各論3 国と地方

各論3.国と地方
(1)地方財政制度の現状等
〇 国と地方の歳出比は概ね4:6ですが、地方交付税等の財政移転により、国と地方の税財源比も概
ね4:6となっています。
○国と地方の税財源配分と歳出割合
国
【歳入】
地 方
国:地方
41.1%
59 : 41
(28年度予算)
58.9%
※ 地方税収は、地方財政
計画ベースの見込額に超
過課税、法定外税及び地
方法人特別譲与税を加え
たもの。
法定率分及び地方譲与税
16.6 %
42 : 58
42.2%
57.8%
国:地方
【歳出】
(純計ベース)
41.7 %
(26年度決算)
(純計ベース)
58.3 %
42 : 58
(出典)「地方財政の状況(平成28年3月)」より。
○ 国と地方の財政状況を比較すると、基礎的財政収支・財政収支(フロー)で見ても、長期債務残高
(ストック)で見ても、国は地方よりも極めて厳しい状況にあります。
○国と地方の基礎的財政収支・財政収支(フロー)(2016年度見込み)
基礎的財政収支
財 政 収 支
国
▲17.8兆円程度
▲25.3 兆円程度
地 方
+2.8 兆円程度
+0.4 兆円程度
(出典)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成28年1月21日)より。
○国と地方の長期債務残高(ストック)の推移
30年前
(1986年度末)
20年前
(1996年度末)
10年前
(2006年度末)
概ね1.8倍
概ね1.9倍
現在
(2016年度末見込)
約300兆円増加
国
310兆円
164兆円
概ね1.4倍
概ね2.3倍
地 方
61兆円
561兆円
ほぼ横ばい
200兆円
139兆円
866兆円
196兆円
(注) 交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金については、その償還の負担分に応じて、国と地方に分割して計上している。なお、平成19年
度初をもってそれまでの国負担分借入金残高の全額を一般会計に承継したため、平成19年度末以降の同特会の借入金残高は全額地方負
担分(2016年度末で32兆円程度)である。
1
○ 国の一般会計歳出のうち、10兆円を超えるのは、社会保障関係費、国債費のほか地方交付税であ
り、この3つの経費で歳出総額の約3/4を占めています。
○ 地方交付税は、地方財政計画における歳出歳入ギャップ(財源不足)を埋めるものであり、国・地方
あわせたPBを改善するためには、地方財政計画上の歳出を抑制していくことが重要です。
【歳入85.8(+0.5)】
【歳出85.8(+0.5)】
歳出歳入ギャップ
17.0 (▲1.2)
給与関係経費
:20.3(▲0.0)
国
・
地
方
折
半
折半対象
財源不足
0.5(▲2.4)
地方特例交付金:0.1(+0.0)
特会財源
1.5(+0.2)
一般行政経費
:35.8(+0.7)
うち、補助分:19.0(+0.5)
うち、単独分:14.0(+0.0)
うち、まち・ひと・しごと創生事
業費:1.0(±0)
うち、重点課題対応分:0.25
(新規)
臨時財政対策債
0.3(▲1.2)
特例加算
0.3(▲1.2)
地方税・地方譲与税
:41.1(+1.0)
地方交付税総額
16.7兆円
交付税
法定率分等
14.9
(+1.1)
歳出特別枠:0.45(▲0.4)
投資的経費
:11.2(+0.2)
国庫支出金:
13.2(+0.1)
公債費:12.8(▲0.1)
地方債:8.6(+0.5)
うち、臨時財政対策債:3.5(+0.4)
(折半対象臨時財政対策債を除く)
その他:5.2(+0.1)
その他:5.7(+0.1)
(注)リーマンショック後の臨時異例の危機対応として、歳出面の「歳出特別枠」に加え、歳入面において「別枠加算」が措置され
ていたが、28年度に廃止。
(2)地方財政の健全化に向けて
①改革工程表に基づく改革の成果の反映による地方歳出の適正化
○ 「改革工程表」に基づいて地方行財政分野の改革を着実に進めるとともに、国・地方のプライマリ
ーバランスの黒字化目標達成の観点から、自治体の業務効率化等の取組の成果を把握・検証し、
その成果を地方財政計画に結び付けることが重要です。
Ⅰ トップランナー方式の導入
・ 歳出効率化に向けた業務改革で他団体のモデルとなるような改革を行っている団体の経費水準を基準財政需要額の算定基礎とする取組み(トップ
ランナー方式の導入)を推進。 ※28年度に着手する取組・・・学校用務員事務、体育館等の施設管理、庶務業務等(16業務)
Ⅱ 公共施設の集約化・複合化等の促進
・ 人口減少・高齢化が進行する中、公共施設等について、効率的な管理・運用を行うためには、その集約化・複合化等を進めていくことが重要。
⇒ 全国の自治体において、28年度末までに公共施設等総合管理計画を策定予定。 ※ 28年度末までに策定完了予定の自治体割合: 99.2%(平成27年10月1日調査)
・ 地方財政計画においては、公共施設等の集約化・複合化を促進するための公共施設等最適化事業費を増額。
※27年度0.1兆円→28年度0.2兆円(+0.1兆円)
Ⅲ 地方財政の全面的な「見える化」
・ 住民や議会等に対する適切な説明責任や、自治体のガバナンスの向上を図る観点から、地方財政の「見える化」を推進。
・ 住民一人当たりのコストについて、平成27年度決算より「性質別」や「目的別」で網羅的に公開するとともに、経年変化や類似団体比較等の分析を行う
ことで「見える化」の充実を図る。
性質別歳出分類・・・人件費、物件費、維持補修費、扶助費、補助費等、普通建設事業費(新規整備・既存更新)、公債費、繰出金
目的別歳出分類・・・議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、教育費
・ 公共施設等の老朽化対策に対応するため、ストック情報(※)を平成29年度決算までに順次「見える化」。
※ 公共施設等の資産老朽化比率や保有量、自治体が保有する土地情報等
Ⅳ 業務の簡素化・標準化、自治体クラウドの積極的展開
・ 行政サービスの効率性と質の向上を図るため、地方の業務の簡素化・標準化、自治体クラウドの積極的な展開を推進。
・ 地方公共団体の情報システム運用コストの3割圧縮を目指す。 ※ 目標期限を集中改革期間中に設定。
・ クラウド導入市区町村数について、29年度までに倍増(約1,000団体)を目指す(26年度550団体)。
国
地方財政計画
(国民負担・住民負担の軽減)
地方
取組状況・成果の
迅速な把握と検証
自治体による自主的・主体的な
業務効率化・財政収支改善の取組み
ミクロのPDCA
国・地方を合わせた
プライマリーバランスの改善
経済・財政再生計画に沿った改革の着実な進展のため、
KPI、工程表を策定
2
②人口減少を踏まえた地方歳出の適正化
○ 地方団体の財政需要には、人口減少に伴って需要額が必然的に減少することが見込まれるものも
多く、地方財政計画の歳出の計上にあたっては、こうした減少も適切に踏まえる必要があります。
○ また、人口減少は、全国平均の人口減少率を上回る影響を、地方交付税額に与えていくことが見込
まれ、今後の地方交付税所要額については、こうした状況とも整合的なものにする必要があります。
人口指数(%)
<人口減少の基準財政需要額への影響>
<人口減少の普通交付税額への影響の推移>
110
基準財政需要額 45.1兆円 (27年度)
100.0
100
100.0
うち人口を直接測定単位とするもの 20.9兆円(46.3%)・・(A)
98.9
97.6
90
96.9
94.2
うち人口に準ずると考えられる事項を測定単位とするもの 9.1兆円(20.1%)・・(B)
人口指数の推移
(A)+(B)=30.0兆円(66.5%)
91.1
87.6
94.7
83.8
91.2
項目
警察費
87.3
80
道路橋りょう費
70
河川費
83.3
各都道府県における人口指数と
普通交付税の配分額の加重平均
土木費
港湾費
79.0
その他の土木費
小学校費
中学校費
実際の人口減少率以上に、
人口減少は普通交付税額に影響
高等学校費
教育費
特別支援学校費
その他の教育費
60
50
青線:該当年人口/2010年人口×100(=人口指数)
赤線:(各都道府県の普通交付税交付額の割合×該当年人口
指数)をすべての都道府県について合計
生活保護費
社会福祉費
衛生費
厚生労働費
高齢者保険福祉費
労働費
農業行政費
産業経済費
40
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040 (年)
(注)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(中位推計)」(平成24年1月推計)を基に算出
(※)人口指数とは2010年の人口を100としたときの各年度の人口の割合。
(※)普通交付税額は平成27年度交付額ベース(市町村含む)。
⇒ 全体の7割に人口減少の影響
【市町村分】
個別算定経費
【道府県分】
個別算定経費
林野行政費
水産行政費
商工行政費
徴税費
総務費
恩給費
地域振興費
地域経済・雇用対策費
地域の元気創造事業費
人口減少等特別対策事業費
測定単位
警察職員数
道路の面積
道路の延長
河川の延長
港湾(係留)
港湾(外郭)
漁港(係留)
漁港(外郭)
人口
教職員数
教職員数
教職員数
生徒数
教職員数
学級数
人口
公立大学等学生数
私立学校等生徒数
町村部人口
人口
人口
65歳以上人口
75歳以上人口
人口
農家数
公有以外の林野の面積
公有林野の面積
水産業者数
人口
世帯数
恩給受給権者数
人口
人口
人口
人口
項目
消防費
測定単位
人口
道路の面積
道路の延長
港湾(係留)
港湾(外郭)
漁港(係留)
漁港(外郭)
計画区域人口
人口
都市公園の面積
人口
人口
児童数
学級数
学校数
生徒数
学級数
学校数
教職員数
生徒数
人口
幼稚園児数
市部人口
人口
人口
65歳以上人口
75歳以上人口
人口
農家数
林水業従業者
人口
世帯数
戸籍数
世帯数
人口
面積
人口
人口
人口
道路橋りょう費
港湾費
土木費
都市計画費
公園費
下水道費
その他の土木費
小学校費
中学校費
教育費
高等学校費
その他の教育費
生活保護費
社会福祉費
保健衛生費
厚生労働費
高齢者保険福祉費
清掃費
農業行政費
林野水産行政費
商工行政費
徴税費
産業経済費
総務費
戸籍住民基本台帳費
地域振興費
地域経済・雇用対策費
地域の元気創造事業費
人口減少等特別対策事業費
包括算定経費
包括算定経費
測定単位
人口
面積
測定単位
人口
面積
(3)地方向け補助金等の全体像(28年度予算)
○ 地方向け補助金等の整理合理化を進めてきていますが、高齢化等に伴い、社会保障関連の
補助金等は増加してきており、平成28年度では、総額のおよそ7割を社会保障が占めるに至
っています。
平成28年度概算額
除く復興特会
25兆6,639億円 (対前年度当初予算比
24兆3,851億円
(対前年度当初予算比
▲192億円、▲0.1%)
+2,733億円、+1.1%)
25.7兆円
24.4兆円
社会保障
18.4
(72%)
障害者支援 1.4
3
文教・
科学振興
2.2(6%)
公共事業 2.7
(11%)
(5%)
高校無償化 0.4
高齢者医療
生活保護
介護保険
市町村国保
子ども・子
育て支援
義務
教育
社会資本
整備総合
交付金等
5.6
2.9
2.5
2.5
2.2
1.5
2.1
(注)計数については、今後異同を生ずることがある。
3
その
他
1.1
復興
特会
1.3
(5%)
東日本大震
災復興交付
金
0.1