平成28年度 公立学校共済組合事業基本方針

平成28年度 公立学校共済組合事業基本方針
はじめに
我が国では、少子高齢化や人口減少が急速に進展しており、持続可能な社会
保障制度の構築が喫緊の課題となっている。
「持続可能な社会保障制度の確立を
図るための改革の推進に関する法律」(以下「プログラム法」という。)に基づ
く措置として、平成 27 年5月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国
民健康保険法等の一部を改正する法律」
(以下「医療保険制度改革関連法」とい
う。)が成立し、医療保険制度の財政基盤の安定化、医療保険の保険料に係る国
民の負担に関する公平の確保等の措置を講じることとされた。社会保障制度改
革が共済事業に与える影響は非常に大きく、当共済組合においても、迅速かつ
的確に対応していくことが求められている。
当共済組合では、在職者全体に占める割合が高い年齢層の退職がこれからピ
ークを迎えることもあり、収入の基礎となる組合員数及び標準報酬総額は長期
的に減少傾向にある。一方、支出については、高齢化や医療技術の進展等によ
る給付費の増加、高齢者医療制度への財政負担の増大、さらには制度改正等に
対応するための多額の経費が見込まれている。限られた財源の中で、社会状況
の変化に対応しつつ、組合員のニーズにも応えられる事業を展開していくため
には、これまで以上に事業運営の効率化及び重点化を図らなければならない。
このような当共済組合を取り巻く状況を踏まえて、平成 28 年度において組織
として取り組むべき主要な課題は次表に掲げたとおりである。特に、平成 28 年
1月から利用が開始された社会保障・税番号制度における個人番号については、
平成 29 年7月から当該個人番号による地方公共団体等との情報連携が開始され
る予定である。当共済組合においても、主に短期給付事業及び長期給付事業に
関する事務において地方公共団体等との情報連携を行うこととなるため、その
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前提となる組合員及び年金受給者等の個人番号の取得を確実に行い、その対応
に遺漏のないよう準備を進める必要がある。
なお、本部、支部、宿泊施設及び病院においては、これらの課題の解決のた
め、ここに定める「平成 28 年度公立学校共済組合事業基本方針」及び別途定め
る「平成 28 年度公立学校共済組合事業基本方針に基づく実施計画」に基づき、
取り組むこととする。
平成28年度の主要課題
1 社会保障・税番号制度による地方公共団体等との情報連携開始に向け
た準備
2 県費負担教職員の給与負担等の政令指定都市への移譲に向けた準備
3 医療保険制度等改革への対応
4 医療費適正化施策の推進
5 被用者年金一元化に関する対応
6 健康増進及び疾病予防のための取組の強化
7 心の健康チェック事業(旧メンタルヘルスチェック事業)の推進
8 直営病院の経営改善及び職域機能の強化
9 宿泊施設の経営改善及び適正な事業運営
10 貸付事業の新たな枠組みに関する検討
1
全般的事項
組合員、年金受給者等から信頼される事業運営を行うため、次のとおり取
り組む。
(1)法改正への的確な対応
①
社会保障・税番号制度による地方公共団体等との情報連携開始に向け
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た準備
平成 29 年7月から社会保障や税等に関する分野の事務において個人番
号による地方公共団体等との情報連携が開始される予定である。当共済
組合についても、主に短期給付事業及び長期給付事業においてこの情報
連携を行うこととなるため、その前提となる組合員、年金受給者等の個
人番号の取得を確実に行い、整備を取り進める。
また、国の計画等に沿って関連システムの改修や事務処理の見直し等
を進め、個人番号その他の個人情報の厳正な管理に十分配慮しつつ、迅
速かつ適切に準備を進める。
②
県費負担教職員の給与負担等の政令指定都市への移譲に向けた準備
平成 29 年度から、県費負担教職員の給与負担等が道府県から指定都市
に移譲されることから、当共済組合では、引き続き組合員サービスレベ
ルを維持するため、移譲後も現行の道府県ごとの支部において指定都市
費組合員に係る事務処理を行うこととする。
この準備について、関係支部を中心に指定都市及び道府県と必要に応
じ協議を行い、課題等を整理・検討の上、安定かつ適正に事業が運営さ
れるよう着実に取り進める。
③
被用者年金一元化に関する対応
被用者年金一元化に伴う新しい制度や事務処理に対する組合員及び年
金受給者の十分な理解を得るため、引き続き広報誌、ホームページ等を
通じて、分かりやすく丁寧な広報を積極的に行う。
(2)組織の活性化
本部及び支部は連携して、組織の活性化を図るための方策の検討・実施
を取り進める。
(3)法令遵守等の徹底
業務が適正に執行されるよう法令遵守を徹底するとともに、確かな業務
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処理体制の構築及び職員の資質向上に向けた取組を推進する。
(4)適正な予算執行及び経費の削減
あらゆる経費について、必要性及び効率性の観点から検証を行い、予算
の適正な執行及び経費の削減に努める。
(5)事業の評価と見直し
各事業の運営に当たっては、評価と見直しを継続的に実施し、効率化及
び重点化を図る。
(6)大規模地震等への対策
大規模地震等の不測の事態に際しても、給付等の重要業務が継続できる
よう、適切な対策を講じる。
(7)情報セキュリティ対策の強化
当共済組合の情報資産の安全性・信頼性を確保するため、
「公立学校共済
組合情報セキュリティポリシー」に基づき、内閣サイバーセキュリティセ
ンターが定めたガイドラインを参考に、適切な情報セキュリティ対策を講
じる。
(8)広報活動の強化
制度改正や各事業に関して組合員等の十分な理解を得るため、積極的に
情報提供を行う。
なお、情報発信に当たっては、広報媒体の特徴を考慮して効果的な広報
を行うとともに、分かりやすく丁寧な表現に努める。
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短期給付事業
(1)医療保険制度等改革への対応
医療保険制度改革関連法に基づく、後期高齢者支援金の全面総報酬割導
入及び「医療費適正化計画」の見直しの収支に与える影響について検証す
る。
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なお、介護納付金の算定方法については、プログラム法において、総報
酬割の導入を検討し必要な措置を講ずるとされていることから、引き続き
情報収集に努める。
(2)医療費適正化施策の推進
医療費の適正化を図るため、引き続き電子レセプトの内容点検を実施す
るとともに、新たに実施する柔道整復施術療養費申請書に係る内容点検に
ついて本格実施に向けた準備を進める。
また、組合員等に対する医療費通知やジェネリック医薬品使用促進のた
めの軽減額通知などの取組を継続する。
(3)正確かつ迅速な給付事務
法改正に的確に対応し、正確かつ迅速な処理を行う。
3
長期給付事業
(1)被用者年金一元化後の適切な対応
①
ワンストップサービスに対応する年金相談等業務や年金裁定の事務処
理を的確に行うため、引き続き職員の理解促進及び能力向上を図るため
の研修等を実施する。
②
退職等年金給付に的確に対応するため、引き続き職員の理解促進及び
能力向上を図るための研修等を実施する。
③
被用者年金一元化後の年金制度及び退職等年金給付について、組合員、
年金受給者等に対して引き続き十分な広報を行い、周知を図る。
④
被用者年金一元化後の当面の業務量の推移その他の諸要素を踏まえ、
事務処理の効率化に向けた事務体制の検討を行う。
(2)正確かつ迅速な給付事務
①
標準処理期間を遵守し、正確かつ迅速な処理を行う。
②
年金の算定の基礎となる組合員期間、給与等の組合員関係情報を正確
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に管理する。
また、日本年金機構からの照会等について迅速に対応する。
③
年金受給者等に対しては、分かりやすく丁寧な対応を実践するなど、
サービスの一層の向上に努める。
(3)厚生年金保険給付組合積立金等の安全かつ効率的な管理及び運用
国が定めた積立金基本指針、地方公務員共済組合連合会の管理運用の方
針及び当共済組合の運用基本方針等に基づき、安全かつ効率的な運用を行
い安定的な財源の確保に努めるとともに、積立金の運用に関するリスク管
理の実施方針に基づき、リスク管理を適切に行う。
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保健事業
(1)健康増進及び疾病予防のための取組の推進
① 「保健事業実施に関するガイドライン」
(平成24年2月制定)を基本と
し、以下のとおり取り組む。
ア
特定健康診査等における実施率の向上
当共済組合の第2期特定健康診査等実施計画(平成25年度~29年度)
に基づき、実施率の向上を中心に事業の拡充に取り組む。
イ
がん検診の充実
国のがん検診推進策を踏まえ、がん検診を推進する。
組合員の約半数が女性であるという当共済組合の特殊性を考慮して、
乳がん検診及び子宮頸がん検診の一層の充実を図る。
②
「データヘルス計画」への対応
文部科学大臣が定めた「公立学校共済組合が行う健康の保持増進のた
めに必要な事業に関する指針」に沿って、特定健診データ、人間ドック
データ及び診療報酬明細書(レセプト)を基に組合員等の疾病・受診傾
向を把握・分析して得られた情報等を活用し、組合員等の特性に応じた
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健康管理事業の効果的かつ効率的な推進を図る。
(2)心の健康チェック事業等の推進
組合員等の心の健康に資する効果的な取組を推進するため、引き続き文
部科学省及び教育委員会との連携の下に、直営病院も活用した事業を推進
し、メンタルヘルス対策事業の充実を図る。
特に、
「心の健康チェック事業」として、インターネットを活用した「心
のセルフチェックシステム」を導入し、直営病院との連携及び労働安全衛
生法に基づくストレスチェック制度への対応を図りながら、一次予防の促
進を支援する。
(3)被災支部に対する保健事業資金の特別配分
東日本大震災被災支部の組合員について、メンタルヘルス対策を含む健
康管理事業の充実のため、被災組合員等対策事業の実施状況や効果を考慮
しつつ、引き続き必要な支援を行う。
(4)今後の保健事業の在り方に関する検討
保健事業検討委員会を設置し、平成29年度以降の保健事業の在り方及び
方向性について、保健事業の現状に係る調査・分析結果を踏まえて検討を
行う。
また、当該委員会の検討結果に基づき、
「保健事業実施に関するガイドラ
イン」の見直しを行う。
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医療事業
(1)直営病院の経営改善及び職域機能の強化
①
経営改善の取組と財務体質の強化
ア
第四期中期計画(平成26年度~28年度)の実施により、引き続き経
営改善及び財務体質の強化を進め、独立採算に向けた運営体制の確立
を目指すとともに、当該計画の進捗状況を踏まえ、次期中期計画を策
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定する。
イ
経営改善が進んでいない病院について、その要因を分析し、経営基
盤を早期に確立するための対策を講じる。
ウ
病床機能分化等に関する医療制度改革の動向を注視し、各病院の実
情を踏まえ、適切に対応する。
エ
施設設備の維持・向上を図るため、経営状況、老朽化の状況等を勘
案した上で、必要な整備を実施する。
また、石綿ばく露防止対策について、法令等に基づき計画的に実施
する。
②
職域貢献事業の充実
短期給付事業及び保健事業と連携し、組合員等の健康の保持増進及び
疾病予防のための職域貢献事業を推進する。特に心のセルフチェックシ
ステム導入に向けて保健事業と連携を取り、メンタルヘルス対策事業の
充実を図る。
(2)医療提供体制の充実
病院と本部が協力して医師、看護師等の確保を進め、医療提供体制の充
実を図る。
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宿泊事業
(1)宿泊施設の経営改善
①
「宿泊事業運営要綱」等に基づき、経営改善及び財務体質の強化を図
り、独立採算に向けた運営体制の確立を目指す。
②
各施設での経常黒字を達成するため、施設ごとに営業努力及びサービ
スレベルの向上に取り組み、併せて、部門別収支管理等による効率的な
経営に取り組む。
(2)運営継続が困難な施設への対応
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運営継続が困難な施設については、抜本的な経営改善計画の評価を適切
に行い、経営改善を進めるとともに、必要に応じて閉鎖等の措置を講じる。
(3)施設設備の安全確保
耐震診断の結果に基づき、利用者の安全を確保するために、施設の老朽
化の状況等を勘案した上で、耐震補強工事を実施する。
なお、耐震補強工事を実施できない施設は、支部において閉鎖計画を策
定し、計画的に廃止する。
また、石綿ばく露防止対策について、法令等に基づき計画的に実施する。
(4)適正な事業運営
現金管理、職員の就業等に関して法令及び内規に則った適正な管理を行
う。
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貸付事業
(1)貸付事業の新たな枠組みに関する検討
平成27年度に実施した組合員アンケートの結果を踏まえつつ、退職等年
金給付組合積立金からの資金借入れを財源とすることも含めて貸付事業の
新たな枠組みについて、他の共済組合とも連携して検討を行う。
(2)貸付事業の広報強化による利用促進
現行の貸付事業の利便性等について組合員の十分な理解を得られるよう、
広報媒体の特徴や広報時期等を考慮して効果的な情報提供を行い、利用促
進を図る。
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