ニュース・アナリシス

Publication Date: 25 April 2016
ID Number: INF-16-70 (G00307898)
ファナック、Cisco、Rockwell、PFN:工場における「エッ
ジ・フォグ・コンピューティング」を加速
T. Mataga, T. Ikeda
ファクトリ・オートメーション分野の主要プレーヤー3社が、日本のAIベンチャーであるPFNと共に
FIELD systemを構築するためのチームを結成した。FIELD systemは、エッジならびにフォグ・コン
ピューティングのコンセプトに基づき、CNC、ロボット、デバイスとセンサを接続し、自動学習する
システムである。
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ニュース・アナリシス
概要
2016年4月18日、ファナックは、Cisco、Rockwell Automationおよびスタートアップ企業であるPreferred
Networks (PFN) と共同で、エッジ・フォグ・コンピューティングを工場の環境にもたらす 新しい
Fanuc Intelligent Edge Link and Drive (FIELD) systemを発表した。
分析
この新たなFIELD systemは、工場にデジタル・ビジネスをもたらすファナックの最新の動きであり、
新しいパートナー・エコシステムを構築することで、工場のコンピュータ数値制御 (CNC)、ロボッ
ト、センサを接続しデータを分析する、統合された製造ソリューションをエンドユーザーにもたら
す。
この発表は概念にとどまるものではなく、ファナックが過去に行った以下のような関連する概念実証
(POC) の活動に基づく進化である。

本発表以前、Fanuc AmericaとCiscoは主要な自動車会社と共に、18カ月のゼロ・ダウンタイ
ム・トレイル (試行的実践) を行った。Cisco IoT Cloudも併せて利用することで (1分当たり2万
ドルと試算される) 計画外のダウンタイムを削減し、オペレーションの効率を改善した。

ファナックとRockwellはこれまで、ファナックのCNCやロボットとRockwellのセル・コント
ローラを統合したプレエンジニア式の統合自動化ソリューションを提供している。
FIELD systemは、エッジとフォグ・コンピューティングのコンセプト ( http://www.cisco.com/c/en/us/
solutions/internet-of-things/iot-fog-computing.html ) に基づくという点と、東京をベースとするスタート
アップ企業であるPFNの深層学習のテクノロジを加えたものであるという点において、ユニークなも
のである。
FIELD systemは、大量のデバイスを (外部クラウドに直接つなぐのではなく) オンプレミスの近場に置
くことを可能にするだけではなく、PFNによる分散協調型の深層学習を重要なアプリケーションの1つ
としている。
この深層学習テクノロジでは、単体のマシンではなく、接続された複数のマシンの協調を通じて学習する
ことができる。このテクノロジ・イノベーションをFanuc Robotに適用することで、自動学習するロボッ
トの実際の使用が加速される。例えば、2015年12月に発表された、自動学習するバラ積みピッキング・ロ
ボットは、8時間で人間のレベルの能力を獲得した ( https://www.youtube.com/watch?v=ydh_AdWZflA )。
FIELD systemは接続されたマシンの協調により、この学習時間を短くすることができる。
FIELD systemは、Cisco Unified Computing System (UCS) をベースとし、シミュレーションのような
汎用アプリケーションはもとより、PFNが提供する深層学習アプリケーションをWindowsやLinux OS
上で稼働させる。
ファナックはロボット、CNC、センサやネットワークによる統合されたファクトリ・オートメーショ
ンの機会をさらに拡大するために、新しいパートナー・エコシステムを構築しようとしている。この
動きは、新しいパートナーによるアプリケーション開発を加速するであろう。
今回の協業は、製造業だけではなくすべての産業がデジタル・ビジネスを進めるに当たって参考にで
きる良い事例となる。ファナックは、深層学習を重要なテクノロジとして選択し、可能性に対して投
資することを決定した。また、ファナックは世界においてインダストリアル・インターネットのリー
ダーを狙うCiscoやRockwellと協業することを決断した。このアプローチは、将来の可能性と現在の自
負に対して投資する良いアプローチであるといえる。
Publication Date: April 25, 2016/ID Number: INF-16-70 (G00307898)
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推奨事項
製造業におけるCEO、CIO、ITリーダーへの推奨事項:

組織において、モノのインターネット (IoT)、ロボット、人工知能 (AI) などの利用機会を探る
ための時間とリソースに投資する。デジタル・ビジネスはリアルなものになっていると理解
する。

本発表を、自社 (サプライヤーを含む) における製造業のオペレーションの自動化を広く次世
代に向けて変革できる可能性があるものとして捉え、新たな調査分析を開始するきっかけと
して利用する。

利用可能な新しいテクノロジに投資する。「最先端の思考」を奨励するためにも試行を開始
し、自組織における新しいスキルを開発する。

評価に値するシステムを開発できる能力を持つベンダーと共に、インパクトのある新しいテ
クノロジに関するPOCを開始する。
推奨リサーチ
「2016年の展望:スマート・マシン」(ITM-16-06、2016年2月19日付)
「スマート・マシン時代の幕開け」(INF-16-23、2016年2月10日付)
「Predicts 2016: Rising to the Challenge of Building IoT Solutions」
Publication Date: April 25, 2016/ID Number: INF-16-70 (G00307898)
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