私の仕事 私の思い

スタッフそれぞれが危機意識をもって
私が日頃から取り組んでいるのは、
ろうけん青空は、平成14年、鹿児
ご利用者とのいま・そのとき・その一瞬を大切に
島市北部の桜島を望む高台に開設さ
ご家族のほうから、いつでも気軽に
れたユニットケア型の在宅強化型老
話し掛けていただけるような雰囲気
所属する認知症専門棟のケアのな
健施設です。私はケアマネ・RM(リ
づくりです。ご家族との面会時には
かで、私が一番大切にしているのは、
スクマネジャー)として、ケアマネ
必ず言葉を掛け、コミュニケーショ
ご利用者がいかに、いま・そのとき・
ジメント、入退所管理、苦情処理等
ンをとることは、お互いの信頼関係
その一瞬を楽しく過ごせるかです。
の業務に携わっています。
の構築には必須だと考えています。
一昨年RM養成講座を受講したの
は、あるご利用者家族からの苦情が
きっかけでした。その苦い体験から
ろうけん青空(鹿児島県)
ま え
ケアマネ(RM)
だ
前田さとみ
学んだのは、苦情対応にかかわる者
ご利用者が不安感から不穏になる
新卒でこの業界に飛び込み、介護
のであれば、私たちがその不安を少
福祉士として丸 6 年が経ちました。
しでも取り除くお手伝いができたら、
ご利用者にも笑顔が戻るのでは?
そこで重要なのが声掛けと考えま
した。この声掛け 1 つで相手の感情
をよくも悪くも変えられるのです。
ご利用者はどうしても時間が経つ
ご利用者の微小な状態の変化や対
と、これまでの体験や出来事を忘れ
応については、ケアマネや支援相談
てしまいがちになり、何度も何度も
員を中心に多職種連携し、その都度
同じ訴えをする、私たちスタッフに
ご家族に連絡するようにしています。
は身に覚えのないことで急に怒りは
よどの里(大阪府)
う め た に ゆ う
介護 じ
梅谷優司
ということは、コミュニケーション
技術を極めさえすれば、どんな相手
でも笑顔にすることができるのでは
ないでしょうか。
は、事態を冷静に受け止め、誠実に対応するため
毎月ご利用者ごとに写真と近況を伝える「青空
じめる…、そんなとき私たちは「また始まった」
行事やレクの企画をしても、次の日には忘れ去
に、精神的・肉体的に強くないといけないという
だより」の発行もリスクマネジメントの 1 つです。
と、ともすると惰性や先入観で接してしまいます。
られていることもあります。ご利用者にとっては、
これからも、スタッフ 1 人ひとりがそれぞれの
そんなご利用者も、楽しいときは笑顔で私たち
そのときその一瞬だけかもしれないのです。だか
立場から危機意識をもち、小さなことをそのまま
スタッフを心から労ってくれ、昔話に花が咲くこ
らこそ私は、いま・そのとき・その一瞬を大切に
みんな同じような体験があり、リスクマネジメン
にせず、そのときそのとき的確な対応ができる組
ともあります。あたりまえのことですが、ご利用
したいと思います。ご利用者の残された時間の一
トに対して前向きになることができました。
織をめざしていきます。
者それぞれに素敵な一面があるのです。
瞬でも、楽しいときを一緒につくれるように。
ことでした。
この講座で、受講者どうし交流していくうちに、
私の 仕 事 私 の 思 い
私の仕事は、音を使います。
楽療法と、多種多様なニーズに合わせたセッショ
を回避しようとして歪みを生じ、さらなる痛みの
地域連携や看取りにも積極的に取り組む、横浜
ンを行えるようになりました。
原因となり、施設内での業務そのものにまで支障
市南部、開設 18 年目の在宅強化型の当施設に音楽
を来す負のスパイラルが発生します。
療法士として入職し、今年で9年目になりました。
理学療法士=リハビリ専門職としての私の役割
このような痛みを放置しておくと、身体は痛み
は、当施設内はもちろん、地域の方々の健康・生
活・人生がより良いものになるよう支援すること
です。
高齢者施設で働く職員のなかには、自己の身体
当施設では、
「ご利用者の声をしっかり聴くこ
を犠牲にしながら業務を行っている人を多く見か
と」をモットーとしています。
けます。
これは、ご利用者のこれまで生き
て来られた人生の背景をできるだけ
知ることにつながります。
しかし、この「聴く」ことはなか
十分耳を傾けることができません。
あげ
み
あ
す
か
上見明日香
PT たり、施設内でのコンサートの企画も
作指導を行っています。
きっかけを歌や音で引き出すこと、
しています。これには有名な歌手が来
表現することは自尊心の向上につな
てくれたこともあるんですよ。
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当施設のブログも私が担当してい
がります。
楽器を演奏することで、残存機能の
の最高の目標である地域の方々の健
活用、QOL の向上をめざし、心身両
康・生活・人生への支援につながる
面へアプローチします。
と信じています。
ますので、「老健こもれび」で検索し
また、音楽に合わせ身体を動かし、
ひいては、リハビリ専門職として
よりよい介護は職員の心身の健康から
52 ●老健 2016.5
近隣の方々、中学・高校、大学と連絡
行錯誤の日々を送って来ました。
あるときを中心に人生を振り返る
むことは介護の質を高めます。
高齢者支援センターコスモピア熊本(熊本県)
地域の子どもたちに夏祭りの太鼓を教えたり、
老健施設での音楽療法の領域を開拓するため、試
をとり合い、演奏会をセッティングし
このように、介護する側が心身と
たとえば、介護する側の職員が腰
かかわる貴重な経験を積んでいます。
その方が楽しかった、思い入れの
もに安定した状態になるよう取り組
おくことが重要になります。
音楽療法士として大切な役割を担い、人の生命に
私はこれまで、当施設初の音楽療法士として、
私はこのような職員に対し、適切
なか簡単なことではなく、しっかり
安や不調がない万全の状態に整えて
ターミナルケアでも多職種協働は大切で、私は
な自主訓練の方法や正しい姿勢・動
「聴く」ためには職員自身の心身を不
痛を抱えていると、ご利用者の話に
私の 仕 事 私 の 思 い
現在は、大集団・小集団・個別音
てみてくださいね!
こもれび(神奈川県)
まち
だ
ま
い
町 田 真委
MT これからも音や音楽を通じて、施
設内外を問わずさまざまな人々とか
かわり続けたいと思います。
音楽を通じたさまざまな取り組み
老健 2016.5 ● 53
2016/04/14 17:05