東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査 〈速報版〉

東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査〈速報版〉
2016年4月21日
東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査〈速報版〉
調査時点 2015年12月末
15年は過去平均(103万㎡)を超える供給であったが、予測を上回る需要の伸びにより
空室率の低下が進んだ。
今後5年間の平均供給量は、過去平均を上回る見込みだが、2019年の供給の一部が
2020年に後ずれした結果、各年の供給量の差が縮小し、平均化した。
■ 供給動向
<東京23区>
○ 15年の供給量は109万㎡(前年比125%)
となり、3年ぶりに過去平均を上回った。
○ 16年の供給量は102万㎡(前年比94%)
を予定しており、過去平均並となる見込み。
○ 今後5年間の供給量平均は114万㎡/年。特に2018年以降は、供給量が多く、平均を押し
上げている。一方で、大量供給が想定されていた2019年の一部が2020年に後ずれした
ため、各年の供給量の差は縮小し、平均化した。
■ 需要動向
<東京23区>
○ 15年の吸収量
(新規需要)
は114万㎡
(前年比82%)
。
○ 15年末の空室率は3.9%
(前年比0.4pt減)
。昨年予測した2015年末空室率は4.3%であっ
たが、
下期の吸収量が予想以上に積み上がった結果、
予測よりも低下が進んだ。
森ビル株式会社(東京都港区 代表取締役社長 辻慎吾)
では、1986年から継続して、東京23区で1986年以降に
竣工した事務所延床面積10,000㎡以上のオフィスビル(以下「大規模オフィスビル」
という)
を対象に、需給動向に関
する調査を行っています。
この度、最新の集計がまとまりましたので、速報版として調査結果をご報告します。
■「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査」調査要項
対象地域
:東京23区
集計対象ビル :事務所延床面積10,000㎡以上(1986年以降竣工)
※一般に公開されている情報を基に、2015年12月に実施した現地調査ならびに聞き取り調査によって供給量を算出し
ています。
※算出している供給量は、延床面積における事務所部分の集計であり、1986年以降に竣工した大規模オフィスビル(自
社ビルを含む)
を対象としています。
※吸収量(新規需要)とは、1986年以降に竣工した大規模オフィスビルにおける当年の新規稼働床面積(前年末の空室
面積+新規供給面積−当年末の空室面積)のことです。供給量と比較するため、賃貸面積を大規模オフィスビルの平
均有効率で延床面積に割り戻しています。
【問い合わせ先】 森ビル株式会社 営業本部 マーケティング部 山口 嘉寿明 岡 圭太
東京都港区六本木6丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー 〒106-6155 TEL : 03-6406-6672(http://www.mori.co.jp)
東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査〈速報版〉
1
供給動向
<東京23区>
○ 15年の供給量は109万㎡(前年比125%)。
○ 16年の供給量は102万㎡(前年比94%)。
<都心3区>
○ 15年の供給量は78万㎡(前年比111%)。
○ 16年の供給量は77万㎡(前年比99%)。23区に対する都心3区の供給割合は75%。
2015年の東京23区大規模オフィスビル供給量は109万㎡であり、
3年ぶりに過去平均
(103万㎡)
を上回った。
2016年
の供給量は102万㎡を予定しており、
過去平均並となる見込みである。
今後5年間
(2016∼20年)
の平均は114万㎡/年
であり、
特に2018年以降の供給量が平均を押し上げている
(図1)
。
昨年調査時点
(2015年8月末時点)
では2019年の
供給量が大きく積み上がっていたが、
その一部が2020年に後ずれした結果、
各年の供給量の差が縮小し、
平均化した。
【図1:東京23区大規模オフィスビルの供給量推移】
(万㎡)
47
41
250
40
32
44
200
183
29
28 216
21
15
14
16
28
100
100
108 104
83
56
99
92
25
175 16
125
119
154
121
119
50
23
20
19
124
109
17
137
102
87
85
65
55
22
’
16年以降年平均
114万㎡/年
139
117
86
77
72
22
19
過去実績年平均
103万㎡/年
91
74
29
32
21
19
12
114 118
31
26
19
供給量
150
供給量(予定)
供給件数
37
30
36
24
供給量(実績)
42
供給件数
46
69
58
36
0
’
86 ’
87 ’
88 ’
89 ’
90 ’
91 ’
92 ’
93 ’
94 ’
95 ’
96 ’
97 ’
98 ’
99 ’
00 ’
01 ’
02 ’
03 ’
04 ’
05 ’
06 ’
07 ’
08 ’
09 ’
10 ’
11 ’
12 ’
13 ’
14 ’
15 ’
16 ’
17 ’
1
1986∼2015年までの
① 供給件数 ………… 841件
② 総供給量 …… 3,098万㎡
’
1
’
20
2016∼2020年までの
① 供給件数 ………… 101件
② 総供給量 ……… 572万㎡
2015年の都心3区(千代田区、中央区、港区)供給量は78万㎡であった。2016年の供給量は77万㎡を予定してい
る。今後5年間(2016∼20年)の平均は77万㎡/年であり、過去10年間(2006∼15年)の平均(68万㎡/年)
を上回
る見込みである(図2)。特に2018年の都心3区供給量は105万㎡となる見込みであり、100万㎡を超えるのは
2006年以来12年ぶりである。
【図2:エリア別大規模オフィスビルの供給量】
(万㎡)
200
175
154
150
49
0
117
29
100
50
139
119
86
65
105
90
2006年
2007年
21
21
44
2008年
109
87
85
49
65
2009年
78
81
58
4
97
36
37
2010年
2011年
54
2012年
2013年
1
その他20区
’
16∼’
20年都心3区
平均供給77万㎡/年
’
06∼’
15年都心3区
平均供給68万㎡/年
25
70
78
77
2014年
2015年
2016年
17
124
34
102
31
都心3区
50
137
57
69
18
51
2017年
105
2018年
75
2019年
80
2020年
東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査〈速報版〉
また、都心3区への供給割合は、今後5年間で見ると68%であり、過去5年間と比べ増加する見込みである。各年で
見ると、今後3年間(2016∼18年)は7割を超える水準となる
(図3、4)。
【図3:エリア別大規模オフィスビルの供給量割合】
0
20
’
06∼’
10年
60
80
その他20区
67%
(68万㎡/年)
33%
(34万㎡/年)
39%
(42万㎡/年)
68%
(77万㎡/年)
’
16∼’
20年
100(%)
都心3区
61%
(67万㎡/年)
’
11∼’
15年
2
40
【図4:今後5年間のエリア別大規模オフィスビルの供給量割合】
32%
(37万㎡/年)
0
20
40
60
80
100(%)
都心3区
その他20区
2016年
75%
(77万㎡/年)
25%
(25万㎡/年)
2017年
3%
(51万㎡/年)
27%
(18万㎡/年)
2018年
75%
(105万㎡/年)
25%
(34万㎡/年)
2019年
60%
(75万㎡/年)
40%
(50万㎡/年)
2020年
59%
(80万㎡/年)
41%
(57万㎡/年)
需要動向
<東京23区>
○ 15年の吸収量(新規需要)
は114万㎡(前年比82%)。
○ 15年末の空室率は3.9%(前年比0.4pt減)。
<都心3区>
○ 15年の吸収量(新規需要)
は75万㎡(前年比71%)。
○ 15年末の空室率は3.6%(前年比0.1pt増)
東京23区大規模オフィスビルの2015年の吸収量は114万㎡(前年比82%)。一方、供給量は109万㎡(前年比
125%)
であり、吸収量が供給量を上回った。昨年予測した2015年末空室率は4.3%であったが、下期の吸収量
が予測以上に積み上がった結果、2015年末の空室率は3.9%(前年末比0.4pt減)
まで改善した(図5)。
【図5:供給量、吸収量、空室率の推移(東京23区)】
8.1
(万㎡)
250
3.4
2.7
3.1
2.4
200
150
50
0
216
224
5.9
5.3
3.2
2.8
1.2
2.5
6.3
6.9
吸収量
大規模ビル空室率
7.8
6.2
4.3
3.8
(%)
3.9
4.6
(%)
3.9
175
154157
142
130
119
125
99
100
3.6
6.7
供給量
74 80
91
72
36
44
121
88 91
115
117
86
77
54
139
139
119122
85
69
65
48
34
99
91
109
114
87
58
31
1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
2
75
60
54
34
2015年上期 2015年下期
東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査〈速報版〉
都心3区における2015年の吸収量は75万㎡
(前年比71%)
、供給量は78万㎡
(前年比111%)
であった。
上期に大規
模オフィスビル数棟が空室を抱えたまま竣工し、
一時的に空室率は4.3%まで悪化したものの、
下期にかけて空室が順
調に消化された結果、
2015年末の空室率は3.6%
(前年末比0.1pt増)
に落ち着いた。
一方、
その他20区の吸収量は39万㎡
(前年比118%)
であった。
供給量は31万㎡であり、吸収量が供給量を上回った
ため空室率が低下した。
都心3区同様、
空室消化は下期においてより顕著であった
(図6)
。
【図6:供給量、
吸収量、
空室率の推移
(エリア別)
】
都心3区供給量
その他20区供給量
都心3区空室率
都心3区吸収量
その他20区吸収量
その他20区空室率
(万㎡)
9.3
240
8.0
220
160
140
6.6
6.1
6.5
200
180
8.4
5.6
4.2
3.2
3.3
5.0
5.9
5.7
5.2
49
5.1
4.5(%)
4.3
3.5
3.6(%)
78
54
33
29
100
61
43
31
80
105 103
90
78
44
20
49
21
5
29
38
81
21
40
19
70
97
78
65
35
36
50
39
17
21
4
54
106
61
70
21
78
18
75
54
37
11
39
21
24
36
−4
0
−20
5.2
1.8
120
60
3.6(%)
3.5
3.3
2.5
4.5(%)
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
3
2013年
2014年
2015年
2015年上期
2015年下期