29P-0363 フレカイニドの新規代謝物の同定と Na チャネル阻害活性の検討 青沼 和隆 1 , 幸田 幸直 1 ◯橋本 直明 1 ,本間 真人 1 ,土岐 浩介 1 ,澤田 光平 1 , ( 1 筑波大院人間総合) 【目的】Na チャネル阻害剤であるフレカイニド(FL)は主に肝臓の CYP2D6 で代 謝される薬物であり、その主代謝物としてメタ-O-脱トリフルオロエトキシ体 (MODF)とそのラクタム体(MODLF)が知られている。これまでの当研究室にお ける FL 服用患者の血液検体の分析において、これらの代謝物のほかにも FL 由 来と考えられる未知の代謝物(3 種類)の存在を確認した。本研究では、FL 未 知代謝物の構造解析と Na チャネル阻害活性を検討したので報告する。 【方法】健常被験者 3 名に FL(1 回 100-150 mg)を投与し、合計 7.7 L の尿か ら未知代謝物の単離を試みた。尿試料は、Na2CO3 を添加した後、ジエチルエーテ ルで目的の代謝物を抽出した。単離精製には逆相 HPLC を用いた。LC/MS/MS で未 知代謝物を分析し、分子量と化学構造を推定した。Na チャネル阻害活性は、CHL 細胞を用いたパッチクランプ法によって行った。 【結果・考察】尿試料から抽出した 3 種類の未知代謝物(M3、M4、M4’ )のうち、 M3 を 3.1 mg、M4 と M4’は混合物として 4.0 mg を精製した。これらの代謝物は、 グルクロン酸抱合型に変換される MODF や MODLF とは異なり、尿中には遊離型と して排泄されていた。また、それらの排泄量は MODF に匹敵すると推測され、FL の代謝クリアランスに影響すると考えられた。マススペクトル解析から推定し た未知代謝物の構造は、M3 はベンゼン環のトリフルオロエトキシ基を保持した ラクタム体であり、M4 は M3 の水酸化体(ピぺリジルメチル基上) 、M4’は M4 が 分子内で脱水された構造であった。これら代謝物の Na チャネル阻害活性につい て 0.24∼30 µM の濃度で検討したが活性は認められなかった。したがって、こ れらは不活性代謝物と考えられた。
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