「 リ レ ー 方 式 」で の 暫 定 開 業 決 定 次 の 焦 点 は F G T の〝 実 現

FOCUS 九州新幹線 ㊤
西九州ルート
億円の追加費用に
間 分(試算)で結ばれ、現行の
たことで、博多─長崎は最速1時
賀県の一部からは「フル規格待望論」が噴出している。
分短縮され
幹線へのFGT乗り入れに難色を示している。そのため長崎県や佐
むかどうかだ。仮にFGTの開発が成功してもJR西日本は山陽新
フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の開発が順調に進
内で合意文書に調印した。今後の焦点は、国が導入前提としている
円で購入する予定だったが、これ
などを両県がJR九州から約 億
負担を軽減するため、線路や駅舎
並行在来線を運行するJR九州の
くなるようにする。三者合意では
償で譲渡し、両県の実質負担がな
諫早)の線路などの鉄道施設を無
保有する並行在来線(肥前山口─
更。長崎、佐賀両県にJR九州が
合意」
(三者合意)も一部上書き変
県、JR九州が結んだ「三者基本
長 崎は新幹 線で運行する。肥前
温泉は在来線特急、武雄温泉 ─
きるようにするほか、博多─武雄
駅を改修して対 面 乗り 換えがで
間に延長された。また、武雄温泉
ずれ込む見込みであるため、 年
たが、FGTの導入予定が3年間
急を1日5往復( 本)としてい
博多─長崎1時間 分に
並行在来線はJRが 年運行
新幹線西九州(長崎)ルートの開
運輸機構の代表6人。目的は九州
しっかり国に訴えていく」と話し、 肥前鹿島の特急を 本走らせ、4
はクリアできた。FGTの開発は
の説明責任を果たせるところまで
佐賀県の山口祥義知事は「県民へ
年目からは1日 本とする。三者
行を継続。当初3年間は博 多 ─
はJR九州が肥前山口─諫早の運
れていた。国交省は暫定的にリレ
結成され、開業の在り方が検討さ
が大幅遅延。与党の検討委員会が
を予定していたがトラブルで開発
西九州(長崎)ルートを巡って
は、 年度までにFGTでの運行
1時間
山口─ 武雄温泉の複線化工事も
業方法と時期についての最終的な
年間、特
順次行なうとした。
意思確認と合意書への調印である。
FGTへのこだわりをみせた。
合意では運行期間を
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14
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22
福岡市で開かれた関係者による会合。
この後、調印、合意文書が交わされた
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合意では、リレー方式の採用で
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26
52
Zaikai Kyushu / MAY.2016
年度の開業は堅持、
フル規格待望論も根強く
発生する約
ることになった。
を両県の実質的な追加負担額約
年に佐 賀 県と長 崎
非公開の協議の後、長崎県の中
村法道知事は「道筋を示してもら
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23
26
23
全 員 がリレー 方 式による
2022年度の暫定開業に合意し
13
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22
分より約
3月 日、報道関係者でごった
返す福岡市の九州運輸局に集まっ
った。平成 年度( 年度)に向
34
よしのり
億円と相殺する。
たのは、与党の検討委員会と長崎
10
県、
佐賀県、
国交省、
JR九州、
鉄道・
関 連して、
07 70
けて頑張る」と笑顔を見せた。一方、 並行在来線については、リレー
方式による暫定開業から 年間
九州新幹線西九州(長崎)ルートが在来線特急と新幹線を乗り
継ぐ「リレー方式」で暫定開業することに決まり、関係者が福岡市
「リレー方式」
での暫定開業決定
次の焦点はFGTの
〝実現性〟
に
22
29
どにFGTでの本格開業を目指す。
JR西日本は現行300㌔で運
行している山陽新幹線に、最高速
は困難なためである。
線へのFGTの乗り入れが現状で
JR両社に委ねる意向を示した。
日本とJR九州との話になる」と
陽 新 幹 線への乗 り入れはJR西
FGTの最高速度は270㌔。山
に対し、
「現時点で想定している
乗車運賃が通常の新幹線より高
新幹線車両の3〜4倍もするため、
4両編成で1両あたり約
車両価格と運賃との関係も気
になるところだ。試作のFGTは
ー方式で運行しながら 年度をめ
ただ、 年 度後半の走行試験
再開を想定しているFGTの開発
度270キロのFGTが乗り入れる
億円。
が、順調に進むかどうかは不透明
た、FGT導入時の乗車運賃につ
格は抑えられる」と説明する。ま
価になる。さらに量産化すれば価
り、現実的にはこれより軽量、安
たフルスペックの状態になってお
これに対して国交省は「試
ただ、
験車 両はさまざまな計器を付け
額になるとの懸念がある。
だ。今秋に開催予定の「軌間可変
ことに否定的である。速度の異な
ちなみにフル規格では、新大阪
る車両を同一の線路に投入すると、 ─ 佐賀は2時間 分程度、新大
技術評価委員会」が開発状況を
分程度で結
ばれる見込み。時短効果の大きさ
ダイヤ編成が非常に難しくなる上、 阪 ─長崎は3時間
システム変更にも多額の費用が必
は際立っている。
どのように判断するのかに注目が
集まる。難航した場合は「全線フ
要になるからだ。仮にJR西日本
が一日数本の乗り入れを了承した
ル規格化」の議論が再燃するのは
間違いない。
としても、FGTは「こだま」のよ
小さくて重いFGT
線路への負担を懸念
いては、JR九州が経営状況など
な新幹線直通効果によ
直通による時短効果が期待で
きなければ、鹿児島や熊本のよう
の人が博多で乗り換えることにな
うことが危惧されている。国交省
のため在来線の線路を傷めてしま
ト、時短効果はほとんど見込めない。 ながら、重量はフル規格新幹線の
る。FGTの関西圏への直通メリッ
も「地盤改良までして基礎を強化
時間
することを考えると、FGTが1
重量のある車 両が在来 線を通過
の)ゲージの変更や急曲線通過、
うに各駅で新幹線から追い越され
異なる最高速度が障害に
山陽新幹線への
〝直通困難〟 るのを待たなければならなくなる
る地域振興の可能性は
する必要はないだろうが、必要に
に鑑みて決めるものであるとしな
ゼロに等しくなるだろ
応じて線路の補強は出てくるだろ
だろう。これでは佐賀─新大阪は
う。
新幹線建設に詳しい鉄道技術者も
いずれにせよ、FGTの開発に
関しては、懐 疑 的な見 方が多い
九州新幹線
鹿児島ルート
長崎県
約1・5倍の最大 ㌧にもなる。そ
う」と補強の必要性を認めている。 いのではないか」とみている。
るのは難しく、リレーと大差がな
分で博多─長崎を到達す
前出の鉄道技術者はFGTにつ
いて「新鳥栖駅近くでの(FGT
とを示唆した。
る」として一定の範囲に収めるこ
がら、
「国交省には認可権限があ
FGTは 年度の西九州ルート
投入を目指して開発が継続される
6者による最終合意
後のブリーフィングで
「在来線区間はかなりの線路強化
のは事実。今秋に予定されている
FGTの車体重量や車両価格、
サイズについても関心が集まる。
が、計画通りに運行されることに
国交省は「技術の進歩
をする必要が出てくるだろう」と
FGTの実証実験の結果に注目が
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46
5時間程度かかってしまい、多く
なっても地域の期待通りの経済波
によるFGTの最高速
予測する。その費用負担をめぐっ
集まる。
熊本
FGTは新幹線より小さな特急
「かもめ」と同等のサイズであり
及効果をもたらしてくれるかにつ
度引き上げを想定して
て問題が生じる可能性もある。
N
長崎
いては不透明だ。それは山陽新幹
いるのか」という 問い
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11
25
武雄温泉
乗り換え
新幹線をフル規格で整備中
Zaikai Kyushu / MAY.2016
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在来線特急を活用
新鳥栖
線
JR 長崎
佐賀県
博多
山陽
新幹線
九州新幹線長崎ルート
「リレー方式」のイメージ