〔要 旨〕 戦後まもない時期におこなわれた 「日本人の読み書き能力調査」

1
05
「日本人の読み書 き能力調査 」(
1
9
4
8)の再検証
角
知
行
〔
要 旨〕 戦後 まもない時期におこなわれた 「日本人の読み書 き能力調査」は, 日本人
の絶対的識字率のたかさをしめす調査資料 として引用されることがおおい。 しかしそこ
には.国語国字運動の政治力学が作用 している。そうした引用だけに集約 されない興味
ぶかいデータが,この調査報告書にはのこされている。諸外国の リテラシー調査ではそ
の後 「
機能的T
)テラシー (
unc
f
t
i
o
na
ll
i
t
e
r
a
c
y
)
」 という概念が注 目され利用されるよう
になってきた。本稿では 「
新聞をよむ」 という言語行動を中心に,機能的リテラシーと
9
%」 といわれる日本人のよみかき能力
いう観点からこの調査 を再検証する。「
識字率9
にも,一定の限界があることを指摘 したい。
〔
キーワー ド〕 リテラシー (
読み書 き能力,識字),機能的1
)テラシー,識字率
1.は
じ め に
,「国語民主化」 のかけ ごえの もと, さまざまな 日本語 の改
9
4
6(
昭和2
1
)年1
1月 に,
「当用漢字表」 (
内閣告示 ・訓令)が公布 され,
革が こころみ られた01
第二次大戦後 まもない時期 には
8
5
0
字 ときめ られた。お な じく11月 には 「
現代 かなづかい」 (
内閣
日常使用す る漢字 の範 囲が1
告示 ・訓令) も公布 され,口語文 をか きあ らわす ときに もちいるかなづかいの準則が しめ され
たo漢字の制限,表書式 を基本 とす るかなづかいの採用は,それ までの国語国字 問題 の降着状
9
4
8
年 には義務教育のあいだに指
況 をうちやぶる画期 的なで きごとであった といえる。 さらに1
81
字 とす る 「当用漢字 別表」 や音訓の範 囲 を しめす 「当用漢字
導すべ き漢字 (
教育漢字) を8
9
7
9の年表 に
音訓表」 なども公布 され, 日本語表記 の改革 はすすめ られていった (
武郡 良明 :1
よる)0
*本稿 では,梅梓忠夫,野村雅昭,加藤秀俊 らの こころみ にな らって,むずか しい漢語 ・
漢字 はさけ,和語 はで きるだけひらがなで表記する とい うス タイルをとる。一部 よみづ
らい箇所 もあるか もしれないが,ご了解 いただ きたい。
これ らと並行 して,おな じ時期 に日本語 に関す るふたつの調査がお こなわれている。 ひ とつ
9
4
6年 日本 をお とずれたアメ リカ教育
はローマ字教育実験 である。 よ くしられている ように,1
使節団はその報告書で 「いずれ漢字 は一般 的書 き言葉 と しては仝廃 され,音標文字 システムが
採用 され るべ きである と信ず る」 とのべ ている (
村井実 :1
9
7
9,p.
5
6
)
。1
9
4
8年か ら1
9
5
1
年に
かけての 3学年 にわたって, ローマ字 の有効度 をはかるべ く,初年度8
9
,第 2年度 1
2
0,第 3
年度 1
0
1
の学級が実験 に参加 して, ローマ字 をつか った美顔 的教育がお こなわれたoその報告
書 は1
9
5
1
年 3月に文部省か ら発表 されてい る。実験 の経過 について,近年 M.
ア ンガーは 「
人
Ung
e
r
,
事 的対立 によるローマ字実験つぶ し」 とい う興味ぶかい事実 をあ きらか に してい る (
Ma
r
s
ha
l
l∫:1
9
96=2
0
01
)
。
おな じ時期 にお こなわれ,そ しておな じようにわすれ さられた調査が もうひとつあ るoそれ
1
06
天 理 大 学 学 報
が本稿で これか らとりあげる 「日本人の読み書 き能力調査」である。 アメリカ教育使節団報告
書 には 「
生徒たちは,民主的な市民 となるに必要最低限の言語能力に,小学校 を卒業 した時点
では まだ欠けているであろうo彼 らは新聞や大衆雑誌の ような一般的読み物 を読むのにも困難
を感 じる」 とい う記述がある (
村井実 :1
9
7
5
,p.
5
5
)
。民主的な市民 をそだてるため に,現行
の表記が有用であるか どうかを検証すること, もっとはっきりいえば,現行表記の非効率 さを
実証することで 日本語表記のローマ字化の可能性 をさぐることが模索 された。そ うして実施 さ
れたのが この調査である。「ローマ字教育実験」 と 「
読み書 き能力調査」 は,「国語民主化」の
前提 となる 日本語表記の効率 (
非効率)を実証 しようという壮大な二大 プロジェク トであった
といえる。
「日本人の読み書 き能力調査」 は1
9
4
8
年 に実施 され,1
9
5
1
年に 『日本 人の読み書 き能力』 と
4
8
年調査」 と略記す
して東京大学出版部 より報告書がだ されている (
以下では この調査 を 「
る)。調査対象者 は1
5
歳か ら6
4
歳 までの 日本人 1
6
,
8
2
0
名 とい う大規模 な調査 であ り,その報告
書 も資料 をふ くめて9
0
0
ページをこえる膨大 な ものである。 しか し, この報告書 は労力のおお
ききに もかかわらず,内容 にふみこんで検討 されてはこなかった。直後 にい くつかの新聞や雑
誌で とりあげられたが,概要 を紹介するだけの簡単 なものであった。 日本 人の識字率がたかい
という結論だけが引用 されることもおおかった。調査か ら5
0
年 をす ぎたい までは,言及対象に
なることもほ とんどな くなって しまった (
1
9
8
6
年の勝岡寛次の論文以降,研究論文は皆無 とい
っていいほどだ)
0
その原 因は,い くつかかんがえられる。大部な報告書は調査対象者やテス ト問題のサ ンプリ
ング,属性別にみた分析,結 果の検定 といった統計的記述が大半 をしめ, よみに くい文体 にな
っていることがひとつの原因か もしれない (この調査 は林知己夫の数量化 1類研究のベースに
9
5
5
年 に関東地方 と東北地方 にすむ1
5
歳か
なったことで も有名である)。 日本ではこのあ と,1
ら2
4
歳の青年1
,
4
6
0
人 を対象 に 「
国民の読み書 き能力調査」 (
以下では 「
5
5
年調査」 とよぶ)が
おこなわれたが,これを最後 にリテラシー調査 は とだえている。小学校,中学校,高等学校の
生徒 を対象 に した漢字能力調査 は国立国語研究所などがお こなっているものの, リテラシー調
査 とはいろんな意味で ことなる (
国立国語研究所 :1
9
7
1
,1
9
8
8な ど参照)o穀後, 日本人の リ
テラシー問題への関心が うすれていったことも原因のひとつであろう。
本稿は, この 「
4
8
年調査」 を主題 として とりあげる。それはわすれ られた歴史上のエ ピソー
ドにもう一度ひか りをあてるためではない。 この調査が 日本人の リテラシーを考察するうえで,
い まなお現代的な意味 をもっているとかんがえるか らである。
」 は,な まえをか く能力 (
署名能力) とい っ
かつては 「リテラシー (よみか き能力,識字 )
た最低水準 におけるよみかきの能力 をさしていた。 しか しふだんの生活でなまえをか く機会 は
ご くわずかである。現代社会でその有無 を しらべてみて もたい した意味 はない。 む しろ 日常生
活の もっとひろい範囲において実際におこなわれているよみか き行動 にもとづいて, リテラシ
ーは定義 されなければな らない。 こう して提唱 されたのが 「
機能 的 リテ ラシー (
f
unc
t
i
o
na
l
l
i
t
e
r
a
c
y)
」である。M.カンプは第二次大戦後の ヨーロッパの リテラシー概念の変遷 を三期 に
わけているが,その第二期 として機能的 リテラシーを位置づけ,1
9
7
0
年頃か ら1
9
8
0
年代 にかけ
て リテラシー研究の主要なパ ラダイムであった としている。 リテラシーの問題が解決 された と
み られている西欧諸国で も, じつは成人のなかに日常生活の よみか きに問題 をかかえる一定の
層,つ まり 「
機能的非識字者」がいることがあ きらかにされ,それ-の対策が要請 されたので
Ra
mp,
Ma
xv
a
nd
e
r:
1
9
9
7
)
0
ある (
「日本人の読み書 き能力調査」(
1
9
4
8)の再検証
1
07
日本でお こなわれた 「
48年調査」 はかならず Lも機能的 リテラシーの問題意識 をはっきりと
もった ものではなかったo Lか し, リテラシーの定義や問題文の一部 に機能的 リテラシーのか
んが えかたをふ くんでお り,先駆的な調査 といえる一面 ももちあわせていた。調査結果は,絶
対的識字率のたかさ (
ひ くさ)の次元で とらえられているが,データのなかには 日本人の機能
的 リテラシーのあ りよう (
機能的限界) を示唆 している部分 もある。
もちろんこれは5
0年以上 も前 にお こなわれた調査であ り,教育水準 もあが った現在では状況
がかわっているだろう。 しか し,現在 も日本語や 日本人が共有する問題が時間をこえて指摘 さ
れているか もしれない。戦後 まもない時期 にお こなわれた リテラシー調査 をもう一度検証 し,
いまも存在する (
か もしれない) 日本人の リテラシー問題の一面 をとりだす こと, これが本稿
のめ ざす ところである。
2.「
4
8
年 調 査」 の概 要
1
9
48年 におこなわれた 「日本人の読み書 き調査」の報告書は,い までは入手す ることは困難
ど (
インターネッ ト上の古書店で も確 認で きない)
。なまえこそ しられてはいるが,なかみ ま
で報告 されることはあまりない。 まず この調査の経緯,内容,結果について,簡単 に紹介 して
お くことにする。
調査がお こなわれることになったい きさつについて報告書では 「
1
9
47年 1
2月,連合軍総司令
部民 間情報教育部 (
CI
E)の言語問題 を担当 していた Jo
hn C.Pe
l
z
e
l氏か ら文部省へ 日本人
の読み書 き調査 をしてみないか とのすすめがあった。文部省はこれを教育研修所務台理作 にっ
たえた」 と簡単 な記述があるだけであ る (
読 み書 き能力調査委員会 :1
951,p.
2
31)
。 しか し,
ベルゼルが,テス トの構成方法,被調査者のサ ンプ リング,調査機
前年 より赴任 していた J.
構 について,かな りくわ しい実施要綱 をすでにつ くっていた ようだ (
勝 岡寛次 :1
9
86)
。
やがて 「
読み書 き能力」調査委員会がつ くられ,委員長に務台理作が就任 した。つ ぎに実際
に調査 をお こなう中央企画分析班員 (
専 門委員)が指名 された。 メンバーは石黒修 (
委員長),
柴田武,金田一春彦,城戸幡太郎,梅津八三,林知己夫,白石-誠,景山三郎であった。報告
書の編集 をおこなった編集委員 としては,石黒修,柴田武,島津一夫,野本菊男,林知己夫の
なまえがあげ られている。
調査報告書は調査 目的か らふでをお こしている。 日本国民の よみか き能力は世界で もかな り
たかい ものである とされ,義務教育の普及率や一般的書物の出版数のおお さが これをうらづけ
るとされて きた。 しか し 「国語国字問題」のなかで論 じられて きたことは,その よみか き能力
は,正常 な社会生活 をい となむのに不十分ではないか,そのために文字言語の改革が必要なの
ではないか, ということであった。報告書は, しか し国民の よみか き能力が正常な社会生活 を
い となむのに不十分であるとい うことが科学的に証明されたことは一度 もなかったとして,そ
の証 明が調査 の主 目的であることをあ きらか に してい る (
読 み書 き能力調査委員会 :1
951,
p.1)。国語国字論争 においては,漢字 を弁護す る表意派 といわれるひ とたち と,カナモ ジ化
や ローマ字化 をもとめる表音派 といわれるひ とたちのあいだで,論争がつづいていた。 この報
告書の論調 は,中立 をよそおってはいるが,表音派の立場 にたちつつ,文字言語の改革に調査
をつなげようとい う意図があったようにお もえる。
ついで, リテラシーの定義 をおこなっている。 リテラシーは 「
社会生活 を正常 に営 むのにど
うして も必要な度合,お よび型の文字言語 をつか う能力である」 とされる (
同書 :p.3)。注
目すべ きは,署名 といった最低限度の リテラシーや学校教育の学年 と関連づけて段階化 される
1
0
8
天 理 大 学 学 報
リテラシーの定義 とはことなっていることである。 日常生活の活動 との関連で リテラシーを定
4
8
年調査」 の リテ ラ
義す るこ とは,その後 「
機能的 リテラシー」 とよばれる ようになった。「
シー定義 は,その さきがけ ともい うべ きものであるO
この定義 にもとづいて, 日常生活 に必要 な思想 や情報の とりかわ しが 「マス ・コ ミュニケー
,「新 聞,届 お よび通達, ビラ,個
シ ョン」 と定義 される。 この うちのお もな文字言語 と して
人的 な手紙」があげ られ, これ らを素材 に したテス ト問題がつ くられている (
い うまで もな く,
マス ・コミュニケーシ ョンの定義 は現在の定義 と多少ずれている)。
実際 に もちい られたテス ト問題 は,資料 と して末尾 にかか げてあ るのでみ てい ただ きたい
(
当時の世相がわかってお もしろい)。各間の内容 と出所 をまとめる とつ ぎの ようになる。
問 1 :調査者 (
試験官)が発音 して,その昔 をひらが な ・カタカナでか きとらせ る問題 。
「さ くら,春 に咲 くさ くらです」の ように敦示 された。語嚢 は 『
明解国語辞典』千
坂本一郎 『日本語基礎語嚢』 な どか らあつめ られた。
「日」や 「
番 地」 な ど) は新 聞語
問 2:アラビア数字 と漢数字 のか きと り問題。助数詞 (
の度数表か ら頻度のたかい ものが とられた。
問 3 :調査者が発音 した語 に○ をつける問題。 た とえば 1は 「さる,動物の さるです」 と
い うように敦示 された。かなの出所 は間 1とお な じ。数字の助数詞 は新聞語の度数
表か らえ らばれている。
問 4 :調査者の発音する漢字の音 をきいて,ただ しい漢字表記 をえ らぶ問題。消費 ・分配,
交通 ・通信,政治 ・法律 にかんす る さまざまな文字資札
た とえば納税 申告,領収
書,商業広告 ,新聞,手紙,壁新 聞,履歴書,道路標識,諸届,契約書 な どか らと
られた。 この間題 も 「
『
出口は こち らです』 とい うときの 『
出 口』です」 とい った
具合 に,文章のなかで語が発音 された。
間 5 :漫字のか きとり問題。出所 は間 4とお な じ。当用漢字表お よび別表 の漢字が えらば
れいるC,
間6:漢字 の語 をよむ とともにその意味 の理解 をたずねる選択肢問題 。1
5
間中,1
2間は新
聞語の度数表 にウエ イ トをかけ, さらにキーワー ドかそれ にちかい語が え らばれて
いる。他の 3語 は, 間 4とおな じくさまざまな文字資料が出所 である。
間7:漢字 でかかれた語の理解 を しらべ る選択肢問題。出所 は,1
5
間中,1
2
間がおな じく
新 開語 。3語 はさまざまな文字資料か らえらばれている
。
問 8 :文やパ ラグラフの理解 を しらべ る問題。「
村民運動会の案 内」 と 「
看護婦募集」 を
のぞいては,実際の新聞記事が材料 になっている。
7
0
地点 をえ らぴ,つい
調査対象者のサ ンプ リングは,層化摘 出法 に よって, まず全 国か ら2
5
歳か ら6
4歳 までの 日本 人2
1
,
0
0
8
人 を抽 出 した。調査 は小学校 な ど
で各地点の物資配給台帳で 1
の公共施設 を利用 した集合調査 としてお こなわれ,被調査者 には 「
読み書 き能力調査委員会長
9
4
8(昭和2
3
)
務台理作」名で,調査 へ の出席 と協 力 を依頼 す る文章が お くられた。調査 は1
午 ,8月 8日か ら2
6日にかけて実施 された。欠席率 のたかいい くつかの地点では再調査 もお こ
6
,
8
2
0
人,出席率 は8
0%であった。近年 の選挙投票率 と
なわれている。最終的 に被調査者数は1
くらべる と, この出席率がいか にたかいかがわかる。公共施設 にお もむいた被調査者 はかか り
の もの による年齢,性別,職業 な どの基本調査 にこたえたあ と,教室で調査者の指示 に したが
1
09
「日本人の読み書き能力調査」(
1
9
4
8)の再検証
って,テス ト問題 に回答 した。
調査結果は, 1間 1点 として9
0点滴点で採点 された。総得点の分布は図表 1に しめ してある。
これをみればあ きらかなように,高得点 に集 中す る J字型分布 になっている。平均点 は1
0
0点
8点 で あ った。満 点 は4.
4%であ るが,不 注 意 に よる まちが い を推 定 す る
満点 に換算 して7
と,6.
2% となる。一方,正解答ゼロは報告書では 「
完全文盲」 とされている
(
「
文盲」 は不適
切な用語であ り,「
非識字者」 とい うべ きであるが,ここでは歴史的用語 として うえの ように
「
」 をつけて使用することにする)。その割合 は1
.
7%であった。 間 4以降には漢字が登場する
が,間 4以降が正解答ゼロであった もの,つ まりかなはわかるが漢字はまった くダメだ とい う
ものは 「
不完全文盲」 とされる。「
不完全文盲」 は 「
完全文盲」 をふ くむが ,2.
1%であった。
_
‥
_
‥
.
.
I
ここでの非識字者の数字 については,注釈が必要だ。 日本 人の識字率は 「
99%」であるとい
う説が まことしやかにささやかれることがある。それはひとつの 「
神話」 になっている といっ
て もよい。その根拠 のひとつ になっているのが ,「
4
8年調査」での1
.
7%,2.
1% とい う数字で
8% とい うこ とになるのだが-。あ るい は 「
5
5年調
あ ろ う。(
そ うす る と識字率 は正確 には9
1% (
関東),0.
8% (
東北) とい う非識字者の数字が根拠 なのか もしれない。だが
査」での0.
「
5
5年調査」 は調査対象者が青年層 に,地区 も関東地方 と東北地方に限定 された部分的な調査
である)。だが,この識字率の算定 にはおおい に問題がある といわなければな らない。3点あ
げてお きたい。
①調査 の時間や場所 をしる した 「
読み書 き調査案内状」がサ ンプルとしてえらばれた家庭
にお くられたのであるが,かな りむずか しい漢字 をふ くむ漢字かなまじりでかかれたこ
の文書 を,非識字者が よめなかった可能性がある。あるいはだれかによんで もらった と
して も, よみか きのテス トに しりごみ してでかけなかった可能性 もある。そ うした意味
集合調査」 とい う調査方法が もっていた限界 をかんがえなければならない。
で,「
(
∋報告書の集計では解答 を したが正解答ゼ ロであった ものだけが非識字者 とされまった く
解答がなかったものは 「
無反応者」 として別あっかい されている。「
無反応者」 は1
.
6%
いたのだが,別あっかい していいのか どうか,判断がわかれるところである。
③ あ らか じめ精神障害者,身体障害者 な どは調査対象者か ら除外 されている。「
外 国人,
め くら,つんは,お し,お よび精神的あるいは肉体的に無能な人はのぞ くべ きであろう
と考 えた」 (
読み書 き能力調査委員会 :1
951,p.
25) として,サ ンプ リングか らはぶか
11
0
天 理 大 学 学 報
れている。かれ ら ・かの じょらが会場 にきた時 には 「
被調査者名簿の備考欄 にその旨記
,
入 して,受付 で帰 って もらう」 (
同書 :p.
2
4
4) 「
文盲,白痴 な どで会場 の秩序 を乱す
,「片 目」
2
47) ともあ る。 また
者 は,途 中で退場 させて さ しつ か え ない」 (
同書 :p.
」「耳が とおい」 な どの ものには, うけつけでかか りが備考欄 にチェ ッ
「きき腕がない
クをす る とい う記述があ る (
同書 :p.
2
4
4)
。チ ェ ックされた ものが集計 の際 に どの よ
」
」 」「白痴」
うに処理 されたのかはわか らない (
文中の 「め くら 「
つんぼ」「
ー
ぉし 「
文盲
といった語はいうまで もな く差別語である)。いずれにせ よ, この調査 は障害者等 を排
除 した差別的な調査であった といえる。近年の リテラシー調査では,当然のことなが ら
障害者や在住外 国人 も調査対象者 とな り,属性別集計 の一項 目になるとともに,必要な
政策課題が提案 されている (
Na
t
i
o
na
lCe
nt
e
rf
♭
rEduc
a
t
i
o
nSt
a
t
i
s
t
i
c
s:
1
9
9
3など参
照)
。
こうしたいろんな事情 をかんがえるな らば,当時の非識字者の割合 は,1
.
7%の何倍かはい
9%」 という数字 には根拠がない といわ ざるをえない。
たはずである。 この点だけで も 「
識字率9
以 下では
「
4
8
年調査」のいろんな数字 を引用す るが,それ らはい くらか さしひいてかんがえる
べ き数字である。
3.調査 結果 をめ ぐるふ たつの解 釈
「
4
8
年調査」の結果 については,ふ たつの解釈があった といえる。報告書では, 日本 人の
「
文盲率」 はきわめてひ くい とい う仮説は支持 されるとのべつつ も,正常 な社会生活 をい とな
むにはどうして もで きなければならない最低限度の能力が リテラシーである として,「
l
it
e
r
a
te
,『満 点』 を とる こ とが 必 要 で あ る」 (読 み 書 き能 力 調 査 委 員 会 :1951,
で あ るため には
p.
3
3
2) とのべている。そ うす る とあや ま りの可能性 もふ くめた満点者6.
2%だけが識字者 と
い うことになる。 こうした ものをもっとふやすためにはどうした らいいのか,それには1.国語
文字言語その ものをあ らためるか,ふたつの方法 しかない。 し
教育の技術 をあ らためるか,2.
か し 1の方法 は限界がある として,結論章で はつ ぎの ように提 言 されてい る (
同書 :p.
430)
。
文字言語その ものを改めるにはどうすればいいであろうか。それには,新 しい文字 (
カ
ナモジまたはローマ字) を国字 として採用 しないか ぎり,当用漢字 をもっと合理的 に決定
し, または,漢字の用法 を合理化すべ きであろう。 しか し, この方法が本当にいい方法で
あるか,すなわち国民の読み書 き能力 をあげるために効果ある方法であるか どうかは,別
に計画 したテス トで検討 しなければならない。 ここではただ,この方法が ひとつの大 きい
可能性 をもっているとい うにとどめる。
慎重 ないい まわ しなが らここで示唆 されているのは,あた らしい文字の採用, もしくは漢字
Eのベルゼルは基本的 には表音文字の効
制限の強化 である。本調査 の基本計画 をつ くった CI
率 を信 じる 「
表音派」の人物で,本人は否定 しているが,専門委員の柴田武 に 「ローマ字 に有
利 なように結論 をか く」 ことをたのんだとい う柴田武の証言 もあるようだ (
勝岡寛次 :1
9
8
6
,
p.
1
1
1
)
。
しか し,満点 をとったご く少数の ものだけを識字者 とする (
これは低識字率解釈 とよべ る)
のは無理があるようにお もわれる。 日常生活 において,わた したちは多少の よみまちがい,か
きまちがいをおか しつつ も,十分 にうまくやっているか らである。 こうした無理 な解釈の背景
には,報告書の作成や指導 にあたった ものたちの表音主義への指向があったといわなければな
らない。
「日本人の読み書 き能力調査」 (
1
9
4
8
)の再検証
1
1
1
いっぽ う 「
4
8年調査」 の結果 を もって, 日本 人の識字率のたか さが実証 された とい う解釈 も
ある (これは高識字率解釈 とよべ る)
。1
9
5
0年 にでた第二次 アメ リカ教育使節 団の報告書 の論
調 は, ローマ字の採用 をすすめる第一次 の ものか ら, よ り穏健 な ものへ とかわった。 中田祝夫
はその原 因 として, この間に 「
4
8年調査」があった ことに注 目す る。調査結果 をみる と,当初
アメリカ人がかんが えた ように,少数の特権 階級が漢字 を使用 し,民衆 を文字文化 か らとお ざ
けている とい うのではな く,かえって利点のおおい漢字 は 日本 の民主主義発展 のためにみ とめ
ざる をえない とい う結論 にな ったので あ ろ う, と推 測 してい る (
中田祝 夫 :1
9
8
9,p.
3
2
2)
。
「
漢字不滅 を体験 して」 とい うその論文名か らうかがえるように,中臣=ことって 「
4
8年調査」
はなによ りも日本人の識字率のたか さ, 日本語表記 の効率 を立証 した調査 であった。
この高識字率の数字 に根拠がない ことはすでにのべ た とお りである。 さらにい えば,多少の
よみか きがで きる とい うことは,社会のなかで文字 を もちいて十分 に適応 で きている とい うこ
とを意味す る ものではない。それはカタコ トの外 国語が しゃべ れるか らといって,その外 国語
がつかわれる社会で うま くやっていけることにす ぐにはつ なが らないの とおな じことである。
たかい とされる識字率 の内実 こそが とわれなければな らない。
「
4
8年調査」 あるいは 「
5
5
年調査」がお こなわれた時期 は,国語審議会 において表音派 とい
われるひ とたちが主流 を しめ,い ろんな言語改革が実施 されていた時期 である。 しか し国語審
1
9
61
年) な どを契機 に して,1
9
6
0年代以降は,逆 コース と
議会での表意派 5委員の脱退事件 (
もい うべ き漢字重視 の方向へ と転換 し,改革 にブ レーキがかけ られてい った。 こうしたちか ら
関係 の変化 のなかでは, リテラシー調査 の結果 にかんす るふたつの解釈 の うち, もっぱ ら高識
字率解釈 だけが強調 され る ようにな り,「
識字率9
9%」 とい う 「神 話」 もつ くられてい った。
これはその後, 日本語 の文字表記 を 「テ レビ型」 としてその効率 を評価す る鈴木孝夫 な どの漢
字 イデオロギーへつ なが っていった もの とかんが え られる (
漢字 イデオロギーについては角知
行 :2
0
0
4参照)0
「
4
8年調査」 における識字率 は,国語 国字 問題 をめ ぐるそれぞれのたち場 にひ きよせ られる
かたちで,かたや極小 に,かたや極大 に評価 される とい う宿命 をた どった。 しか し,現在 の地
点か らふ りかえってみ るならば, どち らで もない別の解釈 も可能なはずである。わた したちの
日常生活ではさまざまな場面で,文字 をつか った活動 をお こなっているO そ こにおいて文字 の
よみか きが実効 をともなってな されているか どうか,それぞれの活動 に即 して個別的,具体的
に判断 されなければな らない。 よみか き能力のあるな しとい う絶対的な視 点か らではな く, 日
常生活 における役 だち とい う相対 的 な視 点 か らの考察 は,「
機 能的 リテ ラシー観」 とい うこと
がで きる。次節 では, リテラシーの調査研究 をめ ぐる こうした動 向 をみてみることにす る。
なお,その まえに 1点だけつ け くわえてお きたい。調査結果 の考察 において, どち らの場合
ち,非識字者のわ りあいが きわめてす くない こ とを もって,「日本 に リテ ラシー問題 はない」
か の よ うな記述 が あ る。 と くに高 識 字 率解 釈 で は そ う した傾 向 が つ よい。 しか しか りに
「1%」で も非識字者が存在す る とすれば,その実数 はかな りの数 になるはず であ り,「大問
題」 だ といわなければな らない。元来, リテ ラシー調査の 目的のひ とつはそ う した少数者の発
見 にあったはずである。少数者- の まなざ しの欠如 とい う点で も,双方には限界があった。 こ
の調査 ,お よびその解釈 の言説 は,被差別部落や夜 間中学で こえがあげ られ る1
9
6
0年代後半 ま
で,非識字者の存在 をおおいか くす ア リバ イのや くわ りをはた した といわ ざるをえない。
11
2
天 理 大 学 学 報
4.横 能的 リテ ラシー とはな に か ?
かつてリテラシーを研究する場合,その資料 として もちい られて きたのは,結婚登録簿,契
約書,遺言状, うけとり証などの登録簿や証書 になされているひとびとの署名であった。 自分
の署名がで きるとい うことはよみか き能力がある証拠 とみな されたのである。なまえがかける
か らといって,文章 をよんだ りかいた りで きるとはか ざらない。 しか しヨーロッパの教育 にお
いては, よみかたをかな りお しえたあ とでか きかたがお しえ られるとい う伝統があった。 した
がって, 自署能力 とよみか き能力 とのあいだにはつ よい相関関係があった とされ,署名 を資料
R.ルービンシヤー :1
9
9
6)
。
として もちいることには合理的根拠があるとされている (
しか し社会が複雑化 し, さまざまな資料 をもちいることがで きるようになって きた。あるい
はリテラシーが経済的発展に直結するのではないこともあ きらかになって きた。 こうしたなか
で, リテラシーをもっとはばひろい能力 として, さらに社 会的脈絡 との関連 において とらえよ
うとす るみかたがあ らわれて きた。 リテラシー とは 「
あるか,ないか」 と二億的に判断 される
ものではな く,諸技能か らなる連続的なもの として とらえ られるべ きである。前者 は 「ミニマ
mi
ni
mum l
i
t
e
r
ac
y) とよばれるの にたい して,後者 は 「
機能的 リテ ラシ
ム ・リテラシー」(
ー」(
unc
f
t
i
o
na
ll
i
t
e
r
ac
y) とよばれる.
この定義 として もっとも有名なのは,1
9
5
6年 にグレイがお こなった定義である。そこではつ
ぎの ようにいわれている (グレイの論文 を直接人手で きなかったので,D.ワグナー :1
9
9
4の
引用 による)
。
文化や集団のなかで,通常 よみか きが前提 となっているあ らゆる活動 に,効率 よ く参加
で きる よみ か きの 知 識 や技 能 を もっ て い る と き,ひ とは機 能 的 に よみ か きで きる
(
f
unc
t
i
o
nal
l
yl
i
t
e
r
at
e) といえるo
この定義 はユネス コなどの国際機関で もちい られ,発展途上国での識字教育 を主導す る概念
となっていった。ユネス コで活躍 したA.オア-ヌは,機能的な視点か らリテラシー と経済的
Ouane
,Ada
ma:
発 展 とを リン クさせ よ うとす る, さまざまな と り くみ を紹 介 してい る (
1
992)
。
機能的 リテラシーは発展途上国ばか りでな く,工業国において もリテラシー調査の定義 と し
て もちい られるようになった。それは現在で も基本的にはかわっていない といってよいであろ
9
9
2年 に全米で国家教育統計セ ンターによって,2
6,
0
91
人 を被調査者 とする大
う。たとえば,1
規模 なリテラシー調査 (
国家成人識字調査 -NALS)がお こなわれた。その調査 におけるリテ
ラシーの定義はこうなっている (
Na
t
i
o
nalCe
nt
e
rf
b
∫Educ
a
t
i
o
nSt
a
t
i
s
t
i
c
s:1
993,p.2)
。
社会のなかで うまく機能 (
unc
f
t
i
o
n) し, 自分の 目的を達成 し, 自分の知識や可能性 を
発展 させ るために,印刷 された りかかれた りした情報 をもちいること
機能的定義 にもとづ くリテラシー能力 をテス トす るために, 日常生活のいろんな場面におけ
APL) として,消費生活,職業的知識,健康,
る遂行能力が とわれ る。成人遂行 レベル調査 (
近所づ きあい,政府 と法律 とい う 5個 の領域か らなる調査 モデルがつ くられている。NALS
の調査 では,新 聞記事の解釈,履歴書への記入,バスのまち時間の計算 といった具体的な質問
項 目が もうけられている。 これ らを結合 して社会人 として必要なリテラシー能力が判定 される
わけである。その結果 は,識字能力のある/ な しということではな く,連続的な得点において
評 価 され てい る。NALSで は, もっ と もひ くい 能 力 の レベ ル 1か ら最 高度 の レベ ル 5ま
で, 5段階にわけ られている。
「日本人の読み書き能力調査」(
1
9
4
8
)の再検証
1
1
3
機能的 リテラシー尺度 を適用 したテス トの注 目すべ き結果 は, リテラシー問題がすでに解決
した とお もわれていた西欧の工業国において も,社会生活 に十分 に適応で きていない機能的非
unc
f
t
i
o
na
ll
yi
l
l
i
t
e
r
a
t
e)がいることの発見であったo
識字者 (
D. バー トンは近年の リテラシー調査 を総括 して 「カナダ,アメリカ,オース トラリア, イ
ギ リスでいろんな方法でおこなわれた調査でわかったことは,だいたい1
0人 に 1人の成人が 日
常生活 においてよみか きの問題 をかかえてお り, とくに作文の問題 が共通 にある とい うこと
だ」 とのべ ている (
Ba
r
t
o
n,Da
vi
d:1
9
95
,p.
1
9
9)
。機能的非識字者の限界線 をどこにひ くか
0人に 1人 つ ま り1
0%とい うのはひ くいほうで,
は各調査者の判断によってことなっている。1
Ⅰ
.
S.キルシュによればその数字 は1
3%か ら5
0%まで分布 している (
ir
K
s
h,I
r
Wi
nS.
:
1
9
9
0,p.
43)
。かれ も中心的な役割 をはた した NALSにおいては,で きるとして もご く単純 なよみか き
1
%から2
3%,人口では4
0
0
0
万人か ら4
4
0
0
課題で しかない レベル 1の比率は,アメ リカ成人の2
万人 とみつ もられている (
Na
t
i
o
na
lCe
nt
e
rf
わ
rEduc
a
t
i
o
nSt
a
t
i
s
t
i
c
s:
1
9
93,p.
x
i
v)
。
機能的非識字者の数は定義が相対的で実数的な決定がむずか しいい う欠点 はあるにせ よ,機
能的定義 をもちだ したことはリテラシー調査のひとつの前進であった とい うことがで きる。署
名,あるいは学校でのよみか きテス トといった尺度 は,現実の社会的場面 をはなれて測定 され
た ものであ り,断片的,抽象的な意味 しか もたないO さまざまな社会的脈絡や場面において リ
テラシーが測定 されてこそ,実質的な意味があるとかんがえられるか らである。
批判 的識
ただ し,機能 的 リテ ラシー にたい しては, と くに P.フ レイ レの影響 を うけた 「
字」(
c
r
i
t
i
c
a
ll
i
t
e
r
a
c
y)ない しネオマルクス主義的な観点か ら批判がある。た とえば J.コゾル
は 「
機能的 リテラシー」が,学校教育の学年で もって リテラシー水準 をあ らわ していた地点か
らリテラシー研究 を前進 させた功績 はみ とめつつ も,それは国家や企業の利害関係 に人間をし
たがわせ るだけの リテラシーではないか と批判す る (
Co
z
o
l
,Jo
na
t
ha
n:1
98
5
=1
9
97
,p.
3
38)
。
かれ は,識字 世界 の辞 書 か ら一 語消 去 して もいい こ とばが あ る とす れ ば,この 「
機能的
(
f
unc
t
i
o
na
l
)
」 と い う こ と ば で あ る と して,機 能 的 非 識 字 者 に か え て,
「
半識字者
(
s
e
mi
l
i
t
e
r
a
t
e
)
」 とい う用語 をもちいているほどだ。
,「機能的」 とい うことばには,マ イノリテ ィを支配的な伝統文化 に統合 しよ
さらにいえば
うとい う含意 もある。上地完治はジルーの議論 を紹介 しつつ,アメリカにおけるリテラシー と
い う用語が,経済的利益の視点あるいは支配的文化 に統合す る視点 とむすびついているとして
いる (
上地完治 :2
0
0
4)
。 ここでい う支配的文化 とは WAS
Pといわれる白人 を中心 とした文化
であ り,西洋古典 とむすびついた教育の復権が意図 されているのである。機能的 リテラシー と
はこうしたイデオロギー ときりはなせ ない一面 もある。
機能的 リテラシー とい う用語 に経済的,イデオロギー的含意があることはみ とめなければな
,「機能」 とい う概念 は,そのすべ てが否定 され るべ きではない とお もわれ る。ルパ
「
機能的 リテラシー」 とは,経済学がい うところの供給側 の概念
インの言葉 をか りていえば,
らないが
として うまれた (
Le
vi
ne,Ke
nne
t
h:
1
9
9
4)
。 しか し,需要側つ ま り文字の使用者の視点か ら
それをとらえかえす こともで きるはずだ。地域や職場での生活 に即 して,真 に生活者の視点か
ら文字の機能が とわれ,調査の質問項 目が用意 される場合,機能的 リテラシーは調査対象者の
よみか き活動の現実 と限界 をあ きらか にする概念 として利用で きるであろう。近年
,「読書の
権利」(
ar
i
g
htt
or
e
a
d)が とりあげられ ることがある。そこでは,家庭,地域,職場 な どで
リテラシーをもちいて印刷媒体 に自由にアクセスする権利 は,基本的人権 のひとつ とかんがえ
られているO
11
4
天 理 大 学 学 報
しか しここは 「
機能的 リテラシー」 の是非 について論 じる場所ではない。す くな くとも従来
の絶対的,二倍的識字観 を相対化 し,よ り現実 にちかづける概念 として,それは有効性 をもつ
発展途上国において も工業国にお
といえるのではないか。 さきほ ど紹介 した A. オア-ヌは 「
いて もおお くの場合, リテラシーを機能的に定義することが もっとも適切 になって きてお り,
識 字/非 識 字 の対 照 に よる定 義 は時代 お くれ に な りつ つ あ る」 とのべ て い る (
Ouane,
Adama:1
992,p.7
4)
。わた しもこの言 に同意 し,機能的 リテラシーの視点か ら 「
4
8
年調査」
にもう一度たちかえることに したい。
5.機 能的 リテ ラシ ー か らみ た 「
4
8
年調 査」
「
4
8
年調査」 は,「
社会生活 を正常 に営 むのにどうして も必要な度合,お よび型の文字言語
を使 う能力」 として リテラシーを定義 しているOそれは機能的 リテラシーの定義 にちかい もの
である。 しか し,実際の設問においてはかならず Lもこの視点がつ らぬかれているわけではな
い。た しかにテス ト問題 としてえ らばれている語 は,「
届,領収書,申告書」 といった各種の
文書 に登場する語や新聞にある語がおおい。 しか し,それらは実際 にある書式 にもとづいたよ
みか きや処理能力 をとう問題ではな く,社会的脈絡か らきりはなされた断片的なテス ト問題 と
して作成 されている。 したが って,「
社会生活 を正常 にい となむ」 ことがで きるか を, これ ら
の問題か ら判定す ることはむずか しい といわざるをえない。その意味で,この調査 は定義 にお
いては 「
機能的」であったが,設問形式においてはかならず Lも 「
機能的」 になっていない。
「
4
8
年調査」の設問で,実際の よみか き行動 とむす ぴついているといえるのは,「
新 聞をよ
む」 とい う行動である。間6,間 7はいずれ も 8割が新聞語か ら出題 されている。 ここでは,新
聞語の調査 の度数表か らウエイ トをかけられた政治,経済,社会などの事項のそれぞれについ
て,キーワー ドもしくはそれにちかい語がえ らばれている。新聞語以外 について も 「
マス ・コ
ミュニケーシ ョン」 メディアのなかか ら消費 ・分配,交通 ・通信,政治 ・法律 に関係 のある重
,間 7は,新聞の語 を理解する
要語がえらばれている。 こうした出題方法 をかんがえる と, 間6
能力 を (
近似的に)測定する設問だ とみな して もいいだろう。 間 6は適当な語の選択, 間 7は
ただ しい意味の選択 とい うふ うに,多少,出題形式 はことなっている。 しか しいずれ も新聞語
が大半 を しめ,語の よみ と意味 をたずねているとい う点では共通 してお り,結果の傾向 もにて
いる。報告書 にも両者 を一緒 に したデータがのこされているので,ここでは間 6と間 7をひと
まとめに して 「
間 6+間7」 とい うかたちで考察す ることにする。
つづ く間8は,ひとまとまりの文章 を提示 して,それがただ しく理解 されているか どうかを
しらべ る問題である。 ここで も問題文の大半,つ ま り1
3間中1
0間が新聞記事 となっている。の
こ りの 3間は競馬場 にあった ビラと看護婦養成所の ビラにもとづ く設問であるが, これ らも新
聞記事 にちかい もの といえる。 間 8は,新聞の文章 を理解する能力 を (
近似的に)測定 してい
るとみな して,結果 をみることにする。
「間6+間7」 と間8の得点分布 は図表 2,図表 3にま とめてある。「
間6+間 7」 は 5点
きざみ,間 8は 2点 きざみの数字 しかのこされていないので,ここで もその ようになっている。
それぞれの図表で , 0点の回答者 は4.
8% と6.
5%いる。 これは新聞購読 にかんする絶対的非識
字者 とい うべ きものの比率である。 ここではその数字だけが問題 となるわけではない。新聞を
よむ とい うリテラシーの能力が連続的に分布 しているなかで,十分 に適応で きていない ものが
どの くらいいるか,それこそが とわれるべ きであろう。
11
5
「日本人の読み書 き能力調査」 (
1
9
4
8
)の再検証
間 6+間 7」の得点分布
図表 2 「
図表 3 間 8の得点分布
2
4
6
8
1
0 1
21
3
% 6
.
5 4.
9 5.
77
.
7 9.
7 1
32
3.
92
8,
6
そのためには,まず どこかに線 をひかなければな らない。機能的非識字者の検 出においては
このラインをどこにするかがひとつの問題 になる。それぞれに問題水準はちが うわけで,絶対
的な基準 というものは存在 しない。最近ではこうした点 をふ まえて,計量心理学で もちい られ
る項 目応答理論 (
i
t
e
mr
e
s
po
ns
et
he
o
r
y)にもとづいて,あらか じめ出題 される問題 自身に難
易度 を設定 した リテラシー調査 もお こなわれるようになって きた。 しか し 「
48年調査」ではそ
うした準備やデータもないので,なにかの基準 を用意 しなければならない ことになる。
ここではひとつの試案 として,得点の5
0点 と8
0点 に くぎりをいれ,全体の分布 をわかつ こと
にする。5
0点以下の得点者は,問題の半分 もで きていないわけだか ら, よみか き行動 に適応で
0点か ら8
0点 まで,65点 を中心 とし
きていない 「
機能的非識字者」 とかんがえることにする。5
てほぼ ±1
5点の範囲にいる得点者はお よそ三分の二程度はわかっているが,三分の一はわかっ
ていない ということで,適応が十分ではない 「
機能的準識字者」 とする。8
0点以上の得点者は
ほぼまちがいな く理解で きているとかんがえ 「
機能的識字者」である とする。
この基準 を適用 して5
0点 ,80点 にもっともちかい場所で くぎりをいれる と,図表 2,図表 3
のそれぞれの表の最下段の行 に しめ したような数字 になる。新聞の語の理解 (
間6+間 7)に
ついては,機能的非識字者が 1
6%,機能的準識字者が 1
8%,機能的識字者が66%である。新聞
間 8) については,機能的非識字者が2
5%,機能的準識字者が2
3%,機能的識
の文章の理解 (
字者が5
3%である。 これ らをあわせてかんが えると,新聞をよむことについて当時の 日本人に
6%一25%の機能的非識字者がお り,1
8%-2
3%の機能的準識字者がいた とい うことがで きる
は1
(もちろんこれ らの数字は操作 的につ くられた ものであって,基準の とりかたによってことな
る相対的な ものである)。
「
4
8年調査」 には新聞購読 について, もうひとつ興味ぶかいデータがの こされている。 うけ
つけでお こなわれた被調査者の基本的調査 (
年齢,性別,職業などをたずねる)のなかの 1項
新聞をどの程度 よむか」 とい う質問があ り,「よむ」 「
少 しよむ」 「よまぬ」 にわけて被
目に,「
%,
調査者の解答 を うけつ けの ものが記入する ことになっている。その結果 は,「よむ」 は61
「
少 しよむ」 は2
3%,「よまない」は1
5%,不明 1%であった。内容の半分以上がわか らない
非識字者の大半はおそ らく新聞はよまない (よめない)であろう。内容の三分の二 ぐらい しか
わか らない準識字者の大半は,部分的によんだ り,みだ Lをよむ くらい しかで きないであろう。
クロス集計 をお こなうこともで きないのでた しかめ ようはないが,全体的にそ うした関係があ
ると想定す るならば, うえでみた機能的非識字者 (
1
6
-2
5%)
,機能的準識字者 (
1
8
23%)の
数字 は,あながち根拠のない ものではない といえる。
この数字のたか さはお どろ くべ きものではないだろうか。 よみか き能力の有無 とい う絶対的
リテラシーの次元でかたるならば,新聞が まった くよめない非識字者は数%にす ぎない (
それ
だけで も問題であるが)
。いっぼ う,効率 よ くよみか き活動 に参加で きているか どうか とい う
11
6
天 理 大 学 学 報
機能的 リテラシーの次元でかたるならば,新聞が半分以上わかっていない機能的非識字者が約
2乱
あ ま り正確 にはわかっていない機能的準識字者 も約 2割いるということになる。新聞 と
い うメデ ィアは,当時の 日本人の半数ちか くにとって,容易に利用するのが困難な情報資源で
あった といえる。
明治時代以降の新聞購読者の リテ ラシーはいろんなか たちで調査 されて きた (
山本武利 :
1
9
81
,土屋礼子 :2
02,小林弘忠 :202な ど)。識字率が ひ くい状況がつづ くなかで,漢字表
記のむずか しさの克服,非識字層や準識字層への対応 などの観点か ら,漢字の制限,ル ビつ き
活字の採用,言文一致体の採用 など,いろんなこころみがなされて きた。第二次大戦後は,戟
時中のル ビ減少 をうけ,山本有三のルビ廃止論 などもあって,新聞記事か らルビが全面的に廃
止 された。 しか し,1
9
4
8年 とい う戦後 まもない時期 にお こなわれた リテラシー調査 の結果か ら
みるか ぎり,絶対的な次元ではともか く,機能的な次元 においてはなお,かな りの非識字者,
準識字者が存続 していたのであ り,ルビな し漢字表記の紙面は,当時の貴重 な情報資源であっ
た新聞に,かれ ら ・かの じょらが アクセスするバ リアーになっていた もの と推測 される。
,
「
新聞をよむ」 こととの比較のために 「
文書や標識 をよむ」 ことの リテ ラシーは どうであ
ったか もみてお くことに しよう。 間 4は納税 申告,領収書,商業広告 などの文書 ・標識類か ら
えらばれた語 を調査者が発音 し,その漢字 をえらぶ問題である。 間 4の結果は図表 4にまとめ
た。5
0%,8
0%の くぎりをいれる と,5
0%以下の機能的非識字者 は8.
8%,5
0%か ら8
0%の機
1
.
6% ということになる。
能的準識字者 は1
図表 4 間 4の得点分布
% 3.
2 1
1 0
.
91
.
11
.
6 2.
6 3.
5 5.
5 1
26
7,
6
「
文書や標識 をよむ」 ことについて も,機能的な非識字者や準識字者がそれぞれ 1割程度い
」「受付」「切手」 といった基本的な漢字が よめな くては 日常
ることにお どろか される。「出口
生活 にもおおいに支障があるもの と想像 される。だが全体 として機能的 リテラシーの レベルで
,
かんがえると 「
新聞をよむ」 ことよ りもはるか に成績 はよ く,非識字者 も準識字者のわ りあ
い もそれぞれ半分程度 にへ っている。出題 されている語秦はあ きらか にや さしい漢字がつかわ
。
れている 「
新聞をよむ」 と 「
文書や標識 をよむ」 とい う言語行動のちがいはあるだろうが,
日本語の リテラシーにおいては漢字の しめる問題がおお きく,つかわれる漢字がむずか しくな
るにつれてそれ らを理解で きる もの も急激 にへ ってい くことがわかる。
6.む
す
び
「
48年調査」のテス トには,語や文章の理解だけではな く,ひらがな,カタカナ,数字,漢
字のか きとりを調査する項 目もある。文字の種類のおおい 日本語では, リテラシーの判定が複
雑 にならざるをえない (
F.クルマスは,機能的 に 日本語の リテラシーを定義 しようとす る と,
書 記 シス テ ム の構 造 的 特 徴 の た め,固有 の 困難 に ま とわ れ る との べ て い る。Co
ul
mas
,
Fl
o
ia
r
n :1
994,p.31
3)。 また,この調査 はいろんなジャンルか ら語嚢があつめ られているが,
「日本人の読み書き能力調査」 (
1
9
4
8)の再検証
11
7
日常生活での使用状況 に したが ってテス トす る方式 にはなっていない。「
社会生活 を正常 にい
4
8
年調査」
となむのに必要な文字言語 をつか う能力」が測定で きているのか疑問がの こる。「
の総得点 を機能的 リテラシーの観点か ら分析することはむずか しい といわ ざるをえない。 ここ
では 「
新聞をよむ」 ことと 「
文章 ・標識 をよむ」 ことについての分析 にとどめてお くことに し
たい。
わた したちの再解釈 によれば, これ らの言語活動 に効率 よ く参加で きていない機能的な非識
字者,準識字者がかな りいるということになる。その数字は,線のひきかたによってことなっ
て くる相対的なものであ り,数字 自体 にあま り意味 はない。 しか し,その存在 は もっと注 目さ
れ,政策的が 寸応が提言 されるべ きであっただろう。ない ものねだ りになるが,いまの時点か
らいえば,つ ぎのような対策がたて られるべ きだった。
(
∋
日本語の表記体系 をよりや さしい ものにする。
②-a
(
亘
)
-b
新聞や文書 ・標識でつかわれる漢字の数 を制限 した り,ル ビをふった りする。
新聞や文書 ・標識の文章 をわか りやす くする。
③- a 学校教育 における文字学習 を強化する。
(
亘
)
- b 非識字者や準識字者の層 を特定 し,成人基礎教育などで文字学習の支援 をする。
① は表記体系の簡易化,② はマスメディアのバ リアフリー化,③ は教育的対応, とい うこと
がで きる。「
4
8
年調査」の報告書 においては,第 3節でみたように,完壁 な識字者のす くなさ
を理 由に,あた らしい文字の採用,漢字制限の強化 といった① の対策が提言 されているだけで
ある (
漢字のか きとり力 を養成す る国語教育技術の改善 も提案 されてはいるが,非常 に困難だ
として しりぞけられている)
。「表意派」が主流 となったその後の国語教育 にあっては,漢字知
識の低下 を理由に, もっぱ ら③-a
が強調 されている (
そのながれはい まもつづ き,2
0
0
3年 1
1
月に文化審議会国語分科会は,小学校で常用漢字が よめることを目標 として国語の授業時間を
おおはばにふやす ことを提言 している)0
もちろん 日本語の表記体系の改革や国語教育の強化 も必要であろう。 しか し,絶対的非識字
者 もふ くむ機能的な非識字者,準識字者がかな りいるという事実 に注 目す るならば,そ うした
層 を特定 し,支援 をお こなう(
宣
)
-bの成人基礎教育の充実 こそ, もっともいそがれるべ きであ
っただろう。これこそが即効力のある対処法 とかんがえられるか らである。 しか し,何 の提言
も政策化 もなかった。新聞や文書 ・標識の表記のバ リアフリー化について も同様 だ。
4
8
年調査」は機能的な非識字者や準識字者の
機能的 リテラシーの観点か らふ りかえる と,「
存在 をさぐりあてなが ら,それ を焦点化す ることな く,「国字改良の是非」 とい う当時の論点
のなかに (
やや無理 に)結論 を回収 して しまった。その意味では先駆的なリテラシー定義 をお
こないつつ も,それがテス ト問題の設計や提言 にまで貫徹 しない調査であったと結論づけるこ
とがで きる。
0
年以上 もまえ
最後 に,この調査の もつ現代 的意義 をかんがえてみることに したい。 これは5
におこなわれた ものであ り,教育水準のあが った現在では状況はおお きくかわっている。では
リテラシー問題 は もはや存在 しな くなっているといえるのだろ うか。
絶対的な非識字者 についてはその後,被差別部落や夜間中学か らの問題提起があった。 さら
に現在では人口の 1% をこえた在 日外国人の問題 もある。野元弘幸 は愛知県の調査 をもとに,
日本語表記の非識字状態 におかれている外国人がおお くいる事実 をあ きらかに している (
野元
弘幸 :1
999)0 「
4
8
年調査」で排除 された障害者の状況 もほ とんどあ きらかになっていない。 こ
うしたことをかんがえるならば, リテラシー問題 は依然 として存続 している といわなければな
11
8
天 理 大 学 学 報
らない。
一 方 ,機 能 的非 識 字 者 の状 況 は ど うか。 そ の後 の リテ ラ シー調 査 と して参 照 で きるの は, 関
55年 調査 」 が あ るだけ で あ る。 これ は 「
4
8年 調
東 ,東 北 地 方 の青 年層 を対 象 にお こなわ れ た 「
「日本 人 の読 み書 き能 力 調査 」 の結 果 と
査 」 を意識 してお こな わ れ た もの で ,調 査 目的 に も 「
951,
比 較 して数 か 年 の 間 の よみ か き能 力 の 変 化 を し らべ る」 とのべ られ て い る (
文 部 省 :1
p.1)。 問題 文 の一部 は,比 較 の ため に 「
48年 調査 」 とお な じものが つ か わ れ た。
1
5歳 か ら
その分 析 結 果 をみ る と,平均 点 は さが って い る もの の , 両 者 に有 意 な差 は な く,「
24歳 まで の年齢 層 の者 につ い て は, この数 年 間 に読 み書 き能 力 が 向上 した と も,低 下 した と も
断定 すべ きで は な く, む しろ読 み書 き能力 は, ほ とん ど変 わ らない とす るのが , もっ と も妥 当
951
,p.
382)。 わ ず か 数 年 間 の 変 化 で
な結 論 で はあ る まい か」 とのべ られ て い る (
文 部 省 :1
あ り, この傾 向 を現 在 に まで延 長 す る こ とには慎 重 で なけ れ ば な らない。 しか しい ま も機 能 的
リテ ラ シー の 問題 が解 消 され て い ない こ とは,諸外 国 の調査 例 か ら も十分 推 測 され る こ とで あ
る。
48年 調査 」 は 「『読 み 書 き能 力 調
そ の解 明 の ため に は あ らた な リテ ラ シー調査 が またれ る。「
査』 は国勢 調査 の よ うに, あ るい は 国勢 調査 とい っ しょに, 数年 お きに実 施 され る こ とが望 ま
しい。 国民 の 「
読 み書 き能 力」 を時 時 診 断 して適 宜 治療 をほ どこ さなけ れ ば な らない か らで あ
430)
0
る」 と, リテ ラ シ ー調 査 の継 続 的 実 施 を も とめ て報 告 書 を しめ く くっ て い る (
同書 :p.
わ た した ち は, い ま一度 , この提 言 にみ み をか た む け て もよい の で は なか ろ うか o
参考文献 (
著者アル ファベ ッ ト塀 )
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)の再検証
「日本人の読 み書 き能力調査」(
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)テス ト問題
資料
9
5
1
)p
p.
7
0
5
7
0
7に掲 載の 「きまったテ
・ 『日本 人の読 み書 き能力』 (
東京大学 出版部 ,1
ス ト問題」 を底本 とし,石黒修
(
1
9
4
9
)による出題方法の解説や正解 もつけ くわえて・
わか りやすいかたちに した。
・テス ト問題 は間2-1をのぞいてたてが きであったが, よこが きに した。
・漢字 を新字体 にかえた箇所がある。
問1(
試験官が発音す るゴシックの語 を
B カタカナ ・数字
ひ らが なや カタカナでか きとらせ る
1 不ユ, ネロ,ネ ヒ,ネコ, 不ヨ
問題)
2 ザ ラス,か ラス, アラス, カラス,
A ひらがな
例
ガラス
3 ミシン, ミシシ, ミシい, ミシレ,
花のいろのい ろ
ミシツ
1 春 に咲 くさくら
2 火鉢や こんろに使 うたどん
4 オモ タヤ,オモチ,オモチ ャ, オ
3 食べ るかぼちゃ
モチ ョ, オモツ
5 マ ンチ,マ ッチ,マナ,マナチ,
4 汽車のきっぷ
マアチ
B カタカナ
例
えん
紙 な どを切る時 に使 うナイフ
1 回の名前のアメリカ
7
日
7
五
3
ご
∵ .
二
等
め目 め目
日
訪
1
3
大 正 2年 8月
1 山口,出口,出 目,
2 窓口,手付,受付 ,
3 木手,切付 ,功手,
3
(次
問
の発音し
のうちから試験官
の語
4 場所, 口時,場面,
たゴシ
クの語をえらぶ問題)
ッ
5 用意,中位 ,注意,
あひま
A
ひらがな あらま
あゆま
あたま
例あなま,
告 申,言告 ,深刻,
か
て
お
いただきました。
招 巌 体を大切に。を
願,係 ,役 ,系 ,拷
(
1
末借,本箱,戸籍,
机
例
電活,電和 ,通話,
改札,出札,改札,
の )
字 7月
漢 (
く
こんに
こんにく
ょ
ゃ
, あさてて
さんて,
たはこ
みかむ
もる
ちる
さる
なる
1きる,2
たばこ
たば
たがこ
たゾこ
こ, 3
みかんみか
みかし
みかあ
ソ, 4
あさて
あ
あさ
あさあ
て
っ
,
く
こんな
こんに
こんにあく
や
, 5
6
7
8
9
1
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本 口 取 手 所 車 信 札 籍 込
二 人 受 切 湯 汽 電 収 本 申
日木, 日米, 日本,
本 口 月 形 場 寛 話 駅 衛 告
日 戸 沖 手 所 注 電 着 本 申
肪R く
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つ
8
」
例
にじゅうはち にち
めい じ に じゆうはちねん
2
ち
川
∵
括弧 に数字 をいれる問題 )
問2 (
例
えん
8キ ロ, 3キ ロ, 4キ ロ, 5キ
択)
4 水 を飲む時 に使 うコップ
1 明治 28 年
さんち ▲う め
に
えん
間4 (試験官の よむゴシックの漢字 を選
3 にわ とりのチ ャボ
例
えん
ロ, 1キ ロ
2 食べ るウ ドン
たいしよう に ねんはちかつ
えん
6 四円,七円,八円,入円,九円
)
か
を
見
き
み7
)
お
料
わ う
)生 まれです。
き
み なさん (
)ですか。
つうち
の ちほ ど (へん じ) しますO
しよう
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3
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) を しま しょう。
1
2
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天 理 大 学 学 報
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1
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上 程,該 当,機 関,緩
和)する。
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き差す o
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) い致 します 。
し上 ん
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って くだ さ い。
けっ
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1
2 禁晋 を 三
言 ( ど ) した o
)
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0
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… 碧雲 圭
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甲
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u、た します
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い
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間6 (
意味がつ うじる語 をえらばせ る)
あさ
たいよう
例 朝,太陽は (
冬,東,雨,上)か
ら出る。
ぴ エう き
1 病 気 の と きは (
健 康,死 亡,医
師,危険)にみて もらう
さとう
2 きょうは砂糖の (
配給,産業,食
糧,数量)があ ります。
くに
べいこ く
こ むぎ
3 わが国は米国か ら小麦 を (
資金,
輸入 , 法案,声明)する。
せん き上
ひと
4 選挙 の ときは もっ ともよい人 に
。
発表,委員,投票) したい。
(
結果ひ,と
5 あの人の
態度,国民,各派,必
り
っは (
要)は立派だ。
たいかい
にち じ
6 大会の 日時 を (
労働,予算,決定,
事件) した。
わた し
し ごと
7 私 は仕事がないか らす ぐ (
年齢,
就職,保険,経歴)
したい。
こめ
8 米
と (
申込,記入,通帳,差引)
まめ
く
に豆が来る。
じ しん
そ うとう
9 けさの地震は相当の
(
被害,確保,
み こみ
犯人,場合)ある見込。
し
お
1
0 塩の (
至急,高価,登録,家庭)
かた は
や
のす まない方は早 くして下 さい。
ご ようじん
2 禁煙
(
ス リに御用心,ほうLをと
しす
れ,静
.ここか らはいるな,
)
タバ コ
けい
3
報告
しらせ,ほうび,経
か しんぷん
過,新聞)
て がみ だ
4 調査する (
手紙 を出す,かんがえ
やく は
い
じゅん さ
る,役場
に行 く, しらべ る, 巡 査
く
が来る)
し上
うら
い
5
希望おも
(
のぞみ, 将 来,たの しみ,
しんばい
よ な .
せ う 走.
口
にす吸 ',り
広
か を ー
1
5 ともか く (。れき
し上
)をお 品 しなさ
問7 (
言葉の意味 を選択肢か らえらばせ
る)
こ あに
例 父 (
ひと,おとうさん,千,兄,
おかあさん)
んじ
ゅ
んさ けい
やくに
1こく警 官 (
あ る く,役 人,巡 査,響
告,あい さつ)
心配,思いがかなう)
り ゆう
なお
6き修理する
(
理由をのべ
る,直す,
む
の き
着物 を着 る, ならう,やぶれる)
しなもの
7 廃止す る (
品物が こない,あるい
ぴ ょう き
てはいけない,
病 気 になる,やめ
し
ゅ,
)
は
つ
る, 出 発する)
はな
交渉する (
けんかする,話 しあう,
ほ うt
l
ん
き しゃ
訪問す る, 汽車にのる, は じめる)
とう せい
し は らい
し か く かい いれ
9
価
格
(
支
払,資
格,買
入,統
制,
ね だん
8
値段)
きた
い
1
0 維持する (
期待する,ひとつ しか
せい
ない,もちこたえる,たすける,坐
か
つ
活する)
じ
っさ
い
11 硯在 (
いま,実際,これか らさき,
じ
ゅうしょ
こんど, 住 所)
1
2 実施す る (ほんとうにある, まも
11 この (
意見,経済,生産,問題)
かいけ
づ
は もう解決 された。
き上
うし
ゅ
つ
1
2 供 出の (
消 費,金融,割 当,放
1
3 協議す る
出) をきめる。
て き とう
1
3 適当な (
企 業,措 置,指 定,提
出) をとる。
くみあい
たい
1
4 組合 に対する
(
政府 ,事情,講和,
ほうしん
計画)の方針が きまった。
す る,会 を開
力 をあ わせ る,
十
うけ と
1
4 領収する (
受取
き にゅう
かね
る,記 入す る,金 を
す る)
る, とりしまる,ほどこしものをす
ちか ら
す 肌談
か
成 り相
賛
礼
る,おこなう)
る, きめ る.
り
め 、領
カ
.
.・j I
㍗
る
1
2
3
「日本人の読み書き能力調査」 (
1
9
48)の再検証
ょ
うほ
い
し
き きめ, 商 売,も う け,
ぺんり
うるおい ,便利)
1
5 利潤
(
す か。 (
火事,土地,料理,た きび,
停電)
間8 (
問題文 を よんで質 問にこた える)
東京都内十七の職業安定所 に押 しかけ
村民運動会
6月 5日
た求職者は四月中に三万余で,前月 より
一割の増加だが,求人は逆 に減る一方で,
1
0時-1
6時
男女 を通 じてまとまったのはわずか二〇
青草村小学校校庭
雨天順延
%,五月は-そう深刻で,三旦の某職業
安定所の窓口には赤 ちゃんを背 に した婦
青草村青年会
人などま じえて約二千人の失業者群が早
朝か ら長い列 をつ くっていた。
この ビラは何 の しらせ です か。 (
村
会,運動会,おまつ り,卒業式,草
か り)
1 上の文章は何のことをいっていま
すか。 (
結婚が まとまる,配給 の行
1 この運動会は五 日に雨が降ったら,
列,子供の育て方,賃金 をあげる要
どうな りますか。 (
今年 はや らない,
求,仕事がなかなかみつ からない)
雨が降って もや る, どうなるかわか
2 三 日とは何 月の三 日のことですか。
らない,天気のよい日にのばす,ひ
(
前月,四月,五月,来月,某月)
と月のばす)
3 約二千人は, どうい う人たちのな
らんでい る列 です か。 (
東京都 民,
大阪では朝鮮か らの引揚者中村三郎 さ
職業安定所の役人,男女,仕事 をみ
んに百万円当った。娘 さんか ら貰 った小
つけたい人たち,赤ちゃんをおぶっ
遣いで銀行か ら買 った二枚の宝 くじの中
た人)
づか
一枚が当った もので家の者 にも知 らせず
しまっておいたが,出 してみた ら当って
いたというので大サワギ,奥 さん と娘 さ
ん とむす こさんの四人 ぐらし。
かん ご ふ ようせ い じょ
東京都立看護婦養成所生徒募集
一,受験資格
甲種
高等女学校卒業者又 はこれ と同
等以上の学力のあ る二十五才以下の
1 百万円当った中村 さんはぜ んぶで
宝 くじを何枚買 い ま したか。 (
一枚 ,
二枚,三枚,四枚,五枚)
2 その宝 くじは どこか ら買い ました
か。
女子
乙種
小学校高等科卒業者又 はこれ と
同等以上の学力のある二十五才以下
の女子
-,修業年限
甲種
三年,乙種
二年
(タバ コ屋,大阪,娘 さん,銀行,中
村 さん)
八 日午後十時ごろ品川区大崎-ノ三
扉 八 山田栄吉方で一一
むね十一坪 を全焼,蛋
熱器の不始末 らしい。
∩
上の文章 は何 の ことをいっていま
1 今年高等女学校 を出たばか りの十
八才の人はこの試験 を受けることが
で きます か。 (
で きない,で きる,
三年前 ならで きた, もう七年 まてば
で きる,聞い てみ ない とわか らな
い)
2 小学校の高等科 を出ただけの人は,
1
2
4
天 理 大 学 学 報
収穫が減 っては困る)
2 互生 とは何 をさ しますか。 (
今年,
方策,減収 ,世相)
3 そ うでな くて さえとはどうい うこ
とですか。 (
米 が とれな くても,莱
年になって も,天候 が不順で も,米
がふつ うにとれても)
4 世相 を一層悪化せ しめるおそれな
しとしない とは どうい うことですか。
(
世の中はこれ以上悪 くならない,
世の中はもっと悪 くなるかも しれな
い,世の中をこれ以上悪 くしてはな
らない,世の中が もっと悪 くなって
も心配ない)