がん診療連携拠点病院 東京都がん診療連携拠点病院事業 東京都がん診療連携拠点病院事業検討委員会 委員長 野口修(診療局長・消化器内科 部長) 本年度は平成 19 年の指定更新以降、3 回目のがん診療連携拠点病院認定更新年であった。後述する問題点があるもの の、国の新たな指針の策定が遅れたなど、諸事情もあり無事更新となった。 本事業には外来治療センター、がん相談支援センター、癌登録、地域連携としてのがん手帳、緩和ケア、放射線治療、 など様々な事業が盛り込まれている。詳細はそれぞれの年報を参照いただき、総括として過去 10 年間のがん拠点病院整 備事業として目覚ましい発展をしてきたと言える。特に癌登録は法制化が行われ来年度には施行される見通しとなった ことから、今後は予後情報も含めた登録となり、ようやく治療効果までを含めた包括的な情報網が構築されることにな る。当院ではすでに個人情報の取り扱いについて市の条例との整合性がはかれているが、利用各位への情報提供のあり 方について整備を進めている。 がん相談支援センター事業もこれまでなんでも相談窓口に間借りしながらの業務であったが、ようやく玄関近辺に相 談コーナーを確保することができ、約 800 件ほどの相談件数をこなした。来年度に向けては都内から戻ってくる癌患者 がいわゆる「癌難民」とならないための受け入れと連携の受け皿を用意する試みを検討している。癌 CNS のかかわりに よりトータルな療養相談を展開することができるようになったが、実質専従相談員 1 名以外は全員兼務であり、人員と 業務時間の制限が足かせとなってまだまだ十分な業務が行えているとは言い難い。癌患者の就労支援も順調に活動が行 われており、都内でも先進的なモデルと言える。 昨年度からがん手帳の運用を再度見直し、事前準備を図ったうえで再試行することに成功した。発行数が急増するわ けではないが、地域連携のツールとして有用性が認識され始めていることは喜ばしい。 念願の常勤の放射線治療医は今年度も確保できなかったが、来年度にはぜひとも人員が確保されることを願っている。 各部門でのそれぞれの取り組みには、進歩がみられており、相談支援事業、研修会などの点で目覚ましい活躍が見られ た。望むべき基準にははるかに達しない項目もあるものの、さらに目標に向かって当院の癌診療機能を高め、さらに地 域へ働きかける病院として存在意義を高めたいと考えている。 拠点病院事業関連項目 ・集学的治療 ガイドラインに準拠した標準的治療 クリティカルパスなどによる標準化 キャンサーボードによるカンファレンス ・化学療法 ・緩和ケア ・病診連携 地域連携パス(5 大がん:肺がん、胃癌、肝癌、大腸がん、乳がん、他) セカンドオピニオン外来 ・専任・専従スタッフ(専門的医師・専門的看護師・専門的薬剤師・コメディカル)の確保 ・治療機器などの整備 放射線治療装置 外来化学療法室 集中治療室 無菌病室 患者サロン -177- ・地域における教育研修 ・がん相談支援センター ・がん登録 院内がん登録 地域がん登録 全国がん登録 ・がん診療の研修 がんセミナー 臨床研修出向 ・がん予防・医療の市民に対する啓もう活動 市民公開講座 -178-
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