊勢赤十字病院 血液内科
○西村 廣明、玉木 茂久、岡 弘毅、柴崎 哲典、臼井 英治、辻 幸太
― 6 ―
悪性リンパ腫に対する自己末梢血幹細胞移植後に FDG-PET/CT で偽陽性を
6 呈したリンパ濾胞過形成の
2例
E
1
浜松医科大学医学部付属病院 臨床研修センター、2 浜松医科大学 第三内科、3 浜松医科大学 腫瘍センター
○岡 伸一郎 1、安達 美和 2、深津 有佑 2、永田 泰之 2、小野 孝明 2、柳生 友浩 3
14:40~15:09
「移植」
座長:愛知医科大学病院 血液内科 渡会 雅也
7 非血縁者同種骨髄移植後のステロイド抵抗性皮膚移植片対宿主病に対して外
用タクロリムスが奏効した急性リンパ性白血病の一例
E
国立病院機構 名古屋医療センター 血液内科
○長澤 貴穂、國富 あかね、杉山 圭司、今村 恭子、長谷川 祐太、中村 裕幸、鈴木 康祐、徳永 隆之、
宮田 泰彦、永井 宏和、飯田 浩充
8 骨髄異形成症候群から急性リンパ性白血病への移行
E
1
愛知医科大学病院 血液内科、2 愛知医科大学 造血細胞移植振興寄附講座
○中村 文乃 1、山本 英督 1、後藤 峰明 1、内野 かおり 1、高杉 壮一 1、水谷 元紀 1、堀尾 知弘 1、
高橋 美裕希 1、水野 昌平 1、後藤 麻友子 1、渡会 雅也 1、花村 一朗 1、高見 昭良 1、小寺 良尚 2
再発多発性骨髄腫・非移植例に対するサルベージ自己末梢血幹細胞移植
9 (ASCT)の検討
E
1
総合大雄会病院 血液内科、2 総合大雄会病院 検査室
○橋本 昌哉 1、高杉 壮一 1、森田 夏子 2、爾見 雅人 1
15:10~15:39
「小児およびその他疾患」
座長:三重大学医学部附属病院 血液内科 山口 素子
10 生下時より皮下結節を伴う皮疹を呈した新生児の 1 例
1
三重大学医学部附属病院 小児科、2 三重大学医学部附属病院 皮膚科、
3
三重大学医学部附属病院 病理部、4 三重大学医学部附属病院 オーダーメイド医療部
○森本 真理 1、木平 健太郎 1、天野 敬史郎 1、坂田 佳子 1、豊田 秀実 1、出口 隆生 1、堀 浩樹 1、東 英一 1、
尾本 陽一 2、今井 裕 3、林 昭伸 3、池尻 誠 4、中谷 中 4、平山 雅浩 1
― 7 ―
11
E
Rituximab 併用大量 MTX 療法が奏効した中枢神経病変を有するリンパ腫様
肉芽腫症
1
三重大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科、2 三重大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科
○爲田 里沙 1、宮崎 香奈 1、山本 麻里子 1、伊野 和子 1、中森 良樹 1、門間 文彦 1、松本 剛史 1、藤枝 敦史 1、
杉本 由香 1、俵 功 1、山口 素子 1、三輪 啓志 1、大石 晃嗣 1、桝屋 正浩 1、片山 直之 1、臼井 正信 2
12
E
血液浄化・ステロイドパルスが奏功した EBV 関連血球貪性リンパ組織球症の
一例
1
藤田保健衛生大学 卒後臨床研修センター、2 藤田保健衛生大学 血液内科
○野村 宣徳 1、岡本 晃直 2、稲熊 容子 2、徳田 倍将 2、森島 聡子 2、蟹江 匡治 2、柳田 正光 2、山本 幸也 2、
水田 秀一 2、冨田 章裕 2、赤塚 美樹 2、岡本 昌隆 2、恵美 宣彦 2
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抄 録
1
消化管原発濾胞性リンパ腫に合併した全トランス型レチノイン
酸併用化学療法抵抗性急性前骨髄球性白血病
(岐阜市民病院 血液内科) ◯生駒 良和(いこま よしかず)
(岐阜市民病院 血液内科) 笠原 千嗣、南谷 泰仁、後藤 英子、高橋 健
(岐阜大学医学部附属病院 血液内科) 南谷 泰仁、鶴見 寿
消化管原発濾胞性リンパ腫(FL)に合併した全トランス型レチノイン酸(ATRA)併用化学
療法抵抗性の急性前骨髄球性白血病(APL)症例を報告する。症例:2013 年 7 月十二指腸に限局
する多発小隆起性病変を認め FL grade 1 と診断、無治療経過観察となった。2015 年 9 月汎血球減
少(WBC 1,000 /m L、Plt 31,000 /m L)と線溶系優位 DIC を呈し、骨髄穿刺上 80 %以上の前骨髄球
増加を伴う APL と診断した。G-band で付加的染色体異常を伴わない(15;17)を確認し、さらに
t
FISH で 2 %の IgH/bcl2 融合シグナルも認め、FL の骨髄浸潤合併と判断した。FLT3-ITD 変異は認
めなかった。ATRA 単独投与で DIC は改善傾向を得たが、徐々に末梢血で APL 細胞の増加を認め
IDA/AraC 療法を追加した。しかし DIC は再増悪、さらに骨髄中前骨髄球が残存したため ATRA
抵抗性と判断し、亜ヒ酸を開始したところ DIC の改善を得た。本症例では FL の存在が治療経過に
影響を与えた可能性があるが、無治療悪性リンパ腫に APL を合併した症例は非常に稀と思われ、
治療経過および文献的考察も含め報告する。
Key words: Follicular lymphoma, Acute promyelocytic leukemia, DIC
― 11 ―
2
ATO 不耐容かつ ATRA 耐性変異を獲得し再燃した二次性急性
前骨髄球性白血病の一例
(名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学) ○宮尾 康太郎(みやお こうたろう)
(名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学) 平野 大希、服部 光、西山 誉大、
石川 裕一、寺倉 精太郎、西田 徹也、村田 誠、清井 仁
【背景】ATRA、ATO は APL 治療における必須の薬剤である。我々は ATO 不耐容を示し、経過
中レチノイド耐性遺伝子変異の獲得と化学療法抵抗性を示したが、同種臍帯血移植が奏効した二
次性 APL 症例を経験したので報告する。
【症例・経過】28 歳女性。後頸部軟部肉腫にて化学療法中、血小板減少にて紹介。PML-RARA 陽
性にて APL と診断。WBC17700/m l のため ATRA+IDA+AraC 療法を実施し寛解を得た。APL 細
胞は FLT3-ITD、TET2 変異陽性であった。ATO による地固め療法を開始したが、Grade3 の胸部、
皮膚異常感覚により不耐容と判断。地固め療法を MIT+AraC 療法に変更し分子寛解を達成したが、
次コース後、PML-RARA の上昇を認め分子再発と診断。タミバロテンによる再寛解導入を行うも
day14 に Grade3 の筋肉痛で継続できず、更に PML-RARA の上昇と RARA 遺伝子に K227-T233 欠
失変異を認めた。AraC 大量療法を実施するも血液学的再発を来たし、RARA 遺伝子 R217S 変異を
有する新たな耐性 APL クローンの出現を認めた。化学療法不応性のため血液学的非寛解状態で同
種臍帯血移植を実施したが、分子寛解を達成することができ、寛解を維持している。
【考察】本例では ATO 不耐容のために FLT3-ITD、TET2 変異陽性 APL 細胞を充分に駆逐でき
ず、更に RARA 遺伝子変異によって、レチノイドと化学療法への抵抗性を示したと考えられる。
ATRA 治療中の欠失型 RARA 変異は極めて報告が少なく、タミバロテン投与により獲得された可
能性もある。ATO が充分投与できない場合には、APL 細胞に存在する分子異常の存在を考慮した
治療戦略の検討が求められる。
キーワード 二次性急性前骨髄球性白血病 ATO 不耐容 レチノイド耐性変異
― 12 ―
3
白血病診断時に致命的な肺塞栓症を合併した、慢性骨髄性白血病
の1例
(名古屋市立大学病院 血液・腫瘍内科) ○金森 貴之(かなもり たかし)
(名古屋市立大学病院 血液・腫瘍内科) 楠本 茂、成田 朋子、加藤 千絵、中島 貴裕、
萩原 真也、村上 五月、伊藤 旭、李 政樹、石田 高司、小松 弘和、飯田 真介
【症例】66 歳、女性。半年前からの呼吸苦、3 日前からの症状増悪にて当院を紹介受診。PS1、肝脾
腫触れず、SpO2 90 %(room air)、WBC35,400/m L(芽球比率 2 %、好酸球 1 %、好塩基球 15 %)、
Hb9.2g/dL、Plt126.4万/m L、LDH440U/L、Cre0.61mg/dL、UA6.9mg/dL、FDP3.2 m g/mL、
D-dimer 1.4 m g/mL、CRP1.78mg/dL。
【経過】慢性骨髄性白血病(CML)を疑い、受診当日に骨髄穿刺を施行するとともに、胸部単純 X
線では明らかな浸潤影を認めず、低酸素血症の鑑別目的で造影 CT を施行。右肺動脈主幹ならびに
両肺動脈に多発性かつ広範に及ぶ造影欠損を認め、肺塞栓症(PE)と診断した。CT 検査直後に
心肺停止となり、蘇生術とともに経皮的心肺補助法を行った。さらに、開胸術にて肺動脈血栓除
去を行うも救命するには至らなかった。また、病理解剖の承諾は得られず、死因は急性肺血栓塞
栓症による心原性ショックと考えられた。その後、染色体検査にて(9;22)
t
(q34;q11.2)が判明し、
骨髄芽球が 20 %認められたことから CML(急性転化期)と診断した。
【考察】CML 診断時に広範な PE を認め、急激かつ致命的な経過を示した。PE の重篤度に比べ、
FDP 正常、D-dimer は軽度上昇に留まり、造血器腫瘍の診療において示唆に富む症例と考え、文
献的考察を加え、報告する。
― 13 ―
4
経直腸的超音波内視鏡下穿刺吸引法が診断に有用だった
DLBCL の一例
(岐阜大学医学部附属病院 第一内科)◯中村 信彦(なかむら のぶひこ)
(岐阜大学医学部附属病院 第一内科)柴田 悠平、松本 拓郎、中村 博、上村 真也、
二宮 空暢、北川 順一、岩下 拓司、南谷 泰仁、原 武志、清水 雅仁、鶴見 寿
超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は、開腹または経皮的生検に代わりうる安全かつ低侵
襲な検査法であり、我々は縦隔や腹腔内病変を有する悪性リンパ腫に対する EUS-FNA を多く経験
し、その有用性を報告してきた(Endoscopy 2006, Am J Gastroenterol 2012)。しかし通常 EUSFNA は胃や十二指腸から行うため、骨盤腔内の病変は適応とならない場合が多い。今回我々は、
経直腸的 EUS-FNA が診断に有用だった DLBCL の一例を経験したので報告する。症例は72歳女性。
25 年前に SLE と診断され PSL 5-10mg を内服していたが、3 年前に椎間板炎発症後に下肢麻痺状態
となった。2015 年 10 月に尿路感染症疑いで当院膠原病内科に入院したが、抗生剤投与開始後も発
熱が続いた。全身 CT で右尿管浸潤を伴う 5cm 大の卵巣腫瘍を認めた。開腹生検が検討されたが、
全身状態から施行は困難と判断し、経直腸的 EUS-FNA を施行した結果、必要十分量な検体が採取
でき、明らかな合併症も認めなかった。病理診断の結果 DLBCL と診断され、当科転科後 R-THPCOP 療法を開始したところ、熱型は改善し、腹腔内腫瘤の縮小も認めた。経直腸的 EUS-FNA は、
骨盤腔内の病変を有する症例に対して有用な検査である可能性が示唆された。
Key words: Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration、EUS-FNA, Malignant
lymphoma
― 14 ―
5
自家移植後ホジキンリンパ腫患者にブレンツキシマブベドチン
(BV)を用い、再移植を施行し得た 1 例
(伊勢赤十字病院 血液内科) ○西村 廣明(にしむら こうめい)
(伊勢赤十字病院 血液内科) 玉木 茂久、岡 弘毅、柴崎 哲典、臼井 英治、辻 幸太
【症例】30 代男性
【現病歴】2009 年に左腋窩リンパ節腫脹からホジキンリンパ腫と診断。ABVd 療法 6 コース施行し
完全寛解(CR)となったが、治療終了後 9ヶ月で再発。CHASE 療法 3 コース後に幹細胞採取を施行。
LEED 療法による移植前処置で、2011 年 4 月に自家末梢血幹細胞移植(auto PBSCT)を行い、CR
となった。2014 年 1 月右腋窩リンパ節腫脹を認め、ホジキンリンパ腫の再発と診断。ABVD 療法 2
コース施行し、BV を導入。15 回投与し CR を維持できたが、同種移植を拒否されたため、2015 年
6 月再度幹細胞を採取。十分量の細胞を採取できたため、MCEC 療法による移植前処置で、再度
auto PBSCT を行った。大きな合併症なく、移植後 CR を維持している。
【考察】再発難治ホジキンリンパ腫に対し auto PBSCT を再施行した報告は少ない。本例は BV 治
療後に十分量の自家末梢血を採取できたという点で重要である。BV を架橋的治療として用いるこ
とで、2nd auto PBSCT が難治例の治療選択になり得ると考え、報告した。
Key words; Hodgkin lymphoma, BV, auto PBSCT
― 15 ―
6
悪性リンパ腫に対する自己末梢血幹細胞移植後に FDG-PET/CT
で偽陽性を呈したリンパ濾胞過形成の 2 例
(浜松医科大学医学部付属病院 臨床研修センター) ○岡 伸一郎(おか しんいちろう)
(浜松医科大学 第三内科)安達 美和、深津 有佑、永田 泰之、小野 孝明
(浜松医科大学 腫瘍センター)柳生 友浩
FDG-PET/CT(PET/CT)は悪性リンパ腫再発の評価に有用である。今回、我々は悪性リンパ
腫に対する自己末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)後の PET/CT で、リンパ節に FDG 集積を認め
たが、生検ではリンパ濾胞過形成であった 2 症例を経験したため報告する。
症例 1:55 歳、女性。びまん性大細胞型 B 細胞性リンパ腫(DLBCL)に対し R-CHOP 療法 6 コー
ス施行後、8ヶ月で再発。救援化学療法後に第 2 寛解期で LEED 療法併用 auto-PBSCT を施行した。
移植 14ヶ月後の PET/CT で右頸部リンパ節に FDG の集積を認めた。同部の生検でリンパ濾胞過形
成と診断し、無治療で無病生存中である。
症例 2:56 歳、女性。DLBCL に対し R-CHOP 療法 8 コース施行後、10ヶ月で再発。救援化学療法
後、第2寛解期で LEED 療法併用 auto-PBSCT を施行した。移植14ヶ月後の PET/CT にて左上咽頭、
両側頸部リンパ節、右鎖骨上リンパ節に FDG 集積を認めた。右頸部リンパ節生検でリンパ濾胞過
形成と診断した。3ヶ月後の CT では腫大リンパ節は自然消退し、無病生存中である。
結語:悪性リンパ腫に対する auto-PBSCT 後はリンパ濾胞過形成により PET/CT の偽陽性を呈す
る可能性があるため、生検により病理組織を確認することが重要であると考えられた。若干の文
献的考察を加えて報告する。
Key words: Lymphoid follicular hyperplasia, malignant lymphoma, auto-PBSCT
― 16 ―
7
非血縁者同種骨髄移植後のステロイド抵抗性皮膚移植片対宿主病
に対して外用タクロリムスが奏効した急性リンパ性白血病の一例
(国立病院機構 名古屋医療センター 血液内科) ○長澤 貴穂(ながさわ きほ)
(国立病院機構 名古屋医療センター 血液内科) 國富 あかね、杉山 圭司、今村 恭子、
長谷川 祐太、中村 裕幸、鈴木 康祐、徳永 隆之、宮田 泰彦、永井 宏和、飯田 浩充
45 歳男性。急性リンパ性白血病を発症、化学療法後寛解を維持し、非血縁者間同種骨髄移植
(HLA、血液型、性別一致)を実施した。前処置は全身放射線照射(12Gy6 分割)とシクロホスファ
ミド(60mg/kg 2 日間)、移植片対宿主病(GVHD)予防はタクロリムス(Tac)と短期メトトレキサー
トを使用した。Day10 から発熱と左手背、頭部、両手掌に皮疹が出現し、ステロイド外用薬を開
始した。Day12 に好中球生着を確認した。Day13 に皮疹は全身に拡大し、急性 GVHD(ステージ 3、
グレードⅡ)としてプレドニゾロン(PSL)60mg の内服を開始した。Day30 から再度増悪したた
め PSL を増量したが改善せず、day33 から Tac 外用薬を追加塗布した。皮疹は緩徐に改善し、PSL
の漸減が可能となり、day72 に Tac 外用を中止した。ステロイド抵抗性皮膚 GVHD に対し、Tac 外
用薬の有効性が示唆された。
Key words: steroid refractory cutaneous GVHD, tacrolimus ointment
― 17 ―
8
骨髄異形成症候群から急性リンパ性白血病への移行
(愛知医科大学病院 血液内科) ○中村 文乃(なかむら あやの)
(愛知医科大学病院 血液内科) 山本 英督、後藤 峰明、内野 かおり、高杉 壮一、
水谷 元紀、堀尾 知弘、高橋 美裕希、水野 昌平、後藤 麻友子、渡会 雅也、花村 一朗、
高見 昭良
(愛知医科大学 造血細胞移植振興寄附講座)小寺 良尚
【症例】69 歳男性。
【現病歴】汎血球減少を伴う骨髄異形成症候群(MDS-RA)、46,XY,del(20)
(q11.2q13.3)、IPSS-R:
Low risk 群の診断 69 か月後、末梢血に芽球が出現。骨髄はミエロペルオキシダーゼ染色陰性の芽
球が85%を占め、IgH 再構成陽性、CD3
(-)CD5
(-)CD19
(+)CD20
(-)CD10
(-)CD13
(-)CD33
(-)
CD34(+)HLA-DR(+)の所見から、急性リンパ性白血病(precursor B-ALL)と診断した。染色
体は Ph 陰性で、MDS 診断時と同じ所見を含む異常がみられ、MDS から ALL への移行と考えられ
た。初回寛解導入療法により寛解が得られた。地固め療法 3 回後の第 1 寛解期に、HLA 一座不一致
非血縁ドナーより緩和的前処置骨髄移植を受けた。
【考察】MDS から ALL への移行は稀で、病態など不明な点も多い。文献的考察を含め報告する。
Key words: Myelodysplastic syndrome, Acute lymphoblastic leukemia, Transformation
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9
再発多発性骨髄腫・非移植例に対するサルベージ自己末梢血幹
細胞移植(ASCT)の検討
(総合大雄会病院 血液内科) ○橋本 昌哉(はしもと まさや)
(総合大雄会病院 血液内科) 高杉 壮一、爾見 雅人
(総合大雄会病院 検査室) 森田 夏子
移植適応多発性骨髄腫には、新規薬剤を含む寛解導入療法 /ASCT が推奨されている。初発時に
合併症等にて ASCT 実施できず、再燃時に救援療法として大量メルファラン(HDM)/ASCT を行っ
た 2 症例を報告する。
症例 1:59 歳男性、IgG k 型、BJP(+)、R-ISS Ⅲ、C-VAD ① -PAD ②施行し寛解が得られ、大量エ
ンドキサン(HDCPM)にて末梢血幹細胞採取(PBSCH)を行った。ASCT 予定されたが、C 型
慢性肝炎の悪化あり中止。3 年の無増悪期間(PFS)の後に再燃。BD ②コース後、部分寛解が得
られ HDM/ASCT 施行。寛解となり、20 か月の PFS が得られた。
症 例 2:65 歳 女 性、IgG l 型、BJP(-)、R-ISS Ⅰ、 ス テ ロ イ ド 抵 抗 性 AIHA に て 発 症。VAD ②
+PAD ③にて寛解が得られたが、黄疸を伴う肝炎にて ASCT 施行できなかった。治療終了 12 か月
後に肺 MAC 症発症。16 か月後に再度 AIHA 発症し骨髄腫再燃。BD ②コースにて AIHA 寛解とな
り HDCPM にて PBSCH、引き続き HDM/ASCT 施行。25か月経過した現在も PFS を継続中である。
考察:合併症のため初発時の ASCT を断念した 2 症例において、再燃時に BD 療法にて再寛解導入
を行い、病状の安定が得られた後に HDM/ASCT を行った。大きな合併症なく 16 か月以上の PFS
が得られている。移植適応症例で初回寛解時に移植ができなかった症例に対し HDM/ASCT は安
全かつ有効なサルベージ療法となると考えられた。
Key words: relapsed multiple myeloma, salvage therapy, ASCT
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10 生下時より皮下結節を伴う皮疹を呈した新生児の 1 例
(三重大学医学部附属病院 小児科) ○森本 真理(もりもと まり)
(三重大学医学部附属病院 小児科) 木平 健太郎、天野 敬史郎、坂田 佳子、豊田 秀実、
出口 隆生、堀 浩樹、東 英一、平山 雅浩
(三重大学医学部附属病院 皮膚科) 尾本 陽一
(三重大学医学部附属病院 病理部) 今井 裕、林 昭伸
(三重大学医学部附属病院 オーダーメイド医療部) 池尻 誠、中谷 中
先天性白血病は髄外浸潤の頻度が高い特徴を有し、その予後は極めて不良な群がある一方で、
自然軽快例も見られることが報告されている。今回我々は無治療で軽快した先天性皮膚白血病例
を経験したので報告する。症例は日齢 10 の女児。出生時より全身に皮下結節を伴う皮疹を認め、
皮膚生検にて Myeloid sarcoma の所見を認め先天性皮膚白血病と診断した。骨髄検査では芽球は
見られず、予後不良因子である MLL 変異や OTT-MAL 変異および予後良好因子である MOZ-CBP
変異は認めなかった。しかし、MOZ-p300変異を表す染色体異常46,XX,t(8;22)
(p11.2;q13)を認めた。
皮疹は日齢 30 に消退し、骨髄中の染色体異常は生後 2 か月で正常化した。生後 4 か月の時点で再燃
は見られていない。t(8;22)転座で見られる MOZ-p300 蛋白と(8;16)
t
転座で見られる MOZ-CBP 蛋
白は類似の機能を示すとの報告もあり、本例は予後良好群に分類できる可能性がある。
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11 Rituximab 併用大量 MTX 療法が奏効した中枢神経病変を有す
るリンパ腫様肉芽腫症
(三重大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科) ○爲田 里沙(ためだ りさ)
(三重大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科) 宮崎 香奈、山本 麻里子、伊野 和子、
中森 良樹、門間 文彦、松本 剛史、藤枝 敦史、杉本 由香、俵 功、山口 素子、
三輪 啓志、大石 晃嗣、桝屋 正浩、片山 直之
(三重大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科) 臼井 正信
【症例】36 歳、男性。
【現病歴】生後 53 日に胆道閉鎖症に対して肝門部空腸吻合術後、25 歳時に ABO 血液型不適合の実
兄をドナーとして生体肝移植術を実施。以後免疫抑制薬として tacrolimus, MMF, prednisolone を
投与していた。X-4 年 EBV DNA 量の上昇を認めたがクロナリティは認めず、tacrolimus の中止、
MMF と prednisolone の投与を継続した。X 年 2 月に発熱、咳嗽が出現し、胸部 CT で両肺野に多
数の結節影を認め、当院肝胆膵・移植外科に入院。経気管支肺生検でリンパ増殖性疾患の所見は
認めなかった。免疫抑制薬を中止したが、肺結節影の増大を認めた。同年 3 月下旬に胸腔鏡下肺生
検の結果、リンパ腫様肉芽腫症(LYG)
、grade 3 の病理組織学的所見が得られ、移植後リンパ増
殖性疾患(PTLD)と診断され、血液内科に転科。PS 0、頭部造影 MRI にて左前頭葉腫瘤を認め、
PET/CT にて左前頭葉、咽頭、両肺に FDG 集積を認めた。Staging の結果、IVA 期と判定。同年 4
月より rituximab(R)併用大量 MTX 療法を実施。2 コース後の EBV DNA 量は陰性化し、4 コー
ス後脳病変は消失したが、PET/CT では一部の肺結節に FDG 集積を認め、PR と判定。R 単独投与
後肺病変は縮小し、診断後 9 か月の時点で再増大を認めていない。
【考察】PTLD の多くが EBV 関連で、初回治療として免疫抑制薬の減量 / 中止が行われるが、それ
に続く治療法は確立されていない。本症例の経過から、中枢神経病変を認める LYG における免疫
抑制薬中止後の R 併用大量 MTX 療法は有用であると思われた。
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12 血液浄化・ステロイドパルスが奏功した EBV 関連血球貪性リン
パ組織球症の一例
(藤田保健衛生大学 卒後臨床研修センター) ○野村 宣徳(のむら よしのり)
(藤田保健衛生大学 血液内科) 岡本 晃直、稲熊 容子、徳田 倍将、森島 聡子、
蟹江 匡治、柳田 正光、山本 幸也、水田 秀一、冨田 章裕、赤塚 美樹、岡本 昌隆、
恵美 宣彦
【背景】重症 EBV 関連血球貪性リンパ組織球症(EBV-HLH)を、急性期血液浄化及びステロイド
パルスにて救命し得たので報告する。
【症例】40 歳 ・ 男性。2 週間前続く発熱、異型リンパ球 2 %、肝酵素上昇、EBV VCA-IgM 陽性より
伝染性単核球症疑いにて X 日に前医入院し、翌日より PSL40mg 開始。しかし、X+3 日に汎血球減
少、肝機能、腎機能が急性増悪し、ICU へ入室。フェリチン> 20000 ng/ml であり、EBV-HLH 疑
いにて当院へ転院。全血及び血清の EBV 定量 PCR で、2.0×106 copy/mg、1.2×107 copy/ml と上昇。
同日より mPSL 1g/ 日× 3 日開始。翌日より血液浄化施行した。5 日目には血球が改善。8 日目の
血清には EBV の消失も確認。同日より etoposide を開始し、8W のプロトコールを終了した。現在
治療後 7ヵ月であるが、血清 EBV 陰性、フェリチン正常を維持している。
【考察】血液浄化施行後より、劇的な改善を認めた。EBV-HLH に血液浄化が有効である可能性が
ある。
Key words:EBV、HLH、血液浄化
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