30P-am396 Groggy ラットにおける SV2A および SNARE 蛋白の発現解析 1 1 ◯寺田 亮 1 , 祖父江 伸匡 1 , 石原 靜 1 , 芹川 忠夫 2 , 笹 征史 3 , 大野 行弘( 大 2 3 阪薬大・薬品作用解析, 京大院医・実験動物施設, 渚クリニック) 【目的】シナプス小胞蛋白 2A (SV2A)は抗てんかん薬の新たな作用部位として注目 されており、キンドリング等のてんかん病態において、その発現が上昇すること が示されている。今回、SV2A とてんかん病態との関連をさらに明らかにする目的 で、新たな小発作モデルである groggy (GRY)ラットにおける SV2A および開口分 泌に関連する SNARE 調節蛋白の脳内発現を Western blot 法により解析した。 【方法】実験には雌雄性 17 週齢の GRY ラットおよび Slc:Wistar 系雄性ラット(対 照)を用いた。ペントバルビタール麻酔下にて動物より脳を摘出し、前頭葉、頭頂 葉、後頭葉、線条体、海馬、視床、視床下部、中脳、橋・延髄、小脳の 10 部位に 分離した。各脳部位の蛋白抽出液をサンプルとし、SNARE 複合体、SNARE 調節 蛋白の Munc-18-1, N-ethylmaleimide-sensitve factor (NSF), soluble NSF attachment protein (α-SNAP)および SV2A の発現レベルを Western blot 法により測定した。 【結果・考察】GRY ラットの脳内各部位における SV2A レベルを対照動物の Slc:Wistar ラットと比較した結果、海馬において SV2A 発現レベルの有意な上昇が 観察された。この SV2A レベルの高値は部位選択的であり、大脳皮質、大脳辺縁 系、大脳基底核、視床を除く脳幹部においては有意な変化は見られなかった。次 いで、海馬における SNARE 調節蛋白の発現レベルを検討した結果、GRY ラット では対照群に比べ、NSF の有意な上昇が認められた。一方、SNARE 複合体、 Munc-18-1 およびα-SNAP のレベルには、有意な変化は見られなかった。以上、GRY ラットの海馬では SV2A および NSF が特異的に上昇しており、神経伝達物質の開 口分泌に関わるこれら調節蛋白の変動が、小発作病態あるいは抗てんかん薬の作 用発現に関与している可能性が示唆された。
© Copyright 2025 ExpyDoc