米国ハイイールド債:好転ストーリー(PDF/287KB)

米国ハイイールド債:好転ストーリー
2016年 4月25日
ゼーン・ブラウンよりの注記: 我々は米国高利回り市場について日本の投資家の皆さまから数
多くのお問い合わせをいただいています。いくつかの新しい視点を提供するため、ハイイールド
債の現状についてロードアベット社同僚の見解をここに示して参ります。皆さまのお役に立てるこ
とを願います。
米国ハイイールド債は第 1 四半期半ばに底を打った後、3 月が近づくにつれ急激な反転を
示しました。
米国ハイイールド債市場は 2016 年第 1 四半期に劇的な好転を見せました。2016 年の市場は、
米連邦準備理事会(FRB)による次期利上げタイミング、コモディティー(商品)価格の崩壊、米国
景気後退への懸念増大、そして中国経済がハードランディングする可能性といった事柄に対する
投資家の不安を反映する形で始まりました。これら懸念材料が見慣れたものだとすれば、それは
2015 年に発生した質への逃避を引き起こしたのが同じ要因だったためです。その結果スプレッド
は 200 ベーシスポイント(bps)以上拡大し、2 月 11 日には 900bps 近くに迫る形となったのです。
図 1:スプレッドは 2 月半ばに高水準に達した後、急速に縮小
2015 年 12 月 31 日から 2016 年 4 月 15 日までの利回りスプレッド
出典:BofA メリルリンチによるハイイールドマスターII コンストレインド・インデックス
同図は例示を目的としたものに過ぎず、ロードアベットが運用する特定のポートフォリオまたは特定の投資を示す
ものではありません。同インデックスは非マネージド型であり、手数料や費用控除は反映されておらず、また同イ
ンデックスに直接投資することはできません。
これほどのスプレッド幅は過去 30 年間に数えるほどしか発生していません。我々は当時、もろも
ろの悪材料はあるとはいえ、いくつかの分野でバリュエーションが極端なレベルに達していると見
1
ていました。そして米国経済が景気後退を何とか回避するだろうという我々のベースケースシナ
リオにおいては、ハイイールド債は興味深い投資機会を提供していました。
しかしながら、商品価格、とりわけエネルギーセクターの価格が回復し、FRB が米国および世界
の経済成長を阻む難題の山積を認めて今後の利上げの方向性を緩和させるなか、市場心理は
2 月半ばに好転しました。市場はよりタカ派的なスタンスを予想していたことから、これは事実上
の金融政策の緩和であったと言えます。年内の追加利上げについて市場では現在、2015 年 12
月の最初の利上げ後に予想された 4 回ではなく、25bps を 1 回または 2 回だけとの見方が価格
に織り込まれています。
米国ハイイールド市場の回復は目覚ましく、四半期末の同セクターの最終統計は 1 月から 2 月
半ばにかけて投資家に乱高下を経験させた激しい変動とは全く異なるものとなりました。代表的
な BofA メリルリンチ US ハイイールドマスターII コンストレインド・インデックス(ハイイールド・コン
ストレインド・インデックス)は最悪時には 5.1%下落し(2016 年 2 月 11 日時点)、利回りは 10%以
上(過去 5 年間での最高水準)に達していました。しかし 4 月半ばまでには、同インデックスは年
初からのリターン 4.3%という低水準から 9.97%改善し、利回りは落ち着きを取り戻して 8.0%を若干
超える水準にまで回復しました。
表 1:セクター別(特にエネルギー)リターンは 2016 年劇的に好転
出典:BofA メリルリンチによるハイイールドマスターII コンストレインド・インデックス
2
ここに示されたパフォーマンスは過去のパフォーマンスを示したものです。過去のパフォーマンスは信頼性のあ
る指標ではなくまた将来の成果を保証するものではありません。同表で示した過去のデータは例示を目的とした
ものに過ぎず、ロードアベットが運用する特定のポートフォリオまたは特定の投資を示すものではありません。同
インデックスは非マネージド型であり、手数料や費用控除は反映されておらず、また同インデックスに直接投資す
ることはできません。
エネルギーセクター(今日ハイイールド・コンストレインド・インデックス価値の 13%以上を占めてい
ます)は 2 月初めにかけて暴落した原油価格による打撃を受けてここ数年来最低の水準まで落
ち込みましたが、その後は上昇に転じ、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)の原油現
物価格は 4 月 11 日までに 1 バレル当たり 40 ドルを超えました。我々は、エネルギーセクターに
引き続きマイナスの影響をもたしている石油需給不均衡が 2016 年には改善に向かうと予想して
います。これは米国石油生産が利益低迷とそれに続く設備投資縮小を反映して減少すると見込
まれるためです。
総括
現在、米国ハイイールド債のバリュエーションは 2 月初めほどの極端な水準にはありません。と
はいえ、ハイイールドセクターのスプレッド(2016 年 4 月 15 日時点で 700bps)が依然として長期
的な中央値である 538bps を大きく上回っていることから、この資産クラスには引き続き投資機会
が存在すると言えます。こうした環境下において投資家は、厳格かつファンダメンタルなボトムア
ップ型クレジットリサーチを採用する経験豊富な投資マネジャーが投資機会を見出しリスク管理
を行う、アクティブ運用型ポートフォリオが潜在的に生み出す利益について検討することが賢明
だと言えるでしょう。
リスクについての注記:債券の投資価値は金利変動によってまた市場動向に応じて変化します。一般
に、金利上昇時には債券価格は下落し、逆に金利低下時には債券価格は上昇します。ジャンク債と
時に称される高利回り債ではより高い価格変動リスク、流動性の低さ、適時の元利払い不履行リスク
を伴います。債券はまた期限前償還リスク、信用リスク、流動性リスク、金利リスク、そして全般的な市
場リスクといった他のリスクも伴う可能性があります。通常では、より期間の長い債券は金利変動に対
してより敏感に反応します。つまり償還日までの期間が長いほど、金利変動が債券価格にもたらす影
響度は高くなります。低格付け債は高格付け債に比べて高いリスクにさらされる可能性があります。
いかなる投資戦略もすべての市場変動を克服することはできず、また将来の投資成果を保証すること
はできません。
見通しや予想は現在の市場情勢を基にしたものであり予告なく変更されることがあります。予想を保
証ととらえるべきではありません。
1 ベーシスポイントは 1 パーセントの 100 分の 1 です。
債券価格は金利動向とは逆の動きを示します。つまり金利上昇時に債券価格は下落する一方、金利
低下時に債券価格は上昇します。
ハイイールド債券スプレッドはハイイールド 債(ジャンク債とも呼ばれます)の様々なクラスの現在の
利回りを投資適格社債、米国債、あるいはその他の指標債券基準と比較した場合のパーセント格差
です。スプレッドはパーセントあるいはベーシスポイント(1%の 100 分の1)の差で表されます。
BofA メリルリンチ米国ハイイールド・マスターII・コンストレインド・インデックスは米国市場で発行され
た投資適格に満たないドル建て公募社債からなる時価総額加重インデックスです。対象となる証券は
投資適格に満たない格付け(ムーディーズ、S&P、フィッチの平均に基づく)を有し発行時の償還まで
の期間が少なくとも 18 カ月あり、またリバランス(投資配分比率の調整)時に最終償還日まで最低 1
年の期間を有するとともに確定した利払い日があり発行残高が最低 1 億ドルある債券です。同インデ
ックスでは全体に占める 1 社の比率を 2%までに制限しています。同インデックスの構成は、1 社の発
行体の投資配分比率が 2%を超えないという条件のもとで、現在の発行残高を基準にした時価総額比
重型インデックスです。この制限を超えた発行体についてはその比率が 2%に引き下げられ、それらの
債券の個々の額面価値は案分計算により調整されます。2%上限を下回る他の全ての発行体の額面
3
価値は案分計算により引き上げられます。同指数を構成する発行体の数が 50 を下回った場合には、
それぞれの発行体が同じ比率で加重され、個々の債券の額面価値は案分計算により増額または減
額されます。同インデックスは非マネージド型であり、手数料や費用控除は反映されておらず、また同
インデックスに直接投資することはできません。
前述の経済レポートで示された見解は発表日現在のものであり、今後その内容が変更となる可能性
があります。また弊社の見解を表明するものではありません。本資料は特定の投資または一般的な
市場に関する予測、リサーチ、投資アドバイスとしての利用を目的として作成されておらず、また法的・
税務上の助言を提供するものでもありません。本資料は当社が信頼できると思われる情報に基づい
て作成されておりますが、当社はその正確性および完全性について保証するものではありません。
本資料は、情報提供を目的とした参考資料であり、有価証券の取得の申込み・取得の申込みの勧
誘・売付けの申込み・買付けの申込みの勧誘、有価証券に関する投資助言をするものではなく、以上
のいずれの行為に関しても一切用いることができません。また、本資料は金融商品取引法に基づく開
示書類ではありません。
著作権 © 2016 by Lord, Abbett & Co. LLC 無断複写・転載を禁じます。
4