ご案内資料

第32回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会ランチョンセミナー8
アトピー性皮膚炎
Up to Date
∼病態から治療までを考える∼
座長
古江 増隆
九州大学医学部皮膚科学教室 教授
先生
高山 かおる
済生会川口総合病院皮膚科 主任部長
先生
演者
「アトピー性皮膚炎の病態と悪化因子に関するトピックス」
室田 浩之
先生
大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学教室 准教授
「長期寛解をめざすアトピー性皮膚炎の治療
片岡 葉子
-proactive
療法成功のコツ-」
先生
地方独立行政法人 大阪府立病院機構
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科 主任部長
日時
会場
2016年
4 24
月
SUN
日
日
12:10
13:10
岡山コンベンションセンター 第3会場(3F 301会議室)
〒700-0024 岡山県岡山市北区駅元町14番1号 TEL 086-214-1000
共催:第32回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会/鳥居薬品株式会社
アトピー性皮膚炎の病態と悪化因子に関するトピックス
室田 浩之
Hiroyuki Murota
大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学教室 准教授
アトピー性皮膚炎の治療において悪化因子の検索と対策に関する指導が重要であ
略歴
る。本講では私たちが近年見いだしたアトピー性皮膚炎の病態に関する知見と悪化
平成 7年 3月
長崎大学医学部卒業
因子対策に関するトピックスをご紹介する。1.思春期アトピー性皮膚炎の実態調査
平成14年 3月
平成 7年 5月
長崎大学大学院卒業
長崎大学 皮膚科学教室入局
平成15年 3月
長崎大学 皮膚病態学分野 助手
平成16年 4月
大阪大学 皮膚科学 助手
平成24年 4月
平成26年 4月
大阪大学 皮膚科学 講師
大阪大学 皮膚科学 准教授
の結果から小児期から成人まで症状の持続遷延化するリスク因子を検討したとこ
ろ、精神的ストレス、睡眠不足、温度、汗、花粉、ほこり、乾燥を悪化因子と考えている
方が有意に遷延型の自然経過を取る事が判明した。2. 保湿剤としてのコレステロー
ルの興味深い作用:角質細胞間脂質を模した保湿外用剤の優れた効果に着目し、コ
レステロールの役割について検討した。コレステロール外用は活性型コルチゾール変
現在に至る
所属学会
換酵素の発現を介して皮膚のバリアのみならず、炎症に伴う浮腫を改善することを
日本研究皮膚科学会 評議委員
見いだした。3.アトピー性皮膚炎の発汗機能、汗の性質、自律神経機能に関する評
日本アレルギー学会 代議員、
国際交流委員、
長期計画委員
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会 評議員、
学術教育委員会委員
価結果と汗対策:アトピー性皮膚炎において発汗機能の低下する要因を検討した結
日本発汗学会 評議員
果と汗対策指導の効果について自験例を含めて紹介する。これらの情報が日常診
療における患者指導の際の一助となれば幸いである。
日本皮膚科学会専門医
日本アレルギー学会認定専門医・認定指導医
長期寛解をめざすアトピー性皮膚炎の治療
片岡 葉子
Yoko K ata oka
資格
-proactive 療法成功のコツ-
地方独立行政法人 大阪府立病院機構
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科 主任部長
アトピー性皮膚炎は治らない疾患だろうか?治らないと断定することで複数の弊害
を生む。治療者は積極的な治療を避け、患者は治る治療を求めてステロイド忌避や不
適切治療の被害に陥ることもある。アトピー性皮膚炎は“適切な治療により症状のコ
ントロールされた状態が維持されると自然寛解の期待される疾患”である(日本皮膚
科学会ガイドライン)。治療の基本は、悪化因子の除去・スキンケア・薬物療法である
が、症状コントロールのために最も重要な役割は薬物、殊にステロイド外用薬を中心
とした抗炎症外用療法にあり、元来皮膚科専門医が的確に主導すべき療法である。
抗炎症外用療法において、近年優れたevidence が確立されているのはproactive
療法である。proactive 療法は、症状の改善後も間欠的な抗炎症外用を継続する療
法として周知のものになったが、詳細はまだ確立されておらず発展途上の療法であ
る。2009 年から当院では血清TARC をバイオマーカーとして厳密なproactive 療
法、
“外用tight control”を数多くの重症患者に対して実践してきた。その結果、長年
治らないとされてきた重症成人患者であってもこの療法で約6 割は少ない薬剤で長
期寛解維持が可能となり、中にはdisease free, drug free を達成できる患者も確
認している。また乳児患者についても1990 年代に比し大きく予後が改善され、食物
アレルギーのリスクも減じることを確認している。これらの成果は軽症、中等症の患者
においてはより容易に得られる。この数年間の経験から演者らは、アトピー性皮膚炎
の長期寛解維持における適切なproactive 療法の重要性を実感している。しかし、ス
テロイド外用薬を単に処方するだけではこの治療は成功しない。治療ゴールを意識し
ない漫然としたステロイドの外用は、間欠外用といえども患者のステロイド不信を招
きかねない。proactive 療法成功のためには、患者のアドヒアランスを高めるととも
に、医師側は、多彩な発疹が多様に分布するアトピー性皮膚炎皮膚の、どこに、何を、
どれだけ、いつまで外用するかを周到に計画し、遂行することが求められる。その結
果、患者を長期寛解に導くことこそが皮膚科専門医の面目躍如である。寛解導入、維
持、漸減の3 段階にわけてproactive 療法成功のコツを解説する。
略歴
1983年
1983年
1985年
1985年 7月
1996年
1999年
2003年 10月
2006年
2011年
広島大学医学部卒業
広島大学医学部付属病院皮膚科研修医
大阪大学医学部付属病院皮膚科研究生
大阪船員保険病院皮膚科勤務
大阪府立羽曳野病院皮膚科医長
同皮膚科部長
同病院改称 大阪府立呼吸器アレルギー医療センター皮膚科部長
同皮膚科主任部長
同アトピーアレルギーセンター長
(兼任)
所属学会
日本皮膚科学会
(専門医)
(代議員)
日本アレルギー学会
(専門医・指導医)
(代議員)
日本心身医学会
(専門医)
日本うつ病学会
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
(理事)
日本皮膚科心身医学会
(理事)
アトピー性皮膚炎治療研究会
(事務局長)
European Society for Dermatology and Psychiatry
専門
アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、皮膚アレルギー、
膠原病、
皮膚心身医学等